ついにリーグ戦開幕!順大を下して白星発進を果たす

男子バレーボール

 ついに始まった秋季関東大学リーグ戦(秋季リーグ戦)。春季関東大学リーグ戦(春季リーグ戦)では10位だった順大を相手にした早大は、ライト・宮浦健人(スポ1=熊本・鎮西)をはじめとした勢いのある若手を多く起用し立ち向かった。序盤からサーブで相手の陣形を崩して攻め込むプレーがさえ、セットを奪っていく。しかし相手センターの対応に苦しみ、第3セットには1点を争う接戦に持ち込まれるが、サイドからの攻撃で押し返すとセットカウント3-0(25-17、25-14、25-23)で完封勝利。快調な滑り出しを果たした。

 序盤から存在感を発揮したのは、この夏第15回世界ユース男子選手権大会に出場した宮浦と、今試合4年生で唯一スタメンに起用されたレフト・加賀優太(商4=東京・早実)だ。第1セットは両者がそれぞれのサイドから強烈なスパイクを放ち得点を量産する。しかし以前は攻撃特化のポジションであるオポジットだった加賀が相手サーバーに狙われ、レセプション(サーブに対するレシーブ)の安定を欠き、そこを突かれて点差を開くことができない。しかしここで早大の武器である攻めるサーブが光った。宮浦のサーブが良いコースを突き、逆に相手を崩すとサービスエースも含めて4連続得点。勢いそのままにこのセットをものにした。第2セットに突入してもその勢いは衰えない。開始早々4連続得点を挙げると、宮浦、藤中優斗(スポ3=山口・宇部商)らが相手に打ち込む隙を与えぬ猛攻を見せ、危なげなくこのセットも奪った。

サーブ・スパイク共に存在感を見せた宮浦

 試合の流れが変わったのは第3セットだ。「相手のセンターに最初から最後まで対応できなかった」と藤中が悔やんだように、試合開始時から動きの良かった相手のセンターが、ここにきてさらに機能し出す。そこまで常にリードを保ってきた早大が、初めて同点に並ばれたのもこのセットだった。一点を争う展開が続き、21-20と追いつかれそうになった早大はタイムアウトを挟むと、状況打開のために加賀に代わって鵜野幸也(スポ3=東京・早実)を投入。鵜野はレフトからの攻撃で立て続けに2得点を挙げ、流れを呼び戻すことに成功する。その後早大のアタックのミスで2点を失うが、またもさく裂した鵜野のサイドアタックが決勝点となり、25-23で辛くもこのセットを奪取。ストレート勝ちで開幕戦を終えることとなった。

要所で得点を決めた藤中

 早大は順当に勝利を収めたが、別のコートでは予期せぬ事態が起きていた。春に2部リーグの入れ替え戦で1部に昇格した慶大と駒大が、それぞれ春季リーグ戦1位の東海大と2位の中大相手にフルセットにもつれ込む白熱した試合を見せ、慶大に至っては東海大に勝利するという大番狂わせを見せたのだ。波乱の秋季リーグ戦を予感させる開幕戦だったが、優勝を目標とする早大は、その全てを打ち倒していかなくてはならない。きょうの勝利をその第一歩にすべく、選手たちはまい進する。

(記事 坂巻晃乃介、写真 杉山睦美、藤原映乃)

セットカウント
早大 25-17
25-14
25-23

順大
スタメン
レフト 加賀優太(商4=東京・早実)
レフト 藤中優斗(スポ3=山口・宇部商)
センター 武藤鉄也(スポ2=東京・東亜学園)
センター 村山豪(スポ1=東京・駿台学園)
ライト  宮浦健人(スポ1=熊本・鎮西)
セッター 小林光輝(スポ3=長野・創造学園)
リベロ 堀江友裕(スポ2=和歌山・開智)
コメント

松井泰二監督(平3人卒=千葉・八千代)

