第1回にはア式蹴球部(ア式)の中盤の要、小倉陽太(スポ4=横浜FCユース)が登場。昨シーズンにJ1・横浜FCに内定すると、最終学年となった今季は特に守備の強度の部分で圧倒的な実力を見せ、チームに欠かせない存在へと成長しつつある。そんな小倉に今季のここまでの手応えや、早慶クラシコに向けての思いを伺った。
※この取材は6月10日に行われたものです。
チームの力になりたいという思いはより一層強くなった
第5節亜大戦(◯3-0)で前線にボールを送る小倉
――今シーズンここまでを振り返ってください
小倉 うまくいくこともあればいかないこともあって、勝ててる試合もあれば、負けてる試合もあり、そう甘くないなと感じています。実際、現在山梨学院大学と立正大に2敗していて、自分たちが思い描いているものではないのかな、と思っています。
――ケガから復帰して自身の現在の状態はどうか
小倉 ボランチとセンターバック複数ポジションやりながら、自分の中でもそこの切り替えは難しいものがあって、ボランチで見えてる景色とセンターバックで見える景色はやっぱり違うなと。ただ、そこの頭の切り替えのところは、最近徐々に整理がついてきて、求められているプレーを整理しながら、試合に臨めています。ただ、自分は断然ボランチがあってると思います。
――ケガでの離脱期間中に自信の心境などに変化はあったか
小倉 ケガをして、試合に出れない状態が続いたので、やっぱり試合に出てチームの力になりたいという思いはより一層強くなったし、その思いを亜大戦とかで表現できたと思います。
――チームとしてここからさらに上位へと行くための課題は
小倉 チーム全体としての課題はやはり攻撃の部分、前節の立正戦も打ち合いとなったゲームを2-4で落としたことは相手よりも得点力が劣っていたということなので、チーム全体としてはそういう攻撃の得点力、決定力が課題だと思います。また、自分はDFの選手なので、立正大戦で4失点してしまったという事実は守備者なら目を向けないといけない課題です。個人的にはそういった守備のところ、後ろが失点しなければ負けはしないのだから、必ず毎試合ゼロで押さえていくくらいの気持ちでやらなければいけないなと感じています。
――それをどのように改善していきたいですか
小倉 守備の整理が現在DFラインの選手の間でバラバラなので、まずはそこの意識の統率をするというところと、個人個人のレベルアップが一番無失点につながると思います。
――今チームの中で自分が求められている役割は何ですかか
小倉 センターバックで入った時は後ろを整理してゼロで抑えることです。それができると思われてそのポジションに置かれていると自分は考えているので、それに毎試合答えていけるようにしていきたいです。
――自分自身足りないと感じているところは
小倉 大学サッカーではある程度通用してしまいますが、自分は次のステージに進むことが決まっているし、そう考えるとどのプレーでももう1、2段階レベルを上げないとプロのステージに上がった時に活躍することは難しいと思います。自分の特徴は守備ですが、その部分でももっと、自分の特徴だと言えるようにしないとだし、攻撃の面でも、守備と遜色なくできるぐらいに、攻撃で特徴を出すレベルの選手にならないといけないと考えています。
――内定から1年たちましたが、心境の変化はありますか
小倉 去年はチーム状況もありましたが、周りからの目を気にしすぎて、プロ内定者だからこのレベルのプレーをしなければならないという思いが強かったです。それがゆえに、自分のプレーが出せなかったり、調子が中々上がらず、チームの結果もついてこずという感じでした。ですが、今年はそれにとらわれずにできていると思います。自分たちが勝つために、早稲田大学が勝つためにというところにフォーカスしながら、プレーしたり、練習に取り組んだりすることができていて、意外とそういう去年みたいなプレッシャーの圧に負けながら、というか押されながらプレーしている感じが無いのが心境の変化だと思います。
――noteで今季の目標として“自分で”ということを強調していたが、その意識は今季しっかりと出せているか
小倉 日体大戦(◯1-0)などは自分のところが攻撃の起点になったり、守備も自分のところで最終的に攻撃を防げるというのはできていましたが、できてきて、慣れてしまった部分があり、それが元となった立正大戦のプレーはチームに迷惑がかかってしまったなと思っています。もちろん、自分でやるべきところはやらないといけないですけど、サッカーというチームスポーツをやっている以上、自分のできないところを仲間に頼るということも必要だなと最近考えていて、今後は自分が他を圧倒しながら、周りとも常につながりながら、プレーすることができたら完璧だと思います。
