十文字高に完敗 皇后杯本戦行きは10日にお預け

ア式蹴球女子
第45回皇后杯関東予選
早大 0-1(前半)
0-2(後半)
十文字高等学校
【得点】
(早大)なし
(十文字高等学校)15分:米口和花、44分:本多桃華、55分:三宅万尋

 9日、前日の台風の影響で風が吹く中、千葉県の東総運動場にて皇后杯関東予選3回戦が行われた。試合は序盤から終始相手にコントロールされる展開となる。14分に相手選手が放ったミドルシュートのこぼれ球を詰められて失点。そして、後半開始直後の43分と54分にも立て続けに失点。そのまま反撃することができなかったア女は0-3で十文字高等学校(十文字高)に敗北を喫した。ア女は10日、同じくベスト8で敗戦した日体大SMGサテライトとの一戦に臨み、皇后杯本戦出場を目指すことになる。

 

ドリブルするMF白井美羽(スポ3=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)。この日はキープ力とパスセンスをいかんなく発揮

 関東大学女子リーグ後期第5節の国際武道大学戦(9月6日、◯4-2)から中2日という過密日程のなか行われたこの試合だが、ア女はメンバーの変更をせず試合に臨んだ。試合開始直後は前からの積極的なプレスでボールを奪いシュートを放つシーンがあったものの、試合全体を通して相手がゲームの主導権を握る展開に。14分、相手選手に右サイドを突破され、カットインから放たれたミドルシュートはポスト直撃。跳ね返ったこぼれ球を押し込まれ失点する。反撃を試みるア女は24分、ビルドアップからMF築地育(スポ3=静岡・常葉大橘)へとボールを繋ぎ、その築地からのスルーパスに反応したMF三谷和華奈(スポ4=東京・十文字)が抜け出すが相手キーパーにキャッチされシュートまでいくことができず。29分には前からのプレスでMF笠原綺乃(スポ4=横須賀シーガルズJOY)がボール奪取し、そのままシュートを放つがこちらもキーパーに難なくキャッチされてしまう。決定機を作ることができなかったア女は、前半を0-1で折り返した。

 

後半出場のFW千葉梨々花(スポ1=東京・十文字)。古巣相手に気を吐いた

 反撃の狼煙をあげたかったア女だが、後半開始直後に失点をしてしまう。43分、相手のコーナーキックから豪快なヘディングシュートを叩き込まれてしまい0-2。まず1点を取り返したいア女は、後半の頭から三谷に代わって出場した千葉や、49分にMF宗形みなみ(スポ2=マイナビ仙台レディースユース)に代わって出場したMF新井みゆき(スポ1=埼玉・浦和レッズレディースユース)などフレッシュな選手を中心に反撃を試みる。しかし55分、自陣でボールをロストしてそのまま失点し、0-3と苦しい展開に。60分にはスルーパスに抜け出した千葉がシュートを放つ。また70分には新井がミドルシュートを放つが、いずれもゴールを脅かすことはできず。相手の粘り強い守備に屈したア女は、最後まで1点も返すことができずに試合終了。0―3で十文字高に敗北を喫した。

 

関カレ後期第5節、国際武道大戦に引き続きの途中出場になったMF栗田彩令(スポ3=静岡・藤枝順心)。積極的にボールを呼び込んだ

 この日の結果により、皇后杯本戦出場の切符を手にすることができなかったア女は10日、その切符を手に入れるために、ベスト8敗退チーム同士の1戦を戦う。「勝って皇后杯の本戦出場を決めたい」(DF浦部美月(スポ4=スフィーダ世田谷FCユース))、「自分たちがやりたいサッカーをして、相手に飲まれずにやれば勝てると思うので、そこを突き詰めていきたい」(千葉)と選手たちは下を向くことなく次の戦いに向けて切り替えている。数々の困難を乗り越えてきたア女であればきっと自分たちのサッカーをして皇后杯本戦の出場権を手中に収めてくれるであろう。

(記事 松永拓朗、写真 大幡拓登)

 

スターティングイレブン

 

早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 21 田村亜沙美 スポ1 ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18
DF 夏目歩実 スポ4 宮城・聖和学園
DF 堀内璃子 スポ4 宮城・常盤木学園
DF 田頭花菜 スポ3 東京・十文字
MF 浦部美月 スポ4 スフィーダ世田谷FCユース
MF 笠原綺乃 スポ4 横須賀シーガルズJOY
MF 白井美羽 スポ3 ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ
MF ◎9 三谷和華奈 スポ4 東京・十文字
→HT 26 千葉梨々花 スポ1 東京・十文字
MF 10 築地育 スポ3 静岡・常葉大橘
MF 11 宗形みなみ スポ2 マイナビ仙台レディースユース
→49分 27 新井みゆき スポ1 埼玉・浦和レッズレディースユース
FW 28 﨑岡由真 スポ1 埼玉・浦和レッズレディースユース
→67分 18 栗田彩令 スポ3 ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ
◎=ゲームキャプテン
コメント

