関東リーグ後期開幕 盤石守備も得点遠く2節連続スコアレス

ア式蹴球女子
第29回関東女子サッカーリーグ
早大 0-0(前半)
0-0(後半)
南葛SC WINGS
【得点】
(早大)なし
(南葛SC WINGS)なし

 関東女子リーグ(関東リーグ)は後期第1節、ホーム東伏見に南葛SC WINGS(南葛)を迎えた。前半は押し込まれる時間が続き、ゴールの遠いア式蹴球部女子(ア女)。後半に入ると途中交代選手が存在感を示しゴールを狙うが、なかなか決定機は生み出せず終盤には逆にピンチも。それでも最終ラインの粘り強い守備で失点を許さず、試合は0-0のスコアレスドローに終わった。

 

パスを出すMF川本美羽(スポ1=新潟・帝京長岡)。中盤を動き回りチームの攻撃にリズムを生む

 関東リーグの前期を5位で折り返したア女。前日行われた関東大学女子リーグ(関カレ)の敗戦の流れを断ち切るべく、前期4位の南葛を迎え撃った。3分、川本のパスを受けたFW千葉梨々花(スポ1=東京・十文字)がロングシュートを放ったが相手キーパーに抑えられる。17分にも川本のスルーパスからFW﨑岡由真(スポ1=埼玉・浦和レッズレディースユース)が抜け出すが、シュートは枠の上に外れた。その後も川本を中心としたパス交換でリズムを作るが、決定機を創出できない。すると徐々に流れは南葛に。28分には右サイドを崩されるとキレのあるクロスを入れられたが逆サイドに流れる。前半終了間際の44分にも際どいクロスが上がったが、GK田村亜沙美(スポ1=ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)が抑えた。

 

途中交代のMF白井美羽(スポ3=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)。ボールキープとパスで違いを作った

 決定機こそ作らせなかったものの押され気味の前半が終了し、ア女は二人の選手交代を行う。最終ラインにMF浦部美月(スポ4=スフィーダ世田谷FCユース)、最前線に白井を投入し、攻撃の活性化を狙った。すると52分、その白井から千葉につなぎ、飛び出したMF新井みゆき(スポ1=埼玉・浦和レッズレディースユース)の裏へスルーパスが出る。新井が放ったシュートは相手ディフェンダーにブロックされたが、良いテンポで攻撃を繰り出した。56分にも千葉からパスを受けた白井がミドルシュートを放つが、右に外れた。なんとしても先制点が欲しいア女は、70分にMF澤田美海(スポ3=栃木・宇都宮中央女)を投入。73分には投入直後の澤田が、右サイドで積極的な仕掛けを見せた。82分にはア女のピンチも。相手のコーナーキックのシーン、クリアボールを拾われゴール右前でシュートを許すが、田村が超人的な反応ではじき出す。追加タイムには白井からのパスを受けた新井が狙うが、ゴール右にそれた。これをラストプレーに試合は終了。関東リーグ後期開幕戦はスコアレスに終わった。

 

相手のシュートを弾き出す田村。試合終盤、田村がビッグセーブを見せるのはもはやおなじみの光景

 後半は特に、リズムこそ作りながら決定機を作ることができない、もどかしい展開となった。それでも守備陣の粘り強さ、勝負強さは関カレも含め磨きがかかっている。やはり課題はゴール前での精度だろう。シュートはもちろん、ゴール前でのダイナミックな攻撃、あるいは細かなダイレクトプレーの精度にも期待したいところ。逆に言えばその課題さえクリアできれば、両リーグでの上位フィニッシュは堅いはずだ。関東リーグはここから中断期間に入る。「(関東リーグメンバーは)それぞれ良さを持っている子達。そういった良さを関カレに持ってきてくれることが、チーム力の向上になる」(後藤史監督、平21教卒=宮城・常盤木学園)。大きな目標に向けて、ア女の成長はとどまるところを知らない。

(記事、写真 大幡拓登)

 

スターティングイレブン

 

早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 21 田村亜沙美 スポ1 ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18
DF ◎12 大森美南 スポ4 東京・八王子学園八王子
DF 13 木南花菜 スポ3 ちふれASエルフェン埼玉マリ
DF 15 小林舞美 スポ2 ちふれASエルフェン埼玉マリ
DF 25 杉山遥菜 スポ1 東京・十文字
→HT 浦部美月 スポ4 スフィーダ世田谷FCユース
MF 18 栗田彩令 スポ3 ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ
→HT 白井美羽 スポ3 ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ
MF 19 淀川知華 商2 山梨・日本航空
MF 27 新井みゆき スポ1 埼玉・浦和レッズレディースユース
MF 29 川本美羽 スポ1 新潟・帝京長岡
FW 26 千葉梨々花 スポ1 東京・十文字
→61分 20 澤田美海 スポ3 栃木・宇都宮中央女
FW 28 﨑岡由真 スポ1 埼玉・浦和レッズレディースユース
◎=ゲームキャプテン
コメント

後藤史監督(平21教卒=宮城・常盤木学園)

