第2回に登場するのは、第1回に引き続きMF村上真帆(大宮アルディージャVENTUS)選手とFW松本茉奈加(ノジマステラ神奈川相模原)選手です!新天地そして初代WEリーガーとしての思いとは。
※この取材は8月6日にオンラインで行われたものです。
「優勝を目指して頑張っていきたい」(村上)
ボールを供給しようと前線の様子をうかがう村上(写真提供:大宮アルディージャ)
――それぞれチームに加入して約半年ですが、良いところや課題は見えてきましたか
松本 良いところは、環境がすごく整っているところかな。シーズンが始まってすぐにグラウンドの芝を替えてもらえたり、寮が隣にあったりして、ノジマは選手ファーストなところが魅力ですね。選手同士での意見交換もしやすいし、全員で頑張ろうっていうのが芽生え始めました。既存新加入関係なく一つのチームとしてできるのはすごく良いなって思います。下部組織の選手もいるので練習試合ができたりもします。サッカーをすることに対して困ることが無いのは当たり前じゃないと思うし、だからこそ感謝したいですね。課題はスイッチが入るまでにすごく時間がかかったことです。全員がチームの一員だっていう意識で戦えたかって言われたら、まだまだ足りなかったんじゃないかな。ベテランの選手がすごくいるわけでもないので、自分たちが引っ張る意識でやらないと基準が下がってしまうと感じました。プレシーズンを通して自分事のように全員がやる意識がついたのはすごく良かったと思います。
村上 自分たちのチームの良いところは、ノジマとは対照的で幅広い年齢層の選手がいますが、その中でも年下の選手が年上の選手にしっかり意見を言えるところですね。縮こまっている選手が誰もいないし、結構みんな言いたいことははっきり言うので、選手間で何でも言い合える環境ができているっていうのは、良いところなのかなって思います。課題としては攻守において連携の部分がまだまだ突き詰めてやっていかなきゃいけない部分なのかなって思っています。できたばかりのチームですが、これから今まであったチームと戦っていかないといけないので、もっともっとお互いのことを知る必要があるし、共通意識を持ってやっていかないといけない部分もあります。攻守において連携って絶対必要だと思うので、その質をもっと高めていく必要があるかなって思います。
――松本選手はチームが苦しい中でもトレーニングマッチで5得点しました。自身の特徴も踏まえて、どう捉えていますか
松本 得点に関しては全然満足していなくて、でも自分の特徴をいち早くみんなが認識してくれてそれを生かそうとしてくれた結果、5点につながったっていうのはあると思います。ただ、自分のストロングポイントは出せても最後の決定力だったり、ラストパスの質だったりというところは課題だなというのは感じています。
――その中でもこれだったらプロでも通用するなという部分はありましたか
松本 スピードは絶対的に通用するなというのはプレシーズンを通して思ったんですけど、他の部分はまだまだ全然だと感じました。でもそういうところが見つけられたのは良かったなと思います。
――チームにはア女の先輩も在籍しています。やりやすさは感じますか
松本 みなみさん(石田みなみ選手、平26スポ卒)とはア女で一緒にプレーすることは無かったんですけど、松さん(松原有沙選手、平30スポ卒)は自分が1年生のときに4年生だったので、自分のプレースタイルだったり、逆にウィークポイントも知っているので、自分が欲しいところにパスを出してくれるという信頼感があります。
――チームを含めて位置が分かってきた中で、今シーズンのチームとして個人として、それぞれ目標は何か聞かせてください
松本 チームとしては、まず1勝。試合に勝つというところの気持ちというか全力を尽くすというところ。まず勝ちたいんですよね、このチームでちゃんと。そこはもう本当に直近の目標にしたいし、やっぱり勝つためには得点が必要だからこそ自分の責任感というか最後の質、その前の準備だったりというところをどれだけ今上げられるか、というのは課題でもありますし、目標です。個人としての目標は、FWとして誰よりも点を取るというのを目指したいと思っています。
――村上選手は高校時代は主将、大学では副将を務められていました。この経験がプロでも生きていると感じるところはありますか
村上 キャプテン、副キャプテンをやっていた時は自分のことももちろんですが、チームの事も考えながら、よりみんなのことを見てやってきました。今は役職は無いですけど、個人個人をしっかり見てその人がどんな特徴なのかというのはたくさん知れていますし、それをサッカーに多少は生かせているのかなとは思います。
――プレシーズンマッチもほとんどスタメンでした。ご自身のチーム内での立ち位置をどう捉えていますか
村上 プレシーズンマッチは4試合のうち3試合スタメンで出させてもらったんですけど、できないことの方が多いし求められるレベルに対する自分のレベルもかなり低いので、本当に毎日が課題を克服する日々です。だから自分の立ち位置というよりも自分が今できることできないことをはっきりさせて、できることはもっともっと伸ばしていかなきゃいけないし、できないことは改善していかなきゃいけないです。今は自分にしっかり向き合って自分に足りないものを克服していっていますね。
