下克上完成はならずも、力出し切り堂々の2位

男子バレーボール

 2年連続でたどり着いた東日本大学選手権決勝の舞台。このセンターコートで、鉄壁の守備を誇る強敵・日体大との熱戦が繰り広げられた。第1セットを落とした早大は、もつれにもつれた第2セットを執念で奪いタイとする。その後も激しいスパイクの応酬が続くが、相手の勢いに屈し、力負け。セットカウント1-3(21-25、32-30、20-25、20-25)で敗れ、連覇の夢はあと一歩のところでついえた。

 第1セット、喜入祥充(スポ3=大阪・大塚)と藤中優斗(スポ2=山口・宇部商)のレフト2枚が得点を量産する。しかしサイド攻撃だけでは相手の高い守備力を上回ることはできず、セット先取はならなかった。第2セットも序盤は追う展開となるが、エース喜入の勢いは止まらずバックアタックやサーブでも相手コートを脅かす。エースの奮闘に負けじとセンター線も機能し始め、多彩な攻撃が展開された。デュースに突入し、苦しい場面でチームを救ったのは、このセットからコートに入った田中健翔副将(スポ4=熊本・鎮西)。29-30から、山口頌平主将(スポ4=長崎・大村工)は何度も田中にボールの行方を託す。渾身のスパイクで連続得点を奪い王手をかけると、最後は喜入がブロックポイントを挙げセット奪取。全ての学年、全てのポジションの選手が一丸となって戦った、『早大バレー』が凝縮されたセットであった。

喜入と共に渾身のスパイクで得点を量産した藤中

 その後も両者譲らぬ攻防が続く。第3セットは、日体大のクイックや移動攻撃を駆使したセンター攻撃に苦戦する一方、要所でのミスが目立った。第4セットでは各選手に疲れが見え始める中、2試合連続でスタメンに名を連ねた加賀優太(商3=東京・早実)が奮起。角度のあるクロススパイクやバックアタックを連発し、オポジットとしての役割を全うした。1年生ながらリベロとしてチームを支えた堀江友裕(スポ1=和歌山・開智)も、最後まで懸命なレシーブを続け山口にボールをつなぐ。しかし点差は縮まらず、ついに20-24。加賀の放った打球は相手ブロックに弾き返され、早大戦士はここで力尽きた。

日体大に負け、肩を落とす選手たち

 春季関東大学リーグ戦6位から、東日本2位へ。頂点には届かなかったものの、今大会を大いに盛り上げたエンジの逆襲劇。また、この試合だけで20得点を挙げた喜入が個人賞で二冠を獲得するなど、個の力も際立っている。昨年と色は違えど、手にした銀メダルは確かに光り輝いていた。「やることを一人一人がしっかりやれば上位のチームにも勝てる」(山口)。最高の秋を迎えるため――。課題と向き合う試練の夏は、すぐそこだ。

(記事 川浪康太郎、写真 稲満美也、越智万里子、杉山睦美)

早大男子バレーボール部

セットカウント
早大 21-25
32-30
20-25
20-25

日体大
スタメン
レフト 喜入祥充(スポ3=大阪・大塚)
レフト 藤中優斗(スポ2=山口・宇部商)
センター 加藤久典(スポ4=東京・早実)
センター 山﨑貴矢(スポ3=愛知・星城)
ライト 加賀優太(商3=東京・早実)
セッター 山口頌平(スポ4=長崎・大村工)
リベロ 堀江友裕(スポ1=和歌山・開智)

個人賞

敢闘選手賞 山口頌平主将(スポ4=長崎・大村工)

セッター賞 山口頌平主将(スポ4=長崎・大村工)

ベストスコアラー賞 喜入祥充(スポ3=大阪・大塚)

レシーブ賞 喜入祥充(スポ3=大阪・大塚)

賞を受賞した2人。左から山口、喜入

コメント

 

山口頌平主将(スポ4=長崎・大村工)

――準優勝となりましたがいまのお気持ちをお願いします

春リーグ(春季関東大学リーグ戦)勝ってた相手ですが一つ一つのプレーの精度の差が出てしまったのかなと思います。

――きょうの試合にはどのようなことを意識して臨まれましたか

日体大がチームとして戦ってくるチームで、自分たちもそれを売りにしているチームです。なので、自分たちもチームとして戦っていきたいというのはあったのですが向こうの方が一人一人のプレーに対する責任を果たしていたと思うし、チームとしての戦い方というのも向こうが勝っていたという結果がきょうの試合には出てしまいました。

