後半に守備崩れ3失点 関東リーグ、格上に大敗喫す

ア式蹴球女子
第29回関東女子サッカーリーグ
早大 0-0(前半)
0-3(後半)
SEISA OSA レイア湘南FC
【得点】
(早大)なし
(SEISA OSA レイア湘南FC)59分:塩野海風、69分:中島咲友菜、86分:森美礼亜

 関東女子サッカーリーグは後期、第4節SEISA OSA レイア湘南FC(レイア)戦を迎えた。試合は序盤から相手に主導権を握られる展開が続いたものの、スコアレスで前半を折り返す。しかし後半に入り59分、右サイドからの攻撃で失点すると、69分にも右サイドから失点。終盤86分にもコーナーキック(CK)の流れから失点を重ね、ア式蹴球部女子(ア女)は0-3の完敗を喫した。

 

ドリブルするMF栗田彩令(スポ3=静岡・藤枝順心)

 前節(10月1日、関東リーグ後期第3節東洋大戦、◯1-0)と前日の関カレ日体大戦(10月7日、〇2-0)の勝利の勢いをそのままに、三増公園陸上競技場に乗り込んだア女。天然芝のピッチを霧雨が濡らすコンディションの下、ゲームはスタートした。レイアがボールを保持しながら、決定機はお互いに無く試合は膠着気味の展開に。14分には、裏に蹴られたところについていった杉山がシュートブロック。30分には右サイドの裏にボールが出たが、MF新井みゆき(スポ1=埼玉・浦和レッズレディースユース)が戻ってクリアした。少ないチャンスをものにしたいア女は40分、栗田が中盤で奪ったところから自らエリア前まで運び、そのままシュートを放つがキーパー正面。結果的に前半のシュートはこの苦し紛れの一本にとどまったが、逆にレイアにも決定機は作らせず、0-0で前半を折り返した。

 

攻守で奮闘したMF川本美羽(スポ1=新潟・帝京長岡)

 後半も大勢は変わらず、ア女にとっては苦しい時間が続く。49分には際どいスルーパスでピンチを迎えるがGK丸山翔子(スポ3=スフィーダ世田谷FCユース)が飛び出してクリア。58分には右サイドのタッチライン際で混戦から突破されるが、杉山がついていってコースを限定し、シュートを枠外へ誘導した。しかし59分に均衡は破れる。繰り返し攻め込まれていた右サイドから中央へのクロスが上がると、頭で合わせられ失点。何とか取り返したい64分には、新井が個人技で2人、3人と相手ディフェンダー陣を突破するがシュートは打てない。逆に69分、右サイドの攻撃から再び失点し0-2。さらに苦しい展開になる。76分にはMF笠原綺乃(スポ4=横須賀シーガルズJOY)を投入し攻撃の活性化を図るが、続くコーナーキック(CK)のチャンスをものにできない。さらには86分、相手CKをクリアしたところを拾われると、右から上がったクロスをファーサイドで合わせられ失点。ダメ押しの1点を食らい、そのまま0-3とア女の完敗で試合は決着した。

 

失点こそ多かったが、杉山は好守備を連発。「90分間通してチーム全員で守り切るということの難しさを感じた」と試合後は悔しい表情

 前節、強度の高い守備で成功体験を得ていただけに、悔しい敗北となった。「相手が前半と違って自分たちのサイドの裏を使ってきたり、ワンタッチプレーを増やしてきたりしたところに、自分たちは前半と同じ守備をし続けてしまった」と振り返ったのは杉山。相手のシンプルな裏やサイドを使う攻撃に対し、強度が落ちる後半にかけて、チーム全体として対応が後手に回った。しかしこの敗戦を、「さすがは首位のチーム」と一言でまとめてはいけないはず。相手と力の差があったのは事実だが、例え結果が振るわなくとも、こういった相手にも自分たちのサッカーを押し付けていかなくてはならない。「(厳しい日程の中)選手たちは本当に頑張っている。それをなんとか結果につなげられるよう、しっかりと準備したい」(後藤史監督、平21教卒=宮城・常盤木学園)。リーグ終盤の連戦、ここが意地の見せどころだ。

(記事、写真 大幡拓登)

 

スターティングイレブン

 

