早慶戦直前男子部主将対談 早大・喜入祥充主将×慶大・増田拓人主将

男子バレーボール

 両校の誇りにかけて絶対に負けられない戦い。ことしも開催される早慶バレーボール定期戦まで1週間を切った。早大・喜入祥充主将(スポ4=大阪・大塚)、慶大・増田拓人主将(環4=千葉・習志野)に最後の早慶戦にかける思いを伺った。 

※この取材は5月15日に慶応スポーツ新聞会と合同で行ったものです。慶大はその後5月27日の入れ替え戦で1部昇格を決めています。

それぞれのこれまで

――お二人はもともと面識はありましたか

増田 もう4年目なので。高校の時もたまに練習試合などはありましたがそんなにしゃべる感じでもなく(笑)。

――連絡をとられたりとかは

増田 しないですね(笑)。

喜入 今日初めてじゃない?

増田 今日初だね。今日LINE来ました。早大の加賀君(優太、商4=東京・早実)と地区が同じで、中学の選抜も県の選抜も同じで、ずっとやっていたので。

喜入 それを通して連絡したっていう感じです。

――早慶のバレー部で交流があったりするわけでもないのですか

一同 ないですね。

増田 早慶戦の後の交流会くらいですかね。

喜入 地味に遠いですもんね。

――それぞれ大学進学の決め手は

増田 柳田(将洋)先輩をはじめ素晴らしい先輩がいたことや、環境がいいところでバレーができるというところです。

喜入 松井監督(松井泰二監督、平3人卒=千葉・八千代)が誘ってくださって、レベルの高いところでバレーボールができるということで、高みを目指してやってきたという感じです。

――お互いプレーを見たことは

増田 東日本(東日本大学選手権)あんまり覚えてない?

喜入 東日本と、あと中学校の選抜じゃない?

増田 JOC(ジュニアオリンピックカップ)で千葉県が大阪に負けました。

喜入 千葉が北海道に勝って、僕らが(大阪)が北海道に負けて千葉に勝って。1勝1敗同士だったよね。その時の北海道が強くて、優勝候補だったんですけど、千葉と大阪で破りました。はるばる北海道から来てくれたのに予選敗退と。

増田 その千葉に加賀君もいて、今では彼らが(加賀と喜入)が同期になっていると、そんな感じです。

喜入 加賀と中学校時代もやったことがあったのですが、僕らのチームが中学時代は無名だったので関東に来て練習試合をすることもあまりありませんでした。全国とかの舞台でしか会う機会は無かったです。

――お互いのチームの印象は

増田 早大はみんなうまいという印象です。みんな上手くてパワフル。手の付けようがない・・・。まあ今年はうちも上背があるので一矢報いたいです。

喜入 慶大は早大に比べると大きくて、ライトのサウスポーの子とか、マルキナシムとか、若い連中が頑張っているチームだと思います。そういう部分に関しては勢いがあって怖いチームだなと思います。

増田 ありがとうございます(笑)。 今1年生2人と2年生が3人試合に出ているんですよ。試合を通して若い人たちの成長を見ていただければ。先輩が引退してから合宿を通して成長して、リーグ戦の中でも成長していっているので、2部も意外とやるじゃんみたいなところを見ていただければと思います。

――ご自身のチームの強みやチームカラーはなんですか

喜入 早大は自分たちの武器としているサーブと、レシーブを得意とする3人がレシーブしているので、その安定したレシーブからしっかりサイドアウトを取るところが今年のチームの特徴です。小さい分レシーブで粘って、得点につなげていくのが今年のカラーだと思います。

増田 慶大はでっかいやつがいるのでサーブでガツガツ攻めて、ブロックで仕留めるというチームになっています。去年の東日本インカレで実は(早大から)1セット取っているんですよ、3セットマッチで。その時よりも今年はかなりレベルアップしているので、歯食いしばって欲しいですね(笑)。

