これぞチーム力!筑波大相手にストレート勝ち

男子バレーボール

 秋季関東大学リーグ戦もとうとう後半戦に突入した。この日は春季関東大学リーグ戦の王者・筑波大と対戦。序盤は両チームがサイドアウトを取り合う展開になるが、次第に試合は早大ペースに。1セットを先取した勢いそのままに第2、第3セットを奪いセットカウント3−0(25−20、25−19、25−23)で見事ストレート勝ちを収めた。

 第1セット、序盤は両者譲らず競り合う展開となる。対するは力のあるスパイカーを要する筑波大であったが、早大はサーブで相手を崩すと、ブロックでワンタッチを取りそこから攻撃を組み立てることができていた。7-8の場面で加賀優太(商3=東京・早実)のスパイクから4連続得点を奪うと、流れは徐々に早大へ。相手のミスもあり、じりじりと点差が広がっていく。対する筑波大も、高橋健太郎を投入し流れを変えようとするが、早大はそれを許さずしっかりとこのセットを取り切った。続く第2セット。サーブやスパイクにミスが目立つ相手とは対照的に、丁寧なサーブレシーブから多彩な攻撃を繰り広げ、着実に得点を重ねていく。終盤に効果的な連続ポイントを奪い、このセットも連取した。第3セットは終盤までもつれる展開となるが、粘り強さを発揮する。相手のタッチネットで21-21に追い付くと、22点目のことだった。加賀のレシーブがダイレクトで相手コートに返るとぽとりと端に落ち得点に。これに選手はコートを走り回り、一気に盛り上がりを見せる。そしてその勢いのまま、最後は田中健翔副将(スポ4=熊本・鎮西)が相手コートにスパイクを叩き込んだ。まさにチーム力で手にした一勝と言えるだろう。

ワンタッチを取り攻撃の起点となったブロック

 9月22日〜28日に第5回アジアカップ男子大会(アジアカップ)が開催され、各チームから主力メンバーが集められた。早大からも、山口頌平主将(スポ4=長崎・大村工)と加藤久典(スポ4=東京・早実)が選出され、2週間弱チームを離れることに。「どれだけ2人を楽にさせられるかという気持ちで練習に取り組んだ」(加賀優太、商3=東京・早実)と、サーブレシーブの強化を行った。そして安定したレシーブを返すことで山口の負担の軽減に成功。「ちょっと感覚が狂った感じがあった」と加藤が言うように、センターからの速攻は窮屈なかたちになる場面も見られたが、その分サイドの選手が奮起し確実にスパイクを決めていく。互いが互いをカバーし合う、早稲田らしさが表れた一試合となった。

守備面、攻撃面ともに粘り強いプレーで活躍した藤中優斗(スポ2=山口・宇部商)

 アジアカップが直前まで行われっていたため、早大も筑波大も万全の状態で臨むことができなかったのは確かだ。しかし、不安もある中で早大の力を出し切りストレートで勝てたことは大きな収穫だっただろう。きょう行われた試合で中央大が東海大に敗れたため、全勝のチームは早大と東海大の2校のみとなった。あすは両校の直接対決が行われる。「気持ちやチーム力が大事になってくる」(山口)。優勝をつかむにあたって重要な一戦へ。全員の力を合わせた早大バレーで挑む。

(記事 杉山睦美、写真 渡辺新平、太田萌枝)

セットカウント
早大 25-20
25-19
25-23

筑波大
スタメン
レフト 加賀優太(商3=東京・早実)
レフト 藤中優斗(スポ2=山口・宇部商)
センター 加藤久典(スポ4=東京・早実)
センター 山﨑貴矢(スポ3=愛知・星城)
ライト 田中健翔(スポ4=熊本・鎮西)
セッター 山口頌平(スポ4=長崎・大村工)
リベロ 堀江友裕(スポ1=和歌山・開智)
コメント

山口頌平主将(スポ4=長崎・大村工)

――アジアカップで3位という結果、ご自身はセッター賞を受賞されましたが振り返っていかがでしたか

U-21に一回入ったことはあったのですが試合には出れませんでした。なので、国際大会でスタメンで上げるというのは初めてだったので本当に良い経験になりました。

――アジアカップが終わってからリーグ戦まで短い時間でしたが疲れなどはありましたか

木曜日の夜中に帰ってきて、金曜日授業あって夜に少しコンビを合わせただけできょうを迎えたので少し不安はありましたが耐えながらストレートで勝てたのは大きかったと思います。

――きょうのプレーを振り返っていかがでしたか

相手はサーブで思い切り攻めてきてリズムをつくるチームなのですがきょうは比較的相手のサーブミスが多くて、入れるサーブになってきたのをこっちがしっかり自分のところに丁寧に丁寧にレシーブを返してくれていました。自分もよく相手ブロッカーを見ることができていたので(トスを)散らしながらやって、速攻も強気で上げることができていました。連続失点もそんなになかったので良かったと思います。