早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 16 丸山翔子 スポ3 スフィーダ世田谷FCユース
DF ◎浦部美月 スポ4 スフィーダ世田谷FCユース
→HT 夏目歩実 スポ4 宮城・聖和学園
DF 15 小林舞美 スポ2 ちふれASエルフェン埼玉マリ
DF 25 杉山遥菜 スポ1 東京・十文字
DF 28 﨑岡由真 スポ1 埼玉・浦和レッズレディースユース
MF 19 淀川知華 商2 山梨・日本航空
MF 22 阪本環 スポ2 日体大FIELDS横浜U18
MF 27 新井みゆき スポ1 埼玉・浦和レッズレディースユース
→86分 17 藤田智里 スポ4 神奈川・大和
MF 29 川本美羽 スポ1 新潟・帝京長岡
MF 18 栗田彩令 スポ3 ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ
→76分 笠原綺乃 スポ4 横須賀シーガルズJOY
FW 26 千葉梨々花 スポ1 東京・十文字
◎=ゲームキャプテン
コメント

後藤史監督(平21教卒=宮城・常盤木学園)

――試合全体を振り返っていかがですか

 守備をする時間が多いというのは全員で共有していたので、ある程度の展開に関しては想定通りでした。首位のチームらしく、後半ギアを上げてきたところにやられたなと思います。

――前半攻められる時間が長かった中で決定的なピンチはあまりなかったように思います。前半の守備についてどのように評価されますか

 関東リーグのメンバーはそういった守備面での成功体験も多いですし、そういったタフな戦い方ができることは素晴らしいと思います。ただここから関東リーグ首位のチームや来週のVONDSなど、上位の相手に勝っていく、というところが次の課題になってきます。自分たちは守れる、失点を抑える戦い方ができるというのは1つのオプション、戦い方にはなると思いますが、「負けない」というより「勝つ」という部分をやっていかなければいけないと、改めて突きつけられたと思います。

――前半前向きに守備ができていた一方で、後半は後ろ向きになったりサイドの裏を使われたりするかたちが多かった印象です

 前半はレイアさんが中盤に落ちてくる(フォワードの)選手にパスを出してくれていたので、浦部や杉山など前に出ていく選手がつぶせていたんですが、後半は落ちて引っ張り出された後にその裏を使われるという展開になりました。ただそれを想定していなかったかというとそうではなかったですし、ピッチ内でどんな会話があったのか、1本裏をとられた時にどういう修正ができたのか。試合前でのミーティングでも伝えましたし、スカウティング段階で理解できていたことだと思うので、そういった部分の修正ができなかったことが相手のCKや失点につながったのかなと思います。

――関東リーグにおいて攻撃のかたちがうまく行かない際によくあるパターンとして、サイドにボールが出た先で詰まってしまう、というのがあると思います。どのように改善していきますか

 守備に力を入れている分、センターバックがボールを持った際に前線の選手が止まってしまっていたり、段差を作れなくなってしまったりしていて、そうなるとロングボールを蹴ったところでセカンドボールは回収できないですし、サイドに出したところで詰まってしまいます。前半は何度か左の崎岡のところで、はめられるような形になってしまいましたし。今日に関してはビルドアップやボールを奪った段階で、そこまでの激しいプレスがきたわけではなかったと思うんです。 どちらかというと自分たちの動き出しやボールを受けるタイミングのところが、足りていなかったかなと。ただそれも前節しっかり守る戦術だったことから、守備の意識づけを強くしすぎて、どうやったら勝ちに行けるのかというところまで示せていなかったというところもあって。そこについてはマネジメント不足、私の責任だなと感じています。

――「さすが首位のチーム」というところと「もっとできた」という両面あると思います。この敗戦を今後どう生かしていきたいですか

 来週もVONDSさんとの試合で、レイアさんと同じく質高くパスを繋ぎながら勢いをもってプレーするチームです。今日の悔しい敗戦を次のVONDS戦でどう生かすかというところは、ピッチ上でしか取り返せないと思います。ダブルヘッダーの選手も多くいますし、選手たちは本当に頑張っていると思います。それをなんとか結果につなげられるよう、短い時間ですがしっかりと準備したいと思います。

 

栗田彩令(スポ3=静岡・藤枝順心)

――90分間振り返っていかがですか

 前期で負けているというのもあって、前半は攻められる時間が多かったものの粘り強く戦えていたと思います。ただ後半は1つのプレーで崩されてしまって、そこから立て直すことができなかったのが今のチームの課題かなと思います。