主将としてチームを引っ張る二人

――今季のここまでの戦いを振り返って

喜入 落としてはいけない試合や、直接順位に関わってくる試合のプレッシャーに負けて、敗戦してしまうゲームもあったのですが黒鷲旗(黒鷲旗全日本男女選抜)を通して自分たちのチームのかたちが見えてきつつあるという状態だと思います。

増田 慶大は順調に進んできて、中盤のここ一戦というところで、14−11という勝ちゲームを落としてしまいギリギリ入れ替え戦が危ないという状況にいます。切羽詰まった状況でのプレーで、(セットを)落としてしまったので そういうところを早慶戦までに詰めていきたいです。

――ここから強化していきたい点などはありますか

喜入 どこが相手でも自分たちのバレーをしっかりやりきることです。トーナメント戦ではどこが相手でも負けたら終わりという場面になるので、安定して自分たちの力を出し切るというところにこだわってやっていけたらと思います。

増田 武器としてきたサーブやブロックに磨きをかけていきたいです。

主将という立場

――理想の主将像はありますか

増田 気配りができることや全体を俯瞰してみることが出来るような、視野の広い主将になれるように頑張っています。

喜入 周りを見ることもそうですし、後輩たちがプレーしやすい環境をつくれるように自分がプレーでしっかり引っ張って、後輩が思い切って何の心配もせずにプレーできるようにということを心がけています。

――主将になった経緯をお願いします

増田インカレが終わった後に、前までセッターをやっていた尾木(将)と一諸に、監督とOB会長に呼ばれて尾木くんが主将でもしかしたら自分が副将なのかなと思っていたら、主将って言われました。それをみんなに報告したら、驚かれたという・・・。みんな僕が主将になるとは思っていなかったのでサプライズみたいな感じでした。

喜入 僕はメンバーを見てもお前しかいないだろうみたいな感じで。大学2年生くらいの早い段階から、松井監督に「将来お前はそういう位置に立って、チームを引っ張るようになるから周りを見る力を養っとけ」と言われていたので、 結構早い時からお前はもう主将だという流れができていました。

増田 信頼されていたんですねー(笑)。

喜入 まあ1年の時から試合出てたからね。

――主将という立場にプレッシャーを感じることなどはありますか

喜入 あまり感じてはいないですが、実際チームがうまくいかなくなったり、そういう困った時に率先してチームを変えれる存在でいないといけないと思います。今のところはチームが危機的な状況というのを経験していないので、なんとも言えないですが、そうなったらもっと感じてくるのかなと思います。

増田 試合に関しては僕自身が出ていないので感じないのですが、生活に関してはみんなのお手本となるべきだと思うので、生活面や言動などのここ一番で締める時とか、チームをまとめる時に自分がどうするかというところにプレッシャーを感じますね。

――主将として難しさを感じる場面はありますか

増田 慶大は青学戦に負けて、少し落ち込んでいるのでそこでみんなに声をかける時に、言葉を選ぶ難しさはあります。一人一人受け取り方は違うと思うので、みんなの前に立って言う時と一人一人に向かってかける言葉の違いには気を遣っているのでそこに難しさはありますね。

喜入 早大はメンバー的にも誰がどこに入っても出来るようなプレーヤーばかりで、今季のリーグ戦でもポジションが変わったりだとかがあったので、個人個人の良さを出すにはどうしたらいいかということを考えなくてはいけなかったので、そこは難しかったです。

――逆にやりがいはありますか

喜入 自分が主将として決定したことにみんながついてきてくれて、そのついてきてくれた結果がいい方向に出るとそこにやりがいを感じます。

増田 勝った時だと思います。勝った時に試合に出てる人だけじゃなくて、応援している人やサポートしている人が同じ笑顔で喜んでいる時に、今までまとめてきたチームが一丸となって戦えているなと自分の仕事としてのやりがいは感じますね。

――お互いに質問してみたいことはありますか

増田 なんだろうね・・・。あんまり練習に参加できない子たちの意見も聞いてあげる方?聞くけど反映しない?

