【連載】全日本大学女子選手権直前特集 第1回 堀内璃子×白井美羽×大山愛笑

ア式蹴球女子

 第1回はDF堀内璃子(スポ4=宮城・常盤木学園)、MF白井美羽(スポ3=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)、MF大山愛笑(スポ1=日テレ・東京ヴェルディメニーナ)の3人。1年を締めくくる最後の大会、全日本大学女子選手権(インカレ)への熱い思いを伺いました。

※この取材は12月9日に行われたものです。

 

「(ア女では)自分の考えが今まで以上に広がる」(大山)

先輩の印象を語り笑う大山

――それぞれの他己紹介をお願いします

堀内 愛笑(大山)はもう違う世界の人なんですけど(笑)。ピッチ内の部分とかはすごく色々な経験をしてきていると思うので、それも含めた上で後輩だけど本当に尊敬できる選手です。ここまで上手い選手と、と言ったらちょっと語弊を生むかもしれないですけど(笑)。今までサッカーをやってきた中で、初めて一緒にやるタイプの選手で、自分にとっては新鮮です。(一緒にプレーしていて)勉強になるし、それも含めてピッチ上ではとても尊敬しています。

大山 照れる(笑)。

堀内 愛笑はピッチ内とピッチ外のギャップがすごい(笑)。小学校の時にスクールで何回か一緒にやったことがあって。それで(大山は)(日テレ・東京V)メニーナで(白井は)(日テレ・東京V)セリアスだったのですが、めっちゃ上手いのも知っていたし、一緒にできて嬉しいというのが今は一番です。来てくれてありがとう(笑)。

――それでは白井選手の紹介をお願いします

堀内 美羽(白井)はピッチ外の部分が天然すぎて。愛笑もそういう傾向があるのですが、この2人は結構ふわふわしています(笑)。だからこそピッチ上とのギャップがありますし、美羽に関しては一緒にいる期間が3年と長いので、美羽のいろんなところも見た上で、ふわふわしていてド天然をかます時もあるけど、ちゃんといろいろ考えてくれている部分とかも含めて好きだなと思います。今年は特にピッチ内でも上級生としてというか、3年生としての立ち振る舞いで成長を感じますし、2人で話すこともあって色々聞いた上で、頑張ってくれているなという風に思います。

大山 美羽さんはピッチ内もピッチ外も、単純に言えば全部が合う人。多分お互い考えているけど、周りに比べたらあんまり考えていない(笑)。ピッチ内で言えば、やっぱり同じクラブでサッカーをしてきて、やりたいことや考えてることが一緒な部分が多いから、近くでプレーしてたら安心するし、楽しいなと思える人です。

白井 嬉しい!

大山 ピッチ外ではふわふわしていて優しいし、先輩だけど先輩じゃない感じが関わりやすくて、好き。

一同 (笑)

白井 ありがとう(笑)。

――では堀内選手の紹介をお願いします

白井 璃子さん(堀内)はピッチ内でもピッチ外でもすごく寄り添ってくれて、相談にも乗ってくれるし、なんでも受け入れてくれる存在です。すごい話しやすいし、自分は結構感情的になってすぐ涙が出ちゃうところがあるのですが、璃子さんも結構…。

堀内 涙の先輩ね(笑)。

白井 (笑)。涙の先輩としてめっちゃ相談にも乗ってくれるし、すごく理解してくれる人です。

大山 ピッチ内でもピッチ外でも周りをちゃんと見えている人だなと思います。 ピッチ内だったら、周りを見ながら足りないところには全部声を掛けてくれるし、自分では絶対できないような体を張ったプレーをして、 チームのためにゴール守ってくれるところは本当にありがたいなと思うし、尊敬できます。ピッチ外のところでは自分が怪我をしていた期間も、復帰してからも、自分が痛そうにしていたら「大丈夫?」と声をかけてくれました。うまくいかない時にそういう声が自分の中ですごい大きな存在だったから、自分にとっても、他の人にとっても心の支えになるすごい先輩です。