後藤史監督(平21教卒=宮城・常盤木学園)

――まずは80分間振り返っていかがですか

 もちろん十文字高さんの出足の良さや勢いには素晴らしいものがあったんですが、それ以上に自分たちでゲームを悪い状況にしてしまったかなと思います。

――スカウティングの段階での相手のプレスに対しての対策について選手も話されていました。実際の手応えはいかがでしたか

 そこの部分については、最終ラインの選手たちも理解していたと思うのですが、わりかしそういったプレーが出なかったですね。1つはボールスピードが遅い、というのがあります。14番をはじめ相手がしっかりと走れていた中で、パススピードが速ければ相手も嫌だと思うんです。でもあのように(パスが)遅くなってしまうと、「なんとか引っかければ」というようなプレーをさせてしまうと思いますし、やることは分かっていたはずなのに、守りに入ってしまったのか受けに入ってしまったのか、という感じでした。

――前半に1点を先制されてからア女がプレスからチャンスを作る時間帯もありました。後半の選手交代を含め、1点を返したかった中での2失点目、後半の立ち上がりについてはいかがですか

 人を替えたことに関して言えば0-2の状態で、今日スタメンだった選手たちは少なくとも国際武道大戦(関カレ後期第5節、9月6日、◯4-2)でも多くがフル出場していたので、フレッシュな選手を入れて自分たちのペースを作れれば追いつく可能性があるかな、という意図がありました。あとは結局ロングボールをあまり入れられていないので、そこに和華奈(三谷)を置くよりも梨々花 (千葉)を入れて、横の動かしを生み出せる方が良いと判断しました。そこに関しては後半ある程度できていましたし、そういった意図もありました。

――中2日の試合が2つ続いたことについて、「自分は問題なかった」ということを言う選手が多かったですが、監督目線でチームのコンディション、動きについてどのような印象を持たれましたか

 それはやはり言い訳にしかならないと思っています。体が動かなかろうと、もともと分かっていた日程ですし、そこに関してはチームとしてできる限りのことをやった上での今なので。それで負けたとは思っていないですね。それよりも、私たちが昨年皇后杯でなでしこリーグやWEリーグのチーム相手にやれていたことをやられてしまっていた、それをどれだけいなせるか、その部分が自分達にまだまだ足りていない部分だったんじゃ無いかと思います。

――2シーズン前の皇后杯予選、日テレ・メニーナを相手に敗戦した試合も思い出されます。そのシーズン、その後本戦出場を勝ち取り、インカレ優勝までしたという意味では、今回も光明を見出せるのかなとも感じますが

 ここで負けたことでシーズンが終わるわけでもないですし、まず明日、皇后杯本戦行きを得るチャンスがあります。2シーズン前同じ状況から這い上がっていったという事実は、きっと私たちの勇気になると思います。その反面メンバーが全く違っていますし、「同じようにやれば大丈夫」というわけにはいかないとも思います。あの時はチームが負けという結果に対して本当に真摯に向き合ったからこそ、その結果を得られたんだと思いますし、特に守備陣を中心に4年生、今感じているものがあると思うので。時間は無いですが、改善するべきところ、というよりも自分たちはあのような相手が苦手だ、とちゃんと受け入れて、それをどう改善するかというところを明日体現できるかなと思います。先々のことはありますが、負けた事実と自分たちができなかったことを受け入れて、チームがバラバラにならないように、明日しっかり勝って皇后杯出場権を得たいと思います。

 

浦部美月(スポ4=スフィーダ世田谷FCユース)

――試合内容を振り返っていかがですか

 チームとして個人として決して油断していたわけではないですし、普段やらない高校生を相手にもしっかりとスカウティングをして臨んだ試合でした。自分たちで崩れていってしまった印象はすごくあって。個々のところで負けてしまったり、チームでうまくいかない時間帯で耐えきれなかったりというところで、結果的に関カレや関東リーグでも見られる、相手の勢いに負けて連続失点してしまう部分が、今日も出てしまったのかなと思います。明日の試合、関カレも含めこれから改善していかなくてはいけないと感じています。相手が高校生とかは関係なく、負けてしまったことに対しては、率直に悔しいです。

