首位・中大に完敗。課題浮き彫りに

男子バレーボール

 優勝に一筋の望みをつなぐため――。春季関東大学リーグ戦は第10日目を迎えた。5連勝で8勝1敗の2位につけている早大。この日は、全日本代表の石川祐希らを擁する首位の中大との一戦に臨んだ。自力優勝は消滅しているが、最終日に優勝の可能性を残すためにも勝利を収めたい。試合はジャンプサーブでセンターからの攻撃を封じられてしまう。相手のトスワークにブロックが振られ、エースを止めることができずセットカウント0-3(21-25、19-25、21-25)で敗れた。

 「オーッ、オーッ」。試合前、校旗を中心に円陣を組み、気持ちを入れる選手たち。毎試合見られる光景だが、この日は過去のどの試合よりも大きな声が出ていた。首位との直接対決にも気負いはない。第1セット、上々の立ち上がりを見せる。田中健翔(スポ3=熊本・鎮西)がブロックアウトを取ると、藤中優斗(スポ1=山口・宇部商)がバックアタックを決める。また、喜入祥充(スポ2=大阪・大塚)を中心に相手のスパイクを拾った。16-12と4点をリードし、中大がタイムアウトを要求。早大が試合を優位に進めていた。しかし、この後は試合展開が一変する。ネットタッチなどのミスが出ると、相手のジャンプサーブにレシーブが崩される。終盤に追い上げを許し、このセットを失った。

果敢にスパイクを放つ喜入

 「サーブレシーブが返らず、結局それから何もコンビが使えないという状態だった」(福山汰一主将、スポ4=熊本・鎮西)。第2セット以降も相手のサーブにレシーブが乱され、攻撃が限定される展開が続いた。第2セット、序盤に4連続失点を喫しリードを許す。流れを変えるため、加藤久典(スポ3=東京・早実)に代え山﨑貴矢(スポ2=愛知・星城)を起用。リベロも後藤光明(社3=東京・早実)と土屋健太郎(スポ2=群馬・高崎)の併用に切り替えた。それでもエースを軸に攻撃を組み立てる相手に対応できず、19-25の大差でこのセットを失う。次の第3セットは福山のクイックや喜入のスパイクが決まり、中盤まで接戦となる。だが、相手のセッターのトスワークにブロッカーが振られ、次第に点差が開く。そして、その時が訪れてしまう。21-24の3点ビハインド。相手のジャンプサーブにレシーブが大きく弾かれる。つなごうとベンチに体を投げ出すセッターの山口頌平副将(スポ3=長崎・大村工)。しかし、ボールは伸ばした腕の先へ。試合終了。これは同時に中大の優勝が決まった瞬間でもあった。

敗戦にうなだれる選手たち

 「情けない試合をした」と、エースの喜入はこの試合を振り返る。サーブレシーブが乱れ、センターを有効に使うことができなかった。また、サイドアタッカーが二段トスを決めきれず、今後の課題が明確になった。あすは法大との最終戦が控えている。気持ちを切り替えて、最後の試合を勝利で終わりたい。

(記事 渡辺新平、写真 谷口武)


セットカウント
早大 21-25
19-25
21-25

中大
スタメン
レフト 喜入祥充(スポ2=大阪・大塚)
レフト 藤中優斗(スポ1=山口・宇部商)
センター 福山汰一(スポ4=熊本・鎮西)
センター 加藤久典(スポ3=東京・早実)
ライト 田中健翔(スポ3=熊本・鎮西)
セッター 山口頌平(スポ3=長崎・大村工)
リベロ 後藤光明(社3=東京・早実)
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コメント

松井泰二監督(平3人卒=千葉・八千代)

――首位・中大の牙城を崩せませんでした

順位どうこうというよりは、自分たちの力をどこまで出せるかということだと思います。選手たちは力を出そうと頑張っていましたが、今回は力を出させてもらえませんでした。そこは王者の力というか、我々ワセダのバレーというものを知っていて、強力なサーブで攻めてきました。センターを使わせないようにして、完全に中大のペースにハマってしまいました。逆にワセダは、これからはそういうバレーを目指していかなくてはならないと感じました。チャンピオンとの差はそこですね。