――ブロックがチーム全体として良かったと思いますが振り返っていかがでしたか

対策していた通りのマークがはまった感じはしました。こっちもよくサーブを攻めて(相手の)速攻が無い状態でサイドだけに持ち込めたのは良かったのですが、もう少し止めれる場面もあったかなと思うので、外に弾かれるようなブロックが無いように修正していきたいです。

――筑波大も強い選手を要するチームですがきょうの勝因は

筑波大からは4人くらい自分とアジアカップに行っていたメンバーがいて、一人一人の強さはすごいものがあると思います。でも、きょうは相手のミスに助けられたというのもあると思うのですが、チーム力で勝てたのかなと思います。

――ブロックとレシーブの関係を振り返っていかがでしたか

自分と加藤(久典、スポ4=東京・早実)が抜けてチーム練習というのがほとんどできていない状況でした。冷静に見るともっと詰めないといけない部分というのはあるんですけど、チーム練習ができていない中でということを考えるとよくできていた方だと思います。

――サーブレシーブはいかがでしたか

サーブレシーブはよくジャッジしたり、間のボールを積極的に取りに行ったりというのを意識させていたので、大きく崩れることも無く最後まで集中して頑張ってくれたかなと思います。

――きょうから後半戦ということで優勝も視野に入れながらの戦いになってくると思いますがどのようなことを意識していきたいですか

きょうからの後半戦は春リーグで自分たちより上位のチームとの戦いなので、本当に目の前の一つ一つの試合だけを見て、チャレンジャー精神を持って戦っていきたいと思います。

――あすの東海大戦に向けて意気込みをお願いします

きのうみんなでビデオも見ているので、そこで上がった対策を一人一人が頭に入れて実行して、あとは気持ちやチーム力が大切になってくると思うのでその準備をしっかりしてあしたに臨みたいと思います。

加藤久典(スポ4=東京・早実)

――きょうの試合を振り返ってみていかがですか

きょうは僕と頌平(山口主将、スポ4=長崎・大村工)が帰国して初めての試合で、周りの下級生とか同級生の田中(健翔副将、スポ4=熊本・鎮西)、真鍋(佑輔、人4=香川・高松一)、後藤(光明、社4=東京・早実)、関(秀優、スポ4=静岡・浜松市立)にすごくサポートしてもらったのでストレートで勝てました。

――具体的にはどのようなサポートでしたか

例えば試合に出ている人たちは僕らがやりやすい環境でできるようにカバーとかをしてくれて、コートに出ていなくてもベンチで声を掛けたりしてくれたので、すごくやりやすかったです。

――きょうはチーム全体としてブロックが良かったと思います、振り返ってみていかがですか

ミーティングでちゃんと対策していたことを結構出せたのですが、要所要所でブロックで引っ掛けられるところがあったのかなと思います。あしたはそこを修正して万全の状態でいきたいと思います。

――試合前に田中選手とブロックに関する会話をされていたようですが、具体的にはどのような内容だったのでしょうか

相手の特徴をしっかりとお互いで共有して、例えば僕がこっちにいったら、そっちを頼むといったマークの確認をしたりしました。

――きょうは窮屈そうな姿勢からクイックを打つ場面が見られました

ちょっと感覚が狂った感じもあったので、なかなかいいかたちで打てませんでした。試合が空いてしまったのでそこは仕方ないと割り切って、とりあえず勝つことだけを考えていました。僕が決められなくてもマークを引き付ければサイドが決められます。それができて良かったです。

――銅メダルに輝いた第5回アジアカップ男子大会を振り返ってみていかがですか

僕はあまり試合には出られなかったのですが、海外の選手のすごさを肌で感じて僕の足りないところばかり見えました。それを海外遠征で知ることができたのは、僕にとってプラスかなと思います。

――印象に残っている外国人選手のプレーや、今後できるようになりたいプレーはありますか

イラン戦で僕はスタートから出て、調子は悪くなかったのですがイランのブロックに全部(スパイクが)かかってしまいました。そこで僕の実力不足が分かりました。僕の身長で世界で戦うにはジャンプ力やクイックのコース、パワー全てが足りませんでした。それを大学生活や社会人になってからも頑張っていきたいと思います。

――あしたの東海大戦に向けて意気込みをお聞かせください

チームは7連勝で勢いに乗っているので、チーム一丸となって1本取ったら走り回って頑張っていきたいと思います。

加賀優太(商3=東京・早実)