――2試合目はデュースの末、逆転勝利となりましたが良かった点はどこだったのでしょうか

ミスが少なかったり、負けてるセットでは勝負どころや序盤にサーブやスパイクでミスが出てしまっていました。そういう部分の差だと思います。

――相手は守備力も攻撃力もあるチームでしたがどのようなことを意識してゲームメイクされましたか

今まで戦ってきたチーム以上にセンターへのマークがすごかったです。逆にこっちはなかなか(相手の)クイックへの対応ができずに終わってしまいました。向こうはこっちがコミットで仕掛けてもどうにかしたりとか決め切ったりするのに対し、自分たちは向こうがコミットして、ガツガツきているのに対し突破口を開くことができなかったです。

――今大会を振り返って得た課題や収穫は何でしょうか

春リーグ6位で終わってしまって、一ヶ月弱で筑波大だったり、東海大という格上のチームに向かっていけました。やることを一人一人がしっかりやれば上位のチームにも勝てるということを一人一人が感じることができたことは大きいと思います。でも、一つ一つのプレーの完成度や丁寧さ、精度の部分で日体大が勝っていたということはみんなが感じていることだと思います。夏場は試合が一時ないですが、暑い夏場の練習ではこの悔しさを忘れずにチーム全体で追い込んだり、取り組んで、秋リーグ(秋季関東大学リーグ戦)日体大にリベンジしたいです。秋リーグに向けてまた頑張ります。

加藤久典(スポ4=東京・早実)

――今日は声援も大きかったですが、どのように感じでいましたか

今日は決勝ということもあり固かったのかは分からないですが、自分たちが目指すバレーがなかなかできませんでした。結局、日体はミスがなかったのできょう1勝取ったという感じです。なにで僕たちはミスをこの夏から無くせるように練習で追い込んでやっていきたいと思います。

――守りの固い日体大との対戦ということで、特に意識したことはありますか

やっぱりセンター線がカギになるので、僕らがどれだけマークが付いていても決められるかというところだったんですけど、なかなかきょうできなかったというのが敗因だと思います。

――2セット目以降センターの攻撃が増えましたが、それについてはいかがですか

やっぱりマークされていても、僕がセンターで決めていかないと向こうはセンターがないんだと思ってくるので、最後どれだけ決められるかということがカギでした。

――トスが合わない場面もありましたが原因は何だと考えられますか

僕が声で要求したりというのが、無かったというのがあります。

――秋リーグの目標をお願いします

今回春(春季リーグ戦)は6位で東日本は2位で、結構春に比べたらいい方向には向いてきていると思うのですが、その中でまだ課題はたくさんあると思うので、夏、練習して秋(秋季リーグ戦)と全日本インカレ(全日本大学選手権)でどれだけできるかというのが勝負になると思います。

加賀優太(商3=東京・早実)

――決勝戦を終えて、いまのお気持ちはいかがですか

2連覇というのはあまり考えないようにしていましたが、自分がスタメンで出してもらっているのに全然チームに貢献できなくて4年生に申し訳なかったと思っています。

――スターティングメンバーとしての出場でしたが、どんな意気込みで臨みましたか

特にスタメンということは伝えられていなかったんですが、常に自分が出るつもりではいたので、変わらず自分の持ち味を出そうと思っていました。ですが、なかなか優勝が懸かった試合を経験したことがなかったので、自分の力を出し切れなかったです。

――守備のいい日体大に対して、どんな戦術で臨むつもりでしたか

リベロが本当にうまいので、自分がオポジットで出る場合はライトからストレートに打つと拾われる確率が高いと思いました。ブロックがついたとしてもクロスに打って、ブロックに当たっても奥に打つことを意識していました。

――打数の多い中でバックアタックも積極的に打っている印象でした

自分の本職はサイドなんですが、オポジットで出る機会が多くて。サイドに比べたらオポジットはレシーブしない分、自分の打数が上がるのは当たり前だと思うので、もう少し決定力のあるオポジットとして成長できたらいいかなと思います。

――ブロックとレシーブの連携はよく取れていたのではないでしょうか

確かに春季リーグ戦に比べたら、多少は成長したかなとは思いますが、まだまだ相手に簡単に決められる場面が多くて、逆に自分たちがサイドアウトの場面では苦しいことが続いていたので、まだまだ成長できる段階だと思います。

――秋季関東大学リーグ戦(秋季リーグ戦)まで時間が空きますが、どんなことに取り組んでいきたいですか

今大会、ベンチにいても試合に出ていても思ったことが、喜入祥充(スポ3=大阪・大塚)と藤中優斗(スポ2=山口・宇部商)が成長していて、いままでならセンターに頼るバレーだったのがサイドで(相手の攻撃を)切れる場面も多くなってきているということでした。サイドアウトに関しては成熟した段階ではあると思いますが、自分たちがサーブを打つブレイクの場面で、サーブのミスが多かったり、サーブで攻め切れなかったり、サーブで攻め切れて相手が苦しい場面でも自分たちのブロックミスやレシーブミスで簡単に相手に点数をやってしまったので、秋季リーグ戦までにブレイクをどうやって自分たちが取っていくのか、自分たちのかたちをつくっていければ良い結果が出ると思います。