――関東リーグの後期が開幕しましたが、試合を振り返っていかがですか

 まず昨日もそうですが、私たちは夜練習をしているので遮熱対策ができていない中でよく走ったな、とベースとしては思います。その上で、ボールを奪ったあとのところ、どうしてもシュートを打つ1つ前でつながりきれないというところが、関カレ関東リーグ共に修正点になるかなと思います。

――修正点を改善していくための練習メニューはどういったものになるのでしょうか

 戦術的なところは頭には入っていると思うのですが、今週で言うと東洋大と対戦することで、その守備の練習が中心になってしまうんです。だからと言って攻撃の練習をしていなかったかといえばそういうわけではないですが、どちらかをすればもう片方が薄れる、というようなレベルことでは関東リーグを勝ち抜く、あるいは関カレで首位に立つということはできないと思います。そこは私自身もうまくメニューを組まなければと思いますし、選手たちが今まで積み重ねてきたものに、何か加えて何かが落ちるということにはしないようにしていかなければならないと思っています。

――関東リーグ開幕ごろと比べると守備の粘り強さに関しては格段に上がっているという印象です。一定の評価をしていますか

 というよりは、この子達はそれができる、と思っていました。むしろ今やれていることは当たり前のことなので、その上でそれぞれの良さをもっと強く出してくれるのを求めている、というのが今の評価です。

――試合展開でいうと、もう少し最前線で起点を作りたかったのかなと思います。その点についてはいかがですか

 その点があったからこそ、美羽(白井)をもちろん昨日のプレー時間を加味してですが、後半に投入しました。それによってりり(千葉)が一つ前に出ることができて、また美羽自身も中盤、あいだ間で受ける選手なのでバランスを考えて。由真(崎岡)は前線で裏をとりに行っていたと思うのですが、もともと技術もありますしサイドで花菜(木南花菜、スポ3=ちふれASエルフェン埼玉マリ)とも関わって欲しいと言うところからサイドに移しました。そういった部分については交代で、後半は改善されたと思います。

――澤田選手も投入し、ドリブルが効いていたように思います

 昨年の育成リーグなどから後ろの方で起用していたのですが、足元の技術がありますしスピードや機動力もあって、あの持ち方はディフェンダーも飛び込みにくいのかなと思います。加えて裏も狙えるので、そういった期待をして投入しました。

――関東リーグは中断期間に入ると思いますが、チームとしてどのように練習をしていきたいですか

 関カレにトップチームで出場している中で、みゆき(新井)や由真、美羽(川本)とか、後ろでいえば田頭(花菜、スポ3=東京・十文字)や舞美(小林舞美、スポ2=ちふれASエルフェン埼玉マリ)、花菜とか、他にもみんな自分の力を発揮できるようになってきていますし、だからこそそれを関カレをもってきてくれないとチーム力は上がらないと思っています。中断しているから関東リーグメンバーはお休み、というわけではなく、積み重ねてきたものを関カレにもってきて今のメンバーと競争したり、競争するだけでなく途中から出場したりと、それぞれ良さを持っている子達なので、そういった良さを関カレに持ってきてくれることが、チーム力の向上になると思います。それに期待したいです。

 

澤田美海(スポ3=栃木・宇都宮中央女)

――試合を振り返って率直にいかがですか

 自分自身南葛SC戦に出るのは初めてだったのですが、プレッシャーの強さはすごく感じました。その中でも収めたりシュートまでいけたりするシーンも多かったので、点が欲しかったなというのが率直な感想です。

――途中出場の際にはどのような指示を受けて試合に入りましたか

 元気な状態で入るので、とにかく走ることとチャレンジして奪われても切り替え早く、チャンスがあればドリブルで仕掛けていくことを言われました。

――実際仕掛けるシーンは多かったと思いますが、手応えはありますか

 自分自身それを1番に意識してプレーしていたので、できたと思います。

――今日は最前線でプレーされていましたが、普段の練習ではプレーしていたのですか

 今季入ってからやることが多くなってきたのですが、試合ではこれまでやることがなくて、一緒にフォワードに入っていた美羽に細かく指示を出してもらいながら、バランスよくプレーできたかなと思います。

――関東リーグ後期に向けて、チームのプレーをどのように改善していきたいですか

 やっぱり最近得点が取れない試合が続いているので、1点でも取って勝ち点を積み重ねていきたいと思います。

 

川本美羽(スポ1=新潟・帝京長岡)

――試合を振り返って率直にいかがですか

 きつい時間も長かったですが、最後失点せずに終われたことは良かったと思います。

――今日の試合で得た収穫はありますか

 攻撃の部分では認識を共有して攻められたので、あとは決め切るところをこだわっていきたいと思います。

――奪った後のダイレクトプレーではミスになるシーンもあったと思いますが、どのように感じますか

 練習からそういったプレーについては話し合って、増やしているので、質を高めていければと思います。

――リーグ前期を5位で終えて後期が開幕しましたが、ここからどのように戦っていきたいですか

 厳しい試合で引き分けに終わることが多かったので、後期は最後勝ち切れるように全員で戦っていきたいです。

――関東リーグはしばらく間が開くと思いますが中断期間はどのように練習したいですか

 暑くなるので、気温が上がっても走れるようにトレーニングしていきたいですし、守備面も最後守り切れるように、全員で高め合っていきたいです。