関カレ開幕! 2週連続スコアレスも安定感ある滑り出しに

ア式蹴球女子
第37回関東大学女子サッカーリーグ
早大 0-0(前半)
0-0(後半)
十文字学園女子大
【得点】
(早大)なし
(十文字学園女子大)なし

 ア式蹴球部女子の関東大学女子リーグ(関カレ)が開幕した。前週の関東女子リーグ(関東リーグ)第1節と同じメンバーで臨んだ今節は、前半は強度の高いプレスに苦しみ予想以上の拮抗(きっこう)した戦いに。後半に入ると流れを掌握し74分、コーナーキックこぼれたところをMF笠原綺乃(スポ4=横須賀シーガルズJOY)が枠内シュートを放つが、相手DFに防がれる。最後までお互いに1点が遠く、関カレ開幕戦をスコアレスドローで終えた。

 

中盤でフル出場の笠原。サイドと中、前線と守備陣のリンクを担う

 前週の関東リーグ第1節で開幕となったア女の2023シーズン。この日はア女が臨むもう一つのリーグ戦、関カレ第1節、ホーム東伏見に十文字学園女子大を迎えた。前半は相手のソリッドな守備に苦戦。36分にはライナー性のフリーキックをバックヘッドで枠に飛ばされたが、GK石田心菜(スポ3=大阪学芸)ががっちりとキャッチ。42分にも中盤からのロングボールで右サイドの裏を取られると、そのままドリブルからシュートを受けたがここも石田が正面で抑える。なかなかチャンスが作れないものの、石田を中心に決定機は作らせず前半を折り返した。

 

パスを出すMF宗形みなみ(スポ2=マイナビ仙台レディースユース)。後半は特にプレー精度やキープ力が際立った

 「やるだけのことはやってきたはずなのに受けに回ってしまった、自信を取り返してほしい、という話はした」と後藤史監督(平21教卒=宮城・常盤木学園)。ハーフタイムを挟んで、後半は少しずつア女が流れを掌握する。51分には左サイドで獲得したフリーキックから、キーパーのかき出したボールにFW﨑岡由真(スポ1=埼玉・浦和レッズレディースユース)がヘッド。惜しくもクロスバーに嫌われ、こぼれ球にDF杉山遥菜(スポ1=東京・十文字)が合わせたシュートも枠外へ飛んだ。さらに74分、今度は右サイドのコーナーキックからDF浦部美月(スポ4=スフィーダ世田谷FCユース)が折り返すも跳ね返される。こぼれたところに笠原がダイレクトで強烈なミドルシュートを放ったが、相手DFの決死のブロックに防がれ先制のチャンスを逸した。しかしア女が前がかりになった試合終盤にピンチの場面も。追加タイムにはエリア内でフリーの選手に至近距離でのシュートを許すが、DF後藤若葉(スポ4=日テレ・メニーナ)の体を張ったブロックでゴールを割らせない。結局最後まで両チームともネットを揺らせず。関東リーグ開幕戦に引き続き、今季最初の関カレでの90分を0-0で終えた。

 

途中出場で関カレデビューを果たしたFW千葉梨々花(スポ1=東京・十文字)。前線で起点になった

 「後半のプレーが前半にできないと、やっぱり4年目なのでそういった当たり前基準のところはあげていきたい」と話したのはMF三谷和華奈(スポ4=東京・十文字)。今季副将を務める三谷は、多くのチャンスを創出した後半のクオリティをフルタイム維持したいと振り返った。これで2つのリーグ戦をスタートしたア女だが、未だ無得点に終わっている。ルーキーを最前線に据える布陣を敷く中、リーグ優勝に向けては早急に整備が必要な部分である。ただ同時に、失点の気配がほとんどないことも評価すべきポイント。主要メンバーが多く揃う守備陣には、今季も期待したいところだ。「みんなが楽しかったなと思えるようなシーズンにしたい」(築地)。長いシーズンはまだ始まったばかりだ。

(記事、写真 大幡拓登)

 

スターティングイレブン

 

