苦戦強いられるも、逃げ切りベスト8進出

男子バレーボール

 東日本大学選手権2日目。午前に行われた桜美林大との2回戦から1試合空き、慶大との3回戦に挑んだ早大。1セット目は、スパイクもブロックもなかなか決まらず苦戦する場面も見られた。しかし随所で粘って同点のままデュースへ持ち込むと、何とか制してセット獲得。2、3セット目では、リズムを崩されてもレシーブでつないで、好機を生かすことが増える。セットカウント3-0(28-26、25-21、25-18)でベスト8進出を決めた。

 「1セット目は負けてもおかしくなかった」(加賀優太、商3=東京・早実)と振り返るよう、苦しいスタートとなった。序盤は相手のブロックに苦戦し攻撃のリズムを作ることができない。そんな中、喜入祥充(スポ3=大阪・大塚)や藤中優斗(スポ2=山口・宇部商)の活躍で少しずつ得点を積み重ねていく。しかし相手も譲らず、試合は常にシーソーゲーム状態。会場内には1点入るごとに緊張感が走った。試合はデュースまで持ち込まれる。一進一退の攻防が続き26-26。ここで藤中がスパイク、ブロックで2連取し流れを断ち切り、何とかこのセットを死守した。

攻撃面、守備面で共に活躍を見せた藤中

 2セット目以降は競り合う場面もあったが、徐々に早大のペースを確立していく。疲労からか相手のミスが増え始めたその好機を逃さなかった。喜入、藤中だけでなく、加藤久典(スポ4=東京・早実)のクイックや、加賀の気迫のこもったスパイクなど、攻撃陣の多様な攻撃で相手を翻弄(ほんろう)させる場面もあり、セット連取に成功した。3セット目はレフトの喜入、ライトの田中健翔副将(スポ4=熊本・鎮西)の両サイドからの攻撃がうまく作用する。相手のスパイクへの対応力も徐々に増し、得点につなげた。このセットは終始リードを守り切り、ストレート勝ちを決めた。

クイックを決める加藤

 ストレート勝ちといえども、内容は苦しいものとなった。1セット目はデュース。2、3セット目でも、攻撃が決め切れない場面も見られた。「対応力や自分たちの力をコンスタントに出すことがまだできていない」(山口頌平主将、スポ4=長崎・大村工)と語るよう、課題はまだ残るだろう。少しでも歯車が合わなければ、その隙に追い詰められてしまう可能性がある。そんな危機感と隣り合わせのトーナメントだ。次の相手は春季関東大学リーグ戦でストレート負けを喫した筑波大。この試合が2連覇への道の一番の山場となるはずだ。「全力で筑波大戦に臨む」(田中)というように早大が持ちうるものを全てぶつけることが必須となる。この山を越え、頂にまた一歩近づいていきたい。

(記事 加藤佑紀乃、写真 藤原映乃)

セットカウント
早大 28-26
25-21
25-18

慶大
スタメン
レフト 喜入祥充(スポ3=大阪・大塚)
レフト 藤中優斗(スポ2=山口・宇部商)
センター 加藤久典(スポ4=東京・早実)
センター 山﨑貴矢(スポ3=愛知・星城)
ライト 田中健翔(スポ4=熊本・鎮西)
セッター 山口頌平(スポ4=長崎・大村工)
リベロ 村本涼平(スポ1=京都・洛南)
コメント

山口頌平主将(スポ4=長崎・大村工)

――桜美林大戦を振り返っていかがでしたか

勝ちはしましたが内容的に簡単なミスやサーブミスがまだまだあるので、修正する部分はあるなと感じました。

――桜美林大戦の第3セットでは控え選手が出場し危なげなくセットを取りました

誰が出ても同じようなバレーができるように練習中から6人というのは固定せずにいろいろやっているつもりなので、試合に出た選手がそれぞれの持ち味を出してやれれば誰が出ても遜色ないと思います。きょうの試合は良かったかなと思います。

――慶大戦を振り返っていかがでしたか

早慶戦がこの前あり、慶大はその時(早大に)負けたのできょうは意識を高めてくるだろうなというのは予想できていたのですが、相手が弱かったとかそういうのではなくて自分たちがまだ噛み合っていないなと感じました。ストレートで勝ちましたが1セット目はデュースだったし中盤までずっとどのセットも競り合っていました。対応力や自分たちの力をコンスタントに出すということがまだできていないので課題がまだまだあるなと感じました。

――競り合っている中で勝ちきれる粘り強さは収穫ではないのでしょうか

(対戦相手が)2部のチームで、1部で戦う時は絶対的なエースがどこのチームにもいるので、1部と戦うとなるとまだまだきつい部分があると思います。

――あすもまた勝てば2試合と体力的に厳しい試合になると思いますが意気込みをお願いします

疲労はどこのチームも一緒だと思います。最初が筑波大で次の試合は勝ってどこがくるかわからないですが春季リーグ戦(春季関東大学リーグ戦)で自分たちが6位で終わって、あす対戦するチームは自分たちより春季リーグ戦での順位は上です。とりあえず初戦の筑波大戦が今大会の山場というか決勝くらいのつもりでみんなで一つになって戦って、2試合あるということを考えずに筑波大戦で全部出す気持ちで春リーグのリベンジをしたいと思います。

 

田中健翔副将(スポ4=熊本・鎮西)

――東日本大学選手権に向けてどのような意気込みで臨みましたか

この大会は全日本選手権のシード権のポイントがかかっているのでチームとしてベスト4には残るということを目標にしてきました。あすの筑波戦が一つの山になります。ここまで順調に進んできたのであすからまた頑張りたいです。

