先週、秋季関東大学リーグ戦(秋季リーグ戦)で初の黒星を喫した早大。対するは東日本大学選手権の決勝で優勝の座を譲った日体大だ。試合はそれぞれがセットを取り合いフルセットまでもつれ込み接戦となる。しかし、第4セットを奪った日体大の勢いを止めることができないままセットカウント2-3(25-23、14-25、27-25、17-25、11-15)で2連敗となった。
練習中から違和感は明白だった。早大選手の声に元気が見られず、試合が始まってもその雰囲気は変わらない。第1セットは終盤まで接戦となるが21-21の場面で藤中がサイドアウトを取ると、続くサーブでもサービスエースを奪い、点差を23-21まで広げる。その点差を守り切りなんとかこのセットをものにした。しかし、続く第2セットでは好レシーブから組み立てられた日体大の攻撃に翻弄(ほんろう)されブロックが機能しない。相手に要所で連続得点を許し、終始、先行される展開となる。またサイドアウトを奪ってもサーブミスで流れをつかむことができない。このセットだけで計5本ものサーブミスが出てしまった。一つ一つのプレーでの気持ちの切り替えもうまくいかず14-25と大差でこのセットを落とす。
帰ってきたエース・喜入が渾身のスパイクを打ち込む
セットカウント1-1で迎えた第3セット。早大はここでカードを切る。怪我で秋季リーグ戦の出場を控えていたエース・喜入祥充(スポ3=大阪・大塚)を投入したのだ。喜入がプレーで、声でチームを鼓舞する。しかし、山﨑貴矢(スポ3=愛知・星城)のブロックでマッチポイントを迎えた場面だった。喜びを見せる選手たちの傍らでしゃがみ込む加賀優太(商3=東京・早実)。そのまま立ち上がることができず藤中優斗(スポ2=山口・宇部商)と交代にコートを離れることに。一時は相手に追い付かれジュースになるも、喜入がここまで自分に代わって戦ってきた仲間のためにも意地を見せる。最後は喜入のサービスエースでこのセットを奪取した。しかし、第4セットで再び日体大にセットを奪われ、勝負は最終セットへ。ここでもサーブレシーブの乱れから攻撃の幅が狭まり、セッターもスパイカーも苦しいプレーを強いられる。そのまま突破口を見出すことできず、15-11。またも日体大に悔しい一敗となった。
2連敗となり肩を落とす選手たち
2戦連続でフルセットの試合を勝ち切れていない。サーブレシーブやブロック、ライトからの攻撃でリズムをつくれずレフト偏重の攻撃になってしまうなどプレー面での課題も多い。しかし、最大の敗因はコートの雰囲気だ。あすの明大戦を含めて残り2戦。中大との最終戦に良いかたちで臨むためにもあすの一勝は欠かせない。「4年生が引っ張っていくかたちをもう一度見せて、雰囲気良く頑張っていきたい」(加藤久典、スポ4=東京・早実)と言う通り、4年生だけでなく全員がそれぞれの役割を果たし、良い雰囲気で勝利をつかみたい。
(記事 藤原映乃、写真 杉山睦美、渡辺新平)
セットカウント | ||||
---|---|---|---|---|
早大 | 2 |
25-23 14-25 27-25 17-25 11-15 | 3 | 日体大 |
スタメン | ||||
レフト 加賀優太(商3=東京・早実) レフト 藤中優斗(スポ2=山口・宇部商) センター 加藤久典(スポ4=東京・早実) センター 山﨑貴矢(スポ3=愛知・星城) ライト 田中健翔(スポ4=熊本・鎮西) セッター 山口頌平(スポ4=長崎・大村工) リベロ 堀江友裕(スポ1=和歌山・開智) |
☆加藤がVプレミアリーグのサントリーに入団!