早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 石田心菜 スポ3 大阪学芸
DF 夏目歩実 スポ4 宮城・聖和学園
DF 浦部美月 スポ4 スフィーダ世田谷FCユース
DF 25 杉山遥菜 スポ1 東京・十文字
MF ◎後藤若葉 スポ4 日テレ・メニーナ
MF 笠原綺乃 スポ4 横須賀シーガルズJOY
MF 10 築地育 スポ3 静岡・常葉大橘
MF 11 宗形みなみ スポ2 マイナビ仙台レディースユース
FW 27 新井みゆき スポ1 埼玉・浦和レッズレディースユース
→61分 26 千葉梨々花 スポ1 東京・十文字
FW 28 﨑岡由真 スポ1 埼玉・浦和レッズレディースユース
→77分 白井美羽 スポ3 ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ
◎=ゲームキャプテン

後藤史監督(平21教卒=宮城・常盤木学園)

――関カレ開幕戦、振り返っていかがですか

 前半もったいない戦い方をしてしまったなというゲームでした。関カレ特有の緊張感もありましたし、まだ関カレ初経験の選手も多くいましたが、前半の入りはもったいなかったなと思います。

――昨年に引き続き相手はかなりテンション高く、強度の高い守備をしてきました

 構えている相手に対して5バックでボールを持って、少しおきにいってしまったというか。後半のように前半の内から戦えていればチャンスは生まれていたと思うんです。ボールを失われないようにして、そうしているが故に相手に狙われやすいところにボールをつけてしまう、という悪循環に自分たちに陥ってしまったなと。相手のこともそうですが、どちらかと言えば自分たちの闘い方が未熟だったなと思います。

――後半は良い部分が多くあったと思いますが具体的にはどんなところでしょうか

 シンプルに相手が嫌なスペースを使うことができたと思います。結局はそういうスペースが使えないといけないと思いますし、相手の前でボールを回していたところで何も怖くはないし、そこは変えなければならなかったですね。メンタル的にもリスクを負わなくなっていたので、とにかくトライしようというところを彼女たちもやってくれたかなと思います。

――ハーフタイムにはそういった声かけをしましたか

 自信を持ってやって欲しかったので。やるだけのことをやってきたはずなのに、自分たちで受けに入ってしまっているよ、という話はしました。

――築地選手中心に、かなり試合中もコーチングを飛ばしていた印象です

 もちろん育だけではないですが、攻守ともに大きな役割を果たしていってほしいなと思っています。それぞれの良さを出してくれれば自然とそういうところはできてくると思いますし、育も自分の良さを出してくれれば、本人もチームも上手くボールを拾って良いゲームになると思うので。

――最初に切った交代カードは前週に引き続き千葉選手でした。どういった意図がありましたか

 前線で少しおさまらなかったというのはありますね。十文字のセンターバック2枚がフィジカル的に強力で、空中戦で負けていたのもありましたし、そこで梨々花(千葉)がボールを収めたり競ってくれたりするという部分に期待しました。加えて前週の南葛戦でも、あの短い時間で攻撃にかなり絡んでくれたので、そういうところも含めて判断しました。

――3バックをやっている中で今日のように崩すのが難しい相手も出てくると思いますが、どのように関カレを戦っていきたいですか

 関カレはどの試合も簡単な試合は1つもないので。まずは根本のところ、しっかりと戦うという部分ですよね。特に今日前半は足りていなかった部分だと思うので、そういう根本的な部分をキックオフから出せるように、かつなかなか得点が生まれない中でも焦れずに戦うということを、練習からしっかりと積み重ねていきたいなと思います。

 

MF三谷和華奈副将(スポ4=東京・十文字)

――関カレ第1節は振り返っていかがですか

 関東リーグ初戦の南葛戦も引き分けで、チャンスがあったところで決め切れなかったところは課題にあがったので、今日の試合もしっかりチャンスがあったら決め切る、どんどんシュートを狙っていくというところを意識したんですけど、結果的に引き分けに終わってしまったので、しょっぱいゲームになってしまいました。