――中心選手を温存された中での敗戦となってしまいましたが

そうですね。でも実際は(中大は)誰が代わりに入ろうが、セッターで主将の関田誠大と石川祐希のチームです。あの二人が落ち着いてプレーしていたので、他の代わりに入った選手もスムーズにプレーできていました。代表に選ばれたメンバーたちが入っていたとしても、点数的にはそんなに変わらなかったんじゃないかと思います。あの二人に完全にやられてしまいました。

――確かにその関田選手のサーブに苦しみました

トスだけで実際に点数が取れないセッターというポジションを務める中で、実際に点を取れる役割がサーブなので。本人もそういうことを自覚しているだろうし、素晴らしい選手だと思います。

――石川選手にも二段トスを容易に決められてしまいました

スパイカーというのはとにかく得点を奪うことが第一だという意識が彼の中にあるので、他の人に上げるよりは自分で決めるんだという意識が強く感じられました。

――その他の選手に関してもマークを怠らないようにしたいとおっしゃっていましたが、他のスパイカー陣に関してはいかがでしたか

まあまあブロックが機能すればとは思っていましたが、関田君のトス回しにやられてしまいました。うちのブロッカーが相手のスパイカーと戦う前に、セッターに振り回されて、ブロックがずれてしまいました。

――ブロッカーというと、第2セット途中から山﨑貴矢選手(スポ2=愛知・星城)を投入しましたが、それもブロック強化のためですか

加藤(久典、スポ3=東京・早実)は数字を見ていても疲労もあっただろうしあまり調子もよくなかったので。山﨑も頑張っていたので、思い切って変えてみようと思いました。

――山﨑選手に何かアドバイスなどはされましたか

しっかりと(加藤がいない間)留守番をしていたのだから、頑張ってやりなさいと言いました。

――同じくリベロも併用に切り替えられましたが

土屋(健太郎、スポ2=群馬・高崎)のディグの良さというのは昔からわかっていましたし、後藤(光明、社3=東京・早実)が取らなくてはいけないボールを取れていなかったので、流れを変える意味でも変えました。山﨑を投入したところでも流れが変わらなかったので、そのまま土屋を使い続けました。

――第1セットで中盤以降流れを奪われてしまった要因はどうお考えですか

自分たちのミスですね。1本目の簡単なボールをミスしてしまったところから、相手に流れを作らせてしまいました。相手にやられたということも最初はなかったですしね。

――相手のサーブミスから反撃という流れも作れませんでした

相手もミスは多かったですが、入った時のサーブというのはとても強かったです。入るといやだなあというのはうちのチームに意識としてありましたね。

――第3セットの最中の選手たちは監督の目からどう映っていましたか

自分たちも(力を)出そうとしているのだけれども、サーブレシーブも崩されてしまっていてやることが決まってしまっていました。サイド中心になってしまったことで、本来の力を出せませんでした。

――喜入祥充選手(スポ2=大阪・大塚)が課題としている序盤の出来というのはいかがでしたか

きょうは数字を見ても比較的悪くなかったので、本人としてもすごくよく頑張ったと思います。

――きょうで早大の優勝はなくなってしまいましたが、改めて春季リーグ戦(春季関東大学リーグ戦)を振り返っていかがでしたか

春は自分たちの良さを全部出してみるということでした。出せない試合もあったので、今後も継続して自分たちからまずしっかり攻撃を仕掛けることを軸にしていきたいです。あとはブロックの強化をしていかなくはいけないので、それも含め取り組んでいきたいです。

――昨年の終盤はチームとしてブロックの完成度が高かったですが、チームが変わりまた組み直しということでしょうか

そうですね。これからまた1本目のパスからやって、あとはサーブですね。サーブがことしのチームはなかなか決定率も高くないので、サーブとブロックを夏は鍛えていかなくてはならないと思います。

