ことしも、会場に『紺碧の空』の大合唱を鳴り響かせた。慶大の本拠地で行われた早慶定期戦（早慶戦）。アウェーでは３連敗中であったが、この日は大声援を背に『早大バレー』を展開する。終始相手を圧倒し、セットカウント３－０（２５－２１、２５－２２、２５－１４）でストレート勝ち。来る東日本大学選手権（東日本インカレ）へ向け弾みをつける１勝となった。
若手主体のスタメンで挑んだこの日の試合。ルーキー武藤鉄也（スポ１＝東京・東亜学園）の強烈なスパイクが相手ブロックをはじき、まずは１点目を奪う。流れをつかんだのは５－３の場面。立て続けにブロックポイントを挙げると、セッターの小林光輝（スポ２＝長野・創造学園）が相手の意表をつくツーアタックを決めチームを勢いづける。さらに今季急成長を遂げた山﨑貴矢（スポ３＝愛知・星城）がサービスエースを決めると、早大スタンドのボルテージは最高潮に。序盤のリードを守り切り、第１セットを先取した。第２セットでは昨年の早慶戦でも活躍した藤中優斗（スポ２＝山口・宇部商）をはじめ、アタッカー陣が大暴れ。シーソーゲームを制し、勝利に王手をかけた。
得点シーンに喜ぶ選手
第３セット、山口頌平主将（スポ４＝長崎・大村工）と加藤久典（スポ４＝東京・早実）が加わると、試合は早大の独壇場に。チームの大黒柱である山口は、リーグ戦同様の華麗なトスワークでスムーズな攻撃を演出。「ラストだったので自分のできることを精一杯やろう」と意気込んだ加藤も、ブロックやクイックで存在感を示す。４年生を中心に得点を重ね、点差はみるみるうちに広がっていった。終盤に投入した控え選手の奮闘もあり、瞬く間に２５点目に到達。最後まで慶大を寄せ付けず、１部校の貫録を見せつけるかたちで試合は幕を閉じた。
初スタメンながら堂々としたプレーを見せた武藤
「全員で戦えた」（田中健翔副将、スポ４＝熊本・鎮西）。普段は出場機会の少ない下級生や控え選手が晴れ舞台で経験を積めたことは、チームのプラス要素となるはずだ。そしてこの日は、自慢の攻撃陣はもちろん守備陣も機能した。的確なブロックと粘り強いレシーブは、今後も早大の武器となるであろう。次なる目標は東日本インカレでの連覇。６位に終わった春季関東大学リーグ戦の雪辱を果たすため、全員の力で再び頂点を狙う。
『紺碧の空』の合唱で観客から祝福を受ける
（記事 川浪康太郎、写真 鎌田理沙、太田萌枝、加藤佑紀乃）
| セットカウント | ||||
|---|---|---|---|---|
| 早大 | ３ |
２５－２１ ２５－２２ ２５－１４ | ０ | 慶大 |
| スタメン | ||||
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レフト 喜入祥充（スポ３＝大阪・大塚） レフト 藤中優斗（スポ２＝山口・宇部商） センター 山﨑貴矢（スポ３＝愛知・星城） センター 武藤鉄也（スポ１＝東京・東亜学園） ライト 田中健翔（スポ４＝熊本・鎮西） セッター 小林光輝（スポ２＝長野・創造学園 リベロ 後藤光明（社４＝東京・早実） |
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コメント
山口頌平主将（スポ４＝長崎・大村工）
――きょうの試合を振り返っていかがですか
４年生の自分と加藤（久典、スポ４＝東京・早実）が、教育実習で抜けていたりとか、堀江（友裕、スポ１＝和歌山・開智）も、アンダーカテゴリーの合宿にいったりとかで、なかなかワセダとして練習が春のリーグ終わってから全然できていなかったんですけど、残っているメンバーでしっかり練習ができていたと思うので、きょうこのようなストレート勝ちというかたちで勝利できたと思います。
――主将として早慶戦に勝利したことについては
２年前、自分が２年生だったときに、この会場でフルセット戦って負けたという悔しい思いをしていたので、アウェーの怖さということも学んでいます。ことしは相手が二部のチームですけど、自分達のバレーをすることだけを考えてしっかりできたかなと思います。
――多くの下級生が試合に出場しましたがそれについては
こういう観客が多いような、重要な大会で下級生を多く出して、経験を下級生にも積ませることができたことは、来年や再来年にも大きくつながってくるとは思うので、良かったかなとは思います。
――今後への意気込みをひとことお願いします
また２週間後には東日本インカレが待っているので、それに向けて、春リーグ６位で終わった悔しさというのを、もう一回チーム全体で共有して、練習して、きょねん優勝している大会なので、２連覇目指して頑張りたいと思います。
田中健翔副将（スポ４＝熊本・鎮西）
――早慶戦独特の雰囲気はいかがでしたか
会場に入った時、女子の試合がやっていてその時に気持ちが燃えてくるな、と思いましたね。ことしは今までで１番応援もすごかったですし、こういうところでプレーできるのはとてもありがたいことだと感じました。
――４年生ということで最後の早慶戦でした、思い入れはありましたか
早慶戦は昨年も勝つことができていて、ことしも勝利できたので良かったです。勝ち負けというよりは僕の中では楽しむという気持ちがありました。
――コートの中に４年生が田中選手１人になる場面もありましたが意識したことなどありますか
先週とその前くらいが、頌平（山口、スポ４＝長崎・大村工）と加藤（久典、スポ４＝東京・早実）が教育実習でいない期間で、その期間は僕が代理キャプテンという形でやらせてもらっていて、その時のチームでスタートでした。１セット目はセッターの小林光輝（スポ２＝長野・創造学園）やルーキーの武藤（鉄也、スポ１＝東京・東亜学園）も活躍してくれてセットを取れて、その後僕の代わりに入った加賀（優太、商３＝東京・早実）もしっかり仕事をしてくれて、全員で戦えたと思います。