――前半は相手のプレスが激しいときもあってなかなかシュートまで行けないシーンが多かったですけど、前半を振り返ってどうですか

 私の強みは立ち上がりでのチームを勢いづかせるプレーだったり、前への推進力だというのは試合前も意識して臨んだんですけど、ファーストプレーでダイレクトパスを選択した時点で、そのファーストチョイスが今日の自分の表れだったんじゃないかなという。自分自身に対しての悔しさは残っているので、前半でマイナスになってしまったところも自分のプレーが原因なのかなって、ちょっと反省点です。

――後半はペースを取り戻して、右サイドの三谷選手を中心に攻撃を作ってるシーンが多かったと思いますけど、後半は自分の流れを取り返した部分はありますか

 サイドバックの杉山にもっと背後に蹴って良いよと要求して、どんどん前向きに走らせていいよとコミュニケーションを取ったので、自分自身も前向きにプレーできたりとかスピードで抜いたりというイメージができたというのは前半でやってもよかったのかなと思うので、そこの縦関係とかはまだシーズンが始まって組んでばっかりなので、そこの要求や質は高めていきたいと思います。後半のプレーが最初からできないと4年目なので経験としても責任はあると思うので、そこら辺の当たり前基準はどんどん高めていかないといけないなと思います。

――開幕2試合は同じフォーメーションでやった中で3バックのウィングバックでやっていることに関してはいかがですか

 4-4-2だとサイドハーフが中に落ちたりとか作りに入ったりすることも多いと思うんですけど、今のフォーメーションだと攻撃的に、むしろ幅を取っていた方が有利だったりするので、私的には自分の強みを生かせるフォーメーションで後藤監督も考えてくれていると思うので、だからこそ常にいいパフォーマンスや強みはどんどん出していかないと私がそこに置かれている意味が無いので、そこの責任はもっと持っておかないといけないなと思います。

――今年は最終学年で副将をされていますが、そこに関してはいかがですか

 今までは雰囲気を作ってくれたりとか苦しい時に声をかけていたのは上級生だったんですけど、そこがいざ自分たちとなると、あんまり頭で考えるとマイナスなプレーになっちゃうので。私が副将としてできるのはピッチ上でどんだけ躍動してチームに推進力を持たせて勝たせるかというところが一番の役割だと思うので、その部分はより突き詰めていきたいと考えています

――1年生が試合に関わってきている中で、特に新入生の活躍はどうみていますか

 本人たちがどう思っているかは分からないですけど、自分が見てる感じだと思い切ってやっていると思いますし、最近はコミュニケーションも取れるとうになってきたので、もちろん今の新入生には期待しているんですけど、私は2、3年生で悔しい思をしている選手もたくさんいると思うのでその子たちがどれだけ試合に食い込んで、ベンチで悔しいと思っているのかはチームの力になってくると思うので、よりチーム内でも競争が起こるように一人一人の熱い気持ちを大事にしたいなと思います。もっと入れ替わりが激しくても良いんじゃないかなと思います。

――リーグ戦が二つ始まって、関カレ中心に戦っていくと思いますけどどういうシーズンにしていきたいですか

 今年のスローガンが誇りを持って闘(たたか)うというところなので、昨シーズンと比べたくはないんですけど技術的には劣る部分はあるので、やっぱり熱く戦いたいですし下を向いていたら私たちは強くなっていかないと思うので、今日の試合の引き分けはしっかり受け止めつつ何が課題で何ができたのかはきちんと整理して次節に向けていきたいと思います。

 

築地育(スポ3=静岡・常葉大橘)

――関カレ開幕戦、ふりかえっていかがですか

 チームとしては点が決まるイメージを早くつけたいなと。前回の試合は自分が取んなきゃ、という意識で後半は特にバランスが悪くなってしまったので、監督とも話して、やはり自分がチームの軸にならなきゃいけないということを再認識しました。自分がどこで活躍するかを考えたら、攻撃のスイッチを入れたり、セカンドボールを回収して攻撃につなげたりというところだと思うので、その意識は自分の中で徐々に持っていきたいです。

