法大に苦戦の末、勝利!課題と収穫に直面した2回戦

男子バレーボール

 全日本大学選手権(全日本インカレ)の2回戦、対するは関東2部の法大。相手の攻め込んでくるサーブに対してレシーブが乱れると攻撃が思うように回らない。先に2セットを取られ、追い込まれる。しかし、最後は意地を見せ相手のミスも重なりセットカウント3-2(23-25、25-22、19-25、25-21、15-9)で勝利した。

 「一番最悪な試合の入り方」(加賀優太、商4=東京・早実)。相手のサービスエースから試合は始まった。攻め込んでくるサーブに対してサーブレシーブが上がらず出だし3連続失点とつまずいてしまった。サーブレシーブの乱れからセンター線が使えない中、サイド中心に何とか試合を回した。23-23と終盤まで拮抗(きっこう)する展開となるが速攻、ブロックアウトで連続得点を奪われ失セットとなった。2セット目もサイド偏重になりながらも加賀の活躍で何とかセットをものにした。しかし、続く第3セット。加賀がサーブで狙われ、攻撃が回らず一気に5連続失点を喫す。加賀に代え喜入祥充主将(スポ4=大阪・大塚)、セッターを小林光輝(スポ3=長野・創造学園)から中村駿介(スポ1=大阪・大塚)に代えるもビハインドのままこのセットも奪われた。

センターが使えない中で奮闘した加賀

 負けたら終わりの全日本インカレ。2回戦の状況はセットカウント1-2。絶体絶命のピンチを前にして選手たちは無意識に抱いていた「まだ2回戦」「チャンピオンとして負けられない」という受け身な気持ちに気づいた。「負けたら最後だから思い切っていこう」(加賀、堀江友裕、スポ2=和歌山・開智)。負けたくない一心でそう声をかけると下級生も奮起。宮浦健人(スポ1=熊本・鎮西)がこのセット打てば決まるの如く勢いを見せ、セット奪取に貢献した。迎えた最終セット、ここまでなかなか機能しなかったブロックポイントを連続で奪うと、早大が主導権を握った。ここまでディフェンス面で足が動かず落としてしまう場面が見られたが、このセットではコート外まで必死にボールを追い、懸命につなぐ様子が随所に見られた。その頑張りに応えスパイカー陣もスパイクを決める。相手に対応しつつ、最後に自分たちの力を出せた早大が長い試合を制した。

追い込まれた状況で誰よりも声を出しチームを鼓舞した堀江

 「チームがひとつの方向を向いてなかった」(堀江)。秋季リーグ戦からここまで勝利を挙げながらもどこかしっくりこない様子を見せていた早大。しかし、きょうの4、5セットで泥臭く目の前の1点のために戦う姿からはその違和感は感じられなかった。それは一人一人が『相手に関係なくやってきたことを全部出し攻め切る』ことができたからではないだろうか。「きょうの試合をダメだったなで終わらせずに、いい意味で切り替えてやっていければ」(藤中優斗、スポ3=山口・宇部商)。その言葉通り、課題と収穫をしっかり見つめ、この試合を契機にできるかがあす以降のカギとなるだろう。

(記事 藤原映乃、写真 杉山睦美)

セットカウント
早大 23-25
25-22
19-25
25-21
15-9

法大
スタメン
レフト 喜入祥充(スポ4=大阪・大塚)
レフト 加賀優太(商4=東京・早実)
センター 武藤鉄也(スポ2=東京・東亜学園)
センター 村山豪(スポ1=東京・駿台学園)
ライト 宮浦健人(スポ1=熊本・鎮西)
セッター 小林光輝(スポ3=長野・創造学園)
リベロ 堀江友裕(スポ2=和歌山・開智)
コメント

松井泰二監督(平3人卒=千葉・八千代)

