課題浮き彫りに…明大に手痛い一敗

男子バレーボール

 宿敵を前に、なすすべもなかった。春季関東大学リーグ戦開幕から一週間。3戦目の対戦相手である明大といえば、幾度となくフルセットの死闘を演じてきた好敵手だ。しかしこの日は一方的な試合展開となり、セットカウント1-3(15-25、25-18、19-25、20-25)で完敗。痛すぎる黒星に、戦いを終えた選手たちは落胆の色を隠すことができなかった。

 第1セットから、早大らしさは影を潜めていた。サーブレシーブに苦しみ攻撃のリズムが崩れると、得点源であるサイドアタッカーがことごとく封じ込まれる。負の連鎖を抜け出すことはできず、10点という大差で失セットを喫した。一方、第2セットは終始リードする展開に。特に終盤は山﨑貴矢(スポ3=愛知・星城)を中心としたブロックが機能し、猛威を振るう明大の攻撃陣をシャットアウト。この勢いのまま逆転劇につなげたいところであったが、現実は想像以上に厳しかった。

山﨑を中心に機能したブロック

 明暗が分かれたのは第3セット、7-7と同点の場面だった。サービスエースを許し相手に傾きかけた流れを引き戻すべく、山口頌平主将(スポ4=長崎・大村工)は途中出場の加賀優太(商3=東京・早実)らにトスを上げサイド攻撃を展開する。しかし、タイミングが合わず一向に早大の得点は伸びない。7連続失点。「自分が何もできていなかった」と肩を落とした主将は、ここでコートを離れることを余儀なくされた。その後、山口の代役として送り出されたのは小林光輝(スポ2=長野・創造学園)。「その場面場面で自分のやるべきことを把握してチームに貢献していければ」という言葉通りの活躍で試合を立て直すが、執拗(しつよう)なまでのクイック攻撃に対応できずこのセットを落とす。後のない第4セットでは6つのサーブミスなど精彩を欠き、打開策を見つけられないまま相手の25点目を迎えてしまった。

途中出場でチームに貢献した小林

 「4年生全員でチームを引っ張っていかなくてはいけない」(加藤久典、スポ4=東京・早実)。この言葉が示すように、最上級生が中心となれずにいる現状がチームに重くのしかかっている。3試合を終え、まさかの負け越し。強豪校との対戦を前に予期せぬ敗戦を強いられているが、戦いが続く限り下を向いてばかりではいられない。エンジの逆襲は、ここからだ。

(記事 川浪康太郎、写真 藤原映乃)

セットカウント
早大 15-25
25-18
19-25
20-25

明大
スタメン
レフト 喜入祥充(スポ3=大阪・大塚)
レフト 藤中優斗(スポ2=山口・宇部商)
センター 加藤久典(スポ4=東京・早実)
センター 山崎貴矢(スポ3=愛知・星城)
ライト 田中健翔(スポ4=熊本・鎮西)
セッター 山口頌平(スポ4=長崎・大村工)
リベロ 堀江友裕(スポ1=和歌山・開智)
コメント

山口頌平主将(スポ4=長崎・大村工)

――ずばり、敗因は

相手にサーブで攻め込まれたわけでもなく、相手にすごいスパイカーがいたわけでもありません。一人一人の役割や責任を全く果たせずに、個人個人としてチームになっていないということが敗因だと思います。

――特に序盤、サイドが機能していないように見えましたが

全体を通して思い切ったプレーができずにいました。逃げのプレーというか安パイなプレーで攻め切れず、その中でもミスしたりして相手と戦うことができませんでした。

――一方でセンター攻撃はいかがでしたか

もっと自分が機能させないといけないし、もっといいトスを上げていかないと厳しいなというのはあります。

――第3セットの7連続失点が大きな分かれ目になったと思うのですが、あの場面を振り返って

軸がぶれてあっち行ったりこっち行ったりしました。軸になる存在がいないのでそうなるのは当然かなと思います。

――途中交代の時間帯もありましたが、どんな心境でしたか

自分が何もできていなかったのでそうなるのは当然だと思います。外から見て分かることもあると思うので、その時は頭を冷やして次に出る時のために気持ちをつくろうとはしていました。

――最後に、あしたの試合への意気込みをお願いします

チームとして戦わないと勝てないと思います。切り替えるということと、一人一人の役割とか責任を果たす準備をしっかりして頑張りたいと思います。

加藤久典(スポ4=東京・早実)

――きょうの試合を振り返ってみていかがですか

4年生がチームをまとめることができなかったと感じています。

――明大とは2年連続で全公式戦がフルセットとなっています。苦手意識はありましたか

そういうのはないですね。似たような試合運びをしてくるので、ラリーが続くと思っていました。その中でどう決めるのかを試合前のミーティングで話していたのですが、きょうはリズムがつくれず、波に乗れませんでした。

――きょうはブロックとレシーブの関係が良くない場面や、ブロックが割れてしまう場面が見られました

今週はブロックをしっかりやることをテーマに練習して、ちゃんとコミュニケーションを取ろうという話をしていました。ですが、苦しい場面になればなるほどコミュニケーションが取れていなかったかなと感じています。

