第37回関東大学サッカーリーグ | ||||
---|---|---|---|---|
早大 | 2 | 2-1(前半) 0-0(後半) |
1 | 日体大 |
【得点】 (早大)2分:夏目歩美、12分:築地育 (日体大)16分:鬼頭こはな |
関東大学女子リーグ(関カレ)第8節。ア式蹴球部女子(ア女)は、ホーム東伏見グラウンドで日体大と対戦した。試合開始早々、DF夏目歩実(スポ4=宮城・聖和学園)がロングシュートで先制点を奪うと、続けて12分にはMF築地育(スポ3=静岡・常葉大橘)がヘディングゴール。16分には日体大のカウンターから失点を喫するが、その後は追加点を許さず。前半のリードを守るかたちで関カレ4連勝を飾った。
先制点のロングシュートを決めた夏目
試合が動いたのは開始からわずか2分。相手がクリアしたボールをハーフェーライン付近で夏目が回収。右足のロングシュートはキーパーの頭上に吸い込まれ、見事な先制点となった。先制してもア女は攻撃の手を緩めない。12分、今節関カレ初スタメンとなったDF田頭花菜(スポ2=東京・十文字)の正確なパスに築地が頭で合わせ、追加点を獲得。前半序盤で続けてゴールを奪い、幸先の良いスタートを切る。しかし16分、裏抜けを試みる相手フォワード(FW)に対しオフサイドトラップを試みるも、裏に走り込まれフリーの状態をつくられてしまう。GK石田心菜(スポ3=大阪学芸)が対峙(たいじ)するが、落ち着いて決められ失点。その後は何度もチャンスをつくり、ア女優位の時間帯が続く。前半終了間際にはMF三谷和華奈(スポ4=東京・十文字)が華麗な足技からクロスを上げ、DF浦部美月(スポ4=スフィーダ世田谷FCユース)が頭で捉えるも、得点にはつながらず2-1で前半を折り返した。
2得点目を喜ぶ選手たち
リードを守りたい後半。ア女は序盤から相手ゴールを脅かしていく。53分、MF後藤若葉主将(スポ4=日テレ・メニーナ)がキレのあるドリブルでカウンターを仕掛けると、MF白井美羽(スポ3=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)が放ったボールは惜しくも枠を捉えず。しかし、終始主導権を握っていた前半と打って変わって、徐々に日体大がボールを保持する時間が増えていく。そして55分、ディフェンスの裏を狙ったパスに相手が走り込むという、前半の失点シーンをほうふつさせるピンチが訪れる。「絶対に止めなければいけないと思った。無失点にこだわっていたからこそ、前半の失点が悔しかったので追加点を取らせないことを意識した」と振り返る石田が落ち着いて距離を詰め、この場面を切り抜けた。その直後にはMF笠原綺乃(スポ4=横須賀シーガルズJOY)のコーナーキック(CK)から、後藤がファーサイドで合わせるが惜しくもネットは揺らせず。後半中盤苦しい時間帯はあったものの、守備からリズムをつくり攻撃につなげるというア女らしいサッカーを徐々に取り戻していく。追加点を狙う日体大がボールを奪えば、ア女も奪い返し、両校の熱は更にヒートアップ。拮抗(きっこう)した試合展開となるが、失点数ランキングではリーグ首位(第8節終了時点)の強力なディフェンスで日体大攻撃陣を抑え込み、なんとか勝ち点3点を手にした。
幾度もカウンターの旗手になった後藤。指揮官いわく、大きな展開を得意にする築地に対して「若葉はつないでリズムを作っていくタイプ」
ホーム・東伏見で関カレ4連勝を飾ったア女。先制点のアシストに加え堅実な守備で貢献した田頭や、相手守備陣を脅かした千葉梨々花(スポ1=東京・十文字)など関カレ初スタメンとなるフレッシュなメンバーの活躍が光った。ここからも首位東洋大、上位に食い込む帝京平成大など強豪との試合が残されている。「私たちの守備はこんなものではない」と後藤史監督(平21教卒=宮城・常盤木学園)。今試合の課題を修正し、全ての力を強豪相手にぶつけることができるか。ア女の戦いはここから佳境を迎える。
(記事 渡辺詩乃、写真 大幡拓登、星野有哉)
スターティングイレブン
早大メンバー | ||||
---|---|---|---|---|
ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 1 | 石田心菜 | スポ3 | 大阪学芸 |
DF | 2 | 夏目歩実 | スポ4 | 宮城・聖和学園 |
DF | 5 | 田頭花菜 | スポ3 | 東京・十文字 |
DF | 25 | 杉山遥菜 | スポ1 | 東京・十文字 |
MF | 3 | ◎後藤若葉 | スポ4 | 日テレ・メニーナ |
MF | 6 | 浦部美月 | スポ4 | スフィーダ世田谷FCユース |
MF | 7 | 笠原綺乃 | スポ4 | 横須賀シーガルズJOY |
MF | 9 | 三谷和華奈 | スポ4 | 東京・十文字 |
MF | 10 | 築地育 | スポ3 | 静岡・常葉大橘 |
MF | 8 | 白井美羽 | スポ3 | ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ |
FW | 26 | 千葉梨々花 | スポ1 | 東京・十文字 |
→53分 | 28 | 﨑岡由真 | スポ1 | 埼玉・浦和レッズレディースユース |
◎=ゲームキャプテン |
コメント
後藤史監督(平21教卒=宮城・常盤木学園)
――関カレは4連勝になりました、振り返っていかがですか
最初の2点に救われた試合展開だった、というのが正直な感想です。
――2得点してから戦術的に変更された部分はありますか
特にないです。
――選手の配置は中盤だけ変更があったかと思います
(相手の)守備ラインが高かったので、和華奈とかを走らせてほしかったのが理由の一つです。どちらかといえば築地は大きな展開が得意なボランチで、若葉はつないでリズムを作っていくタイプなので、その兼ね合いで変更したという意図でした。
――細かいプレー面での違いを反映させたポジションチェンジだったということですか
そうですね。こっちが攻撃的、とかいうよりはそう言う意図になります。
――今日は田頭選手を最終ラインに起用しました
関東リーグで良いプレーをしてくれているのが理由です。守備もそうですが、彼女の良さの1つとしてやはりフィード、キックの精度があって、今日も先制点のシーンなど実際良いクロスをあげましたし、そういった部分が日体大を相手に生きるかな、と考えて起用したという感じです。
――2得点の後すぐに失点したことについてはいかがですか
スローインのところでマークの受け渡しが中途半端になって、中に反転されて、裏に蹴られてというようなかたちで、自分たちのリスタートの緩みを突かれたという感じだと思います。そういった失点は意識の部分で防げる部分なので、修正していきたいです。
――失点の後は強度の高い守備が展開できたように思いますが、どのように評価されていますが
私たちの守備はこんなものではないと思っていますし、主導権を握って守備をすることができなかったのは今日難しい展開になった一つの要因だと思います。そこに関しては1週間でしっかり修正しなければいけないなと思います。
――もっと前線からプレスでボールを奪って、というところを求めたかったということですか
例えば試合後半の方は、ボール保持者に対してファーストディフェンダーのプレスがかかりきっていなかったシーンは多かったと思います。もちろん蹴らせて奪う戦術もありますが、それはどちらかというと相手の狙いと被ってしまうので。自分たちが奪われた時には奪い返しに行くとか、そういった原理原則みたいなものを色々な要因でできていない部分はあると思うので、もっとシンプルにして修正していきたいなと思います。
――6月はまだ強豪との試合が続きますが、どのように戦っていきたいですか
ギリギリの試合がやっぱり楽しいとは思うので、自分たちの修正点が出るというのも含めて、ポジティブに捉えています。そういう部分が出るのはチームにとって良いことだと思いますし、もう2、3回りチームが強くならないと日本一は目指せないと思っています。結果的に楽しかった、と言えるようしっかり全員で準備していきたいです。
石田心菜(スポ3=大阪学芸)
――試合を振り返って率直にいかがですか
