5日、早稲田大学大隈会館にて、2024Jリーグ・WEリーグ・なでしこリーグクラブへの加入内定選手の合同記者会見が行われた。ア式蹴球部女子(ア女)からは現時点で公式発表されている後藤若葉主将(スポ4=日テレ・メニーナ)、笠原綺乃(スポ4=横須賀シーガルズJOY)、浦部美月副将(スポ4=スフィーダ世田谷FCユース)、夏目歩実(スポ4=宮城・聖和学園)の4選手と後藤史監督(平21教卒=宮城・常盤木学園)が出席。後藤主将はWEリーグ・三菱重工浦和レッズレディース、笠原は同リーグ・サンフレッチェ広島レジーナ、浦部はなでしこリーグ・オルカ鴨川FC、夏目は同リーグ・朝日インテック・ラブリッジ名古屋への2023年加入が内定している。
会見後、Wポーズで笑顔を見せる4人(左から後藤主将、浦部、笠原、夏目)
下級生時から現体制に至るまでア女を支え続けた4人が、それぞれ次のステージに歩みを進める。ピッチ内では変化目まぐるしいア女の戦術の中心であり続け、ピッチ外では常にチーム全体に気を配り心を砕いてきた。4人について後藤監督は「根が素直で良くも悪くも真面目すぎるところもあるが、それぞれが色々な壁にぶつかりながらも乗り越えてきた姿を見てきた」と語った。
加入後の抱負を語る後藤主将
大学サッカーを進路に選んだことの意味について「今後の女子サッカー選手たちに新たな道を切り拓きたいと思った。その一つの答えとして先日アジア競技大会に参加させていただいたというのはすごく大きな意味をもつかなと思っている」と後藤主将は語る。笠原は「サッカー選手としても人間としても、この4年間で成長し学ぶことができた」と早大、ア女での生活を振り返った。浦部副将は「一人一人バックグラウンドの違う選手たちと揉まれながら、4年間一緒にやってこられた」と回顧。夏目は「現状に慢心することなく向上心をもって常に上を目指して、頑張りたい」と抱負を述べた。4人にとってア女での活動は僅か。残す舞台はインカレのみとなり、その後はそれぞれのクラブでルーキーとして新たなサッカー人生を歩み始める。ア女での4年間を、そして誇りを胸に、夢を追いかけ羽ばたいていってほしい。
(記事、写真 大幡拓登)
コメント全集
後藤史監督(平21教卒=宮城・常盤木学園)
――ア女の4人の入団について
日頃より女子部へのご支援、ご声援ありがとうございます。またこのように素晴らしい機会をいただきましたことを、深く御礼申し上げます。この4名についてですが、入学してきた頃から関わらせてもらってきました。この学年は根が素直で良くも悪くも真面目すぎるところもあるんですが、それぞれが色々な壁にぶつかりながらも、ちゃんと乗り越えてきた姿を見てきました。次のステージでも、必ず成長していってくれることを期待しています。またこの学年は「誇りをもって闘う=誇闘(こどう)」というスローガンを掲げていて、ピッチ内外で言葉、そして行動をもって、早稲田の、ア式蹴球部の、そしてア女の誇りというものを下級生たちに伝えてきてくれました。まだ女子部はインカレが残っておりますので、最後の日まで誇りをもって、日本一という1番高い景色を見られるように、頑張っていきたいと思います。そしてその過程が必ずまた、(4名が)高い山を登っていく力になると思っております。
後藤若葉主将(スポ4=日テレ・メニーナ)
――加入内定に際して
まずはこのような素晴らしい会を設けていただき、ありがとうございます。プロサッカー選手としてのキャリアのスタートを、三菱重工浦和レッズレディース(以下浦和)という素晴らしいチームで迎えることができとても嬉しく思います。浦和は選手層が厚く今より厳しい環境になりますが、一つ一つ多くのことを吸収して、少しでも早く、1試合でも多くチームに貢献できる選手になれるよう頑張りたいと思います。また、これまで支えてくださった全ての方々への感謝の気持ちを胸にプレーしていきたいと思います。
――加入初年度の目標と、そこに対する現時点での距離感を教えてください
