ことしも全日本大学選手権(インカレ)出場を決めた大学サッカー界の名門・ア式蹴球部。関東大学リーグ戦(リーグ戦)では2位の好成績を収めるも、決してその結果に満足する者はいなかった。ケガでチームを離脱するも最終節に復帰を果たしたGK松澤香輝(スポ3=千葉・流通経大柏)、スピードプレーで観客を魅了するMF近藤貴司(教3=三菱養和SCユース)、今季リーグ終盤にレギュラーを獲得し高い評価を得たDF田中進之介(スポ3=湘南ベルマーレユース)ら3年生の目に、今季はどう映ったのか。リーグ戦を振り返って、そして集大成を見せるべく挑むインカレへの意気込みを伺った。
※この取材は12月5日に行われたものです。
悔いの残るリーグ戦だった
左から松澤、近藤貴、田中
――まずは後期のリーグ戦を振り返ってみて
松澤 振り返ってみて、前期に比べて失点が多いというのは明らかになっていて、やっぱり守備の部分で弱さというか自分たちのもろさが出てしまったと思います。そこを最終節までに修正し切れなかったというのは実際に専大に勝ち点差を15もつけられてしまって2位になったという一つの要因だと思います。個人としては、一度脳しんとうを起こしてしまってから最終節までなかなか出られなくて、自分自身試合に出てチームの勝利に貢献できなかったので、とても悔しいリーグ戦だったと思います。
近藤貴 後期を振り返ってみて、マツ(松澤)も言っていたように、やっぱり失点が多かったなというのがあって、点数を取られてしまうときつかった試合が多かったですし、そういったことが2位になってしまった原因の一つかなって思います。その中でも、相手がある程度ワセダのサッカーを研究してくる中で、攻撃陣の攻撃のバリエーションや一人一人の質というのを試合の中で出せなかったからこそ点数もあまり取れなかったですし、結果的に2位で終わってしまって悔しいリーグ戦でした。個人的には、ケガをしていて途中から復帰してという形でしたが、その中でもやっぱりゴールやアシストといった目に見える結果を出そうと試合前はいつも強い気持ちで臨んでいたんですけど、結果的にきょねんよりも得点もアシストも下がってしまったので、そういった意味でも悔いの残るリーグ戦でした。
田中 みんなも言っていたんですけれども、後期は無失点の試合が無かったということで、ワセダとして最少失点の0で抑えることができなかったというのは非常に残念なことだと思います。その中でスタメンで竹谷さん(MF竹谷昂祐、スポ4=ガンバ大阪ユース)や自分、西山(DF西山航平、スポ2=浦和レッズユース)と普段試合に出ていなかった選手がスタメンになったということで、後期について言えばチームの中での競争があったのかなとは思っています。個人的には慶大戦から出させてもらうようになって、自分はチャンスをもらったら必ず結果を残そうと思っていたので、その中である一定の評価をもらえたことは嬉しいです。ですが、2位という結果で終わってしまって、専大との勝ち点差も自分の力不足で開いてしまったと思うので、それはしっかり反省したいと思っています。
――今のお話にもあったように、後期の失点の多さについては度々話題に上がります
松澤 セットプレーでの失点は多かったかなと感じています。実際にリーグ戦だけでなく天皇杯でもセットプレーからの失点があったり。自分たちは高さが無い中でマークにしっかりついていくとか、相手に自由にさせないとかそういったことをしっかりやっていかなければいけないんですけど、そこができずにセットプレーでの失点をしているということは、やっぱり相手に流れを渡してしまう原因だと思います。そこの失点があったからこそなかなか勝ち切れないゲームがあったんだと思います。