――1つのプレーというのはやはり、最初の失点のところですか

 そうですね。失点シーンもそうですが、自分たちのミスからピンチを招いてしまうことが多かったと思います。

――前半は粘り強く戦えていましたが、守備面ではどのようなことを意識していましたか

 まず切り替えは早くしよう、というところはチームの中で共有していたので、そこについては体現できたかなと思います。

――ご自身も今日は積極的にシュートも放ちました。狙っていたところですか

 やっぱりフォワードなので、みんなが守ってくれているボールを自分が最後までもっていく、というのは(フォワードとしての)責任なのかなと思っていました。前節シュート打てなかったのもあって、そこは意識していました。

――この敗戦でまた上位との差が開く結果になりました。今後も続く関東リーグ終盤戦に向けて意気込みをお願いします

 まだ全然終わりではないですし、ここから上がっていける部分もあると思うので、またチームで積み上げて頑張っていきたいです。

 

杉山遥菜(スポ1=東京・十文字)

――まずは90分間振り返っていかがですか

 前期も負けた相手にまた3失点してしまいました。相手の個の強さや上手さについては全員で理解していて、それに対してチームでどのように守るか、というところが今日の課題だったと思うのですが、90分間通してチーム全員で守り切るということの難しさを感じた試合で、率直に悔しいです。

――前半攻められる時間が長かった中で決定的なピンチはあまりなかったように思うのですが、後半崩れてしまった要因はどこにあると感じますか

 相手が前半と違って自分たちのサイドの裏を使ってきたり、ワンタッチプレーを増やしてきたりしたところに、自分たちは前半と同じ守備をし続けてしまったと思います。みんなが疲れている中でそういった部分をすぐに切り替えられなかったですし、ワンタッチで崩されていくところにつられて、結果的についていけなくなってしまいました。守備の仕方で言えば、前半はマンツーマン気味で守備をしていた中で相手に合わせてゾーンに切り替える、というような判断力、対応力が個人的にも足りなかったのかなと思います。

――失点シーンはセットプレーの流れやサイドからの攻撃からでした。どのように振り返りますか

 サイドからのクロスを中で合わせられることが多かったのですが、クリアしきることがまず必要でしたし、全員でボール(ホルダー)についていくことに必死になってしまって、中のマーク枚数が足りていなかったり、足りていても、中で上手くマークにつけているかの声掛けができていませんでした。熱くなるところは熱くなっていいのですが、ボールだけじゃなく中で一人一人が声を掛け合って、冷静に対応していれば失点はなかったんじゃないかと思います。

――ビルドアップの際にサイドにパスが出た際に詰まってしまうことが多かったと思いますが、どう改善していきたいですか

 個人的にはセンターバックとして出ていて、サイドに簡単に当ててしまうとその後できつくなってしまっていたと思います。ひっくり返すところはちゃんとひっくり返して、1回相手の背後を取ってから高い位置での守備を始めることも必要だったと思いますし、センターバックのポジション取りやキーパーとのビルドアップだけで、サイドや中盤の選手にもう少し余裕を持たせることもできたと思います。

――関カレで出場し続けていた前期に比べ、後期は関東リーグにも多く出場しています。センターバックとして、チーム内の序列やポジション争いについてどのように感じていますか

 前期に関カレで出させていただいていた時も、すごく良い守備陣で、先輩たちと比べて自分が「足りないな」「負けているな」と思うことはあって。ただその中でも関カレのチームで自分がどのように貢献できるかを逆算して考えて、プレーをしていました。最近は自分が足りないところや、みんながすごいというところで関カレには(スタメンで)出られていないですが、そこは改善点として、自分の中で課題、弱点を克服できるようプレーしています。また関カレに出られないからといって落ち込むのではなくて、関東リーグにももちろんポジション争いがありますし、まずは関東リーグで出させてもらっていることをプラスに捉えて、このチームに自分が貢献して勝利に導けるよう、頑張っていきたいです。

――上位とはまた勝ち点差が開いてしまう結果になりましたが、今後に向けての意気込みをお願いします

 今後はもちろん勝利を目指すことは変わらずなんですが、試合展開の中で苦しい時間ができたとしてもチーム全員で支え合って90分間自分たちのサッカーを押し通して、勝っていければいいなと思います。