――「現状維持は退化」という言葉を強く意識していると一年の時のブログにありましたが、今成長していると思う点は何ですか
小倉 座右の銘です。自分は圧倒的に体つきの部分です。自分は筋トレが好きじゃなくて今までずっと逃げてきて、なんならまったくやらないレベルでした。それでなんだかんだうまくいってしまっていたが、ステージが上がるとなったら、絶対にそう言うところをつける必要があるなと感じていて、現在はパーソナルなジムに通ったりもして、筋肉をつけたりしています。
――現状強みにできている部分は何ですか
小倉 自分の強みは守備のところで中盤でボールを奪えることで、攻撃でもチームに流れを渡せるのが自分の特徴だと考えています。
――プロに行くにあたって、現段階で通用している部分と足りない部分はどのように感じていますか
小倉 プロの練習参加に行っていないので何とも言えないんですけど、プロのチームと戦ってみて感じたのが、自分の強みである守備の部分は通用する部分があるなと感じた半面、守備で通用しないと感じたところも何個かあって、相手のレベルがそれなりに上がって来ると、自分が意図したようにプレーができないし、そういった中での対応力などはもう少し、自分の中で身に着けていかないといけないなと思います。やっぱりそこに慣れるしかなくて、プロになった後に、その環境に慣れながらだと活躍するのに時間がかかってしまうので、それを大学の今のうちから一応自分で気づけてはいるので、状況に応じたプレーであったり判断を常にできるようにしていきたいです。
絶対に勝って、チーム全員に勝利を届けたい
インタビューに答える小倉
――最後の早慶戦となりますがいかがですか
小倉 自分が最終学年となったことで、今までの早慶戦とはやっぱり違う意味を持つのかなと思います。今まで運営を同期やマネジャーが頑張ってくれている中で、やっぱりそういった選手たちの頑張りをなにかかたちとして残すには自分たち選手が試合に勝つしかなくて、勝ってチーム全員に勝利を届けられるようにしたいです。
――昨年の早慶戦ア式号では「クールな潰し屋」という見出しがつけられていたが、自分のことをどのような選手だと考えていますか
小倉 自分のプレースタイルもそんな感じだし、後輩からも初対面はクールと言われることが多いので、割と合ってるなとは思います。ただ、そこだけではないぞとは言いたいです。自分の守備者としての特徴は、他のDFに比べて、攻撃やビルドアップで違いを生み出すことができると思っていて、技巧派とかつけちゃいたいです。
――注目選手は
小倉 早慶戦は選手だけじゃなくて、運営をしてくれているマネジャーや選手など全員でつくり上げていると自分の中では思っているんですけど、ただ、だれか一人上げるとしたら、駒沢(直哉、スポ3=ツエーゲン金沢U18)ですね。自分は注目されたら緊張しちゃいます。あいつの泥臭さ、得点力は抜きんでていて、常にチームのために何か引き起こしてやろうという思いはプレー一つ一つから感じ取れるし、そういうプレーは周りから目立たないんですけど、そういうことろにも注目してほしいです。
――昨季はゴールを決めたが昨季の試合を振り返って
小倉 めっちゃ覚えています。本当に今までのサッカー人生の中で一番うれしかった瞬間でした。去年1-0で勝っている中で、あのまま1-0で行くっていうのも、去年実際にその状態から逆転されることもあったので怖かった中で、自分の攻撃参加から最終的に自分がゴールを決めて、チームに安心感を持たせられたのかなというのはあるので、今年もそういったところにも目を向けて、自分が最後試合を決めるようなプレーで勝たせられたらいいなと思っています。
――今年は出場したらどのようなプレーをしたいですか
小倉 DF面ではどれだけ失点しないか。チームが勝つために攻撃陣が点を取ってくれることを信じて守って攻撃に繋げるだけなので、そういったことを意識しながらやっていきたいです。
――早慶戦にむけての個人の目標と意気込みを教えてください
小倉 基本守備的な選手なので、無失点で終わるというのと、機会があれば去年みたいに点を取って勝たせられるようにという点で、意気込みは絶対に勝って、チーム全員に勝利を届けたいです。
――ありがとうございました!
(取材、編集 関端健斗 写真 髙田凜太郎、大濵愛弓)
早慶クラシコに向けての思いを書いていただきました!
◆小倉陽太(おぐら・ひなた)
2001(平13)年5月3日生まれ。183㌢、72㌔。横浜FCユース出身。スポーツ科学部4年。最近のマイブームはNintendo Switchの『ゼルダの伝説』シリーズと、カラオケだそうです!