最高到達点345センチの高さを生かし、クイックを打つ加藤
今月6日、サントリーサンバーズは公式ホームページで加藤久典(スポ4=東京・早実)の入団を発表した。早大の選手がVプレミアリーグのチームに進むのは4年連続。背番号は14で、「1年目から試合に出られるように、いい意味で無心になって頑張りたい」と意気込みを語った。
サントリーは国内トップリーグであるVプレミアリーグに所属し、柳田将洋や栗山雅史ら全日本代表選手が在籍する。7度のリーグ優勝を誇る強豪だが、2015/16シーズンは8チーム中で7位と低迷した。加藤と同じミドルブロッカーにはベテランの山村宏太や鈴木寛史など4選手がおり、レギュラー争いは激しい。「伝統があって、雰囲気良くやっている」とサントリーの印象を話した加藤。打点の高いクイックを武器に次のステージへ進む。
(記事、写真 渡辺新平)
コメント
山口頌平主将(スポ4=長崎・大村工)
――東日本大学選手権で負けた日体大との一戦でしたがどのような対策で臨みましたか
あっちはキャッチが全然崩れないチームなのでリベロを外してしっかり(サーブを)攻めようとしました。ライトの選手を中心に思い切り打ってきたりや前のボールを落としたりするチームなので、一人一人のコースだったりレシーブ位置というのを確認して試合に臨みました。でも、序盤から攻めてのサーブミスではなく入れようとしてのサーブミスが続いたり、レシーブで上げられないような変なブロックのはじきかたをしたりする場面が多かったです。サーブでもリズムがつかめずブロックがきょうはバラバラだったので後ろのレシーブが全然上がらず内容としてはいいところはなかったです。
――2セット目は相手に何度も大きな連続ポイントを許してしまい、早大はそれを切ってもサーブミスから流れがつかめませんでした
序盤からあっちに先行されてしまいました。相手はキャッチからの攻撃で点数が取れていたのでブレイクのときにしっかりサーブを攻めて来ていて、それに対してキャッチがオーバーしたりやCパスからサイドに上げてシャットされたり、レシーブされて切り返されたりと相手の得意なパターンにはまってしまったと思います。
――ブロックがバラバラだという話が先ほど出ましたが具体的にどうしてそうなってしまったのでしょうか
サーブでなかなか(キャッチが)崩れないのでAパスばかり入って、速攻もサイドも叩いてくる選手がいるのでマークが絞れなかったからです。
――田中健翔副将(スポ4=熊本・鎮西)がブロックにつかまる場面が多くありましたがそれでも上げ続けた意図は何でしょうか
落としたセットというのはライトからの攻撃でリズムがつくれてないときが多いです。なので、ライトを序盤に通しておかないと結局終盤にレフトばかりになって落とすのは目に見えてたのでそこが抜ければと思っていました。
――加藤さんとのコンビが合わずにボールを落としてしまう場面が見られました
こっちがAパスからの攻撃のときは相手がコミットに来たりマークが厚いのでどうしても崩れた場面で速攻を上げるケースが多くなってしまいます。なかなかBパスCパスでドンピシャに合わせるのは難しいのであのようなかたちになってしまいました。
――あしたは明大との一戦になりますが意気込みをお願いします
先週に続けて2連敗と負けが続いてしまって、明大という相手自体も春リーグで負けててことしのチームではまだ勝っていないチームです。きょうは少し雰囲気が悪かったりや自分たちの力を出せずに終わってしまったのでまたしっかり準備をして、気持ちの面でも切り替えいきたいです。連敗をストップし、良いかたちで最終戦の中大戦にいけるように頑張りたいと思います。
加藤久典(スポ4=東京・早実)
――きょうの試合を振り返ってみていかがですか
きょうは全体的に雰囲気が悪いままスタートしてしまいました。1セット目は取れたのですが、サーブミスとかがあって流れに乗れないまま2セット目に入って取られてしまいました。直接ミスではなくても、あまりいい状態ではない球があったのかなというのが正直なところです。
――ミスが出てしまったり、流れが悪かった原因は何でしょうか
雰囲気が悪かったです。1点取っても喜べていなかったり、単純に声が出ていなかったり、大事な場面でいらないミスが出たりして、あまり良くなかったですね。
――相手の速いトス回しに対してどのようにブロックのマークについていましたか
サイドが多いのでサイドをメインにマークしていたのですが、きょうは対策で向こうもクイックを増やしてきたので、あまりブロックできなかったのが敗因かなと思います。
――ご自身へのマークは厳しかったですが、振り返ってみていかがですか
結局、いつもマークは来るのでそこはあまり気にしないで、割り切りました。決められるのは全部決めるつもりで打ちにいきました。
――あしたの明大戦に向けて意気込みをお願いします
あしたは負けられない戦いなので、4年生が引っ張っていくかたちをもう一度見せて、雰囲気良く頑張っていきたいと思います。
喜入祥充(スポ3=大阪・大塚)
――今季初出場となりましたが、どのタイミングで出場が決まりましたか
2セット目取られた後に、行くぞって言われました。
――どのような意気込みでコートに立ちましたか
久しぶりのことだったので、楽しむというか、自分のできることを精一杯やろうという思いでコートに入りました。
――きょうの試合を振り返っていかがですか
相手に押されたときに、自分たちが押し返す雰囲気やムードが無かったので、そこが今後へ向けての課題だなと感じました。
――要所でサービスエースがありました
狙った部分もあるのですが、練習の成果が出たかなという感じですね。
怪我をされたのはいつ頃ですか
ずっと痛かったんですけど、我慢してやっていたら、夏合宿の遠征の時にできないくらいに痛くなってしまって。8月の中旬くらいだったのですが、そこから治療をしながら自分のできる範囲のことをやってたという感じです。
――怪我をされたのは膝ですか
そうですね、右膝です。
――本格的な練習を始めたのはいつ頃ですか
先週からBチームに入って少しづつやるようになって、その辺から徐々に上げてきたという感じです。
――ご自身の今の調子としてはいかがですか
あんまり打っていなかった分、スパイクが決定率に欠ける部分はあるのですが、自分のできることは少しづつできてきているので、ここからあと2戦、自分の調子が上がるように、コンディションを整えていきたいと思います。
――怪我をしている間は具体的にどのような練習をしていましたか
サーブレシーブであったり、レシーブ面の練習だけは飛んだりしないので、それだけはしっかりやってきました。
――ここまでのチームの戦いぶりは、喜入選手にはどのように映っていましたか
嬉しい反面、悔しい部分もありましたが、チームが勝っていてそれが一番重要なことだったので、良かったと思います。
――最後にあすへ向けての意気込みをお願いします
僕自身はまだ黒星しか付いていないので、あすは白星を挙げられるように頑張りたいと思います。