――開幕を迎えましたが、きのうきょうと試合をご覧になってチームの状態としてはいかがですか

チームの状態は良くはないですね。何をしようという方針がぶれているので、その部分でまだ不安があります。

――きょうも苦戦を強いられました

何をしたいのか見えてこないですね。チームで決まってない部分がありますね。

――センターを使いづらい状態になっています

サーブで攻め込まれるとああいうかたちになってしまいますが、そこをスパイカーが単調なコースに打って拾われていました。スパイカーの攻撃力が足りないです。

――レフトのメンバーに関してはどのような意図がありますか

喜入がきのう良かったので。加賀は今回が初めてのようなものので、慣れさせなくてはいけないなと思っています。やはりきのうも相当緊張していたみたいで、きょうもなかなか殻を破れない部分がありますね。

――セッターの交代は流れを切る意図ですか

何が悪いというわけではないのですが、選手を変えていかないと、次のセットにつながらないと思いました。

――今がピークではないように見えます

やるべきことを全部出すのが私のスタイルなのですが、今年のチームはなかなかそれができないですね。インカレは一戦一戦の戦いなので、一戦一戦出し切らないといけないです。

――あす以降の戦いに向けて一言お願いします

全部出してもらいたいです。

加賀優太(商4=東京・早実)

――試合を振り返って

相手をなめていたわけではないですが、どこも最後ということで、思いっきりやって来るので相手がサーブで攻めて来たとこに、早大が引いてしまいました。主に僕の所でエースを取られて流れを渡してしまい、危うく試合を落とすところでした。これからどのチームもそういう展開にはなりうるので、きょうが一番最悪な試合の入り方だったと言えるように、あす以降やっていきたいです。

――ブロックはどのような意図を持って飛んでいましたか

相手が打つコースは分かってきていたので、そこにしっかり付こうということでしたが、相手のレフトを全然止められていませんでした。パイプはそこまで厚くしようということではなく、上がってからという方針だったのですが、気持ちの部分で引いていたのか分からないですが、甘さが出てしまったと思います。

――センターに対してはリードというよりは飛びに行くスタイルでしたが

早いテンポで移動もして来るので、前でブロックに付いてるメンバーで話し合って決めていました。僕だったらマンツーマンでコミットに行くっていうかたちで対応してました

――フロアディフェンスの面では足が動いていない場面も見られました

相手が厳しいコースを突いてきて、なかなかブレークが取れない中で、ようやくワンタッチをかけたボールや逃げてきたボールに対して、慌てる場面が多かったです。どうしても全日本インカレは最後ということで、緊張してしまうのかもしれないですが、チームのリズムをもっとつくっていかなくてはいけないと思います。全体的に慌てているなというのは試合中に感じました。

――先に2セットを取られて後がない状況でのプレーでしたが、チームとしては落ち着いていけましたか

3セット目序盤で僕がサービスエースを取られて、大差をつけられてしまい3セット目は雰囲気が悪い部分もありました。4セット目は負けたら最後ということで、リベロの堀江中心に、「負けたら最後だから思い切っていこうと」いう声を1年生の2人にかけていました。チャンピオンとして負けられないという心持ちから、勝ってやるんだという前向きな気持ちにそこから変わっていけたのかなと思います。

――5セット目はブロックもしっかり止まっていましたが、気持ちの変化の面も大きかったということですか

鉄也が、試合が終わった後に5セット目だけで3本ブロック止められたと話していました。なんとなく、打たれる前に「止まるな」という感覚があったと言っていたので、最初から勝ちに行くんだという気持ちを出していければもっと楽にセットを取れているのかなと思います。

――ご自身のスパイクに関しては振り返っていかがですか

センターが厚い分、パイプに関しては全然ブロックが来ていませんでした。レフトも大体1枚だったので、ある程度は決められたと思います。2段トスになった場面でもう少しストレートを狙ったりブロックを狙ったりできたらよかったと思います。その部分で4,5セット目でコースを工夫すれば決まるという感覚をつかむことはできたので、それをやっていけるようにしたいです。

――あすへ向けて

どこも思い切ってやって来ると思うので、きょうのような入りにならないように食ってかかるんだという気持ちでやっていけたらと思います。

藤中優斗(スポ3=山口・宇部商)

――調子はいかがですか

個人的には上がってきていると思うので、あとはチームといい感じに合わせられるようにしていきたいです。

――レフトは藤中選手、喜入選手、加賀選手の3名ですが、きょうは藤中選手が2セット目から出られました

きのうといいきょうといいスタメンじゃなくて2セット目から出るっていうかたちでした。2セット目から出るという経験が人生で初めてだったので自分的にも戸惑いとか結構緊張しました。きょうは自分たちの悪いところが出てしまったなと思いました。