――早慶戦を終えてからどのような調整をして今大会に臨みましたか

松井監督(泰二、平3人卒=千葉・八千代)の方から攻撃のバリエーションを増やそうと言われました。自分も速いライトの攻撃や動く攻撃をやってきて、早慶戦から短い間でしたが一応完成してはいるかなと思います。

――まだ本調子ではないように見えるのですがご自身のプレーはいかがですか

きょうも監督にも厳しい言葉をかけていただいて、自分自身も納得のいくプレーはできていないです。あす、そういう状況だともちろん勝てないと思うのでしっかりコンディションを整えて万全の状態で全力を出して戦いたいと思います。

――きょうの慶大戦で第1セットの途中に交代となり悔しそうな表情も見られましたがいかがでしたか

恥ずかしながら監督にも言われて、自分でも決められずに悔しかったです。4年生としてプレーでも引っ張ることができず歯がゆい部分もありました。

――第3セットで再びコートに立つ時はどのような意気込みでコートに入りましたか

正直、体の調子も良くなくて、やるべきことは他にもあるので声を出して下級生が1、2セット頑張ってくれて、頌平(山口主将、スポ4=長崎・大村工)もつらい部分があるのでそこをしっかり支えられるように副キャプテンとして頑張ろうと思いました。

――第3セットはスパイク、レシーブで活躍が見られましたがご自分のプレーを振り返っていかがでしたか

まだまだですね。もっと決められるボールがあると思います。

――あすは山場になりますが意気込みをお願いします

あすもし筑波大に勝てばその後1試合あるのですが、次のために体力を残すとか考えずに全力で筑波大戦に臨んでそこから次の試合も頑張っていこうと思います。まず筑波大に勝つことが今大会の一番の山場だと思っているのでしっかりと勝ちたいと思います。

加賀優太(商3=東京・早実)

――きょう2連戦となりましたが、1試合目を振り返っていかがですか

1日に2試合あるということだったので、リザーブの選手がなるべく出てスタメンを温存しようというリザーブ陣の思いがあったので、それが3セット目とかはほとんどリザーブ陣で勝てたのは結構大きかったと思います。

――慶大戦を振り返っていかがですか

試合全体を通して、ブレイクをうまく取り切れない部分が多くて、1セット目とかは負けてもおかしくなかった試合でした。このままであすの筑波大戦を迎えると厳しいかたちになるかなと思います。

――加賀選手からはいつもに増して気迫のこもったプレーが見られました

4年生がちょっと、ことし入ってからあまり自分たちの色というか強さを出せていないので、そこをできていないときに、3年生が引っ張っていければいいなと自分の中では思っています。自分が出た時には、高さのあるスパイクだったり、チームを盛り立てていく雰囲気だったりを意識しているので、出るときには気迫のこもったプレーというのを心がけています。

――きょうは2試合あり長時間での出場となりましたが、体力面はいかがですか

自分はそんなに試合を通してスパイクの本数も少ないですし大丈夫なんですけど、藤中(優斗、スポ2=山口・宇部商)と喜入(祥充、スポ3=大阪・大塚)がキャッチの本数もスパイクの本数も多かったので、そこが自分の中では不安に思っています。あすはサイドでの出場も多少考えて、2人のサポートもできたらいいなと思います。

――あすに向けて意気込みをお願いします

春季リーグ戦(春季関東大学リーグ戦)でふがいない試合が続いて、あすは春季リーグ戦でストレート負けした筑波大と当たる機会があるので、実力としてはチャレンジャーというかたちですが、東日本インカレ(東日本大学選手権)は去年も優勝していますし、2連覇は果たさなきゃいけないなと思っています。あす、1日2試合きついかもしれませんが、どんなかたちでもいいので勝ち切りたいと思います。

藤中優斗(スポ2=山口・宇部商)

――まず1試合目の桜美林大戦を振り返っていかがですか

きのうは大会初日ということもあり、あまり力が出せなかったので、(きょうは)自分たちのリズムを作って戦っていこうということだったんですけど、まずまずでそんなに合格点はあげられないと思います。

――次の慶大戦を振り返っていかがですか

試合が続いて、1試合目と3試合目ということで、その間の使い方とかは気を使って試合に挑みました。しかし、相手の雰囲気やプレーに押されてしまい、守りに入って自分たちのプレーがうまくいかない部分が多かったです。なので、あすの筑波大戦では入りをしっかりと意識して取り組んでいきたいと思います。

――慶大戦では1セット目はデュースまで持ち込む展開となりましたが、その点に関してはいかがですか

デュースになったのは、僕がスパイクを途中2本シャットされてしまったのが原因だと思っています。シーソーゲームで、(流れを)切って切られてという展開の中で、しっかりスパイクを決め切ることが僕はできなかったです。その点をしっかりあすは修正して、思い切ってスパイク打てるようにして、余裕を持ってセットを取っていきたいと思います。

――ご自身のブロックに関してはいかがですか

相手のライトのエースの子を止めるというのが僕の役目だったので、1セット目の最後に止められたくらいで、あとは止めることはあまりできなかったので、頑張りたいと思います。

――この大会に向け、重点的にやってきたことはありますか

レシーブとブロックの関係であったり、スパイクもただ真っすぐ入るだけじゃなくてブロッカーとずらして入ったりすることを心がけてきました。あとはサーブレシーブの練習をしてきたのでその部分をあすの筑波大戦からしっかり出していけたらと思います。

――あすに向けて意気込みをお願いします

春季リーグ戦(春季関東大学リーグ戦)で負けている相手なので、練習してきたことをしっかり出せるように、アップからしっかりして、守りに入ったら戦えないと思うので攻めて戦いにいきたいと思います。