4年生がチームをけん引し、大きな一勝を収める

男子バレーボール

 1勝3敗で迎えた中央学院大との一戦。一週間かけて固めたチームの方針が功を奏した。田中健翔副将(スポ4=熊本・鎮西)、加藤久典(スポ4=東京・早実)ら4年生のスパイカーが要所で決め切りセットカウント3-1(25-18、23-25、25-14、25-21)で勝ち切った。

 先週連敗を喫した最大の原因はチーム方針の曖昧さだった。チームで話し合い、出した答えは4年生の田中、加藤にボールを集め、攻めるというものだ。第1セットからそのかたちは色濃く表れた。先週までに比べライトの田中への配球が増える。リーグ戦が開幕してから本領を発揮しきれていない田中だったが、きょうは思い切りのいいプレーを見せて得点を重ねた。「ミスした後ももう一本持ってこいなどスパイカーの声が聞けた」と山口頌平主将(スポ4=長崎・大村工)が語るように、チーム全体に相手と戦う気持ちが前面に表れていた。第2セットは序盤から一進一退の攻防が続く。しかし、途中でサーブをはじめプレーにミスが相次ぐ。そこから流れを立て直すことができず、23-25で惜しくもこのセットを落としてしまった。

思い切りのいいスパイクで得点を重ねた田中

 そして、続く第3、4セット。「クイックが今までにないくらいしっかりとたたけた」と加藤が言うように、ボールは何度も快音と共に相手コートにたたき込まれた。また、山口、山﨑貴矢(スポ3=愛知・星城)のサーブで相手を崩す。チャンスボールをきっちりセッターに返し、喜入祥充(スポ3=大阪・大塚)、加賀優太(商3=東京・早実)らが決めきるという早大得意のかたちで、点差をつけてセットを奪取。大きな一勝を勝ち取った。

力強いクイックを打つ加藤

 チームのプレー方針が固まり、それを実践できたという点できょうの一勝は今後に向け収穫となったに違いない。一方、自らのミスから消極的になってしまいリズムが狂ってしまうことや、ブロックシステムの甘さなど課題も見られた。「何が何でも今週2試合勝つ」。そう闘志を見せた主将は、先週「勝ち方が分からなくなりつつある」と言った山口とは違う。ことしの早大男子バレー部が目を覚ました。あす、一勝を取りに行く。

(記事 藤原映乃、写真 本田理奈)

セットカウント
早大 25-18
23-25
25-14
25-21

中央学院大
スタメン
レフト 喜入祥充(スポ3=大阪・大塚)
レフト 藤中優斗(スポ2=山口・宇部商)
センター 加藤久典(スポ4=東京・早実)
センター 山﨑貴矢(スポ3=愛知・星城)
ライト 田中健翔(スポ4=熊本・鎮西)
セッター 山口頌平(スポ4=長崎・大村工)
リベロ 堀江友裕(スポ1=和歌山・開智)
コメント

山口頌平主将(スポ4=長崎・大村工)

――どのように気持ちを切り替えてきょうの試合に臨まれましたか

ファーストブレイクからしっかり点数を取るという練習をしました。先週の土日に二敗してから次の練習の一番最初に、全体でもう一回ミーティングを開きました。何がうまくいっていないのか、何を軸として戦うのかということを全体でミーティングして共有しました。そのミーティングで出てきた課題や徹底していく部分というのを意識して、今週一週間練習しました。その練習の中でスパイカーが決め切るということや、かみ合わないボールを簡単にミスして点数を渡してしまうという部分が多かったです。なので、コンビなどを見直し、相手のミス待ちではなく、こちらが点数を決め切るという練習をして試合に臨みました。

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

落としてしまったセットでは、サーブミスから流れがつくれなかったり、まだまだミスは多いと思います。しかし、最後に決め切るんだというスパイカーの気合を感じました。トスを上げながら、ミスした後ももう1本持ってこいなどスパイカーの声が聞けるようになってきました。うまくいっていない今までの試合は消極的なミスが多かったのですが、きょうはミスが出ても思い切ったプレーでした。決めに行くという、相手と戦う気持ちというのが今までの試合よりは出ていたかなと思います。

――きょうの試合ではサーブで相手を崩すことができました

相手の(背番号)1番がエースで、苦しい時に上がってくるということは分かっていたので、サーブでストレスをかけながらやりました。向こうの1番がレシーブした後にあまりトスが上がってこないことはミーティングや試合の中で分かっていました。なので、徹底して1番狙うようにはチームで共有はしていました。しかし、ジャンプサーブのミスが多かったり、そのミスからリズムをつくれなくなってしまったりすることがあるので、そこを修正していきたいと思います。