堀内 今鳥肌立った(笑)。ありがとう。

――お互いの初対面は覚えていますか

堀内 美羽とは中学の時に都リーグ(東京都女子サッカーリーグU―15)やトレセンで多分すれ違ってはいるけど、お互い面識は無いという感じでした。ただ美羽は(大学の)練習参加に来るのが早くて、ノジマ(ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)の子何人かと来てて、その辺から「セリアスなんだ、じゃあ会ったことあるかもね〜」みたいな感じでした(笑)。印象はもう「スタイルいいな」とかそんな感じで、相変わらずふわふわはしていて、ヴェルディ系列のプレーヤーと言ったらあれですが、「巧い」という印象でした。

白井 練習参加の時は多分めっちゃ話したわけでもないのですが、入ってからは(堀内が)1年生の時に部荷物長をやってくれていて、 すごいちゃんと徹底していてめっちゃ真面目という印象でした。

大山 璃子さんは(大山が)ア女に入って、リハビリが一緒だったから、1番近くにいたし、1番話す先輩でした。 第一印象は真面目だなという感じで。ずっとクラブで育ってきたので、今までの周りの年上は先輩というより一緒にサッカーをやる友達みたいな感じで、話していることもそんなに中身が詰まっているわけでもなかったんです。でも璃子さんはちゃんと考えて話をしていて、 頭が良さそうな話し方の人だなと思いました。

白井 (堀内は)周りを見ながら行動してるから、そういうところがすごい真面目だなという印象につながっていると思います。本当に色々と気づいてくれます。

堀内 愛笑とは会ったこともなかったし、ア女に入ってメニーナとやる時に戦うようにはなったんですけど。ただ小さい時、自分たちの試合の後にやっていた(メニーナのユニフォームの)緑の中に女の子がいて、すごく上手かったというのは覚えています。親と一緒に「女の子だよね、めちゃくちゃ上手じゃない?」みたいな話をしたことがありました。ちゃんと喋ったのはア女に来てからだけど、サッカーが(けがで)できなかったというのもあって、サッカーじゃなくオフの愛笑が第一印象だったので、「思ったよりふわふわしているな」、「愛笑ちゃんってこういう子なんだ」みたいな感じでした(笑)。

白井 (大山は)上手い。(白井が)小6で(大山が)小4だったよね。男子も一緒のスクールだったのですが、小4なのにその中でも1番なんじゃないかってくらい上手くて、「すごい」の一言でした。

大山 私は「身長高いな」って思っていました。

白井 本当に?その時は身長低くなかった?

大山 でも自分よりはでかかったから(笑)。その時からミニゲームで一緒のチームになったら楽しかったです。

――普段お三方はどのような関わり方をしていますか

堀内 美羽とはさっきあったと思うのですが、「(白井が)ちょっと涙モードだな」という時に「どうした〜」とか言って話して、最終的に「やるしかないよね、頑張ろう」みたいな会話をよくします。愛笑はピッチ外ではほぼほぼ関わりないよね。

大山 しゃべることがあったら話すって感じ(笑)。

堀内 もう1年終わっちゃうなと思うと、あまり関われなかったなという感じかなと思いますね。でもここ(白井と大山)は結構ピッチ内外問わずね。

白井 (練習で)2人組とかを組むときも、周りを見たら愛笑がいて「やろう」というのがいつものパターンです。

大山 気付いたら近くにいるし、目が合う(笑)。

――3人がそれぞれ一番仲が良い部員は誰ですか

堀内 一番一緒にいる時間が長いのは浦部美月(スポ4=スフィーダ世田谷FCユース)ですね。行き帰りの電車の方面も一緒でゼミも一緒なので、4年間で一番一緒にいたのは美月ですね。