――試合を振り返っていかがでしたか

今週は筑波、東海と上位校との対戦で、さらにアジアカップに行っていたメンバーが帰国してすぐだったので難しい試合になるかなと予想していたのですが、みんな入りから集中していて相手のミスが重なったこともありますがストレートで勝てたことはすごく大きいと思います。

――ストレート勝ちの要因として思い当たることはありますか

相手が序盤からスパイク、サーブともにミスを連発してくれていて、サイドアウトを容易に取れる展開が続いていたのでこっちがそんなに苦労しなくても点数を取れるという心持ちでキャッチなどに臨めました。相手のミスが比較的大きな要因かなと思います。

――前戦から少し時間がありましたが後半戦に向けて意識的に強化した点はありましたか

技術的なことは特にこれといって取り組んではいませんでしたが、帰国してすぐの2人がいるので日本にいたメンバーは、どれだけ2人に楽をさせられるかという気持ちで練習に取り組んでいました。1本目の質を高めて頌平さん(山口主将、スポ4=長崎・大村工)をなるべく動かさないようにするとか、加藤さん(久典、スポ4=東京・早実)にトスが集まらないようにサイドで決めきるとか、チームのメンバーでこの2試合をどうにかしようと話していました。

――サーブの調子が良いように見えましたがご自身ではいかがでしたか

僕のサーブはミスをしない上で相手をどれだけ崩せるかだと思っています。自分がレセプションをやっていてもそうなのですが、強くてもミスが多いサーブはそんなに嫌ではなくてミスなくずっと入ってくるものが一番嫌だなと思うので、ミスをしない前提で崩れたらラッキーくらいの感覚で打っていました。

――この試合ではブロックが全体的に機能していましたがいかがでしたか

アナリストの人たちが相手のデータを出してくれていて、そのデータ通りに割ときていました。自分としてはそんなにブロックが良かったという感覚はないですね。

――今後も上位校との戦いが続き、優勝も視野に入っていると思いますがどういった戦いをしていきたいですか

ここからは特に気の抜けない相手で、勝つ度に優勝が近付いてきて意識をしてしまう部分もあると思いますが、目の前の一戦一戦を大事にして、相手のデータをしっかり頭に入れて、セットを取られても勝ち切るということが大事になると思います。

――次戦に向けて意気込みをお願いします

全勝同士の東海大と中大がまだ試合中でわかりませんが、どっちかが一敗になり、どちらにしろ東海大とさらに差をつけることができる大事な一戦になります。きょうのような雰囲気で、全員で勢いに乗って試合に入れれば勝てる相手だと思います。

藤中優斗(スポ2=山口・宇部商)

――前回の試合から少し時間が空きましたが、どのような準備をしましたか

頌平さん(山口主将、スポ4=長崎・大村工)と加藤さん(久典、スポ4=東京・早実)が合宿で抜けて、おととい帰ってきて、きのうのうちに調整するだけということで、頌平さんと加藤さんのカバーができたらと、4年生の健翔さん(田中副将、スポ4=熊本・鎮西)を中心にサーブレシーブなどコンビ以外の面を強化してきました。きのう2人が帰ってきてしっかり合わせることができたので、きょうは良かったと思います。

――春リーグ優勝の筑波大が相手ということでしたが、どのような意気込みで臨みましたか

春は負けて、東日本(東日本大学選手権)は勝ってということで、楽に勝てる相手ではないということは分かっていたのですが、相手がサーブで攻めてきても、キャッチをしっかり返すということを意識していました。

――1セット目から流れをつくることができていましたが、試合の入り方として気をつけたことはありますか

勢いに乗られたら僕たちもきついので、僕と堀江(友裕、スポ1=和歌山・開智)を中心に走っていこうというのは2人で話していたので、そこはうまくいって良かったなと思います。

――相手の攻撃に対して、レシーブやディグがよく上がっていました

頌平さんと加藤さんが抜けている間もブロックとレシーブの関係(の改善)にも取り組んできたので、その部分が少しは出せたかなと思います。

――ブロックについてはいかがですか

僕自身はあまり止めることはできなかったのですが、全体として的を絞って仕掛けることができたので、良かったと思います。

――ご自身のスパイクを振り返っていかがですか

頌平さんが僕の打ちやすいタイミングや、いい場面で上げてくれたので打ちやすかったですし、コースもそうですが、あしたはストレートにもしっかり打ち込んでいきたいと思います。

――ストレート勝ちという結果でした

正直ストレートで勝てるとは思っていませんでした。

――次戦への意気込みをお願いします

きょうは相手のサーブミスが多くて助かったので、あしたは相手のフローター中心に攻めてくるので、僕たちがしっかりキャッチを返して、攻撃まで持っていければ戦えると思うので、あしたもサーブレシーブやブロックとの関係を意識して戦っていきたいです。