――3選手の使い方については何か意図があるのですか

監督的には意図があるとは思うんですけど僕らは与えられた仕事をしっかりやるだけです。

――先ほどの”悪いところ”とは具体的にどのような部分ですか

最終的には相手のミスに助けられて勝ったという感じでした。相手の攻撃を仕留められなかったり、自分たちの中で軟打を落としたりと細かなミスで噛み合わなくて人それぞれイライラしてたりとうまくいかない部分がありました。あまい一本をきっちりやっていかないと回っていかないなと思いました。

――軟打のスパイクに対してチームとして足が動いていない印象でした

きのうは初戦ということもあってきょう2回目だったんですけど全体的に動いてなかったかなと思いますね。

――サーブレシーブに関してはきのうもきょうも苦しかったと思います

きょう特に相手の強い攻め込んでくるサーブに対して終始Aパスを返せていませんでした。相手が強くなればなるほどもっと打ち込んでくるので、少なくともBパスを返さなきゃと思うのできょうみたいなキャッチをしてたら戦えないのでそこはもう一回切り替えていきたいです。

――4、5セット目はどのような心境で臨まれましたか

相手どうこうというよりも自分たちの今まで練習してきたことをやろうということでみんなで声かけてやりました。

――あすの試合に向けて

大阪商業大学か慶大だと思うのですが、相手の分析もそうですけど自分たちのサーブとかブロックであったり1本目をしっかり返すということをやっていって、きょうみたいな取りこぼしがないようにもう一回気を引き締めていきたいです。きょうの試合をダメだったなで終わらせずに、いい意味で切り替えてやっていければと思います。

小林光輝(スポ3=長野・創造学園)

――試合を振り返って

きのうに引き続き捨て身でサーブを打って来る相手に対して、一本目の返球率が悪くなると自分たちの攻撃ができなくなって、という悪循環感になってしまって、混戦になりました。それとブロックで対応できなかったこともあってフルセットになってしまったのだと思います。

――ブロックがうまく機能していない印象でした

ブロックを利用して決めて来るので、ストレートを締めてということをやっていたのですが、それでも利用されてしまっていました。なかなかブロックで得点を得るというかたちに持っていけなかったです。

――5セット目はブロックポイントも奪うことができました

修正できたという面もありますが、絶対に決めなくてはいけないという気持ちのかかった場面でいかにミスを出さないか、という部分で自分たちの方が上だったから勝てたのかなと思います。

――3セット目で途中交代する場面もありました

自分としては冷静でした。チームとして自分たちのバレーをやって行こうということがあったのでそれをやっていたのですが・・・。相手を見ることも最後は必要なのかなと思ったので、自分がぶれずに考えを貫きたいと思います。あとは、外から見るということやリズムを変える狙いもあったのかなとは思います。

――4、5セット目は後がない上にセンターを使いにくい状況でしたが、どのような組み立てを意識しましたか

真ん中を使っていけという指示があったのですが、マークも厚くて厳しい部分がありました。センターに必ずコミットブロックできているので、その分サイドに気持ちよく決めさせたりだとか、バックアタックを使ったりして、勝つために自分で変えたところはあります。

――チームとして追い込まれた状況でも落ち着いていけましたか

サーブが返らなくて慌てた部分はあったので、自分が一本目に対してアドバイスしたり、下級生がリラックスできるように笑顔を振りまいていました。

――あすも試合があります

相手はどこも捨て身で来るので、逆に自分たちも攻め切るというところを意識したいです。それと個人的には相手を見てうまくトス回しができたらと思います。

武藤鉄也(スポ2=東京・東亜学園)