白井 自分は結構みんなと仲が良いと思うのですが(笑)。その中でも一緒にいる時間の長さで言ったら、さわみ(澤田美海、スポ3=栃木・宇都宮中央女)かな。教職でも一緒だし、取っている授業が近いというのもあります。あとは今留学でいないけど、花菜(木南花菜、スポ3=ちふれASエルフェン埼玉マリ)には早く帰ってきてほしいです(笑)。最近は愛笑とかともめっちゃ話すのですが、 いる時間の長さで言ったら、その2人はめっちゃ長いですね。家に泊まりに行ったこともあります。

大山 私はみゆき(新井みゆき、スポ1=三菱重工浦和レッズレディースユース)だと思います。授業が被っているものもありますし、(違う授業の時も)みゆきのことを待ってから一緒に練習に行くこともあります。グラウンドでもグラウンドの外でも気づいたら…。なんか美羽さんみたいだね(笑)。気づいたら隣にいて、サッカーの話もいっぱいするし、全然サッカーに関係ないことも話しているので、みゆきが一番仲が良いかなと思います。

――自分の代がどんな学年か教えてください

堀内 先ほど自分も言われましたが、基本的には真面目というのが根本かなと思います。特に4年目になって大事な決め事や話し合いが沢山あったのですが、1つのことを決めるのにも、一人一人がしっかり考えられるからこそ、話し合いの深みは出るけれど、なかなか決まらないことが多かったです。根が真面目なのは、ピッチ内外で良くも悪くも出ていると思います。今年の4年生は守備の選手が多いので、去年の4年生みたいに前で引っ張っていくことはできない分、 後ろから支えとなれるようにという部分を含めて、チームをまとめ上げていきたいというのは常々話しながらやってきました。

白井 みんなめっちゃ優しい学年かなと思います。1、2年生の時は学年で話し合うことはあまりなかったのですが、3年生になって話し合いの機会が多くなって。その中でも全員が一人一人に寄り添えるというか、優しさに溢れている学年だと感じます。学年で遊ぶ学年会とかは全然やらないのですが、すごくみんな仲が良いなと思います。

大山 自分たちはバランスがいい学年だなと思います。言い方が変になるかもしれないのですが、ちゃんとしている人がいて、自分も含めてあんまり考えずにのほほんと生きている人もいて(笑)。 もちろん考えているには考えているのですが、自分たちが足りない分をちゃんとしてる人たちが補ってくれるし、何に関してもマイナスにはならないようにしてくれる人たちが多いです。先輩たちもそうですが、自分たちの代で1番感じるのは、サッカーが大好きだなということです。どれだけ遅くなってもグラウンドで自主練しているし、普段からサッカーの話もするし、常にみんなの中にはサッカーが1番にあると思います。

――堀内さんの母校・常盤木学園高では上下関係が禁止だと伺ったのですが、ア女との違いはいかがですか

堀内 名前にさん付け禁止、敬語も禁止なので上下関係はないですね。仕事は上級生がやります。チームの仕事、それこそア女では部荷物は1年生がやっていますが、(常盤木学園高では)上級生がやって、それを下級生が見て分かるようになっていこうという感じでした。顧問の先生の考えとして、下級生はチームのことは考えなくていいというものがあって。下級生は(練習に)ついていくことに必死だと思うし、自分のサッカーにまず専念しないといけない。そういうことも含めて、上級生が仕事をやることになっていました。だから私は下級生が仕事をできないとかやらないということに関しても、自分ができるなら自分がでやればいいじゃん、という感じでした。でも今それを下級生がやることに反対かと言われたら、そうではなくて。2、3、4年生には別の役職がある中で1年生に部荷物という役職があるということは、組織に対しての意識をもつことにつながると思います。ただ1年生が部荷物だからといって、自分たちも使うチームのものを押し付けるのは違うと思いますし、できる限りのサポートするというイメージで自分はやっていました。上下関係とかに関しては、今もほぼないと思います。この2人もクラブだから全然違うと思うんですが、自分もがっつり上下関係みたいな環境で育っていないので、そこに対してはあんまり変化はないのかなという風に思います。