――コート内でのコミュニケーションが今までよりも多く見受けられました

点数取った後もミスした後も一回一回修正だとか、コミュニケーションの声は絶やさずとっていこうということはチームで言っていました。意識してできたように思います。

――きょうの一勝はこれからに向けて大きな一勝となりましたか

4戦して1勝3敗でした。今週が終わると黒鷲旗(全日本男女選抜)などで、リーグが空いてしまいます。なので前半戦を3勝3敗の五分五分の状態に戻して、後半戦は一から臨めるように、とにかく今週の二試合は勝とうということでした。もちろん今まで勝つこと目標にやってきていたのですが、何が何でも今週二試合勝つという強い気持ちをもってやっていきたいと思います。

田中健翔副将(スポ4=熊本・鎮西)

――先週はチームとしても個人としても悔しい試合となりましたが、どのように切り替えてきょうの試合に臨まれましたか

先週2敗してからチーム全体でミーティングをしました。きょんねんのチームでは福山さん(汰一、平28スポ卒=現ジェイテクトSTINGS)にしっかり集めて、そこで勝負していくというのがチーム全体のかたちでした。ことしは先週までそれが曖昧でした。ことしは僕と加藤で攻めてそれで負けるのなら仕方ありません。とりあえずそこで最後はしっかり勝負をしようというチームの大まかなかたちをつくり、そこに向かって全体でフォローするということを話し合いました。そして、一週間練習してきょうの試合に臨みました。

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

そういうチーム方針だったので、自分にボールが集まりました。先週よりは少しましにはなったのですが、まだまだ最後の要としては細かいところでミスがありました。セットを取られた時は、まだ自分がミスをしていたのでまだまだでしたね。

――それでもきょうの田中選手は、春季関東大学リーグ戦が始まってから最も田中選手らしいプレーをしているように見えました

そうですね。相手のブロックがバラバラだったということもあったのですが、キャッチがしっかり返って、センターもしっかり機能しました。ブロックも1枚半とかになっていたので、自分としても気持ちよく打たせてもらうことができて、気持ちが上がってきました。

――チーム内でのコミュニケーションはいかがでしたか

切り替えていこうという気持ちでやりました。今までミス、ミスで雰囲気が悪くなっていたので、切り替えて、落ち着いて一本切っていこうということを頌平(山口主将、スポ4=長崎・大村工)と4年生中心にしっかり話し合ってやりました。

――きょう見つかった課題はありますか

ブロックシステムにまだまだ甘いところがあります。今回だとサイドがしっかりインナーに打ってくるということが分かり切っていたのに止め切れていない部分がありました。なので、戦術がまだかたちとして出てこないのでそれが課題として残りました。

――きょうの一勝は今後に向け分岐点となるでしょうか

はい。分岐点になったと思います。まだあしたがあるので、あしたもしっかり勝って、3勝3敗で半分を和えたいと思います。

加藤久典(スポ4=東京・早実)

――先週の連敗からどのように気持ちを切り替えてきょうの試合に臨んだのですか

先週までクイックがちゃんと決まっていなかったので、今週は止められてもいいから僕と田中(健翔、スポ4=熊本・鎮西)に全部集めて、僕のクイックと田中のライトで決め切るというふうにチームの方針として固めました。そこがうまく機能できるように練習してきました。

――クイックがよく決まっていましたがいかがでしたか

きょうは振り抜けてしっかりと打てた気がしたので良かったのですが、あしたは駒大がどういうふうにブロックしてくるのか分からないので、そこはビデオを見て確認したいと思います。

――ブロックに関してはご自身で振り返っていかがですか

あまり止められていないので、もう少し止めたいと思います。

――きょうの試合の収穫は何でしょうか

クイックが今までにないくらいしっかりとたたけたので、そこは収穫かなと思います。

――逆に課題はありますか

チームで何をするかが明確になっていないので、そこをきょうもう一回ミーティングで話し合って確認したいです。

――次戦への意気込みをお願いします

僕が全部決め切るつもりで打ち込んでいきたいと思います。

山﨑貴矢(スポ3=愛知・星城)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

勝ちはしたんですけど、向こうのミスに助けられたところがあったので、あまりいい試合ではなかったと思います。

――サーブがきょうは決まっていたと思うのですが、ご自身で振り返っていかがですか

でもミスが多かったのでプラマイ0かなという感じです。

――ブロックの出来はいかがでしたか

ブロックは全然だめでした。

――きょうの試合で見つかった課題はありますか

向こうのミスに助けられたということですね。

――次戦への意気込みをお願いします

あしたも勝ちに行きたいと思います。