――サーブの打ち方に春リーグから変化が見られました
ジャンプサーブでミスが多くてサーブの打ち方を変えていこうと思ったのですが、まだまだ未完成なところが多くて、攻めきれませんでした。入れにもいったんですが、いまいちで修正していかなくちゃなと思います。
――東日本インカレへの意気込みをお願いします
春リーグは納得の行かない結果で終えてしまったので、東日本は順当に進んでいけば筑波大と当たるのでそこへ向けてしっかりと勝ち切れるように、残り少ない期間ではありますが、しっかりチームを作って練習していきたいと思います。
加藤久典（スポ４＝東京・早実）
――最後の早慶定期戦はいかがでしたか
きのうまで教育実習で練習に参加できなくて、きょう入ってきました。正直、コンビが合うか不安だったのですが、ラストだったので自分のできることを精一杯やろうと決めていました。それが少しできたのは良かったです。
――今回は８０回目の定期戦で応援にも熱が入っていましたが、いかがでしたか
毎度毎度、応援部の皆さんにはリーグ戦から来てくださっていました。今回も素晴らしい応援だったので、プレーで応えたいと思っていました。
――きょうはブロックとレシーブの関係が良かったと思いますが、振り返ってみていかがですか
ブロックもしっかりと止めるところは止めて、拾うところはレシーバーが拾うということが少しずつできていると思います。
――どのように相手のサイドアタッカーに対応しようとチーム内で話し合われていましたか
左利きの２３番（富澤太凱選手）は２セット目までずっと（スパイクを）決めていたので、彼をしっかりと止めようとしました。クイックは高いですがゆっくりなので、慌てずに（ブロックを）跳ぶということを意識しました。
――東日本大学選手権に向けて、取り組みたいことは何でしょうか
やれることは残り少ないと思うのですが、今までやってきたキャッチ（レセプション）やブロックとレシーブの関係をやって、サーブでは攻めていけるようにしたいです。それを一つずつやって、勝っていきたいと思います。
藤中優斗（スポ２＝山口・宇部商）
――自身２度目の早慶戦を振り返って
応援してくださる方がたくさんいたり、伝統ある大会なので、しっかり準備して挑みました。いろんな選手が戦えて３－０で勝てたということはよかったです。
――早慶戦独特の雰囲気はいかがでしたか
緊張は全くしなくて、たくさん応援してくださる方がいるのですごく強みになりましたし、そういった中でチームとしても個人としてもいいプレーができたのはよかったです。
――ご自身のプレーについてはいかがですか
セッターがいつもの山口さん（頌平、スポ４＝長崎・大村工）ではなくて小林（光輝、スポ２＝長野・創造学園）だったということもあり、練習中から合わせていこうと心がけていたので、少しでもそういった練習してきた部分が出せたのでよかったです。
――１年生も出場していましたが、後輩の活躍についてはどのように感じていますか
僕も去年支えられて思い切ってプレーできていたので、２年生として声かけであったり指示の部分であったりをしっかりしていこうということだったのですが、１年生がコートの中で思い切ってプレーしてくれてよかったです。
――東日本大学選手権に向けた意気込みをお願いします
早慶戦を通して学んだことや、春リーグで結果が得られなかったことを忘れずにしっかり練習して、東日本では目標はベスト４なのですが、１番を目指して４年生にいい思いをしてもらえるように僕ら後輩が頑張っていきたいです。
小林光輝（スポ２＝長野・創造学園）
――スタメン出場となりましたがどのような意気込みできょうの試合に臨まれましたか
早慶戦だったのでワセダという誇りを持ってこの試合に臨みました。
――応援も多くいつもとは違う雰囲気の中での試合でしたがいかがでしたか
応援のおかげで相当テンションが上がりました。
――第１セットでツーアタックを決めて喜んでコートを駆け回っていましたがいましたがいかがでしたか
いや、喜んでないです(笑)微妙な感じで決まったのでちょっと恥ずかしかったので逃げました。
――２セット目の最後はダイレクトで決めて決勝点となりましたが
美味しいところを持っていってしまいました。
――ご自身のプレーを振り返っていかがでしたか
試合を通して応援のおかげでテンションも上がっていたのですが、試合内容としては冷静に相手を見ながらトスを上げることができたので良かったとおもいます。
――東日本大学選手権に向けて意気込みをお願いします
この経験を生かして東日本でもチームに貢献できるように頑張りたいと思います。
武藤鉄也（スポ１＝東京・東亜学園）
――初めての早慶戦はいかがでしたか
両校の応援に圧倒されました。選手のモチベーションが上がるような応援でした。
――早慶戦勝利の感想をお願いします
ケイオーは２部のチームなので、勝たなきゃいけないという思いはありました。自分は初めてスタメンで出させていただけてよかったです。
――ご自身のプレーを振り返っていかがですか
練習でやってきたことをそれなりに出せたと思います。でも、まだまだ強化すべき部分もいっぱいあるので、これから頑張っていきたいです。
――大学４年間の目標を教えてください
１年生のことしもですが、自分たちが４年生になった時に全日本インカレで優勝できるように頑張りたいと思います。