――白井選手と大山選手は高校時代とア女との違いはありますか

白井 高校時代は本当に上下関係がなくて、部荷物も全員でやるみたいな感じでした。ア女でも1年生から見た4年生とか、入部してきた時にはすごく「先輩」という感じはありましたが、一緒に過ごしていくにつれてそれも薄れていくというか。(先輩は)すごく接しやすいし、上下関係の壁とかはあまり感じません。ただ組織においては荷物などの役割があることで、自分がその組織にいるんだということをしっかりと理解できるから、責任を持って役職はやらなきゃいけないと思うし、そこは高校と違うところかなと思います。高校では(荷物などは)早く来た人が自主的にやる感じでやる人も限られていたので、部活らしさを感じるところです。

大山 今までクラブにいたからこそ、サッカーを通して学ぶことは多かったし、今の自分を作ってくれたのはそれだと思います。ア女に来て、チームとしてサッカーじゃないところから成長できる場だなと思いました。あと自分は中学生と高校生が一緒にプレーするクラブでサッカーをしてきて、中学生の時は遠慮していたというか、上の人たちに伝えたくても伝えられなかったことがありました。でもア女に来て学年が近くなったというのはありますが、自分が伝えたいことを伝えたらそれを理解してくれる人たちがいっぱいいて、自分には無かった考えをもっている人たちもたくさんいるから、自分の考えが今まで以上に広がるなと思いました。

 

「自分にできることは何かを考えて成長できた」(白井)

今季のプレーを振り返る白井

――それではサッカーについての話に移ります。チーム・個人両面で今季ここまでを振り返っていかがですか

堀内 チームとしては山あり谷ありという感じです。もちろん良い時もありましたが、結果としてまだまだ足りない部分を突きつけられた時期もありました。確実に成長することはできているのは大きいですが、ずっと引きずってきている課題もあるので、そこはチームとして向き合ってクリアして、インカレに向かいたいと思っています。個人としては、今季はケガからの復帰から始まり開幕戦の出場を逃した中で、自分自身も山あり谷ありという感じではあったのですが、ここまできたら「この時は良かった」「悪かった」とかはもう正直どうでもいいのかなというのが自分の中ではあって。振り返ったら色々なことがありすぎて、悩みもがきながらも一つ一つやって、個人としても積み上げはできてきたと捉えたいですし、良かった時の自分をイメージするとかではなく、もう最後なので、自分にできることをやっていけば良いかなと思っています。

白井 前期は勝ち切ることのできないところや、最後の最後に失点してしまうところが課題としてありました。でも後期に入るにつれて、練習や試合で積み上げてきたものが結果として出て、勝ち点を重ねて関カレを2位で終わることができたというのは、チームとして良かったところかなと思います。個人としては、ア女にきて長期離脱したのは今季が初めてで、大きいケガをしたことがなかったから、「ケガって結構キツイな」というのはありました。璃子さんと同じく開幕戦出場を逃し、気持ち的にもマイナスなところから始まって、復帰してからも初めは自分の得意なポジションではなかったですが、そこでも自分にできることは何かを考えて成長できたと思います。チームに対しての考え方や、自分が与えられたポジションで何ができるかということなど、全部が全部でないかもしれませんが成長につながっていれば嬉しいなと思います。

大山 チームとしてはシーズンの大半をピッチの外から見ることが多かったので、ずっとプレーしてきた人とは違うかもしれないけれど、最初見た時よりも確実に成長できた1年間だったと思いますし、それが関カレの結果という目に見えるものに結びついたことは良かったかなと思います。個人としては、ケガをしてから今まで以上に自分の体に向き合うようになって。チームに貢献するためにすぐにプレーできなかったのは悔しかったですし、復帰してからも最初は「自分じゃないな」と思うことは多かったけれど、今はケガをして良かったと思うし、試合に出してもらううちに調子が上がってきました。前の自分からは想像もできないポジションで試合に出て、プレースタイルも少し変化しました。新たな発見をいっぱいできた1年間だったと思います。