前半の早い時間帯で先制点を取ることができたのは、チームとして勢いをもって試合に入れたので良かったと思います。ただ2点目直後に失点してしまったのは、良い入りができたからこそもったいなかったかなと思います。その後の雰囲気とかも相手に押されて、終盤までそれが続いてしまいました。
――失点シーン、そして後半の1対1のシーンはどのように振り返りますか
止めたシーンは絶対に止めなければならないという思いはありました。無失点にこだわってやっていたからこそ、失点したことがすごく悔しかったので、追加点はやらせたくないという思いが止めたシーンにもつながったなと思います。
――1ヵ月ぶりの失点になりましたが、チームとしてどのように捉えていますか
崩されてというわけではなく、(相手を)オフサイドにうまくかけられなかったというミスが、失点につながってしまった感じでした。守備から入るチームとしてそういったところはすごくもったいないと思いましたし、それこそこれから強豪とどんどん戦っていく中で、自分たちの連携に関してはもっと突き詰めてやっていかなければならないと思います。
――4連勝になりましたが、この結果をどのように捉えていますか
今日のような難しい試合でも、チームとして勝ち切れているというのは大きいと思います。
――下からつなぐことも多かったですが、ビルドアップの部分はどのように評価していますか
自分がビルドアップに関わるシーンは多くて、プレスをしっかりかけてくる相手だった中で、しっかりつなぐところはつないで、背後や前も積極的に狙うことを意識しました。ただ試合全体を通してみれば、チームの中でできることはまだあると思いますし、もっとつなぐこともできると思うので、そこに関してもチーム全体で修正していきたいです。
――まだ強豪との試合が続きますがどのように準備していきたいですか
相手が強くなってくるとプレースピードも上がってくると思うので、その中で自分たちのサッカーを貫くことを意識していきたいです。選手間のコミュニケーションがしっかり取れるチームなので、今日出た課題やチームの中にある問題をしっかりみんなで突き詰めて、無失点にもこだわりながら戦っていきたいです。
田頭花菜(スポ3=東京・十文字)
――今シーズン関東大学女子リーグ(関カレ)初スタメンとなりましたが振り返っていかがでしょうか
久しぶりの関カレですごい緊張はあったのですが、やっぱり不安よりはワクワクの方が(ありました)。久しぶりに出られてよかったと思います。
――2点目は田頭選手のクロスによるアシストとなりましたが振り返っていかがでしょうか
結構早い時間帯だったので、シンプルにやろうと思っていました。中で育(築地育、スポ3=静岡・常葉大橘)が見えて、育はヘディングが強いので、そこをめがけて入れたら、決めてくれました。
――今日の日体大は強力なFW陣を擁していましたが、対峙してみていかがでしたか
得点シーンでは自分の判断ミスでオフサイドラインだけに行ってしまったのですが、ああいう隙みたいな、ミスから得られた収穫として、ミスをミスにしないという部分はまだまだ足りないなという風に感じました。
――今シーズンは関東女子リーグ(関東リーグ)での出場が続いていますが、ここまでのシーズンを振り返っていかがですか
関カレに出られなくても関東リーグがあったというのはすごい自分にとっては良かったなと思っています。試合経験を積めたし、その中で初めの方は失点することが多かったのですが、ここ3試合は無失点に抑えられて、そこは自分自身としてもチームとしても自信になっている部分はあるので、後期は失点を0に抑えつつ、攻撃の部分でもっと結果を出していきたいなと思います。
――ここからのシーズンをどう送っていきたいですか
去年はインカレ(全日本大学女子選手権)を取れなくて、そこの悔しさっていうのは絶対あります。後半にかけて入ってくる皇后杯に向けても、自分自身はまずはピッチに立つことでチームとして結果を出していけるように、自分もそこに関わって、3年生としてチームを盛り上げる部分でもそうですし、 ピッチでもプレーで体現していきたいと思います。