近藤貴 セットプレーのところで失点が多かったというのも挙げられると思うんですけど、他の部分を振り返った時にチームとして崩されたシーンというのはあまり無かったと思います。細かい部分のポジショニングだったり、CBとSBの関係のところだったり、細かいところで一瞬の隙を突かれて、相手にほとんど決定的なチャンスを与えていなかった中で、一瞬の間にやられてしまった場面があったと思います。そういったところは意識的に修正できる部分ではあったと思うんですけど、後期リーグが始まってから最終節まで直し切れなかった部分なので、そこはインカレに向けて修正していかなければいけないのかなと思います。
田中 自分も同じようにセットプレーの点と、あと細かい点とだと思うんですけど、例えば順大戦だったり専大戦だったりというのは崩されたのは少しだけで、相手がスピードを持って攻撃してきた時に対応し切れずに失点となっていたので、それもチームの中で『1人のオンと10人のオフ』という意識を変えて常にやってきて、でもそれが最終節の専大戦でもカウンターでやられるなど改善し切れませんでした。リーグ戦を終えてインカレまでの間にチームとしてもう一度そういうところをしっかりやろうとしているので、インカレではできたらいいなと思います。
――これまで守備面を中心に伺ってきましたが、逆に攻撃面については
近藤貴 チームとしては守備から攻撃への速さというところは毎試合出せていたり、チャンスも絶対につくれていたと思うんですけど、専大戦を挙げたら自分のところで外して結果的に負けてしまって。一人一人のクオリティというところでも、そういった攻撃のところでチャンスを逃さないところや決定力があったからこそ専大が1位になって自分たちが2位になってしまったんだなって思っています。それでも相手に研究されてきた中で攻撃のバリエーションや一人一人の個のクオリティというのを高める必要があるなと痛感しました。
松澤 ラストパスやフィニッシュの精度のところが欠けていた部分だと思いますし、相手のGKにぎりぎりで防がれたりシュートが枠に飛ばないことは多かったと思うんで、そういう意味では最後は個の力だと思います。個の力が足りなかったからこそだと思うので、チームとしてもそうですがまずは個人として点を取る力をつける必要があるんじゃないかと思います。
田中 個人の力という点でも、洋(MF近藤洋、スポ3=名古屋グランパスU-18)であったりのぞくん(MF池西希、スポ4=浦和レッズユース)であったりというのは、日頃のトレーニングから見ている側からもゴールを奪うということを人一倍感じられるトレーニングをしていてそれが実際結果に出ています。今もアタッカー陣が『ゴールを奪う』という目の色というか姿勢というのが変わってきているなというのを守備をやっていて思うので、ぜひインカレでは期待していて欲しいなって思います。
松澤 期待してるよ貴司。
――後期リーグの中で特に記憶に残っている試合はありますか
松澤 いろいろあるなぁ。僕は一つ挙げるとすれば日体大戦で、0-2と2点ビハインドがあって自分も負傷交代した中で、阿部くん(GK阿部雄太、人4=千葉・渋谷教育学園幕張)が出て良いパフォーマンスをしたというのを聞いていますし、0-2の状況から3点取ってゲームをひっくり返すというのはなかなか無いと思います。実際にのぞくんのゴールとか、なかなかああいうゴールは生まれないと思うんですけど、自分がケガしたからかは分からないですがチームが一つになって、絶対に勝つという気持ちを前面に出したからこそ0-2からひっくり返せて勝てたんじゃないかなと思うので、その試合はいろんな意味で印象に残っています。
近藤貴 自分はさっきも言っているように専大戦で、本当に個人的に悔しい思いもして、専大に対して個人的にある程度やれるなっていう部分はあったんですけど。自分は攻撃の選手なので点を取ってなんぼというか、最後の決定的な仕事をして初めて選手としての価値を高められるという意味でもシュートを外してしまって本当に悔いが残るゲームでした。