――あと一歩優勝に届かず3位に終わった春季リーグ戦や東日本大学選手権から、どのようなことを強化してきましたか

ユニバーシアードの合宿があったために帯同できず、コーチの2人を中心に練習に取り組みました。その中で、2点差のゲームで精神的な弱さが出たり、基礎ができていない部分がありました。夏場はレセプションアタックを安定させることと、また連続得点を取るために、サーブを打つ場面でのブロックとレシーブの連携を鍛えてきました。きょうの1、2セット目にはその成果が出ていたと思います。

――前半戦は時間差を使ったコンビでの攻撃というよりも、トスを上げてのシンプルな攻撃をしている印象でしたが、後半戦の攻撃のバリエーションとしてはどのようにお考えですか

相手が強くなればなるほど、時間差などの攻撃を使えない状況は増えていきます。そういったバレーではなく、どんな相手でも、どんな場面でもしっかりと打ち抜いていくというバレーを目指しています。時間差を使う場面もあるとは思いますが、中心となるかたちではないと思います。

――きょうの試合では下級生主体のスタメンとなりました

上級生、下級生関係なく調子のいい選手を7人選んでそういうかたちになりました。

――ことしの夏は3人の選手が世界大会に出場しましたが、その活躍はどうご覧になっていましたか

中村(駿介、スポ1=大阪・大塚)と宮浦はずっとスタートから出ていたので、相手の高さやパワーに慣れがあると思います。疲れはあると思いますが、バレー勘が出てきたと思うのでそれを生かしていってもらいたいです。山﨑(貴矢、スポ4=愛知・星城)に関しては、出たり出なかったりという状況だったようですが、世界を見てきているので、また早大に戻ってきていいものが出せていると思います。

――注目すべき選手は誰になりますか

やはり4年生ですね。喜入、山﨑や、加賀の3人が技術的にチームを引っ張っていってくれればと思います。それと合わせて1年生の宮浦、中村、村山の3人も注目してもらいたい選手です。

――きょうの初戦は練習の成果の出た、良い滑り出しとなったという手応えもありますか

そうですね、小林(光輝、スポ3=長野・創造学園)が技術的にも精神的にも一回り成長して、チームが少し劣勢になったときでも、安心してスパイカーが打てるような状況をつくってくれたということで、良い初戦だったと思います。

――秋季リーグ戦全体を通しての展望をお願いします

毎回のことにはなりますが、早大のバレーはやるべきこと、練習の成果を全部出すというバレーなので、それがやれれば結果は自ずとついてくると思います。

加賀優太(商4=東京・早実)

――夏場はどのようなことを強化しましたか

毎年のチームのつくりかたと一緒なのですが、春は相手がサーブを打って来た場面でどれ決め切れるかということをやっています。秋と全日本インカレに向けて毎年力を入れているのは自分たちがサーブのブレイクしたい場面でどうやって点を取るかということです。夏場はブロックとレシーブの関係に力を入れてきています。

――この夏は世界選手権などの関係でチームを離れている選手も多かったですが、チームをまとめる上で気をつけた点などはありますか

ポジションごとにいない選手もいたのですが、ことしは特にベンチの選手でも実力のあるメンバーがたくさんいて、層の厚いチームだと思っています。それぞれ代わりに入った選手が夏合宿でも活躍してくれたので、その中できょうはベンチスタートだった選手もいたのですが自分としては心強いです。

――企業合宿で得た課題や収穫はありますか

企業さん相手でもセットを取ったり勝ち越したりする場面が多くて、それぞれのプレーでトッププレイヤーにも通用するのだなと自信にはなりました。

――初戦となったきょうの試合を振り返って

スタメンで4年生が僕しかいない上に開幕戦ということもあって緊張はしました。試合の入りのときには開幕戦なので相手もバタつくだろうし、自分たちもそうだろうから、もしテンポが悪くなったら、点が決まったあとに真ん中に集まってお互いの顔を見て、それぞれコミュニケーションを取ろうという話をしました。きょうはあまりバタつく場面もなかったのですが、そういう準備の部分でしっかりできていたと思います。

――強化してきたブロックとレシーブの関係を振り返って

1、2セット目はワンタッチから切り返すことが多かったのですが、3セット目に相手のセンタープレーヤーのプッシュに対して分かっていながらも対応できなかったところがまだまだ詰め切れていないと感じました。

