続いてインタビューしたのは、ア式の女性スタッフ陣ルフよ! 男社会に飛び込んだ3人の女性スタッフ陣に、チームへの考え方から将来像に至るまで色々聞いてきたルフ!
楽しく取材できたルフよ〜
――まずは皆さんのマネジャー・トレーナーとしてのお仕事を教えて欲しいルフ!
高原 マネジャーの仕事はピッチ内とピッチ外で分けられるのですが、水をくむことや練習メニューを決める人から聞いたグリッド作り、ボール拾いをピッチ内では行っています。ピッチの外ではマネジャーによって人それぞれが異なる多様な仕事をしています。私はOBとのやり取りや年会費の管理といった仕事をしています。早慶戦も大きな仕事です。
菊地 歩希(高原)さんのに付け足すと、他大学のマネジャーは水くみはするけど、いざ練習となるとメートルを測ってグリッドを配置することはコーチに任せていると思います。ですが、早稲田のア式では水くみだけでなくグリッドの配置も男女関係なくマネジャーがするというのは、他大学と違う部分かなと感じています。私はピッチ内では歩希さんとほぼ同じ仕事をしていますが、ピッチ外では学連に所属しています。先日のデンソーカップでは関東選抜の主務に就いて選抜のマネジャー業をしました。年会費を管理したり早慶戦にも携わっていますし、あと動画作成や画像編集を広報でやっています。
渡邉 トレーナーは練習前は選手にテーピングを巻き、練習中にはアップを担当しています。練習後は社会人のトレーナーが行う選手のケアをお手伝いしたり、見せてもらったりしています。
――スタッフによって仕事はかなり異なるんだルフな〜
高原 公式戦だと彩花(菊地)は学連に入っているので運営をやってくれているので、早稲田のサポートというよりは試合全体管理をやっています。私は早稲田のベンチに入って選手のベンチ裏で作業をしたりしています。
――ア式に入った経緯を聞かせて欲しいルフ!
高原 私は高校までずっと陸上をやっていたのでサッカーとは全く関係のないところにいました。内部進学なため早いうちから早稲田大学への進学が決まっていました。大学では何をやろうかと考えたときに陸上という選択肢はあまりなくて、新しいものを始めたいなと考えていたときに高校サッカーを見てサッカーいいなと感じました。早稲田のア式なら上を目指すことができる環境で、今までとは異なる経験をしながら違った景色を見られるかなと思ってア式に入りました。
菊地 部員ブログにも書いたのですが、高校生のときからサッカー部のマネジャーをしようと思っていて、問題はどこの大学でやるかでした。最終的に早稲田のア式でやると決めました。
渡邉 私は元々トレーナーみたいなことを中学2年生の頃からしたいなと考えていました。早稲田の部活はどこもそれなりに強いので、できることも多いと思ったのですが一番の決め手は、(ア式の)見学に来たときに練習の雰囲気に圧倒されたことです。雰囲気が良くてア式に決めました。
――トレーナーを目指したいと思ったのはどうしてなんだルフ?
渡邉 中学のときの部活は、本当にできないというレベルのケガでなければ別メニューはできないみたいなところだったので、ケガ人が多い環境でした。スポーツにケガは付き物ですが、防げたはずのケガなのにみんな行くところまで行ってしまったというのを見ていて、ケガ無くできる選手が強いなと感じました。そこからケガを防ぐサポートをしたいなと思ったのがきっかけです。
――菊地さんはサッカーをやっていたと思うルフが、高原さんと渡邉さんは、サッカーは元々好きだったルフか?
高原 両親が2人ともサッカーをやっていたので小さいころから親の試合を観に行ったりしていました。サッカーに近い環境にはいました。
渡邉 私は小学生のときから家族で観に行ったりしていたので元々観るのは好きでした。高校もサッカー部があったら入りたかったくらいサッカーに興味はありました。
――自分で競技をしたいと思っていたんだルフね!
渡邉 はい、部活があったらやりたいと思っていました。
――高原さんはご両親ともサッカーをされていたんだルフな〜
高原 はい(笑)。
菊地 歩希さんはサッカーやらないんですか(笑)。
高原 やらないね(笑)。蹴るの苦手だから(笑)。引退までにリフティングが30回できるように最近練習はしています(笑)。
「選手と同じレベルをずっと私に求めてきてくれた」(高原)
いいお天気で絶好の取材日和だったルフね
――入部してから苦労したことはあったルフか?