――春季リーグ戦は監督自身チームを離れる時期がありましたが、その間も近況を確認されたりはしていましたか

映像は全部送ってもらいましたしデータも見ていました。自分のコメントも選手全員にメールで送ってはいました。

――チームの戦いぶりはいかがでしたか

3試合とも相手は監督のいるチームで、本人たちは不安もあったと思います。その中で主将の福山汰一(スポ4=熊本・鎮西)を中心にみんなでまとまってやってくれたと、すごく成長したと思います。

――早い段階からチームとしてまとまれたことはやはり収穫でしょうか

その分もっと密なものにして、チーム力を上げていかなくてはいけないです。あとは個人をもう少し大きくしなくてはいけないですし、鍛える部分はまだあります。

――あしたでリーグ戦も閉幕ですが、意気込みをお願いします

勝ち負けを意識せず、自分たちのやってきたことがどれだけ出せるかです。きょうみたいに全く出せてもらえなくなるようなチームではないと思うので、精一杯向かっていってほしいです。

福山汰一主将(スポ4=熊本・鎮西)

――きょうの試合を振り返ってみていかがですか

中大のサーブにずっと攻められて(レシーブが)返りませんでした。真ん中もコンビも使えず、二段トスでブロックされたりミスなども出た結果、レセプションアタックがずっと切れなくて相手に決められてしまい負けてしまいました。

――相手のジャンプサーブに対してどのような対策をされてきましたか

練習中は(サーバーが立つ)台をコートに近づけた状態からドライブサーブを打たせました。その時からサービスエースが多かったので、少しきついなと思っていました。それがそのまま試合に出てしまい、練習と同じような結果になってしまいました。

――チーム全体としてスパイクレシーブが良かったと思いますが、振り返ってみていかがですか

序盤の方は石川祐希(中大)のスパイクとかも上がっていたので良かったと思うのですが、上がったときに限ってブロックでネットタッチしたりドリブル等もあったので、結構厳しかったと思います。

――第2セットから山﨑貴矢選手(スポ2=愛知・星城)が途中出場しました

きのう加藤久典(スポ3=東京・早実)が(U-23遠征から)帰ってきて、トスを合わせて出だしやってみようという話になっていました。しかし、スパイクが決まらなかったので、それならブロックの良い山﨑を出そうという話を監督(松井泰二、平3人卒=千葉・八千代)としました。

――同様に途中出場となった土屋健太郎選手(スポ2=群馬・高崎)に関してはいかがでしょうか

練習中にディグが後藤(光明、社3=東京・早実)よりも良かったので、後藤(のレシーブ)が上がらない状態ならば代わりにリベロで入れてみようという話になりました。

――本数は少ないもののクイックがよく決まっていたと思いますが、ご自身のスパイクを振り返ってみていかがですか

前半は全然決まらず、後半は普通でした。サーブレシーブが返らず、結局それから何もコンビが使えないという状態でした。そのため、サーブレシーブが今後の課題だと思います。

――次の試合に向けての意気込みをお聞かせ下さい

とりあえずあしたは3-0でしっかりと勝てるように頑張りたいと思います。

山口頌平副将(スポ3=長崎・大村工)

――中大相手にストレート負けに終わってしまいました

向こうも本来のレギュラーメンバーから3人変えて臨んでいましたが、それでもストレートで負けてしまったというのは、まだまだ自分たちの力が足りないということです。

――きょうの試合にはどのように臨まれましたか

いつも通りの気持ちで入れたとは思います。でも(中大に)サーブで押し込まれ、自分たちはサーブをミスしてしまいリズムを作れませんでした。それが敗因だなと思います。

――相手は攻めてきた分、サーブミスも目立ちましたが

中大はミスしてもいいから思い切ってサーブを打つスタイルでした。中大はブロックもいいですし、自分たちが我慢すべき場面で我慢できなかったので、連続失点が多くなってしまいました。

