見えてきた練習の成果!熱戦を制し連勝を7に伸ばす

男子バレーボール

 どちらが勝ってもおかしくない試合。それでも最後にコートで喜びを爆発させたのは早大だった。現時点で首位に立つ早大は、同じく2位筑波大と対戦。互いに落とすことのできない試合はフルセットまでもつれ込んだ。自分たちのやりたいバレーを体現した早大。所々でミスが見られた筑波大。少しの差が明暗を分けセットカウント3−2(19−25、25−17、20−15、25−10)。接戦を制し大きな大きな一勝を手にした。

 「正直あんなに強いサーブが来るとは思っていなかった」(堀江友祐、スポ2=和歌山・開智)。筑波大の強烈なサーブが早大に襲いかかった。高いレシーブ力を持ち、それを武器としている早大だが、それをも上回る筑波大のスピードのあるサーブによってサーブレシーブを乱され、思うような攻撃につなげられない。ブロックで相手の攻撃を切り返そうと試みるも、逆に筑波大のスパイカーにブロックを利用され、簡単に得点を奪われてしまう。結局、中盤の連続失点の差を詰める糸口をつかめないままセットを失った。完全に相手のペースだった第1セットから一転、第2セットはブロックがしっかり機能し、相手にスパイクを決めさせない。「サーブを修正した」(加賀優太、商4=東京・早実)。前に落とすサーブを効果的に使うことで、相手のサーブレシーブを乱し、攻撃を限定。満足にサイドアウトを取らせることなく、終始早大ペースでセットを奪い返す。

得点源となっている宮浦。この日の決定率は75.9%だった。

 第3セット。両校が持ち味を発揮し、シーソーゲームとなる。ここまでラリー中の戦い方に課題を残していた早大だったが、この日は落ち着いていた。「攻めていけた」(小林光輝、スポ3=長野・創造学園)。小林がラリーの中でも果敢にセンターを使い、村山豪(スポ1=東京・駿台学園)がそれを決める。18—17から加賀がブロックポイントを奪い19−17。流れは早大に傾きかけていた。しかし一転、樋口祐希(筑波大)にサービスエースを奪われる。早大はタイムアウトを要求。それでも流れを切ることはできず、まさかの3連続サービスエースを許した。盛り上がる筑波大。ネットを挟んでその雰囲気は対照的だった。「ああいうかたちで取られるとチームの士気も下がってしまう」(堀江)。19−21とまだまだ戦える点差ではあったものの、一度手放した流れを引き戻すことはできず。結局20−25でこのセットを奪われてしまう。第4セット。前のセットを嫌なかたちで落としたことへの懸念はあったが、選手はしっかりと切り替えることができていた。序盤から攻守で早大本来のバレーを展開。多彩な攻撃と粘り強いスパイクレシーブで自分たちのペースに持ち込むと25−16でこのセットを取り返した。

 迎えた勝負の最終セット。ここまで、拮抗(きっこう)した試合展開をしていても、流れをつかんだ方が一気に差を広げセットを取るというゲームとなっていた。そのため、なんとか試合序盤で流れをつかみたい早大。この試合を通して良かったスパイクレシーブの粘り強さがここでも効果を発揮した。粘り強くつないだ結果、相手スパイカーのミスを誘い一歩リード。畳み掛けるように村山豪(スポ1=東京・駿台学園)が値千金のサービスエースを奪う。たまらずタイムアウトを要求した筑波大だが、その後も藤中優斗(スポ3=山口・宇部商)がブロックポイントを奪い、4連続得点。6点のリードを得た。しかし、筑波大も黙ってはいない。ピンチサーバーのサーブを一本で切りたいところだったが、ここで連続得点を許してしまう。9−6。タイムアウトを挟み、次の一点が勝敗を大きく左右する場面。小林が勝負に選んだのは武藤鉄也(スポ2=東京・東亜学園)のCクイックだった。厳しいマークに苦しむ場面もあったが、この重要な場面でしっかりと決めて見せた武藤。この一点で相手の勢いを断ち切ると、手に汗握る攻防もいよいよ終盤へ。宮浦健人が高い打点からスパイクをたたき込み、この日両チームを通じて最多の自身22得点目を挙げる。そして最後は加賀が相手のスパイクを叩き落としガッツポーズ。チームとして何と15点目のブロックポイントだった。15−10。熱戦に終止符を打ち、見事7連勝を飾った。

加賀のブロックポイントが決勝点となった

 「春、夏とやってきたことが秋になってかたちになっている」(藤中)。あえてシンプルな攻撃を貫いた春、ブロックとレシーブの関係の強化に費やした夏。早大バレー部のこれまでの練習の成果が現れた試合となった。チームはこれで開幕7連勝だ。来週2連勝を挙げれば徐々に優勝の2文字も見えてくる。熱戦をものにしても、「この勝ちに満足することなく気を引き締めて練習したい」(加賀)と選手たちにおごりはない。また一歩優勝へと近づくために、まずは宿敵・中大との一戦へ万全の状態で臨む。

(記事 杉山睦美、写真 田中響和)

