課題克服、早大らしいバレーで関学大に勝利

男子バレーボール

 第67回早関定期戦が開催された。伝統の定期戦で最近はストレート勝ちを収め続けているため今回も勝利が求められる。同時に、12月1日に開幕する全日本大学選手権(インカレ)前の最後の調整の場ということもあり内容にもこだわっていきたい一戦となった。秋季関東リーグ戦後、課題として取り組んできていたブロックやサーブが機能。早大得意のコンビバレーで終始試合をリードし、セットカウント3-0(25-14、25-15、25-20)とストレート勝ちの記録を伸ばした。

 試合前、円陣を組んだ選手たちの大きな声が体育館に響き渡った。チームの雰囲気の良さとこの試合への意気込みが感じられる。第1セットは強化を続けてきたサーブとブロックの成果が表れるセットとなった。序盤からサーブレシーブが安定し、セッターの山口頌平(スポ3=長崎・大村工)がセンターにマンツーマンでついた相手のブロッカーをよく見て的確に配球しサイド攻撃でポイントを重ねる。勢いを完全に引き寄せると田中健翔(スポ3=熊本・鎮西)らがサーブでさらに攻め、相手のレシーブを乱してバレーをさせない。ブロックでは田中が1枚でスパイクを2度もシャットアウトし、練習の結果が実を結んだ。

相手のスパイクをブロックする福山(左)と喜入

 第2セットではバックアタックやクイックなど、さらに多彩な攻撃を織り交ぜ相手を翻弄(ほんろう)する。試合を優位に進める中で、サーブはただ攻めるだけでなくショートサーブを打つなど様々なものを試し、サービスエースを取ったりと収穫の多いセットとなった。最終第3セットでは、関秀優(スポ3=浜松市立)が2本クイックを決め、山﨑貴矢(スポ2=愛知・星城)が力強いスパイクを打つなどリザーブの選手が活躍。コート内、ベンチともにワンプレーワンプレーに一層大きな声が飛び交う。ボルテージが上がる試合の中、冷静なプレーできちんと最終セットを取り見事にストレート勝ちを収めた。

クイックで得点を挙げる途中出場の関

 全体を通して早大が理想とするバレーができていて、インカレに向けて大きな弾みとなった。しかし、速攻に対するスパイクレシーブやつなぎのミスも所々で見られた。負けたら終わり、全国の強豪校が集まる大会で優勝を目指す早大にとってこのようなミスは命取りとなる。残りわずか、最後の調整を行い、満を持して大舞台に臨みたい。

(記事 藤原映乃、写真 川浪康太郎)


セットカウント
早大 25-14
25-15
25-20

関学大
スタメン
レフト 喜入祥充(スポ2=大阪・大塚)
レフト 藤中優斗(スポ1=山口・宇部商)
センター 福山汰一(スポ4=熊本・鎮西)
センター 加藤久典(スポ3=東京・早実)
ライト 田中健翔(スポ3=熊本・鎮西)
セッター 山口頌平(スポ3=長崎・大村工)
リベロ 後藤光明(社3=東京・早実)
コメント

松井泰二監督(平3人卒=千葉・八千代)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

歴史の重みと、しばらく1セットも取られず負けていないといった重圧がある中で、学生たちはそういうことに関係なく自分たちの良さを出そうとしました。そして結果として自分たちのバレーができたということは良かったのではないかと思います。

――リーグ戦を終えていま伸びてきている部分は何ですか

全体的に底上げができましたね。特に僕の方から要望したのはブロック。ブロックを徹底的に強化し、ディグはだいぶ上がってきているので、そのブロックとディフェンスの関係をつくっていきたいというのがあります。秋(秋季関東大学リーグ戦)の後半はそれができていませんでした。あとは、サーブを鍛えてきました。そういった点で、きょうは練習の成果というか、課題がだいぶ解決してきたのかなという感じはしています。

――きょうはブロックでいうと田中健翔選手(スポ3=熊本・鎮西)が良かったと思いますが、いかがでしょうか

田中も含め、全体的に良いところでポイントを取ったり、ワンタッチを取ったりというのができていましたね。

――全日本大学選手権(インカレ)に向けて、いま期待している選手はいますか

やはり福山(汰一主将、スポ4=熊本・鎮西)、山口(頌平副将、スポ3=長崎・大村工)それから加藤(久典、スポ3=東京・早実)。この三人と田中や後藤(光明、社3=東京・早実)。やはり3、4年生には期待したいですよね。1、2年生は何か考えるとかではなく、やってきたことを出して、自分たちのことを精一杯考えてやってくれればいいと思っています。

――練習試合を多く組まれたということですが、手応えというのはいかがでしょうか

中央とやってだいぶ勝ち越せたということが本人たちにとって自信になっていると思いますね。試合というのはそういうものではないというのは分かっているのだけれども、自分たちのやってきたことは間違っていなかったということ、このままそれをしていけば自分たちのミスで負けるとかではなくて、自分たちの力で相手をねじ伏せることができるということに気付いているのではないかと思います。

――きょうはコート内外で選手たちは非常に声が出ていたと思います。チームの雰囲気はいかがでしょうか

最高に良いと思いますね。僕もボールを一切打っていなくて、自分たちでやるんだぞということはいつもインカレ前に言っています。ことしもそのスタイルで、自分たちで自分たちのチームをつくるということをいまやっていて、全員が声を出したり、走ったりということができていると思います。