――皇后杯はどんな大会だったか、何を得たか教えてください

堀内 個人としては皇后杯にかける思いはすごく強くて。というのも高校1年生の時からベンチに入ったり試合に出てきたんです。当時のなでしこリーグ1部、今のWEリーグに所属する長野(AC長野パルセイロ・レディース)や浦和(三菱重工浦和レッズ・レディース)と対戦した経験もあって、チャレンジャーとして挑むことができる、選手権やインカレとはまた違うワクワクのある大会だと感じてきました。今大会は結果的にピッチに立ったのは1回戦だけでしたが、独特な雰囲気で、緊張というよりはここから始まっていく皇后杯がどうなるのかな、良いものにしたいな、というワクワクが大きくて。ただ自分自身が良いプレーをしたかと言われればそうではないし、チームとして得られたものはありますが、素直に自分自身もっとやりたかったなと思います。

白井 やっぱり皇后杯は自分たちより上の実力の相手と試合をするチャンスだし、そこでのスピード感やフィジカル、技術の高さを肌で感じられたのはチームとしても個人としても大きな経験になったと思います。昨年は出場しても後半のラスト15分とか延長戦で、先輩に背中を押されながら自由にプレーさせてもらっていたんですが、今年は学年も上になって最初から出させてもらったので、すごく緊張してお腹も痛かったし(笑)。自分の力、自分のプレーを最大限に出せたかと言われれば出せなかったですが、それも良い経験というか、相手やスタジアムでやることも含めてあまり経験できないことなので、インカレなど今後につなげていきたいです。

大山 メニーナの時に1度皇后杯ベスト8を経験して、格上のチームに勝っていく楽しさを身にしみて感じたからこそ今回も勝ちたかったですし、負けたことは本当に悔しいです。ただその試合に出ていた身として、勝利に貢献できなかった、チームを勝たせられなかったということに関しては、もっと上のレベルでやることを考えた時に絶対に出来なきゃいけないことだったと思います。自分がもっと成長してただ単に自分のプレーをするんじゃなくて、それを結果に結びつけるために頑張らなきゃいけないなということは収穫として得ることができました。

――今季を振り返って「チームとしてうまくいっているな」と感じるのはどんな時でしたか

堀内 ざっくり言うと、「自分たちのペースを握ることができている時」ですね。

――それはボールをもっている時、ということを意味するのでしょうか

堀内 たとえボールをもっていなくても、ちゃんと自分たちの狙い通りに相手のボールを奪える、奪いたい時にしっかり奪いきれると、そこから自分たちの攻撃ができていると思います。またボールをもっている時には、前のつながることのできる選手がお互いにお互いを見て良いリズムで崩せる、というところがやっぱりア女の強みだし、そこに大きな展開なども組み合わせながら一人ひとりの特徴が全部生きる攻撃ができると、見ていて「楽しいな」と思います。後ろからなので他人事みたいになっちゃうんですけど(笑)。「頑張れ!」みたいな感じで後ろから見ていると、その分守備にも専念できますし、やっている選手も楽しめていると思うので、みんなが楽しめているときが(チームとして)うまくいっていると思いますね。

白井 全員の距離感が良い時かなと思います。今季は自分や愛笑も含め前線でつながれる選手が多くて、距離感が良い時はテンポよく相手を崩して、ゴールまで向かうことができているなという印象です。仮に奪われたとしても距離感が良いからこそすぐ奪い返しにいけて、そこから攻撃やボール保持につながるので、それができた試合は攻守に渡ってア女の流れを作ることができていたのかなと思います。