――初のインカレですがいまのご自身の調子いかがですか

あんまりよくはないですけど日曜日にピークを持っていけるようにここから徐々に上げていければいいかなと思います。

――試合を振り返って

相手にサーブを攻め込まれてレセプションが返らず、センター線が使えなくてこっちが勝手に崩れてた感じですね。

――ブロックの戦術

そんなにクイックにマークに行くという感じではなかったですけど両サイドの対応できるボールにもできていなかったかなと思います。

――3セット目はブロックポイントを始め、ブロックからの攻撃展開も見られました

ブロックにつくことはできていたのでそれがたまたま5セット目はまりました。その前にもっとブロックで主導権握れたのかなと思います。

――気持ち的にスイッチが入りましたか

僕ら自分らの中で、思ってはいなくても「まだ2回戦だし」という気持ちはあったんだと思います。

――あした以降に向けて

あしたはまだどこが相手になるかわからないですけどしっかり相手に対応できるように、そして相手関係なく自分たちがやってきたことをしっかりできるように全部出して決勝に向けて頑張っていきたいと思います。

堀江友裕(スポ2=和歌山・開智)

――きょうの試合を振り返って

反省だらけというかチームがひとつの方向を向いてなかったからこういう競った試合になってしまったと思います。

――1点目にサービスエースを取られてからのスタートとなりました

自分なりに駆け引きをきょうは積極的にしていこうと思っていたんですけど、その前に技術的な修正が足りてなくて、他のところに目がいってしまったのだと思いました。しっかりと足元を見て前を見ていかなければいけないということを改めてきょう感じました。

――サーブレシーブはきのうに引き続き相手が攻めてくる中で苦戦したと思います

Aパスを狙うのが目標なんですけど、それができないときにスパイカーがもうちょっと頑張ってくれたらこっちももうちょっと気楽な気持ちでやれます。決まらない状態が続くとレセプションへのプレッシャーがかかってくるのでレシーブする側ですけどそういう信頼関係をもうちょっと築いかないとダメだなと思います。

――ボールに対する反応について

いつも感じてるんですけど勝ってるときとか点差が離れているときは僕もいいレシーブができたりするんですけど、ああいう劣勢のときに上げれないと本当のリベロとは言えません。僕も僕で1本目上げるのが僕で2つ目上げるのはセッターというように責任者であるのでそういうのはもっと指示出してみんなを動かしていって勝っていきたいと思います。

――2段トスについて

みんな本調子じゃない中で光輝さんもトスで相手との駆け引きで一杯一杯というときに無理して全部上げに行ってもらうよりは僕が上げやすいときは僕が上げていきたいと思います。最終的にはスパイカーが決めないと意味がないのでいい状況をつくるためにきょうはそんな意識していなかったですけど、そういうところでコミュニケーション取りながらやっていきたいと思います。

――たくさん声かけされていましたがどのような声かけをされましたか

何も考えてないわけじゃないですけど1、2、3セット目は普通にやっててセット取られてしまいました。原点に帰ったときにやっぱり言わないとダメだと思いました。1年生が盛り上げたらずというのも監督からも言われたんですけど、1、2年生という下級生の役割としてまとまって元気出していかなければと思いました。1点とってもあんまり雰囲気が盛り上がらなかったのでそういうので乗っていけないとと思いました。負けたくない一心ですけどそこから自分から盛り上げていけたらなと自分から声出しました。

――「同じ方向を向いていなかった」とのことでしたがきょうの試合を通してスイッチが入ったという感じですか

本当はそういうの良くないんですけど、先のことは考えたくないですけど決勝で勝った時とかにあそこでスイッチが入ったと思えたらいいので、きょうの試合を生かして今ちょっと落ちている状況なので上げていきたいと思います。

宮浦健人(スポ1=熊本・鎮西)

――試合を振り返って

相手も強いサーブを打ってきて、苦しい展開になってしまったのですが勝って良かったです。

――苦しい展開となった要因は

つないだボールの3本目を自分たちが決め切れなかったのが良くなかったと思います。

――4セット目はかなり打数も多かったです

とにかく一試合一試合が4年生とできる最後なので。逃げて後悔するよりは打ち込んで行こうという気持ちでやりました。しっかり決め切るのが自分の仕事だと思うので、自分の仕事をしっかりやりたいです。

――ご自身のプレーへの評価としては

ベストパフォーマンスはまだ出せていないので、徐々にピークに持っていけたらいいです。

――あすへ向けて

自分の力を全て出せるように頑張りたいです。