――今のチーム力に関してはどのような実感がありますか

1年生が多くて若いチームなのですが、それぞれ実力はあると思います。それでも若いチームなだけに、ちょっと流れが悪くなると崩れてしまうと思うので、僕や山﨑、喜入のコートに入っている上級生が中心となってそういう悪い流れを打開する力を付けたいです。それができれば、優勝の可能性も高いと思います。

――最後のリーグ戦にかける意気込みをお願いします

もう最後かというのが正直な気持ちです。自分自身こんなに試合に出れるとは思っていませんでした。試合に出れないメンバーもいるので、まずは試合に出れることに感謝したいです。ワセダのユニホームを着て試合ができるということに感謝の気持ちを持って、勝って結果を残すというかたちでお世話になった人に恩返しできたらと思います。

――あすは専大との対戦となります

東日本大学選手権のときに当たって、1セット目を取られて苦しい試合になった記憶があります。あすもそれぞれ緊張するとは思いますが、相手がサーブで攻めてきたときでも、ブロックとレシーブの関係をしっかりして早大のリズムに持っていけたらいいと思います。

藤中優斗(スポ3=山口・宇部商)

――秋リーグ初戦を快勝した今のお気持ちは

ひとことで言えばほっとしています。

――きょうの試合内容を振り返っていかがですか

秋リーグの初戦ということもあって、相手チームのデータがあまり無かったので、相手チームが、と言うよりは僕たちのすべきことをしようというのを一番心掛けて初戦に臨みました。細かい課題が出ましたけど、3-0で勝てたことは良かったかなと思います。

――その細かい課題とは具体的には

僕たちはブロックとレシーブに力を入れてこの夏合宿に取り組んできて。具体的には相手のセンターに最初から最後まで対応できなかったというのが課題です。あしたからもう1度、まぁあしたすぐにはできないと思うんですけど、秋リーグ通して課題として取り組んでいけたらいいなと思います。

――サーブレシーブについては

僕と堀江(友裕、スポ2=和歌山・開智)と加賀さん(優太、商4=東京・早実)で基本やっているので、加賀さんが狙われるのはわかっていることなんですけど、そこは変にカバーしたりせずに一人一人の役割を果たそうということは三人とも心掛けていたことでした。でも乱される部分はあったので、課題として取り組んでいきたいです。

――第3セットは攻めあぐねた印象でしたが、何か対策はされましたか

ストレートで勝つというのは実力差が相当ないと難しいことなので、そこは僕たちも点差があまり開かなくても焦らずにやっていこうという声が出てました。なので精神的には大丈夫だったんですが、戦術的にはブロックとレシーブの関係をしっかりしようということを対策としてやってました。

――夏はどのような練習をしてきましたか

春からなんですが、春夏通してブロックとレシーブの関係ということを徹底して、約束事はあったりするんですけど、それを徹底してきました。それとサーブをしっかりと打ち込むということをやってきました。

――あすの専修大戦に向けて意気込みをお願いします

きょうの専修大の試合を見て、あしたに臨んで行けたらいいと思いますし、僕たちのバレーをすればしっかり戦えると思うので、準備の部分をしっかりしてあしたに臨みたいと思います。

宮浦健人(スポ1=熊本・鎮西)

――初戦からスタメン起用となりました

1年生らしくのびのび、思いっきりプレーしようと思いました

――きょうの試合を振り返って

硬い部分もあったんですけど序盤から攻め続けた点が良かったかなと思います。

――スパイクは高い決定率でした

先輩たちがブロックの枚数を減らしてくれていたので自分もきょうは高い決定率でやれたのかなと思います。

――夏休みの間に強化した点は

東日本大学選手権が終わって、速いバレーを展開しようと練習しました。トスと合わせたり、トスに対してコース打ちの精度を高めたりを意識しました。

――秋季リーグの目標

一戦一戦しっかり自分は全力を出して、一戦一戦勝っていって最後は優勝できたらいいなと思います。