――インカレのトーナメント表をご覧になってみて印象はいかがですか

いつもインカレというのはどの相手でも厳しいですが、最終的には日本一というのを目指しているので、相手ではなくて最終的には自分たちが自分たちに負けないというのが一番大事です。年間を通して言っているのが軸をぶらさないということであり、それがいつも私のスタイルであるので、その軸さえしっかりできれば組み合わせは関係なく突破できるのではないかと思います。

――インカレまで時間があまり残っていませんが、どのようなことを取り組んでいきたいとお考えでしょうか

まずはケガの防止ということでコンディションをしっかり整えていきたいです。あとはもう一度ブロックとサーブ、一本目のパスといった基礎基本をもう一回徹底し、わがままを捨ててチームのために貢献できるようにモチベーションを上げていきたいと考えています。

福山汰一主将(スポ4=熊本・鎮西)

――きょうの試合を振り返ってみていかがですか

きのう監督から7年間セットを取られていないということを言われました。ホームゲームでもあったのでみんないつも以上に良いサーブが入った結果、自分たちでしっかりと流れがつくれたと思います。

――きょうはチーム全体として非常にブロックが良かったと思います

秋リーグ(秋季関東大学リーグ戦)が終わっていままで言ってきたのがサーブとブロックです。ブロックを毎日やってきた中で、少しでもきょうみたいに結果が出たことは良かったのではないかと思います。

――きょうはショートサーブなども試されていましたが、サーブを振り返ってみていかがですか

ただガンガン打つだけでは相手を揺さぶることができないので、ちょっといろいろ試そうかなとは思っていました。

――前半はややセンターの本数が少なかったのですが、どのような意図がありましたか

頌平(山口副将、スポ3=長崎・大村工)なりにいろいろ考えていたんだと思います。少なかったんですけど、そこは相手のブロックとの駆け引きじゃないかと思います。

――全日本大学選手権まで時間があまり残っていませんが、どのようなことを取り組んでいきたいとお考えでしょうか

うちにはレシーブ賞(※喜入祥充選手(スポ2=大阪・大塚)が春季・秋季関東大学リーグ戦でレシーブ賞を受賞)もいるので、ブロックが組織としてもう少し機能してくればラリーも点数を取りやすくなると思います。しっかりとサーブで攻めれたときに、ブロックかけて切り返しができるようなチームをつくっていき、ファーストブレイクが切れるようにしたいです。そこのところで他のチームと差が出ないようにしたいと思います。

山口頌平副将(スポ3=長崎・大村工)

――きょうの試合はどのような気持ちで臨みましたか

1週間後のインカレの組み合わせが決まって、ベスト4を決める間に関西の上位のチームと当たることが分かりました。関西は攻撃が速かったりだとかブロックが1対1で勝負を仕掛けてきたりだとか、関東と関西のチームスタイルが異なっています。インカレで関西のチームと当たるので、関西のスタイルを体感することのできる良い練習だと思って臨みました。

――ストレート勝ちとなりましたが手応えはいかがでしたか

サーブで攻め続けれたことは良いと思うのですが、まだまだ自分たちで崩れる場面とか、つなぎの面で細かいミスだとかがありました。決まってはいるけど上の方では通用しないだろうなというプレーも多かったので、もっと詰めれるところがあったと思います。

――序盤はセンターへの配球が少なく見えましたが

相手がマンツーマンでセンターに張り付いている場面があって、それでも決められるセンターだとは思うのですが、パイプや時間差を増やしていこうという意図があったので、それを意識してやっていました。

――ご自身のサーブはいかがでしたか

ミスは1本出してしまったのですが、きょうは自分自身としては、狙う人は決めていたんですがそこまで攻めることはできなかったです。

――現在、チームの調子や雰囲気はいかがですか

インカレ前のゲーム形式はきょうで最後なので、アップからインカレの練習をしていこうということで良い雰囲気ができたと思います。

――インカレへ向けた意気込みをお願いします

トーナメントだし負ければ終わりということで、組み合わせを見ても早い段階で厳しい戦いになるというのは分かっているので、もちろん目指すのは優勝ですが、目の前の1試合1試合を全力で戦っていけば結果もついてくると思うので、先を見ずにしっかり戦っていきたいと思います。

田中健翔(スポ3=熊本・鎮西)

――どのようなことを実践しようときょうの試合に臨まれましたか

監督ともチームともみんなできょう言っていたのは全日本インカレ(全日本大学選手権)がもうすぐ控えているので、そのリハーサルとしてきょうはアップからしっかりと気持ちをつくって、試合をイメージして臨みました。

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

きょうはサーブを攻めることができて、相手は全くバレーができていませんでした。そこにしっかりブロックをつけて、ディグの関係っていうのが結構できてたから大差で勝てたんじゃないかなって思います。

――ブロックでポイントを多く取っていらっしゃいましたが調子はいかがですか

毎日ブロックをメニューに入れるっていうのがあって、その練習の成果がしっかり出たかなと思います。

――きょうはサイドからの攻撃が多かったですがらサイドアタッカーの調子はいかがですか

もう少し、あのくらいのブロックだったらもっと確実に決めてほしいなっていうのもありますね。全日本インカレ(全日本大学選手権)だったらもっと高いブロックがでてくるのでまだまだ決めれるところはあったかなというのは思います。

――バックアタックの調子はいかがですか

基本は結構決まっていて、ブロックもそこそこだったので、まだまだうぬぼれずに全日本インカレに備えたいと思います。

――ベンチもともによく声が出ていましたが、チームの雰囲気はいかがですか

全日本インカレの前でみんな気持ちも高まっていい雰囲気を作れていると思います。

――全日本インカレが間近に迫っていますが詰めていきたいところはありますか

やることはやってきているので、あとは怪我をしないっていうのと体調の管理ですね。