田中 自分は慶大戦が一番印象に残っています。2年前、自分たちが1年生だった時に西が丘で慶大に対して2-0で勝っていたんですけどその後2点取られて追いつかれたという試合がありました。今季の試合前に「その悔しさを忘れない」という形でみんなで共有していたんですけど、2-0でワセダが勝っている中で自分も試合に出させてもらって、無失点で勝ちたかったんですけど1失点してしまいました。それでも勝ちをつかみ取れたというのが自分の中で大きな1勝になりました。
松澤 実はあと1個あるんだよね~。良い方はさっき言った日体大戦なんですけど、悔しかったのが国士大戦ですね。あの終盤にのぞくんがゴールを決めて、絶対に勝たなきゃいけない流れだったんですけど、最後の最後にセットプレーでやられてしまって、『絶対にやられちゃいけない』っていう気持ちがあっても点を取られてしまって。そこで勝ち点2を落としてしまったのが、最終的な結果2位になってしまった原因かなって、あそこで勝っていればって思います。
――後期の中でも特に大きかったのが最終節の専大戦だと思います。改めて振り返ってみていかがでしょうか
松澤 復帰戦ということもありましたし、勝っても負けても順位は変わらず専大の優勝は決まっている中で、自分たちとしては意地を見せるためにも最後に専大に勝って終わりたかったんですけど、それでも勝てませんでした。後期の開幕戦に専大と戦った時にも最後に決め切れないという課題があってその反省を生かしたかったし、その時味わった悔しさを最終節にぶつけたかったんですけど、同じ形でなかなか点が取れず終わってしまったというのは非常に悔いの残るゲームだったと思います。自分たちの強みが出せたのにも関わらず、それが結果に結びつかないというのが自分たちの力不足というか今の現状かなと痛感させられました。
近藤貴 個人的には悔いの残る試合だったんですけど、チームとして振り返った時に、専大相手でも自分たちの強みを出せれば通用するっていう自信につながった試合だったのかなと思います。自分たちは専大戦に向けてトレーニングをして、今まで自分たちが積み上げてきたワセダのサッカーを披露できる絶好のチャンスだと思っていたので、そういった意味でワセダらしさというのは試合開始から試合終了まで出せたというのは評価できると思います。
田中 専大の攻撃とワセダの守備というのが多くの見方だったと思います。その中で専大の華やかというか見ていてうまいなぁという攻撃と、ワセダの真面目に泥臭く頑張るプレーというのを見ていたと思うんですけど、貴司が言っていたようにワセダらしさというのが出せたとみんな思っていて、本当にそれは良いことだと思います。そんな中で結果が伴わなかったというのは自分たちがそう思っているに過ぎないので、結果を出して初めて評価されるものだと思うので、そういう意味では残念に思っています。
松澤。脳しんとう以降、調子が戻らず6試合欠場した
――前期と合わせて、リーグ戦全体としてのお話を伺います。シーズン前に課題に挙がっていた中でリーグを通して成長した部分、あるいはリーグを通して改善し切れなかった部分は
松澤 さっきの繰り返しになってしまうんですけど、失点が増えたかなという部分はあります。前期は1-0のように最少失点で抑えて少ない得点の中でも勝ち切れていたゲームが、失点を重ねればやっぱり自分たちはそれ以上取らなければ勝てないし、失点を減らさない限りワセダは勝てないかなと思います。それがリーグを終わってみて一番感じるところですし、実際に2失点から3点取っている試合も後期ありましたけど、それでも苦しんで勝った試合です。DF陣としてはやっぱり無失点に抑えて勝つ方が良いと思うんで、なかなか失点を減らせなかったというのは残念というか、課題に残る部分ですね。