現在自分のポジションはディフェンダーですが、浦和にはなでしこJAPANに選ばれているディフェンダーが多くいます。やはりスタメン入りを目標にやっていきたいと思っていて、そこでポジションをつかむことがなでしこJAPAN 入りへの近道になると思います。ただ9月に私はアジア競技大会に参加させていただいた中で、世界との壁や一緒にプレーしたWEリーグ選手との差を痛感してきました。これから浦和の厳しい、素晴らしい環境の中で毎日揉まれ、その選手たちのプレーを間近で見ることで良い部分を奪いながら自分の良さも出して成長していくことができれば、スタメンで出ることを目標にしていけると思っています。
――ユース日本代表時代の先輩である高橋はな(浦和)選手をはじめ諸先輩方とどのようなコミュニケーションをとりましたか
浦和には日本代表に入っている選手が多くいるという中で、私自身そういった選手から見て学ぶことは多くあります。練習参加に行った時にはディフェンダー陣と声を掛け合うことが多かったですし、その中で学んでいければと思います。
――大学サッカーを進路として選んだことについてどのような意味を感じますか
私は6年間メニーナ(日テレ・東京ヴェルディメニーナ)で育てていただいたのですが、そこで学んだことは今の私の基礎となっていてとても大事な部分です。ただ違う環境で成長したいというのが1番にあって、人間として成長できるというのが早稲田を選んで良かったという部分でもあります。私自身大学を選んだ時に、今後大学サッカーやWEリーグ、なでしこリーグという選択をする女子サッカー選手たちに、新たな道を切り拓きたいと思って、その一つの答えとして先日アジア競技大会に参加させていただいたというのはすごく大きな意味をもつかなと思っています。今後WEリーグでどれだけ活躍できるかというのも見られていると思いますが、まず私が大学を選んでやりたかったことはできたと思いますし、まだ私たちにはインカレという舞台が残っているので、そこで活躍する姿を最後に見せたいと思っています。
笠原綺乃(スポ4=横須賀シーガルズJOY)
――加入内定に際して
まずはこのような素晴らしいチームでプレーすることができるということを、とても嬉しく思います。そして今まで私のサッカーに関わってくださった全ての方々に、感謝を申し上げたいと思います。サンフレッチェ広島レジーナ(以下レジーナ)の選手の一員として自覚と強い責任感をもって、1試合でも多くサポーターの方々と共に勝利を分かち合えるように日々自分と向き合って頑張っていきたいと思います。応援のほどよろしくお願いいたします。
――加入初年度の目標とそこに対する現時点での距離感を教えてください
1日でも早くピッチに立って、チームの勝利に貢献するということを、現時点での目標としてやっていきたいと思います。ただWEリーグのは決して簡単な舞台ではないと思うので、自分にベクトルを向け、学生時代に培ってきたように課題と向き合って成長し続けて、必ずスタメンの座をつかみたいと思います。
――内定先のア女OGとはコミュニケーションをとりましまか
レジーナには松本選手(松本茉奈加、令3スポ卒)と吉野選手(吉野真央、令5スポ卒) の2人のア女OGが在籍していまして、2選手とも一緒にプレーしたことがあるのでお互いの特徴も理解しています。新しい環境にこれから行くという意味では、先輩方がいることはとても心強いと感じています。
――大学サッカーを進路として選んだことについてどのような意味を感じますか
私自身サッカーも勉強も、文武両道でやりたいなと思っていました。どちらも高いレベルで目指せる環境がこの早大スポーツ科学部にはあったと思うので、そういった理由で(大学サッカーを)選びました。サッカー選手としても人間としても、この4年間で成長し学ぶことができたと思っています。
浦部美月副将(スポ4=スフィーダ世田谷FCユース)
――加入内定に際して
まずはオルカ鴨川FCという、決して当たり前ではない高いレベルの環境に来年から身を置けることを大変嬉しく思っております。自分自身がもっている泥臭さや献身的なプレーを存分に発揮して、リーグ連覇に貢献できるよう頑張っていきたいと思います。応援のほどよろしくお願いいたします。
――初年度の目標と、リーグ全体に対する印象や自信のほどについて教えてください
