豊田合成に完敗し、現体制終幕

男子バレーボール

 天皇杯ファイナルラウンド2回戦で、早大はVリーグの首位に立つ(12月6日終了時点)豊田合成との試合に臨んだ。スーパーエースのイゴールに対応できず、セットカウント0-3(15-25、13-25、17-25)で敗退。今大会をもって現体制は終了し、福山汰一主将(スポ4=熊本・鎮西)と阿部あずさアナリスト(スポ4=神奈川・洗足学園)は引退となった。

 「守りに入ったら戦えない」。前日の試合後にこのように話した藤中優斗(スポ1=山口・宇部商)。対戦相手の豊田合成は最高到達点360センチのイゴールを軸とした攻撃と組織的な守備でVリーグの開幕から9連勝を収めている。早大としてはサーブで崩し、センターを中心としたコンビバレーで接戦に持ち込みたかった。第1セット、立ち上がりは粘り強い守備で相手のスパイクを拾う。また、中盤には福山や田中健翔(スポ3=熊本・鎮西)らのサーブで相手のレシーブを乱す場面が見られた。しかし、相手の強烈なジャンプサーブに攻撃の選択肢が限定され、サイドに偏った攻撃となる。スーパーエースのイゴールを止めることができず、大差でこのセットを失った。

相手のジャンプサーブに崩されてしまったレシーブ

 第2セットでは田中のバックアタックや藤中のコースに打ち分けたスパイクで得点を重ねる。だが、サーブレシーブが崩れてしまうとミスが重なってこのセットも取られた。後がなくなり、迎えた第3セット。立ち上がりにイゴールのサーブからブレイクされてしまうが、早大は喜入祥充(スポ2=大阪・大塚)や途中出場の加賀優太(商2=東京・早実)がスパイクを決めて接戦に持ち込む。中盤にはセンターを積極的に使った攻撃でポイントを挙げ、次第に良いプレーも見られるようになった。しかし、要所で相手センターにスパイクを決められ、簡単にサイドアウトを取られてしまう。ブレイクできずに点差を広げられると、17-25で試合終了を告げる笛が会場に響いた。納得のいかない表情を浮かべる選手たち。2回戦敗退となり、4年生の大学バレーは幕を閉じた。

第3セットの中盤にクイックを放つ主将の福山

 「情けなかった」。安定した守備からセンターを積極的に使うというスタイルを出せず、悔しさを口にしたエースの喜入。福山が後衛に下がったときにローテーションが回らず、要所でサイドアタッカーの決定率が上がらないという課題が浮き彫りになった。この試合をもって引退となった二人の4年生。福山は主将としてチームを統率し、阿部はデータ分析を通じてチームを陰で支えてきた。人数は少なかったが、チームに大きな足跡を残したに違いない。主将に就任する山口頌平副将(スポ3=長崎・大村工)ら3年生がリーダーシップでチームをまとめることができれば、主力選手が多く残る来季も期待が持てる。男子バレーボール部が新たなスタートを切った。

(記事 渡辺新平、写真 谷口武、新庄佳恵)


セットカウント
早大 15-25
13-25
17-25

豊田合成
スタメン
レフト 喜入祥充(スポ2=大阪・大塚)
レフト 藤中優斗(スポ1=山口・宇部商)
センター 福山汰一(スポ4=熊本・鎮西)
センター 加藤久典(スポ3=東京・早実)
ライト 田中健翔(スポ3=熊本・鎮西)
セッター 山口頌平(スポ3=長崎・大村工)
リベロ 後藤光明(社3=東京・早実)
コメント

福山汰一主将(スポ4=熊本・鎮西)

――きょうの試合をもって引退となりますが、いまのお気持ちをお聞かせください

自分はまた卒業後もあるので、そこに向けて準備をしていきたいです。きょうの負け方的に通用する人が少なすぎたので、そこは来年一人一人が分かっていると思うのでしっかりやってほしいなと思います。