近藤貴 専大戦のところで言ったんですけど、今まで積み上げてきたワセダの強みを出せれば専大、明大や中大などの強い相手に対して通用するっていのは得ることができたので、そういう意味ではシーズンを通してやってきたことは間違っていなかったなと思っています。結果的に2位で終わってしまったというのは、一人一人の能力を上げる必要があるって今感じていますし、そこをインカレまであと少ない限られた時間を使ってどれだけ成長できるかでインカレの結果に関わってくると思います。
田中 前期で一通りの大学と試合をしてきて前期は2位だったのに後期は全然成績が振るわなかったというのは、他の大学の成長に比べて自分たちが成長できていなかったのかなと思う部分です。その中でチームとして優勝を最後まで諦めない姿勢や、ワセダのア式蹴球部員としての振る舞いを評価していただいたので、結果は出せなかったですがチームは前に進んでいるのかなと思います。
――リーグを通して35得点、31失点という数字について
松澤 試合で勝つために平均得点2、失点1というのはリーグ始まる前から言われていたんですけど、その数字を見る限り得失点差は結局3で得点は1試合当たり2以上取れていないですし、失点も30以上しているということは、さっき言ったことが単純にできていなかったと思うので。攻守両面で課題がありましたし、それがデータとして浮き彫りになったと思います。
近藤貴 ワセダのサッカーを考えたら、失点数は多いなって率直に思いますし、得点のところでも自分自身点を取れなかったり、チームとしてももっと取らないと勝てないです。インカレを考えた時に点を取れなければトーナメントで勝ち上がれないので、そういった意味でも得点や失点で見ても2位というのは妥当だったのかなと思います。
田中 その数字を見た時に両方とも専大に全然及んでいなくて、ワセダはやはりことし2位のチームだったんだなって思います。みんなも言っていた通り、一試合平均1を切らなければ優勝は厳しいと思うので、これからインカレにあたって一試合1点も取らせずに無失点で勝つということが必要になると思います。
――リーグ戦の表彰式では、ベストイレブンに早大からDF三竿雄斗選手(スポ4=東京ヴェルディユース)とFW榎本大希選手(スポ4=横浜F・マリノスユース)が選ばれました。ア式蹴球部の中でのMVPを挙げるとしたらどなたでしょうか
松澤 僕はのぞくんだと思います。チームが苦しいときに誰よりも声を出して誰よりも走っていたと思いますし、苦しいときに実際にゴールという形でチームの力になっていたと思います。トレーニングの中からも希くんは人一倍頑張っていて、チームが勝つために先頭に立ってやっていましたし、自主練習の中でも誰よりも練習して、その時間で練習することで実際に試合で活躍できるんだぞというのを示してくれたと思います。それを見て周りが刺激されて良くなった選手もいると思うので、やっぱりのぞくんはベストイレブンに入るのにふさわしい選手だと思っていました。
近藤貴 自分ものぞくんで、マツが言ったこととほとんどかぶるんですけど、試合を見ていても攻守両面でチームを引っ張っていたのはのぞくんだと思いますし、攻撃でも守備でも顔を出していたのはのぞくんだったかなって思います。トレーニングの中でも人一倍プレーでチームを引っ張ってくれたりだとか、実際に自主練習の中でも誰よりも練習していてその結果が国士館大戦のゴールや大事な試合でゴールを決めていたので、のぞくんだと思います。
田中 自分もMVPはのぞくんだと思っていて、シーズンを通して高いパフォーマンスでチームをけん引していたと思いますし、のぞくんの練習に対する姿勢も、試合でやっているプレーに貢献している貢献度で言っても希くんがMVPだと思います。
――前期良い位置に付けるもなかなかリーグ優勝を奪うことができていませんが、優勝するために必要なことは