初年度は1日でも早くピッチに立って、勝利やリーグ連覇に貢献するということが個人的な目標です。実際に2週間前に皇后杯で、同リーグ在籍のスフィーダ世田谷FCどの試合もあって、そこでも自分自身通用するプレーはたくさんありました。でも守備の強度やプレースピードなど、まだまだ足りない部分も感じられたので、自分の武器を発揮しつつ、課題にしっかり向き合って1つ1つ克服して、リーグ連覇に貢献できる選手になりたいと思います。
――内定先のア女OGとはコミュニケーションをとりましたか
練習参加した際にはやっぱりリーグ優勝したということもあり、一人一人プレースピードやレベルは高いなとすごく感じました。2年前にア女を卒業した並木選手(並木千夏、令4スポ卒)とも一緒にプレーをして、ゲームの際にはプレースタイルがお互いに分かっていましたし、コミュニケーションもすごく取ってくれました。
――大学サッカーを進路として選んだことについてどのような意味を感じますか
大学、ア女を選んだ理由の1番は「日本一をとりたい」ということです。あとは私自身そのまま、古巣のクラブで上に上がるという選択肢もあったのですが、新しくより厳しい環境に身を置きたいという思いがありました。実際にア女にきて、一人一人バックグラウンドの違う選手たちと揉まれながら、4年間一緒にやってこられましたし、皆さんが言った通り、サッカー選手としてだけでなく人間性の部分を鍛えてもらえたので、ア女に入って良かったなと思います。
夏目歩実(スポ4=宮城・聖和学園)
――加入内定に際して
まずは次のキャリアを朝日インテック・ラブリッジ名古屋(以下名古屋)という素晴らしいチームでスタートできることを、大変嬉しく思います。こうして17年目も競技を続けられることは決して当たり前ではなくて、多くの方々の支援があるからだと思っています。いつも支えてくれる家族をはじめ、私に携わってきてくれた指導者の方々や、切磋琢磨してきた仲間など、支えてくれたさまざまな方々には感謝してもしきれません。この感謝の気持ちを胸に、ピッチ上で輝く姿を見せることで恩を返すことができるよう、精進していきたいと思います。また現状に慢心することなく向上心をもって常に上を目指して、頑張りたいと思いますので、応援のほどよろしくお願いします。
――初年度の目標と、リーグ全体に対する印象や自信のほどについて教えてください
初年度はスタメンとして試合に出場することはもちろん、チームとしてリーグ最小失点に抑えたいというのが目標です。名古屋とは昨年も皇后杯の舞台で対戦して、その時は勝利という結果で終わりましたが、今年度スフィーダ世田谷FCと試合をしたり、練習参加に行かせてもらったりする中で、自分の武器としている部分は通用するなとも思うのですが、一方でまだまだ足りない部分や、他の選手と比べて自分が成長できるなという部分がありました。そういった部分は他の選手のプレーからも盗みながら、また自分として1段階プレーの強度を上げて、なでしこリーグ1部の舞台で輝けるように頑張りたいと思います。
――内定先のア女OGとはコミュニケーションをとりましたか
名古屋には阿部選手(安部由希子、平31スポ卒)、山田選手(山田仁衣奈、令2スポ卒)、黒柳選手(黒柳美裕、令4スポ卒)の3人のア女OGの方々が在籍しています。私がア女で一緒にプレーしたのは黒柳選手だけですが、ア女のプレースタイルはほとんど変わっていない中でコミュニケーションをとらせてもらうことができたので、自分もやりやすくプレーすることができました。その意味では練習参加の際にすごくお世話になったと感じています。
――大学サッカーを進路として選んだことについてどのような意味を感じますか
私自身は大学進学という選択肢しかなかったのですが、その中で高いレベルで文武両道ができるというところに魅力を感じて早稲田大学に進学することを選びました。実際にア式蹴球部の「WASEDA the 1st〜サッカー選手としても、人としても一番であれ〜」という理念の下で生活してきて、サッカー選手としてだけでなく、オフの部分でも人間性の部分、たくさんの人とコミュニケーションをとりながら成長することができたと思います。それに関しては早稲田大学、そしてア女にきて非常に良かったですし、自分の大きな財産になったなというふうに思っております。