――ご自身のブロックの出来はいかがでしたか

高いボールはブロックできたのですが、クイックとか(テンポが)早いのにはシャット(アウト)とかできていませんでした。あしたからはそこを課題にしていきたいと思います。

――スパイクに関しては、昨年に比べて本数が減ってきています

クイックが使えないサーブレシーブが目立っていました。今週はサーブレシーブも練習してきましたが、そこでうまくいきませんでした。ワセダの攻撃のメインであるクイックと真ん中の速い攻撃ができなくて、勢いが出ていないのかなと思います。

――リベロ交代している堀江友裕選手(スポ1=和歌山・開智)のプレーはいかがですか

1年生ですがすごいしゃべりますし、レシーブも仕事もしています。逆に僕らがちゃんとやらなくてはいけないと思わせてくれる存在ですね。

――4年生としてどのようにチームをまとめていきたいとお考えでしょうか

試合で勝つことももちろんですが、バレー以外でも1年生から3年生に指導とかしてキャプテンだけでなく、4年生全員でチームを引っ張っていかなくてはいけないと感じています。

――あすの試合に向けての意気込みをお聞かせください

4年生全員でチームを引っ張って勝利を取っていきたいと思います。

山﨑貴矢(スポ3=愛知・星城)

――本日の試合振り返っていかがでしたか

何もできなかったです。チームとしても個人としても、何もできなかったですね。

――ブロックが良かった印象がありました

ブロックはいつもより多かったんですが、向こうがそんなにスパイクを狙ってきてなかったので、勝負した感じですね。

――サーブに関してはいかがでしょうか

本当にサーブは全然だめでした。ミスも多かったので、課題ですね。

――チームとしても個人としても、他に課題は見つかりましたか

幅広く課題はあります。具体的にはレセプションからのスパイク、あとは全体のサーブの精度を上げることなどです。

――今季レギュラーとして定着して心境に変化などありましたか

試合に出るのは初めてではないのですが、新入生たちと実力はそこまで変わらないので、代えられないようにいつも頑張り続けたいと思います。

――ことしの春季関東大学リーグ戦での目標、意気込みを教えてください

今回は負けてしまったのですが、ここから全勝できるように頑張りたいです。あしたは切り替えて勝ちにいけるようにしたいです。

藤中優斗(スポ2=山口・宇部商)

――きょうの試合での手応えはいかがでしょうか

一番は相手がどうこうというより自分たちのプレーがうまくできませんでした。準備が足りなかったと思います。

――プレーがかみ合わなかったのでしょうか

気持ちはなかったわけではないのですが、足りなかったのかと思います。変に力が入って空回りしたというのもあります。自分たちがやってきたことを信じてやれてなかったと思います。声だったり、僕たち下級生が自分の仕事をできませんでした。一人一人の仕事を果たしていなかったのが一番の原因かなと思います。

――藤中選手は要所でスパイクで得点を稼いでいましたが

あまりスパイクで貢献した実感はありません。調子がいいときはキャッチからスパイクで決められるので、常にそれを出されるようにしたいです。きょうはキャッチで1年の堀江(友裕、スポ1=和歌山・開智)と声を掛け合ったのですが、僕が行かなければいけないボールを任せるなど消極的になってた部分がありました。守りの部分からリズムをつくってチームを下から支え、引っ張っていけたらいいと思います。

――チームのブロックの完成度は

松井さん(泰二監督、平3人卒=千葉・八千代)からも指摘があったのですが、バックアタックに対して1枚ブロックになる場合がありました。プレー前やプレー中に僕ら自信で声を掛けて確認するということが足りなかったと思います。

――ブロック以外の守備は

相手の打つコースはデータで見ていたのですが、いざコートに立ってプレー中にやってみるとボールが上がりませんでした。簡単なボールも上げられてなかったので、守備面でも合格点はあげれないと思います。

――あしたはどのような意気込みで臨まれますか

今は1勝2敗ということで不本意な結果ですが、リーグはまだ春ということもあって最終的には全カレ(全日本大学選手権)に向けていいかたちに持っていけたらいいと思います。だからといって負けていいという試合ではありません。そういうところは、最初に言ったように一人一人の役割を果たして、チームとして勝つという気持ちをもっと出さなければいけません。残りの試合を全て勝つという気持ちで行きたいと思います

小林光輝(スポ2=長野・創造学園)

――きょうの試合を振り返って敗因はどこにありますか

チームとして受け身になっていました。負けないようにとレセプションから決めようという意志が強すぎました。そのレセプションが乱れて、一点を取れなかったためにずるずるといってしまいました。まだ春なのでチームとして点数を取りに行くことが大切だと思うのですが、攻める気持ちという部分が不足していたのかと思います。

――3セット目のご自身のプレーを振り返っていかがでしたか

思ったより自分でもコートに入って冷静にできたので良かったと思います。

――春リーグでは二枚替えというかたちでコートに立つ機会も増えましたが、ご自身の役割は何だと思われますか

自分はチームや点数に応じてその場その場で、二枚替えやサーブだけだったり、セッターと交代だったりといろいろなかたちで起用されます。なので、その場面場面で自分の中やるべきことを把握してチームに貢献していければと思います。

――あしたの試合に向けて

チームがいい方向に持っていけるように役割を果たし、少ないチャンスをしっかりつかんでいきたいと思います。