――十文字高は山梨学院大を倒してきたチームとあって、9番や10番の選手など個の力も含めタフなチームだったと思います。相手に対しての印象や、試合中上回られてしまった部分、上手くいかなかった部分はどういったところになるでしょうか

 やはり高校生ならではの勢いだったり、観客席やベンチメンバーの作る雰囲気だったりという部分は感じました。ただそれに圧倒されたわけでも無いですし、ただただ自分たちで空回りしてしまったのかなと思います。9番、10番のところは、チームとしてもキーの選手として取り上げていたんですが、自分自身も縦突破されてしまったり、対応の仕方には改善の余地があったのかなと感じています。

――試合展開を決める上で大きかったのは、後半立ち上がりの2失点目かなと思います。流れを持っていかれてしまった後半立ち上がりについては、どのように振り返りますか

 メンバーを替えて、相手がすごく高いラインなわけでも無かったので、りり(千葉梨々花)のところで収めて起点を作るという戦い方をしていきたいと話していました。後半全体を通してそうですが、ファースト(最初にプレスをかける位置)を決められなかったというところ、決めていても対応の仕方で縦に運ばれて、というところが多かったです。それで1つコーナーキックを与えてしまったというのもそうですし、あのコーナーキックの失点は自分のマークでもあったので、チームとしてセットプレーには今季取り組んでいますし、もっと危機感を持ってやらなければいけないと感じました。

――中2日の連戦が続いて、精神・肉体両面で負荷がかかったと思います。コンディションに関してはいかがでしたか

 自分はそこまで体の重さとかは感じていなくて、いつも通りの精神状態で臨めていました。普段やっていない天然芝のピッチ、そしてトーナメントならではの緊張感もあって足元にボールがつかなかったりというのが全体としてよく見られたとは思います。ただそんな言い訳はしていられないですし、いつもとは違うよ、ということは史(後藤監督)さんも言っていたので、甘えてはいられないかなと思います。

――どこか2年前の日テレ・メニーナ戦で大敗したときと似ていて、皇后杯出場を決めてインカレも優勝したシーズンでもありますし、それを希望にしたいそんな状況でもあると思います。明日以降に向けてどのように改善していきたいですか

 自分もさっきふと冷静になってメニーナ戦に似ているな、というのは感じていて。全然まだここで終わりでは無いですし、自分や和華奈、4年生が下を向いていてはチームはついてこないと思うので、そこは1つ切り替えて、見に来てくれる人たちに「変わったな」と思ってもらえるようなサッカーをして、勝って皇后杯の本戦出場を決めたいと思います。

 

千葉梨々花(スポ1=東京・十文字)

――まずは80分振り返っていかがですか

 相手の勢いに飲まれてしまい、自分たちのやりたいことができていなかったことで、このような結果になってしまったかなと思います。

――ご自身もよく知っている相手だったと思います。対策していた部分、やりたかった部分というのは具体的にどのようなプレーですか

 全然から激しくプレスをかけてくることは分かっていたので、それに対して自分たちは最初は大きく蹴って、相手を後ろ向きにさせて押していこうということも決めていましたが、できたかと言われればできていなかったと思います。スカウティングで確認したことができていなかったです。

――天然芝は今季初ですし、中2日の連戦ということも含めコンディション面でネガティブだったポイントはありますか

 ピッチや連戦というのは関係なく、自分たちが相手のペースに飲まれてしまったことが全てかなと思います。

――後半、残り40分の状況での出場でしたが、何を考えてピッチに入りました

 自分が入ったときは0-1だったので、チームを勝たせられるように、まずは流れを良くしたかったですし、得点に絡んでいきたいと思って入りました。

――2点目が流れを持っていかれてしまった大きな要因になるかなとも思うのですが、大事にしているセットプレーでの失点、どのように振り返りますか

 まずコーナーキックにしてしまったところが良くなかったかなと思います。直接合わせられたのでできたことは少ないと思いますし、コーナーにつながったのがそもそも軽率なミスからで、まずそこを改善するべきだと感じました。

――どちらにせよ明日の試合で、皇后杯本戦出場を目指すことになります。どういった部分を修正して臨みたいですか

 敗因などもそうですが、自分たちがやりたいサッカーを今日は体現できていなかったと思います。そこをしっかり整理して、自分たちがやりたいサッカーをして、相手に飲まれずにやれば勝てると思うので、そこを突き詰めていきたいです。