松澤 他の大学に比べてなかなかスタメンが入れ替わらないのが自分たちの特徴だと思っていて、実際にスタメンを奪って出ている選手もいますけど、前期と比較してみても主力が残っているというのが現状だと思います。専大を挙げてみても追加登録した選手が試合に出ていたり、1年生や下級生の選手が試合に出ています。ワセダとして選手層というかチーム内の競争を高めていく必要があるかなと思っています。学年関係なく試合に出られる力を付けていければいいんじゃないかなと思います。
近藤貴 優勝するためにというのはまだチームが始まっていないのでまだ分からないですけど、新入生にいい選手が入ってくるという情報がある中で、自分たち現3年生がどれだけ意識を変えていけるかというか、今のチームが始動してから4年生が引っ張ってきてくれた中でその4年生がいなくなったときにどれだけ今まで積み重ねてきたワセダのサッカーを体現して、チームの力を底上げしていけるかということに懸かってくるのかなと思います。3年生の現状としては、今の関東リーグに出ている人も数人で、あとはBチームにいるっていう状況なんですけど、プレーもそうですがピッチ内外で自分たち3年生がどれだけチームを引っ張っていけるか、ワセダはこうあるべきだというのを体現していくのが大事だと思います。
田中 やっぱり4年生がどれだけチームを引っ張っていけるかが大事だと思います。小さくまとまるんじゃなく、4年生が突き抜けていって、貴司や松澤もですが基準を変えてくれるぐらいのプレーを練習からやってくれるというのは期待しています。それを今試合に出ている選手だけがやるのではなくて、4年生全員が個々の能力や得意なところでチームの基準を変えるというところが競争につながっていくと思います。それが優勝に関わってくると思います。
『謎の多い』3年生
近藤貴。スピードに乗ったドリブルから何度も好機を作った
――プライベートについてお伺いします。まず3人の仲は良いのでしょうか
近藤貴、松澤、田中 仲は良いです(笑)。
田中 そこは譲れないです。
――学年の仲はどうでしょうか
田中 いや、まぁ…
松澤 良くないだろ(笑)。
田中 あとむ(DF永井あとむ、スポ3=FC東京U-18)とMF仲谷幸葉(スポ3=千葉・八千代)が付き合っているんじゃないか、といううわさはありますがそれ以外の仲は良いです。あの2人は2人だけの世界に入っているんです。
松澤 他の学年からは、(3年生は)「なれ合いだ」って言われています。仲良いように見えて実はお互い気まずいだろって(笑)。なので、結構謎の多い学年だと思います。
田中 確かに。気付いたら飲み会をやっていたことが多々あります。
近藤貴 僕暇なのに誰ひとり声掛けてくれないんですよ。後で遊んでいたことを聞かされるんです。1年目からずっとそうなので、ちょっと納得いかないです(笑)。
田中 それでも、この前3年目にして初めてみんなで集まりました。
近藤貴 半強制的に集めさせられました。
――オフの日によく会うのは誰ですか
田中 遊ぶメンバーは大体決まっていますね。
松澤 仲谷とあとむは2人でお台場行っていますね。
田中 本当に付き合っているんじゃないかっていうくらい、いつも一緒にいるんですよ(笑)。
松澤 なのであの2人は抜きで。それ以外のメンバーで遊びますね。僕は割と個人プレーなのですが…。
田中 マツはひとりでおいしい店巡りをして格好付けているんですよ。ちょっと引いています(笑)。
近藤貴 僕は上形(FW上形洋介、スポ3=東京・早実)です。同じジムに通っているので、オフの日に時間を合わせて行っています。彼は天才と呼ばれているので自分も一緒に頑張ろうと(笑)。
松澤 意味分かんないよ(笑)。
一同 (笑)。
田中 自分は清水(DF清水大志、創理3=東京・早大学院)とか園田(MF園田慎一郎、社学3=東京・早実)といます。伊勢丹での買い物に呼ばれて、試着している所を見せられます(笑)。
松澤 ちょっと前は貴司と俺で買い物行くこともあったよね?