大山 相手関係なしに自分たちがしたいサッカーを貫くことができていたら、そういう試合は優位に進めることができていました。攻撃面で言えば、ポジションが隣や1個前の選手と目が合う回数が多い試合は良かったかなと思います。

――お三方に答えていただいたようなことが、実際によくできていた試合はありますか

大山 大東文化大戦(関カレ後期第11節、10月29日、△0-0)かな。

白井 大東文化大戦は勝ち切ることはできなかったけど、めっちゃ目は合ってたよね。

堀内 ただそこは勝ち切れなかったのがね…(笑)。

白井 距離感とかの話とは違いますが、泥臭さや今までの積み上げが出たなという試合は、帝京平成大戦(関カレ後期第10節、10月22日、〇1-0)です。前期の課題だった勝ち切れないところを考えれば、攻められる時間は長かったけれど耐えきれた試合だし…、なんて言うんだろう、貫いたというか。

堀内 耐えたのもそうだし、乗り越えた感はあったよね。

 

「自分という存在、やってきた全部を出さなきゃいけない」(堀内)

インカレへの意気込みを語る堀内(写真左)

――インカレについて率直にどのような思い、印象をもっていますか

堀内 先ほど話した皇后杯とはまた違いますし、学生サッカーってどの年代もそうだと思うんですけど、勢いや気持ちが結果を大きく左右する大会なのかなというふうには思っています。自分はこれまで3回、色々な関わり方をしてきて。1年生の時は初戦で敗退(2020年12月26日、大東文化大戦、●0-1)したんですが、「相手の方が気持ちは強かった」と言いたくはないけれど、結果でみればそういうことになってしまうと思います。関カレ上位だからとかは全く関係なしに、その時その瞬間思いが強く、どん欲であった方が勝つというか、上手さ以上に気持ちが大事になる大会だと思います。

白井 自分が1年生の時にインカレで優勝しましたが、自分はスタンドで見ていて。兵庫ラウンド(2、3回戦)から全ての試合に帯同はしていて、メンバーに入っている選手の勝ちたい気持ちや、ゴールに向かうどん欲な姿勢、必死で走っている姿を見て、やっぱり最後は気持ちなんだなということを実感しました。昨年(2022年12月26日、インカレ3回戦日大戦、△1-1、PK2-3)も気持ちは絶対に強かったけれど、日大は10人になって引いてでも絶対に勝ちたい、という強い気持ちが表れていたし、そこにチームとしての日大の強さがあったと思います。やっぱり上手さだけではなくてア女らしさも出しつつ、気持ちは絶対に必要だなと。どうなるか分からないからこそ、強いメンタルをもっていないといけない大会なんだなという印象があります。

大山 シーズン最後の大会で結果を出さなければいけない場なのは十分分かっているのですが、あまり大会だから、ということを気にするタイプでもないので…。「楽しみだなぁ」って思います(笑)。

一同 (笑)

――インカレの注目選手・スタッフを教えてください

堀内 その時いるメンバーそれぞれに注目して欲しい気持ちはあるのですが、注目というよりは「頼んだよ」と言う気持ちで三谷和華奈(スポ4=東京・十文字)を挙げようと思います。今年は昨年のスターたちのように前でどっしりと構えて引っ張ることのできる4年生ではなかったので、勝手な想像ではありますが、和華奈はかなりの責任を背負って「自分がやらなきゃ」という気持ちを強くもっていたんじゃないかなと思っています。だからといって下級生に頼らないとかでは全然なくて、大きなケガから立ち直ったことや4年間積み重ねてきたもの全部をひっくるめて、「頼んだぞ」というか、最後に見せて欲しいという願いも込めて。