――豊田合成は守備が良いチームですが、実際に対戦してみていかがでしたか

サーブレシーブで崩れたときも結局ずっと外国人が打っていたので、あまり強いというか外国人一人が強かったという感じしかないですね。

――打数こそは少なかったですがセンターからのスパイクは決まっていたと思います

サイドが決まらなくて、自分と藤中(優斗、スポ1=山口・宇部商)しか決まっていませんでした。守備も乱れてしまい正直ラリーにもなりませんでした。集中力もなかったのでそこら辺をしっかりしてくれればいいかなと思います。

――4年間を振り返ってみていかがですか

ことし一年は好き勝手やれたので良かったです。今回負けて、インカレでは3位だったので、次はしっかりとVの方で一年目から出られるように頑張っていきたいと思います。

――同期の阿部あずさアナリスト(スポ4=神奈川・洗足学園)に一言お願いします

きょうまでしっかりとアナリストの仕事と自分のサポートをやってくれたので本当に感謝したいです。これからは別々になるのですがぜひ暇なときにでも試合を見に来てもらえればと思います。

――松井泰二監督(平3人卒=千葉・八千代)に一言お願いします

松井さんはユニバ(ユニバーシアード)の合宿や本の出版などでことし一年忙しかったと思います。暇さえあれば練習にも来てくれました。基本的に自分がいろいろ考えてやってきたのですが、締めるところはしっかりと締めてくれたのでそこは本当にありがたいなと思います。

――後輩に向けてメッセージをお願いします

ことし(インカレで)3位という結果で、抜けるのは自分だけなのでしっかりともっといい成績を残せるように頑張ってほしいなと思います。

――今後に向けて改めて意気込みをお聞かせください

これからすぐにチームに合流することになるので、しっかりとまた体づくりからやっていかないといけないと思います。まだまだ上を目指して頑張っていきたいと思います。

阿部あずさ(スポ4=神奈川・洗足学園)

――きょうで引退となりますが、いまのお気持ちはいかがですか

いまはすがすがしいです。全カレで3位になれたというのがあって、この大会はどちらかというと来年に向けてという感じでした。合成に何かしてやって勝ちたいという気持ちはありましたが、相手のチームの外国人をはじめとして強かったです。

――きょうの試合を側で観ていていかがでしたか

相手がVリーグの中でも断トツ1位のところだったので、やっぱり外国の選手が日本人と全然違かったですね。アップやボール拾いをしているときも近くで見てすごいなと思いました。

――アナリストとしての4年間、特に印象に残っている思い出はありますか

私がバレー部に入ってから、データというのを始めたのですが、2年時には全カレで優勝をして、ことしも3位になれたことです。監督と昨日最後の練習のときに、わたしが1年時から作っていた資料を見ながら話していたのですが、1年はデータはビデオを見ながら全て手書きで記録して、エクセルに打ち込んで作成をしていました。データのシートもいまよりも原始的な感じで、自分はこんなものから作り上げてきたのだなと。いまはデータもどんどん進化していって、ワセダのデータはすごいと言ってもらえるようになって、自分が1年ごとに作ってきた資料を見ていると、少しはバレー部に貢献できたのかなと思います。

――アナリストとして後輩に託したい思いはありますか

いまの選手たちもそうですし、下のアナリストの子たちもデータがあるのが当たり前というふうになってきています。アナリストの後輩は自分が作ってきたものをそのままその通りにやっているので、いままで0からやってきている部分とか自分で考えてやってほしいし、これからはシートのレベルをアップしていってもらいたいです。チームとしてデータがあるのが当たり前ではなくて選手もありがたいと思ってくれればなと思うし、それに対してアナリストも選手の気持ちに応えようとしてお互いにやっていってほしいなと思います。

――今後のワセダに期待したいことはありますか

選手は福山くん(汰一主将、スポ4=熊本・鎮西)しか抜けないので、チームとしてはあまり変わらないと思いますが、1人ですが福山くんは精神的な部分での柱でした。いまでも福山くんがバックにまわった3ローテは厳しいので、そういう部分においてはもっと先頭に立っていける選手がいればいいと思います。

――やはりチームの中で1番感謝しているのは福山選手ですか

そうですね。いまはありがとうという言葉しか出てこないです。

山口頌平副将(スポ3=長崎・大村工)