近藤貴 あった。でも最近は行ってないね。見ての通りマツはおしゃれなので。自分は一緒に歩ける服装を持っていないので行っていません(笑)。
—――近藤貴選手の第一印象は
松澤 僕は初めて貴司に会ったのが小学校なので、大分長い関係なんですが、貴司はとにかく人見知りですね。話し掛けないで、っていうオーラを出していました。無表情だったので最初は陰気な奴だと思っていました(笑)。打ち解けると面白いです。学年で1、2を争いますよ。芸人みたいです。
田中 貴司とは練習時間が違ったので最初はあまり話す機会が無かったです。けれど一回話すと面白くてとても良い奴でした。
松澤 話しかけないとただのネクラなんですよ。
――松澤選手の第一印象は
近藤貴 僕も小学校から知っていたんですが、大学で久しぶりに再会してやっぱりイケメンだなと思いましたね。本当に素敵な方だと思います。
松澤 やめて(笑)。
田中 僕は一般入試だったので練習参加が遅くなったんですが、練習見学の時に話し掛けてもらいました。当時自分は茶髪に染めていかつい格好をしていたんですが話し掛けてきてくれて、すごく良い奴だなと思いました。
――田中選手の印象は
松澤 僕も話した事は無かったのですが、湘南ベルマーレユースにいた事は知っていたので。コートの周りをうろうろしていたところへ話しかけにいきました。
近藤貴 僕も高校時代に試合をしていたので知っていました。ランテストの時にいて、しかも茶髪でいかつい格好だったので驚きました。目力がすごかったです(笑)。
――趣味や今はまっていることは
松澤 ひとつにはさっき言っていたおいしい店巡りがありますが、今はネットショッピングにはまっています。サッカー用品も基本的にはネットで買います。ネットだと実店舗より安く買えるのがいいですね。でも他人に値段を言う時は定価で言っています(笑)。
近藤貴 うそだろ(笑)。
松澤 見栄張っちゃうんです(笑)。最近だと楽天優勝セールの時に冬服を買いあさりました。買った物については秘密です(笑)。
近藤貴 僕が面白がってやっているのはマツのイケメンいじりですね。マツをいじって笑いが取れればいいかなと。いじっても許してくれる心の広さも含めてイケメンですね。
田中 いやいやおかしいでしょ。それ趣味なの?(笑)。
近藤貴 それ以外だと、練習の無い日は昼寝してからジムに行ったりしています。最近は買い物にも行かないので…、ツイッターで他のみんなの動向をチェックしていますね。
松澤 全然面白くないじゃん(笑)。
田中 自分は神奈川出身なので、東京の色々な所を巡りたいと思っています。休みがあれば必ずどこか行くようにしています。原宿に行くのが好きですね。最近はパンケーキ食べに行きました。
みんなで喜びを共有したい
田中。出場した試合では高さを生かした空中戦の強さを見せた
――インカレについてお伺いします。ワセダは前回王者として臨みますがプレッシャーは感じますか
松澤 チームの代も替わっていることですし、特にプレッシャーは感じてないです。自分たちは常にチャレンジャーとして挑んでいるので、ディフェンディングチャンピオンだという意識はないですね。
近藤貴 そういった立場でインカレを迎えることができるのは自分たちしかいないので、楽しみな部分の方が大きいです。現時点でプレッシャーは感じていないです。個人的には昨年、インカレ直前の練習試合でケガをしてしまい、決勝で数分しか出場できなかったのが悔しかったです。なので、個人的にも結果を出して、かつチームを優勝させたいという気持ちが強いです。
田中 ディフェンディングチャンピオンといっても、昨年の4年生が引っ張ってくれたおかげで勝ち取ったタイトルだし、新しいチームになってまた一から再始動したので、その事に関してはあまりプレッシャーではないです。しかし昨年は先輩の山地さん(DF山地翔、平25政経卒=浦和レッズユース)がベストDF賞を取っていたので自分も取りにいきたいと思います。
——リーグを終えてからインカレに向けて取り組んでいることはありますか
田中 自分個人としてはDFリーダーとしての存在感を出せるように気をつけています。チームとしては1つの方向を向けているので、自分はそれに沿うように自分の能力を上げる事を考えています。自分の出た桐蔭横浜大戦でセットプレーから失点してしまったことはすごく悔いが残っているので、自分が変わらなければいけないという危機感があります。