喜入 時期にもよるけどキャプテンとして聞くことは聞く。基礎練習とかの時期だったらいろんな意見も取り入れて練習するけど、試合期間ってなるとやりたい練習が決まってきちゃうから。聞くことは聞いて、それが良くて自分も賛成だったら、それを取り入れるし、自分の理想としているチーム像にそれが必要かって考えた時に、それより優先するものがあればそっちを優先するし。

増田 結構主将やってきたでしょ?

喜入 小、中、高。

増田 素晴らしいですね。サラブレッドってやつですね、これが。

喜入 でも環境が環境だったから。小学校は同年代がいなくて、中学校は自分以外全員素人だったから。高校はずっと1年から試合出てたから、お前やれみたいな。高校も投票制だったんだけど、キャプテンだけ投票なくて、副キャプテンだけ投票するみたいな。

増田 じゃあもう決まってたのか。素晴らしいですね。

喜入 ちょっと慣れてるところはあるな(笑)。

増田 俺なんて初めてだからね。今まで学級委員しかやったことないからね(笑)。

――喜入さんからはいかがですか

喜入 慶大が下級生主体のチームということで、試合に出る後輩がうまく試合で活躍できるように気をつけていることがあれば。早大も下級生は入っているので、4年生になったら自分のプレーだけじゃなくて、周りにやらせることも大事だと思うので、そういうことでやっていることがあれば聞きたいなと思います。

増田 下級生が多い分、むしろ下級生が自分のチームだっていう感じでやってくれてるところがあるかな。上もそれに対して、でしゃばるなよとかじゃなくて。勝手にやってくれてるっていう部分はあるね。2年生1年生も試合に出ている同期がいるから、チームに関与しているっていう気持ちで盛り上げてくれていると思う。あんまり聞きたいことなかったでしょ?(笑)。

喜入 いや、でも早大は最後は4年生っていうスタンスだから、その4年生が少ないチームってどうしてるのかなと。

増田 練習とかは俺がやるんだけど、試合中はコートキャプテンの黒田がフランクな感じだから、うまくチームをまとめてくれてるかな。役割分担がうまくいってると思う。3年生が試合に出れてなくて少し落ち込んでるところはあるんだけど。

喜入 それ結構あるよな。ユニホームを着れない3年生をどうやる気にさせるか。くさらないように、来年のためになるように、っていうのは難しかったりするよな。

――オフの日はどのように過ごされていますか

増田 それはもう羽を広げてますよね(笑)。

喜入 オフの日はとりあえず爆睡して・・・。

増田 遊ばないの?

喜入 自分から行こうとはならないけど、ザッキーとか(山﨑)が「映画行こうぜ」とか言ってくる時は行くくらいで。目覚ましかけなかったら12時間以上平気で寝てます。

増田 つまんねー(笑)。普段寝てないの?

喜入 普段もめっちゃ寝る。

増田 育たないね(笑)。

喜入 寝てるんやけど育たないねんな。育ってもおかしくないと思うで。

早大・喜入主将

増田 僕は朝は寝るじゃないですか。で、溜まったドラマを見て、ちょっとバイクで遊びに行っていろんな人とご飯に行って、夜は家に帰ってきて健全な1日を過ごす。完璧な主将の1日です(笑)。

慶大・増田主将

「勝って終わりたい」(喜入)

――今までで一番印象に残っている早慶戦は

喜入 1年生の時に柳田さん擁する慶大に負けたことです。それが一番戦って悔しかったので印象には残っています。

増田 僕も柳田さん率いるチームが喜入さん率いるチームに・・・。

喜入 専田(専田和也、平27スポ卒)さん!専田さん!

増田 1年生の時にこの記念館のコートですよね。見ててもドラマチックな展開で。そこから勝ってないですからね。まあ今年見ておいてください(笑)。

――早慶戦においてのキーマンをあげるとするなら

喜入 早大は小林(光輝、スポ3=長野・創造学園)じゃないかなと思っています。実際一番多くボールを触るのがセッターなので、セッターがどう早大らしさを表現するのかというところがキーになるのかなと思います。

増田 誰だと思いますか?逆に(笑)。

――黒田選手ですかね?

