学生日本一を決める、真の戦いがついに幕を開けた。全日本大学選手権(インカレ)3日目。第2シードの早大は2回戦からの登場となった。静岡産業大藤枝校舎戦は立ち上がりに苦しむも、セットカウント2-0(28-26、25-15)で勝利し初戦を突破。3回戦は『NEXT4』の一角・山内晶大擁する愛知学院大に対しセットカウント2-0(25-19、25-21)とし、緊迫した接戦を制した。主力の欠場もあり課題は残ったが、順当に勝ち進み頂への第一歩を踏み出した。
得点源である田中健翔(スポ3=熊本・鎮西)を欠いた早大は、第1セット序盤から本来のバレーを展開することができない。サーブミスも目立ち、相手の勢いにのみ込まれかけたコート。その嫌な空気を一掃したのが、頼れるルーキー藤中優斗(スポ1=山口・宇部商)だ。21-23の場面でスパイクを決めると、今度は強烈なバックアタックを放ち同点とする。試合はジュースとなるが、最後はまたしても藤中がブロックポイントを挙げ競り勝った。第2セットも互角の戦いとなるが、加藤久典(スポ3=東京・早実)の3連続得点で波に乗ると、鵜野幸也(スポ1=東京・早実)ら途中出場のサイドアタッカーも奮起し逃げ切る。「勝ったことには変わりがない」(福山汰一主将、スポ4=熊本・鎮西)。格下相手に思わぬ苦戦を強いられたが、大事な初戦を全員の力で乗り越えた。
ブロックの間を狙いスパイクを放つ藤中
3回戦、早大の前に204センチの高いカベが立ちはだかった。その山内を避け両サイドを狙い、相手ブロックを「そんなに脅威には感じなかった」と言い切ったのは山崎貴矢(スポ2=愛知・星城)。田中の代役としてスタメンに名を連ねた男が要所でブロックアウトを取ると、終盤は相手のミスも重なり第1セットを先取した。第2セットでは、「ワンタッチは取りやすかった」と語った喜入祥充(スポ2=大阪・大塚)が狙いすましたようなスパイクを連発し試合を優位に進める。ラリーでは後藤光明(社3=東京・早実)を中心とした守備陣がスパイクレシーブを懸命に拾い、得点に結びつけた。最後は喜入の放った打球が相手コートに落ち、勝負あり。注目度の高い相手を破り、4回戦進出を決めた。
持ち前のパワーでブロックアウトを取る山﨑
「目標は汰一さんの胴上げ」(喜入)。若い力が目立つチームだが、その中心にはいつも福山主将がいた。『目標』への第一関門を突破した早大の戦いは、まだ始まったばかりだ。この冬、歓喜の瞬間は訪れるのか。1年間の、そして福山主将が描く4年間の最終章を見届けよう。
(記事 川浪康太郎、写真 渡辺新平、谷口武)
セットカウント | ||||
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早大 | 2 |
28-26 25-15 | 0 | 静岡産業大藤枝校舎 |
セットカウント | ||||
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早大 | 2 |
25-19 25-21 | 0 | 愛知学院大 |
コメント
福山汰一主将(スポ4=熊本・鎮西)
――静岡産業大藤枝校舎との試合では第1セット、ジュースにもつれ込みましたが振り返ってみていかがですか
相手は3試合目であるのに対してこっちは初戦でしたし、1年生は(全日本大学選手権は)初めてだったので、慣れない雰囲気でやった結果ちょっともたついてしまいました。2セット目はいつもよりかはダメでしたけど、1セット目よりかは良くなりました。合格点はあげられないですけど、勝ったことには変わりがないので良いかなと思います。
――きょうは田中健翔選手(スポ3=熊本・鎮西)に代わって山﨑貴矢選手(スポ2=愛知・星城)が起用されましたが、山﨑選手の活躍はいかがでしたか
まだ打ち急ぐ部分があるので、大学での経験はきょねんしかないですけど、もっと冷静に練習通りやってくれれば良い数字も出てくると思います。
――ブロックとディグの関係についてはいかがでしたか
何とも言えないですね。コースに入れないときもあり、まだちょっと甘い部分があって、チャンスボールも結構逃していたりしたので、そこら辺の関係をしっかりとつくれていけたらもっと楽になると思います。
――愛知学院大の山内晶大選手に対してはどのような対策を取っていましたか
特別な対策はしていません。もう少し真ん中を使ってくるかなと思っていたら全然使ってこなかったので、こっちとしては楽な展開になって良かったと思います。
――あすに向けて意気込みをお聞かせください
あしたは近大と専修か龍谷のどちらかとやることになり、そろそろきつい戦いが続いていくので、しっかりと自分たちのプレーができればいいなと思います。
喜入祥充(スポ2=大阪・大塚)
――ご自身2回目のインカレ(全日本大学選手権)ですが、きょねんとは入り方など変わりましたか
下級生も対角に入っていますし、ミスを出さないように心掛けました。
――1試合目の第1セットはジュースになってしまいました
気を抜いてしまったところが良くなかったと思います。
――2試合目の愛知学院大戦を振り返って
逆に注目度の高い相手の方がやりやすかったですし、気持ちもしっかり入ります。普通に自分たちのバレーができました。
――テレビカメラなどは気にするタイプですか
多少は気にするところはありますけれど、それでプレーに影響されていたら話にならないので、自分のプレーはしっかりやるようにしています。
――山内晶大選手(愛知学院大)への対策などはありましたか
特にないですが、サーブで攻めてキャッチを乱せばセンターは使えないので。サーブを攻めるようには心掛けていました。
――ブロックアウトを取る場面などが多く、好プレーが多い印象でした。調子のほどは
相手のセンターが大きかったので、その分ブロックもよく見えましたし、ワンタッチは取りやすかったです。
――インカレが開幕してチームの雰囲気はいかがですか
汰一さん(福山汰一主将、スポ4=熊本・鎮西)を胴上げするために、とみんなでまとまってやれていると思います。
――あすからは5セットマッチになります
できるだけ疲労を溜めないように、ストレートで全部終わらせるぐらいの勢いでやっていきたいです。
――改めて今大会への意気込みをお願いします
目標は汰一さんの胴上げですが、観客も増えていると思うので、そういう人たちに「ワセダのバレーっていいな」と思ってもらえるようなバレーをしていきたいと思います。
山﨑貴矢(スポ2=愛知・星城)
――きょうは田中健翔(スポ3=熊本・鎮西)選手の代役としてスタメンに選ばれましたが、決まったときの心境はいかがでしたか
1人代わったからといって負けてはダメなので、しっかりやれることだけやろうと思いました。
――きょうはブロックアウトも多く見られましたが、ワンタッチを狙ったスパイクを心がけていたのでしょうか
もともとブロックアウトの方が得意なので、狙いました。
――ご自身のサーブはいかがでしたか
そんなに良くはなかったです。
――愛知学院大は高いブロックでしたがどのように感じましたか
真ん中の方には打たないので、ずっとストレートしか打っていなかったのでそんなに脅威には感じなかったです。
――セッターの山口頌平副将(スポ3=長崎・大村工)との相性はいかがでしたか
すごく打ちやすかったです。
――あしたの試合に向けた意気込みを聞かせてください
あしたは田中選手が戻ると思うのですが、いつ出るか分からないので準備だけはしておこうと思います。