――試合前の戦略としてはどのようなことを考えていましたか

まずいつも通りサーブで攻めようという意識はありました。でも自分たちはミスがあまりにも多かったし、それでサーブを入れていこうとしたら、向こうの思うようにコンビを多用されてしまいました。負けパターンになってしまいました。

――石川祐希選手(中大)以外に注意したいというチーム方針だったと思いますが、石川選手以外のスパイカーの印象は

石川以外は遅い速攻なので、よく反応できましたし、思い切り打たせる場面は少なかったと思います。勝負どころで石川に(トスが)上がってしまうとほとんど決められてしまいました。二段トスも思い切り決められましたし、ブロックポイントもいままでの試合より全然ありませんでした。何もできなかった感じですね。

――中大戦に向けてこの1週間取り組んだことはどのようなことですか

相手はジャンプサーブが多くてどんどん攻めてくることはわかっていたので、ジャンプサーブのレシーブの練習はたくさんしました。でも間を抜かれたり、いいサーブレシーブがなかなか返らず、センター線を軸に攻めるチーム方針も封じられてしまいました。

――セッターとして思うようなトスが上げられなかったということですか

そうですね。どうしてもサイド中心の組み立てになってしまいました。相手のブロックも背が高く固いので、サイド中心だときついですね。

――第1セットも中盤までは競った展開でした

中大は勝負どころでレシーブが上がったり、勝負どころで二段トスを決め切ったり、終盤に強いチームでした。一方で自分らは取るべきところで点を取れなかったのが大きいと思います。

――第3セットは押される展開が続きましたが、チームの雰囲気はいかがでしたか

守りに入らず攻めようとか、点数決まったら走っていこうとみんなで話してはいました。でも守りに入ってしまったりして、あまりいい雰囲気ではありませんでした。

――あすはリーグ最終戦になりますが、切り替えはもうできていますか

切り替えて頑張りたいと思います。

――心掛けたいことはなんでしょうか

きょうは自分たちの力が全然出せなかったので、自分たちの力を出すことを意識してやっていきたいと思います。

――早大の優勝はなくなってしまいましたが、その点で思うことは何かありますか

中大もユニバーシアードの代表などでメンバーが何人か抜けた中でもいまのところ全勝ということで、(自分たちが)情けないとは思いますが、今後まだ試合はあるので、もっと練習を重ねて強くなっていきたいです。

――改めてあすへの意気込みをお願いします

まずは切り替えて、あしたの試合に集中してしっかり勝ちたいと思います。

喜入祥充(スポ2=大阪・大塚)

――きょうの試合を振り返ってみていかがですか

一言で言えば、情けない試合をしたと思います。完全に相手に飲まれたというか、相手は特に何もしていないのに自分たちで崩れたような感じでした。

――サーブで崩されてしまい二段トスが上がる場面も見られましたが、振り返ってみていかがですか

二段トスが多くなることは分かっていたので。そこをどう決めきるかということについて話はあったのですが、そこで決めきれなければ今回あのようになるということが分かりました。中大に勝たなければどの大会でも優勝はないので、東日本と秋リーグ、全日本インカレに向けて自分たちのやらなければいけないことが明確になったと思います。

――課題とは具体的にはどのようなことなのでしょうか

自分たちのバレーをするためにはやはりもう少しサーブレシーブを安定させなければいけません。もし(レシーブが)乱れたときも、しっかり二段トスでサイドが決めきらないと厳しいと思います。

――ご自身のサーブを振り返ってみていかがですか

攻めたのですが、ミスも多くなってしまいました。攻めても入る確率が上がらないと話にならないので、もう少しサーブに対する意識を変えていこうと思っています。

――ご自身のスパイクレシーブが良かったと思いますが、振り返ってみていかがですか

たまたまきて上がったようなものも多かったのですが、それでも上がって良かったです。

――次の試合に向けての意気込みをお聞かせ下さい

あしたで最後なのでしっかり最後は勝って終われるように、そして、その中でセットを落とさないように頑張りたいと思います。