白井 試合に出ている選手も出ていない選手も、全員がそれぞれの立場で最大限のことを頑張っているので全員に注目して欲しいです。その中でも自分は、朋香さん(菊池マネジャー、政経4=東京・早実) に注目してほしくて。ベンチで毎試合見守ってくれている中で、1番朋香さんの声が聞こえるし、マネジャーだけど常に声を出してチームを盛り上げてくれています。それはピッチ内でも聞こえていますし、自分の中でも励みになっているんです。サッカーはできなくても声やサポートなどでチームを支えてくれているし、勝利にも貢献してくれているので、注目してほしいです。

大山 若葉さん(後藤主将、スポ4=日テレ・メニーナ)で。自分が中学生の時に関わっていた若葉さんからは想像できないほどチームを引っ張る声を出して、それ以上にプレーで引っ張ってくれて、あまり外には出さないけど思っていたり背負っていたりするものがあると思います。優勝というタイトルだけではなくて、苦しいところでも得点など結果を出してくれるかなと思うのが若葉さんなので、注目します!

堀内 自分が?(笑)

一同 (笑)

――最後にご自身の注目プレーと、大会に向けての意気込みをお願いします

堀内 今まで「1対1の守備」とか「カバーリング」とか言ってきたけど、ここまでくるとどうでも良いというか。自分の得意なプレーだからそこを見てほしい、とかいうよりもここにかける思いが大きくて。やっぱり自分はここでサッカーから離れる決断をしたので、全ての思い、自分という存在、自分が今までやってきた全部を出さなきゃいけないと思っています。結果的にそれが良いプレーになったり、「これでこそ璃子だよね」と思ってもらえるようなプレーになったりすれば良いなと思います。プレーというよりは、気持ちの部分で全てを表現したいと思います。

白井 自分はあまり目立った「これ!」というようなプレーはあまりできないのですが、味方との連携やつながりで、うまくゴールにいけるように考えてプレーをしています。自分は今年1,2年生の時に比べてゴールを決めることができていないので、味方と連携してチャンスを作りながらゴールも決めたいと思います。あとは攻撃の選手なので、攻撃のことで頭がいっぱいになってしまうことも多いんですけど、ずっと攻めることができるわけでもないですし、インカレは相手が勢いや強さをもってくると思います。相手が蹴ってきたロングボールのセカンドを拾うとか、守備の部分も頑張りたいなと思います。

大山 攻撃の起点になったり、ゴールに直結するようなパスを出したりとか、アイデアを思いついてそれを実際にプレーにするのは得意なので、注目してもらいたいです。個人的にはここにスポーツ推薦で入学させてもらっている以上、自分が結果を残さないといけないことも分かっていますし、やっとケガが治って本調子になってきたので、今までしてきた経験も含めて、他の大学の選手とは違いが分かるようなプレーをしないといけないと思います。ア女に入ってからずっと言ってきたことですが、入った理由も若葉さんがいるからなので、他の4年生もそうですが、最後は若葉さんを日本一にして終わりたいなと思います。

――ありがとうございました! 

 

(取材 大幡拓登、星野有哉)

 

インカレに向けての意気込みを書いていただきました!

 

◆堀内璃子(ほりうち・りこ)(写真左)

2001(平13)年10月25日生まれ。166センチ。宮城・常盤木学園高出身。スポーツ科学部4年。あまり趣味がないという堀内選手。最近は教習所通いで空いている時間が埋まっているそうです!

◆白井美羽(しらい・みう)(写真中央)

2002(平14)年4月4日生まれ。168センチ。ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ出身。スポーツ科学部3年。元々アニメを見るタイプではなかったという白井選手。しかし最近は「呪術廻戦」にはどハマりして、「領域展開」が口癖になっているそうです!

◆大山愛笑(おおやま・あえむ)

2004(平16)年9月19日生まれ。158センチ。日テレ・東京ヴェルディメニーナ出身。スポーツ科学部1年。なにわ男子が大好きだという大山選手。忙しい日でもなにわ男子の公式YouTubeは必ず更新日に見るそうです!