近藤貴 今、チームとして全員フラットな状態で競争しようとしているのですが、まだまだ突出する選手がいません。その事からも、個の力をどれだけ上げられるかを意識しています。個人的にはゴールという結果を出すために練習から右足でも左足でもシュートを打つ事、ゴールまで結びつけるプレーをする事に取り組んでいます。
松澤 何か1つではなく、すべてのプレーの精度を高める事を意識しています。その中でも特にゴールを守り抜く力はもっと付けたいです。最後にゴールを守るポジションとして、体を張ってシュートを止めるといったことは常に意識して練習しています。
――インカレ出場校の中で意識しているチームは
松澤 チームとしてはあまり意識し過ぎるのは良くないと思うんです。ただ個人的には専大と決勝で当たりたいという気持ちはあります。リーグ戦では今季勝てなかったので(インカレでは)勝って優勝したいですね。
近藤貴 自分も専大と決勝でやりたいですね。また、2年生の時の総理大臣杯で当たった阪南大も気になります。今まで感じたことの無かったプレースピードや切り替えの速さに対して、自分はゴールに向かうことができなかったので悔しかったです。なので、準決勝で阪南大、決勝で専大と当たることができたら最高ですね。
田中 一戦一戦集中していく事は当然ですが、個人的には中京大が気になります。ことしの総理大臣杯で負けた相手ですし、自分の代の湘南ベルマーレユースでキャプテンをしていた同期も所属しているので、ぜひ負けた借りをインカレで返したいです。他には貴司も言っていた阪南大とはやってみたいですね。
――インカレで注目して欲しいプレーはありますか
近藤貴 自分はボールを持った時のドリブルの仕掛けと裏への抜け出しのスピードを武器にしているので、その点を見てほしいです。
田中 自分は空中戦が強みだと思っているのでその戦いを見てほしいです。そして「こいつ勝ちたいんだな」と皆に思ってもらえるようなプレーを見せたいです。
松澤 キック、そしてキーパーからのフィードで攻撃の起点を作るところを見てもらえたらいいなと思います。
――最後にインカレへの意気込みをお願いします
松澤 優勝です。先日気仙沼に子供向けのサッカー教室をしに行ったのですが、そこで出会った人たちに「インカレ優勝してくれよ」と応援してもらっていて。それ以外にもたくさんの方々が僕たちを応援してくれているので、その皆さんのためにも優勝して多くの人に喜んでもらえたらと思っています。
近藤貴 今シーズンは悔しい思いを何度もしていますが、そんな中でもたくさんの方々に応援してもらっています。インカレ優勝という形でみんなと喜びを共有できるように頑張りたいです。
田中 自分も優勝です。自分がここまでサッカーをしてこられたのも多くの支えがあったからです。(今の)国立でできる最後のインカレなので、そのピッチで優勝して感謝の気持ちを伝えられたらいいなと思います。
——ありがとうございました!
(取材・編集 芦川葉子、高柳龍太郎、佐藤拓郎)
左から近藤貴、松澤、田中
◆松澤香輝(まつざわ・こうき)
1992(平4)年4月3日生まれ。182センチ、80キロ。千葉・流通経大柏高出身。スポーツ科学部3年。後期の途中で負傷離脱するも最終節にはチームに復帰しました。最近ハマっているネットショッピングではどんな買い物をしているのか気になりますね!
◆近藤貴司(こんどう・たかし)
1992(平4)年4月26日生まれ。167センチ、63キロ。東京・早大学院出身。前所属・三菱養和SCユース。教育学部3年。「みんなが誘ってくれない」と嘆いていた近藤選手でしたが、松澤選手いわく「貴司は最近プライベートが充実してるんで誘えないんすよ(笑)。」とのことです(笑)。
◆田中進之介(たなか・しんのすけ)
1992年5月25日生まれ。183センチ、79キロ。神奈川・希望ヶ丘出身。前所属・湘南ベルマーレユース。スポーツ科学部3年。今回が対談初登場となった田中選手でしたが様々なお話をしてくださいました。入学当初は髪型も服装もいかつかったそうです。今の爽やかな田中選手からは想像できませんでした!