増田 じゃあそれで!彼がチームをまとめないと始まらないですからね。あとは1年生がのびのびやってくれると思うので、黒田に締めるところは締めてもらって。

――早慶戦は友人などの応援も普段以上だと思いますがプレーに影響はありますか

増田 応援に気合が入りますね(笑)。あと早大に友達の加賀君がいるので、そこでも熾烈な争いがあるわけですよ。そいうところに注目して欲しいです。

喜入 観客がいるってことは気分も高まりますし、その分プレーにも応援にも気合が入って、やってて楽しいです。

――今年も日吉記念館での開催となります

増田 この記念館も取り壊しになるので、早慶戦勝ったよって書いてから取り壊したいです(笑)。すごい記念の大会になると思うので、勝って終わりたいです。

喜入 去年もここだったよね。早大が取り壊しで。去年も早大がここで勝っているので、今年も同じように勝ちたいと思います。

増田 挑発的ですね(笑)。

――お二人とも最後の早慶戦となります

増田 歴史ある大会に主将として参加できることに熱い想いしかないですね。

喜入 ここ3年間ずっと出ていて、今年で最後なんですけど・・・。自分は教育実習で3週間チームにいなくて早慶戦の前日に帰ってくるのですが、僕だけじゃなくて僕と山﨑(貴矢、スポ4=愛知・星城)と土屋(健太郎、スポ4=群馬・高崎)がいなくなります。それでもその間チームをまとめてくれる加賀(優太、商4=東京・早実)がいます。3週間チームにいなくて早慶戦だけ出るのもあれなのですが、出る機会があれば全力でプレーしたいですし、最後の早慶戦ということで勝って終われるように、チームに残っている加賀にこの思いを託したいと思います。

増田 なめてますねー。なめてますよ。3人いないですよ。

喜入 代わりも全然。

増田 代わりも強いと(笑)。

喜入 誰が入っても。今季リーグ戦もそうなんですけど、誰が出ても活躍してくれているので。自分が(レフトから)代わってオポで入ってるんですけど、オポの代わりの宮浦(豪、スポ1=熊本・鎮西)とか山﨑の代わりの村山豪ちゃん(スポ1=東京・駿台学園)とかが活躍してくれているので、そういうやつらに期待したいです。

――最後に意気込みをお願いします

喜入 年間の目標は全日本インカレ(全日本大学選手権)での優勝なので、それにつなげられるようにこの歴史ある早慶戦で自分たちの最高のパフォーマンスを出せるようにしっかり準備していきたいです。

増田 勝って美味しいお酒を飲みたいです!

――お忙しい中いろいろとお話いただきありがとうございました!

両校の誇りをかけた戦いに注目です!

◆喜入祥充(きいれ・よしみつ)(※写真右)

1995(平7)年5月13日生まれ。174センチ。大阪・大塚高校出身。早稲田大学スポーツ科学部4年。サイド。オフは寝ていることが多いという喜入主将。もっと育ってもおかしくないと不思議そうな顔をする一方で、チームについて語る表情は真剣そのものでした。

◆増田拓人(ますだ・たくと)(※写真左)

1995(平7)年5月12日生まれ。181センチ。千葉・習志野高校出身。環境情報学部4年。センター。明るく気さくに対応してくださった増田主将。取材陣2人に対し「どっちを向いて喋ればいい?」などお茶目な一面も見せ、終始場を和ませてくれました。

★早慶戦の場所と日程

場所

慶應義塾日吉記念館

日時

6月11日(日)

タイムスケジュール

12:00 会場

13:00 開会式

12:30 女子戦開始

15:00 男子戦開始

試合終了後、閉会式

★早慶戦プロモーションビデオを作製!

 早慶戦プロモーションビデオが作成されました。この動画を見てぜひ早慶戦へ!ワセダを応援しよう

動画はコチラから