高原 苦労したことの方が多いです(笑)。
菊地 苦労してない期間の方が短いですよね(笑)。何がと指摘するのは難しいですが、常に結構苦しいです。
高原 求められるレベルが高いので、これまでサッカーとは関係ないところにいたし男社会に入ったこともなかったのでそこに慣れることが一番初めに苦労したことだと思います。
菊地 ア式は他と比べての極端に女子が少ないので、ミーティングでは男子25人女子1人の環境になかなか入っていきにくかったです。ですが、そこを指摘されるから変えなきゃいけないというマインドにはなるのですが、それもなかなか難しいところです。女子ならではだと思います。
――高原さんが入部したときに女性の先輩はいたルフか?
高原 4年生にマネジャーとトレーナーが一人ずついました。4年生が抜けた後は、合宿に女子1人で参加することになってしまったのですごく心細かったです(笑)。
――スタッフは時間的にもかなり忙しいルフよね?
菊地 私は家でだらだらしている日はここ1年くらいないです(笑)。バイトを月曜日とかに入れると週7日フル稼働になってしまうので、大学が始めると本当に忙しいです。
渡邉 練習のときはAチームBチームに分かれるのですが、マネジャーは二つに分かれてもトレーナーは関係なくずっと見ているので、最初の練習からいて、部員とコミュニケーションを取りやすい練習後までグラウンドにいるとかなり遅くなってしまいます(笑)。帰ったら寝落ちすることもありました(笑)。
――女性スタッフだからこその難しさはどんなところにあるルフか?
菊地 慣れるまでが大変です。
高原 自分から話しかけにいくこともなかなかできないし、話しかけてもらってようやく話せるようになるという感じなので最初はその繰り返しでした。
菊地 部員と打ち解ける点では栞里(渡邉)はすごいと思っています(笑)。
渡邉 私は100人ほどの組織に入ったこともなかったし、中学高校も女子だらけの部活だったので、こんなに男ばっかりの環境に飛び込んだことはなかったので話しかけてもらっても緊張してうまく話せませんでした。サッカーの経験もないので共通の話題も無くて何を話したらいいのだろうというのはありました。入部したのも遅かったのでコミュニティーがある程度出来上がっていたのもやりにくかったです。大人数で話しているところに入るのは難しいので、少人数でジョグしているところに声をかけて入れてもらったりしました。ひたすらそれを繰り返していました。
――入部が少し遅くなったルフよね
渡邉 ア式に来たのが10月で、入部したのは年内ぎりぎりの12月28日でした。
――入部が遅くなったのはコロナの影響ルフか?
渡邉 春学期は実家にいたので、9月くらいに上京してそこから部活を見始めたのでかなり遅くなりました。
――男ばかりの組織はどんな感じルフ?
菊地 クレイジー(笑)。
高原 よく女子スタッフ不仲説を流したりして面倒くさいです(笑)。
菊地 (女子スタッフは)恋愛話もするほど本当に仲はいいです(笑)。
――高原さんは最上級生になって、チームに日本一になってほしいというような思いは強くなったルフか?
高原 なりました。4年生になるまでに積み上げてきたものが私たちにはあるし、何度もミーティングを重ねたりしてお互いの足りないところを言い合ったりしてきたので、それぞれへの思いが強くなってきたと思いので最後はいいかたちで終えられたらなと思います。
――選手ブログにもいろいろ書いていたルフが、どんな同期ルフか?
高原 選手と同じレベルをずっと私に求めてきてくれたからこそ今の私があると思っています。彩花がさっき言っていたように、他の部のマネジャーとは違う面がア式にはあるのかなと思っていて、部員内で際なく同じ環境で練習に参加できるからこそ自分自身が成長できたなと感じています。その点では同期に感謝しています。
――同期と距離感を感じることはないルフか?
菊地 最初だけです。同期は友達でもなく同期でしかないと思っています。女友達と同じ感じです。
高原 確かに。将来の話とかもするし。早稲田のマネジャーは部員との距離は近いかもしれないです。
菊地 週6で会うのでうざいくらいです(笑)。結構うざい(笑)。
――求めてくるレベルは高いルフか?
菊地 女子だから多少甘い部分はあるのですが、普段の行動とかに関しては足りてない部分は足りていないと言ってくれるし、真剣な話をしてくれます。
高原 変に甘やかしたりしないです。
――求めてくるというのは、緊張感やミーティングでの発言ということルフね
高原 そうですね。
菊地 ミーティングで発言しなかったら女子だからいいよではなくて、お前もしろよという感じです。
「支える側であって、支えるだけじゃない」(菊地)
菊地さんに僕もバズらせて欲しいルフ〜
――裏方とはいえ黒子ではなくて、チームの一員としてチームに存在するために入部以来意識してきたことはあるルフか?