セットカウント
早大 19−25
25−17
20−25
25-16
15-10

2 筑波大
スタメン
レフト 加賀優太(商4=東京・早実)
レフト 藤中優斗(スポ3=山口・宇部商)
センター 武藤鉄也(スポ2=東京・東亜学園)
センター 村山豪(スポ1=東京・駿台学園)
ライト  宮浦健人(スポ1=熊本・鎮西学園)
セッター 小林光輝(スポ3=長野・創造学園)
リベロ 堀江友裕(スポ2=和歌山・開智)
コメント

加賀優太(商4=東京・早実)

――フルセットの熱戦で勝利を収めました

この一戦はヤマ場だと思っていたので、結果的に勝てたことはとても良かったと思います。でも相手がサーブで攻めてきた時に僕が崩れてしまったりなど、詰めれる部分はまだまだたくさんあると思います。この勝ちに満足することなく、来週2戦も上位校との戦いが続くので気を引き締めて練習を頑張りたいです。

――落としてしまったセットは、リードしている場面でサーブレシーブの乱れから逆転を許しました

連続失点をして流れを渡してしまい、そのきっかけを僕がつくってしまいました。Aキャッチを返すことは難しいのですが、相手が攻めてきたサーブでもなんとかセッターがアラックラインくらいから展開できるくらいまでは僕も粘らないといけないと思います。

――2セット目以降ブロックが効いていましたが、1セット目から何か修正をされたのですか

1セット目は早大のサーブミスが多くて相手のサイドアウト率が高かったです。とりあえずサーブを入れて、前に落とすなど相手のサーブレシーブに少し動きを与えて、相手のトスを絞ってブロックに飛びました。修正という点では、ブロックとレシーブを修正したというよりも、サーブを修正しました。

――加賀選手自身ブロックポイントを多く奪いました

僕自身ブロックには自身がないのですが・・・。この2戦要所でブロックポイントが出たので、他の部分で足を引っぱっている分そこでチームに貢献できたとは思います。

――クイックを見せた後のバックアタックが光っていました

自分の持ち味なので自信を持っていきたいです。ですがまだまだ終盤で止められてしまったり決め切れていない部分があるので、苦しい場面になった時に光輝(小林、スポ2=長野・創造学園)がそこに自信を持ってトスを上げられるように、エースとして、4年生としてもう少し決定率を上げたいです。

――次週は中大と対戦します

まだまだ優勝に向けて気を抜けない相手が続きます。今週自分たちがどういう部分が良くてどういう部分が悪かったのかというところをもう一度振り返った上で、相手の対策をしたいと思います。万全の状態で臨めば勝てる相手だとは思っています。

小林光輝(スポ3=長野・創造学園)

――試合を振り返って

勝てたことはすごい大きいと思うのですが、個人的にもチームとしてもいい意味で課題が生まれた試合だったなと思います。

――どのような課題ですか

自分としてはラリー中だったりで慌てたときのトスが修正できていないことです。組み立てに関してずっとこれまでこだわってきていたんですけど、もう一度トスの質やスパイカーが欲しいトスを詰めて行くことが大事だと思います。

――ラリー中もチームとしては落ち着いてプレーしている様子でした

先週よりもブロックとディグの関係がよかったので切り返しの場面が良くなり、こっちが攻めていけました。ラリーになったら点数が取れるというところまで詰めていけるようにするのが自分の仕事だと思うのでスパイカーが欲しいトスを上げていきたいです。

――サーブレシーブが苦しい中でどのようなゲームメイクを心がけましたか

向こうがサーブで攻めてきたので、乱れてても自分が修正して単調な攻撃にならないようにだけ意識しました。相手のブロックとも駆け引きできたのはよかったかなと思います。

――要所でバックアタックがよく決まっていました

バックアタックが今まで合わなくて武器として使えませんでした。バックアタックを自分の頭にしっかり入れて組み立てられていいゲーム展開だったと思います。

――攻撃のバリエーションが増えたと思うのですがいかがですか

筑波はいろいろ仕掛けてくるチームなので、自分たちが終始同じペースでやっていくと終盤つかまってしまいます。中盤にかけて少し自分たちから仕掛けて終盤につなげるというかたちを自分は取っていきました。

――サーブはきょうも好調でした

サーブは強い気持ちで打てたのでよかったです

――中大戦に向けて

いま、自分たちは連勝ですけど全勝できるように、どこがきても勝てるように準備していきます。

藤中優斗(スポ3=山口・宇部商)

――フルセット勝利おめでとうございます。率直な感想をお願いします

筑波大も上位ですし、僕らも今1位なので負けられない戦いだったので、フルでなんとか、というかたちですけど勝てて良かったなと思います。

――ここまで全勝ですけど、その要因などはありますか

練習から自分たちの課題をしっかり見つけて、克服しようというふうに取り組んでいるので、その成果が少し表れているかなと思いますし、春夏とやって来たことが秋になって形になって来てるというのもあります。4年生のためにも優勝したいというのはあるので、そこは結果として表れているかなと思います。