――このチームでの最後の試合となりましたが、いまのお気持ちをお願いします

最後でVチームと試合できる貴重な機会だったので、楽しんで思いっきり試合に臨もうと試合前にスタートしたのですが、なかなか自分たちの力が出せませんでした。自分たちで守りに入った部分があって、あまり点数的にも内容的にも最後の公式戦となったんですけどちょっと良くはなかったかなと思います。

――豊田合成と対戦してみて大学生との違いは何だと感じましたか

サーブの威力も違うし、ブロックの怖さというか、ブロックが高いし固いし、完成するのも早いのでなかなか自分たちで点数取ることができなかったと思います。

――思うようにレシーブが上がらない中でどのように試合を組み立てようと心がけていましたか

ことし一年やってきたのがセンター中心にということでそういう組み立てをしようと思っていましたが、あちらもセンターに関しては結構厚くきてました。こっちはサイドにテクニックのある選手がいて最後は力で勝負しないといけないんですけど、そういう部分でまだまだ点数が取れないなっていうのは実感しました。

――ことしの総括をお願いします

4年生がプレイヤーは一人で、自分も3年になって上級生となりました。そのため、結構練習に取り組む姿勢とか、みんなに対する立ち振る舞いとか、そういう部分で自分も副キャプテンであり、3年生という上級生であり、立場を考えて上級生としての意識とか責任を持ってバレーボールに取り組んできました。結果的にインカレでは決勝に行けずに3位という結果で終わってしまったので、その時の悔しさっていうのを忘れずに来年一年、ラストの一年なので絶対にリベンジしなきゃいけないなと思います。

喜入祥充(スポ2=大阪・大塚)

――インカレが終わってから全日本までの2週間はどのような調整をされましたか

期間が短かったので、全カレまでにやってきたことを継続してやってきました。

――4年生との最後の大会でしたが、どんな意気込みで臨みましたか

勝って終われることはそうないので、自分たちのやれることをやろうと頑張っていました。

――きょうの試合を振り返っていかがですか

情けなかったですね。自分たちのやれることができなかったので、汰一さんには申し訳ないです。

――Vリーグのチームの高さについては、実際にプレーされてみていかがでしたか

外国人だけは桁外れに高かったんですけど、それ以外は関東のリーグ戦でも体験している高さだったので、もう少し何とかできたんじゃないかなと思います。

――今季を振り返っていかがですか

結果的には良い方の成績を残せたとは思うんですけど、ことしの締めくくりでいままでやってきたことができなかったので、また一からやり直さなきゃいけないなと思います。

――来季に向けての意気込みをお願いします

来季は今季を上回る成績を出せるように頑張りたいと思います。

藤中優斗(スポ1=山口・宇部商)

――いまの率直なお気持ちは

何もできなかったので悔しいです。

――きょうはどのような気持ちで臨まれましたか

汰一さん(福山主将、スポ4=熊本・鎮西)と阿部さん(あずさ、スポ4=神奈川・洗足学園)とできる最後の大会だったので、悔いのないようにやろうと思い試合に臨みました。

――きょうの試合振り返っていかがでしたか

相手のサーブにやられてしまって、自分たちの持ち味である真ん中の攻撃があまり使えませんでした。1年間通してサーブで攻めてスパイクでサイドアウト切っていくというのが課題だったのですが、それが最後の最後でできなかったのは今後の課題だと思います。

――豊田合成と対戦し、何を感じましたか

やはりスパイクやブロックが大学生とは違う高さである点はもう少し自分の中で練習して対応していきたいのと、キャッチの面では少し自信になるところがあったので、次のチームでも一から頑張っていきたいです。

――1年生ながらコートに入っていましたが、ことしを振り返っていかがでしたか

1年生のうちからこんなにいい経験をさせてもらって、最初から最後まで先輩方に助けられ支えられてばかりでしたが多くを学べたと思います。来年からは下が入ってきますが引っ張っていけるように自覚持って頑張っていきたいなと思います。

――来年の意気込みをよろしくお願いします

コートに立たせてもらっている以上はワセダの名前背負ってやっていると思うので、ことしの結果を越すことが来年汰一さんや卒業されていく方に恩返しになると思うので、また練習から頑張っていきたいです。