菊地 「マネジャーだから」というのを自分で思わないようにしています。選手と同じって考えるとちょっと難しいですけど、部員というくくりなら同じなので、ミーティング中も意見は言いますし、支える側であって、支えるだけじゃないというのは意識しています。
高原 選手とマネジャーの違いってサッカーをするかしないかってだけで、チームに求められるし、何かあれば求めるし、みたいな。意識しているというよりは多分もう1年生の時から染みついたことかなと思います。
渡邉 スタッフだからって脇役ではないというのは大切にしていて、トレーナーとなった時に、選手を支える立場だから一歩引いてしまうというところがどうしてもあると思うのですが、選手はプレーで表現することができますけど、自分はそれができない分、アップの時などに選手をモチベートするというのも大事な役割なので、自分にできることが今日の練習を経て、「これも自分はできるかもしれない」というように何か新しく見つけるということは意識しています。
――マネジャーで選手との距離感をつかめずに辞めてしまうという人もいると聞いたことがあるルフね
菊地 元々選手でやっていた人がマネジャーという立場になって、今までとは同じ距離感で選手と接することができないことに違和感を感じてやめる人は仮入部のときとかはあると思います。ただ、距離感で辞めるというよりかは自分のやりたいことはこれじゃないと思って辞める人の方が多いです。
高原 時間の制約も大きいので、他のことに興味を持っていたら少し厳しい環境ではあるかなと思います。
――辞めたいなと思ったことはあるルフか?
菊地 結構あります(笑)。
――なんでルフか?
菊地 追求されるものが多いから自分と向き合う時間が多くなって、1年生のころは仕事のことで怒られたりとか、今となっては当たり前だなってことができていなかったので、環境の変化とかもあって1人で追い詰められることもありました。ここに4年間いられるのかなと不安になって辞めたいと感じたことはあります。
高原 1、2年生のころは自分ができることが少なかったりするので、4年間で自分はチームに対して何ができるのだろうと不安になって、チームにいる意味はないのかなと思って辞めたくなったことはあります。
渡邉 私は辞めたいというよりかは、逃げだしたいとうような軽く現実逃避をしたくなることはありました。さっき彩花ちゃんが言っていたようにいっぱいいっぱいになったりとか、求められることと自分のギャップに不安になったりしました。求められるのはありがたいけれど、今の自分はそこまでできないと感じてしまうこととかはありました。
――高原さんが2年生の頃、部員ブログでも触れていた自分自身の強みは見つかったルフか?
高原 自分ではずっとわからなかったのですが、自粛期間に学年をグループ分けしたミーティングで、お互いのいいところ悪いところを教え合おうというのをやって、ほとんどの人が「歩希のいいところは適応力」と言ってくれました。それまで全く意識したこともなかったのですが、言われてみれば確かに慣れない初めてやる仕事とかも割とうまくできちゃう部分があるなと思って、慣れないこともやってみようと前向きになれました。言われたことや求められたことはやれる自信があるのでそこは強みだと思っています。
――自粛期間はどうやって過ごしたルフか?
菊地 ほぼ家から出てなかったです(笑)。
高原 実家に帰ってました。全体、学年、グループ、縦割りとたくさんミーティングをやりました。後、下級生と女子マネジャーのミーティングもやって話しやすくしようとしていました。特に下級生の男子とは話しにくい部分があるので。
――トレーナーは選手と1対1で話すこともあるルフよね
渡邉 ワンタップという選手の体調や疲労を管理するものがあるのですが、そこで疲労度が高い選手には個人的にアプローチしています。疲労度の数値が高くなくても話してみたら意外と疲れているという選手もいます。1年生とかだと疲れていると言いづらい部分があると思うので、個人的に練習後のストレッチとかをしているときに話かけに行ったりしています。
――自粛期間を通してかなりコミュニケーションを全体として取っていたわけルフね
高原 かなり(笑)。縦割りとかもあったのでコミュニケーションはかなりとれたと思います。
――後編に続くルフよ〜
(取材、編集 アルフ 編集補佐 永田悠人 写真 早稲田大学ア式蹴球部提供)
◆高原歩希(たかはら・ほまれ)
埼玉・早大本庄出身。文化構想学部4年。
◆菊地彩花(きくち・あやか)
千葉・渋谷教育学園幕張出身。政治経済学部3年。
◆渡邉栞里(わたなべ・しおり)
京都女出身。スポーツ科学部2年。