――チームにはW杯優勝メンバーの阪口夢穂選手や鮫島彩選手がいます。学ぶことが多いのではないでしょうか
村上 鮫島選手とはサイドバックとボランチで近いポジションなんですけど、相手にいたらものすごく恐怖だし一緒のチームだとめちゃくちゃ安心できます。今までの経験を全部生かしてチームに還元もしてくれていると思います。テレビで見ているだけでもすごいなと思っていたんですけど、やっぱり一緒にやることでより肌で感じることができているので鮫さん(鮫島選手)からたくさん吸収することもあります。自分たちには全く経験できないような世界のトップレベルの相手ともたくさん戦ってきてるというのもあるので、鮫さんから得られるものは得ていきたいなと思っています。夢穂さん(阪口選手)とも早く一緒にプレーしたいなって思っています。
――今シーズンの目標はありますか
村上 チームとしては一個一個の積み重ねがすごく大事だなと思っています。毎日の練習も練習試合もこれから始まるWEリーグも、積み重ねを次につなげていけるようにします。年間通しては、優勝を目指して頑張っていきたいなって思います。
「みんなより劣っているからこそ、余裕を持てない」(松本)
スピードを生かし、積極的にボールを追う松本
――キャリアの最終目標はありますか
村上 仕事をすることもプロチームでやることも初めてなので、今まで以上に先のことが全く分からないというか。良い意味で目の前のことに集中できていると思うので、まだ1年くらい先のことまでしか考えられないというか。もう後は運と時の流れに身を任せようかなって今のところは思っています。
松本 できれば長くやれたら良いなとは思うんですけど、この先いつ首を切られるかも分からない世界に足を踏み入れているので、目の前のことに必死なところはあります。カテゴリーを下げればサッカーができるっていう環境にあるかもしれないけど、やっぱりそこは上を目指してやっていきたいので、毎日毎日必死に生きてるっていう感じですかね(笑)。
村上 間違いない(笑)。
松本 ほんとにみんなより劣っているからこそ、そんな余裕を持てないっていうのはやっぱりあるから、そこまで考えてないですね。
――自分の中でモデル、目標にしている選手はいますか
松本 岡崎(慎司)選手(カルタ)や林(大地)選手(シント=トロイデン)の、前線からの守備だったりアグレッシブな攻撃というか体を張っているプレーはすごく好きで見ちゃいますね。自分の性格的にも多分そういうプレーが良いと思うし、やっぱり頑張ってるって見えるし。自分は人より足元の技術が高いとは思えないので、前線から追ったりスピードを出す特徴を生かして、みんなと補い合いながらプレーしたいです。
――サッカーを見るのは男子サッカーが基本ですか
松本 男女どっちも最近は見ています。昔はやっぱり男子の方が取り上げられることも多いし、見られる媒体も多いですが、今の女子のレベルっていうのも知らなきゃいけないなと思ったし、研究していかないとどんどん追い抜かれるなと思って、隙間時間があれば試合をDAZNやYouTubeで見たりするようにはなりましたね。
――村上選手が目標にする選手はいますか
村上 チームメイトで同じボランチの上辻佑実選手です。昔から落ち着きがないとかガチャガチャしてるってよく言われていた自分と正反対で落ち着いている選手で、ボールを蹴る直前まで相手のことを見ているし、相手にとってすごく嫌なことをやってくるので。練習中に相手で戦うこともあるし、一緒のチームで戦うこともあるので、どっちの時でも佑実さんのことは注目して見てしまいますね。そういうプレーができるようになりたいなって思います。
――お二人とも歴史的な一歩を踏み出す初代WEリーガーになります。最後に、その抱負を聞かせてください
松本 名前を残す!
村上 めちゃめちゃ良い!
松本 とりあえず名前を覚えてもらうところから初年度は(笑)。
村上 プレーでチームの勝利に貢献することです!
――ありがとうございました!
(取材、編集 早稲田スポーツ新聞会 手代木慶、前田篤宏)
(ア式蹴球部女子部 澤田美海)
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◆村上真帆(むらかみ・まほ)(※写真右)
1998(平10)年6月15日生まれ。163センチ。東京・十文字高出身。2021(令3)年スポーツ科学部卒業。大宮アルディージャVENTUS所属。背番号25番。WEリーガーとしての抱負を「プレーでチームの勝利に貢献する」と笑顔で語っていただきました。
◆松本茉奈加(まつもと・まなか)
1999(平11)年2月10日生まれ。164センチ。東京・十文字高出身。2021(令3)年スポーツ科学部卒業。ノジマステラ神奈川相模原所属。背番号20番。WEリーガーとしての抱負を「名前を残す!」とガッツポーズ決めながら語っていただきました。