喜入祥充(スポ3=大阪・大塚)

――きょうの試合を振り返ってみていかがですか

明らかに外から見ても実力の差があったと思います。

――守備のいいチームに対して、どのような対策を取られましたか

相手の対策というよりかは、自分たちのバレーを出そうと心掛けていましたが、ミスが多かったと思います。

――ブロックとレシーブの関係は良かったと思いますが、振り返ってみていかがですか

要所要所では良かったのですが、それでも相手に劣る部分があったので、負けたのだと思います。

――ご自身、サーブが良かったと思います

エースは何本か取れたのですが、安定感がありませんでした。ミスが多かったと自分自身では思っています。

――きょうは20得点の活躍でした

シャットアウトされる場面が多かったので、20点取っているという実感はありませんでした。何点取るというより、自分がもっと決めなければいけないところで決められるようにしたいです。

――ベストスコアラー賞とレシーブ賞の二つのタイトルを受賞されましたが、いまのお気持ちをお聞かせください

素直にうれしかったのですが、ベストスコアラーの方は正直、名前を呼ばれてびっくりしました。まさかの、といった感じでした。

――中盤以降は相手のセンターに対応できませんでした

こっちが止められず、相手にやられるパターンが多かったです。もっと効果的なサーブを打って、ブロックで仕掛けるというところを、もっと早めにできれば良かったと思います。

――試合後のミーティングでは、松井泰二監督(平3人卒=千葉・八千代)からはどのようなお話がありましたか

基本的なデータを頭に入れることと、「このローテではこういう攻撃が多い」といったことを、しっかりとみんなで確認しました

――しばらく公式戦はありませんが、今後取り組んでいきたいことは何でしょうか

組織力をもっと上げていきたいです。

藤中優斗(スポ2=山口・宇部商)

――きょうの試合の振り返りをお願いします

2連覇がかかっていて、やはりきょねんと違って僕らのバレーをして戦っていこうということだったんですけど、相手の雰囲気に押されたり、自分たちからミスをしてしまったりしてうまくプレーができなかった部分が多かったので――。まあミスを出して負けた部分と、単純に僕らの力不足があったので、もう一回一から練習しなおして、秋リーグ、全カレに向けて、頑張って行きたいと思います。

――第1セットから多くのスパイクが決まっていましたが

そうですね、僕とセッター(山口頌平、スポ4=長崎・大村工)がマッチアップして、常に前にいてくれました。頌平さんが僕を使ってくれたので、うまく点が取れたかなと。

――第2セットはハイスコアの長い試合になりましたがいかがでしたか

相手に押される雰囲気もあったのですけど、僕たちの負けたくない気持ちがあったのでそのセットは取れたのかなと。

――全体的に、1点差などで競っている場面が多かったですが

相手もサイドアウトをきっちり切ってくるチームだったので、僕らがどれくらい我慢してサイドアウトを取って行けるかというのがカギでした。中盤までは行けたのですが、終盤20点以降からはその我慢ができなくなってセットをとられる場面が多かったので、サイドアウトをしっかり切って行けるように練習していきたいと思います。

――4セット目は疲れなどありましたか

全然なかったですね。疲れとかは感じなかったです。

――最後に、秋に向けて意気込みをお願いします

優勝間際で負けたというのは一番悔しいです。自分たちの課題が明確になったのでこの夏一から練習してこの悔しさを晴らせるように秋、全カレと頑張って行きたいです。

堀江友裕(スポ1=和歌山・開智)

――初めての東日本大学選手権を終えていかがですか

1年生で入っていて春リーグがあまりいい結果ではなかったのですが、先輩方がとてもやりやすい環境を作ってくれたので僕もしっかりいいプレーが多く出たのかなと思っています。

――具体的にご自身のプレーのよかったところはどのような点ですか

自分は1年生なので、派手なプレーというよりはできることをしようと思っていて、それが少しはできたのかなと思います。

――2段トスを上げる場面もありましたが、意識することはありましたか

自分はあまりうまくはないので、先輩に打ってもらうという気持ちを持って上げました。

――日体大の攻撃についてはどのように感じましたか

ブロックができないとレシーブもできないので、ブロックのあとを見て後ろで動いていたのですが、それがチームとして半分くらいはできているのでそれを完璧にできるようにしてブレイクとかで連続で得点できるように強化していきたいです。

――この大会を通して得たものはなんですか

優勝はできなかったのですが決勝まで来て、そういった雰囲気の中でプレーできて自分としてはいい経験になりました。チームとしても僕自身も自信になったので、秋リーグと全日本インカレでいい結果を残せるように練習を頑張っていこうと思います。

――今後取り組んでいきたいことはどのようなことでしょうか

自分は戦術とかは分からないので、個人の技術的な部分を上達させてチームにプレーで貢献できるように頑張っていきたいです。