――スパイクもたくさん決まっていたのではないでしょうか

いいかたちで打たしてもらっているので得点できている部分もありますけど、乱れたトスだったり2段トスだったりを、もっと決めていかなくてはいけないです。印象に残っているのはクロスを一本シャットされたのが浅はかに打ってしまったというのがあったので、そういう一点をチームとしてというよりは個人としてストレートで攻めていこうというのは決めていたので、あのような一点をしっかり取れるようになっていかないとなときょうは思いました。

――全体としてはブロックが良かったと思いますが

そうですね、僕らの持ち味として、しっかりサーブで攻めてブロックとブロック&レシーブするというのがあります。序盤1セット目はサーブミスばっかりしていて自分たちのバレーができなかったんですけど、2セット目からはサーブを少し落ち着かせて、それでブロックとレシーブで対応できていました。完璧というわけではないのでまた来週からしっかり調整していきたいと思います。

――中大戦に向けて一言お願いします

東日本インカレで負けているので、相手はどうであれ自分たちのバレーをすることを心がけていけば十分戦えると思うので、相手の分析もしますけど、1番は自分たちの形であるサーブから攻めていく、ブロックレシーブの課題に取り組まないといけないところをしっかりやっていきたいと思うので、準備していきたいと思います。

武藤鉄也(スポ2=東京・東亜学園)

――フルセット勝利の率直な感想からお願いします

きょうは本当に競り勝って良かったなとというのと、2、4、5セット目はしっかりディグが上がってこっちがやりたいことはできていたのかなと思います。

――ピンチの場面でCクイックがよく決まっていたのではないでしょうか

マークが来ていてかなり厳しかったんですけれど、クロス打ってる時は決まっている時もあったんですけど、そこが単調になっていて最後は拾われていたので、それをもう少し奥に打ったりコースを変えたりしてもう少し工夫すればもっと決まったかなと思いますね。

――ブロックについてはいかがでしたか

筑波の攻撃は早い攻撃なんですけど、17番だけは少し高かったのでそこに対してのブロックはすごく言われていたのと、逆に早いので割り切ったブロックが出来ていたり出来ていなかったり。例えば3枚揃えた時にバラけて吸い込みとか、早い攻撃に対してクイックにつられちゃってレフトに全然いけてない、そういうのがまだまだ全然いっぱいあるので、そういうところをしっかり修正していきたいと思います。

――来週への意気込みをお願いします

来週は中大時に学芸大で、本当に大事な2戦になると思うので、その2戦乗り越えればい1週空いてもう2試合ということで、全勝優勝に向けて今週できなかったことを修正して来週を迎えたいと思います。

堀江友祐(スポ2=和歌山・開智)

――きょうの試合を振り返って

3−1で勝ちたかったというのが本音です。1セット取られたのが、サービスエースで3本くらい持っていかれてしまったことが原因なので。ああいうかたちで取られるとチームの士気も下がってしまうので気をつけたい場面だったなと思います。

――サーブレシーブを崩される場面もありました

正直あんなに強いサーブが来ると思っていませんでした。自分が多くいければよかったのですが、あんまり自分のところには来なかったので。どうすればいいんだろうなという状態で最後までいってしまったので、何かしら手を打てたらいいです。

――スパイクレシーブに関して

最後は上がったのですがそれまでに強打だけを待つのではなく、強打を待ちつつワンタッチの反応などができればいいなと思いました。

――次戦は中大戦となります

相手がどこというより、今7連勝できていて全部勝てば文句なしの優勝なので。それを考えた上で、相手のチームの研究もして来週2連勝して優勝に近づけるように頑張りたいです。

村山豪(スポ1=東京・駿台学園)

――きょうの試合を振り返って

苦しい試合でしたが、5セットやって勝ち切れたことは良かったと思います。

――前に落とすサーブで相手のリベロからサービスエースを奪いました

チームとして、相手の前にサーブを落としてリズムを崩そうという戦術がありました。それ通りにできたことはとても良かったです。

――クイックに関して

まだあっていない部分があるので、もう一度しっかり決めれるように調整していきたいと思います。

――ブロックに関して

流れないでまっすぐ前に出すというのが自分の中での課題だったので、それがきょうはしっかりできたと思います。

――次週へ向けて

ここまで全勝でこれているので、来週もしっかり2勝したいです。

宮浦健人(スポ1=熊本・鎮西)

――フルセット勝利おめでとうございます。率直な感想からお願いします

きょうは1位、2位対決ということでヤマ場だと思っていたので勝てて良かったんですけど、課題もあったので来週に向けて頑張りたいと思います。

――課題とはなんでしょうか

個人的にレシーブが全然上がっていなかったので、そこを来週に向けて練習したいと思います。

――苦しい場面でも宮浦選手にボールが上がっていて、頼られているなと感じますか

いや、まだ先輩方がブロックを引きつけてくれている部分あるので、そこに感謝しつつ、1.5枚とかにブロックがなっているのでしっかり決めていくだけかなと思います。

――中大戦に向けて一言意気込みをお願いします

そこを勝たないと優勝できないと思うので、一戦一戦に集中してまた頑張りたいと思います。