――ポジション的なところでも昨年より1つ低い位置に下がっていますが、ご自身の中でアンカーポジションはいかがですか

 もともとアンカーの方が得意で、セカンドボールの回収という武器を生かせるポジョンだと思っています。昨年は1つ高い位置で自由にやらせてもらっていた分、たまに我慢できなくなって「点取りたい!」と思う時もありますけど、やっぱり攻撃のスイッチを入れるのもアンカーというポジションの面白いところだと思うので、今はそこへの意識が高いです。

――前半は押し込まれる時間が多かったように思います

 開幕戦だ、という意識はあまりなかったですが、前半は自分のボールの収まりが悪すぎてそこでチームの中でもぎこちなさみたいなものが広がってしまったかなと。あのポジションにいるからには、自分がチームの軸として精神的にも土台にならなきゃいけないと思うから、ゲームの入り方にも反省しています。

――セットプレーも多くなって後半の攻撃に関しては勢いが出てきたなという印象でした

 セットプレーは自分たちの得点源にしたい、という話は今季していましたし、前回の試合からすり合わせしてきた部分ではあるんですけど。得点がないから上手くいっていないという感覚もありますが、積み重ねていかないとという意識も持っています。

――裏やサイドへのボールも増えていると思いますが、ご自身の中でポジションなども考慮して意識している部分ですか

 常に逆サイドは意識していて、相手が寄っているなと感じたら広げるというようにしています。若菜さんとかスピードで裏などのスペースを生かせる選手なので。今日は真ん中で試合に入った時に相手のプレスがすごく強かったので、そういった中でも相手を剥がしたり余裕を持ってプレーしたりとか、自分に集まっている分周りを生かしたりとか、1つ次を考えてプレーしなければいけないなと思います。

――今季から背番号は10になりました

 19番以外こだわりがなかったんですけど、選べないと聞いて考えていたら史さんからお話をいただいて。自分はこだわりがなくても、早稲田を観に来てくれる人たちからしたら重要な番号だと思うので、アピールにもなりますしチームの中心選手としての自覚や伸び代を考えて付けてくれたかなと思うので、自分らしい10番になっていければなと思います。

――これからリーグ戦が継続していきますが、どんなシーズンにしたいですか

 やっぱり優勝したいな、と思います。またそれまでの過程で今までも苦しくて、チームの雰囲気が下がっていってしまう時があったんですけど、そういった時にも自分がムードメーカーになってみんなが「楽しかったな」と思えるようなシーズンにしたいと思います。

 

FW千葉梨々花(スポ1=東京・十文字)

――今日は途中交代でしたけど関カレ第1節を率直に振り返っていかがですか

 スコア的にも内容的にもいい結果じゃないということはチーム関係者の人はみんな分かってると思うんですけど、0-0で途中交代でFWの自分が入ることは自分に点を取って欲しいというメッセージだと思うし、自分もFWというのもあって、ずっと追いかけてきたものでもあるので、点を取れなかったのは個人的にすごく大きな課題だなと思います。

――まだ数カ月だと思いますけど、ア女に来て雰囲気などはどう感じていますか

 高校まで部活動でやっていたので縦の関係の仲がいいなとあります。プレー中もコミュニケーションを取りやすいしお互いに求め合えるので、壁がないのがいいなって思います。そういう気を遣わない関係がいいなと思います。

――関東リーグもそうでしたけど、フィジカルも高校より優れているチームが多い中で、違いを感じたりすることはありましたか

 大学生になるとみんな体ががっちりしているし、瞬発系では高校なら抜けるところを最後に一歩足が出てボールが当たっちゃうとか、そういう部分を感じます。あと走力的に全員が高校の時より走っていると思うので、一歩シュート打つのが遅れたら触られるし、最後の一歩のところに差があるなと感じています。

――右サイドで関わることが多かったですけど、うまくチームに馴染んでいる感覚はありますか

 元から知っている先輩がいましたし杉山遥菜とは中学の時から一緒にやっていたので、そういう部分でも連携を取りやすいし先輩たちも自分の動きを見て合わせてくれるのやりやすさは感じています。結果を残したかっです。

――関カレにも関東リーグにもデビューということになりましたけどどういうプレーでチームに貢献したいですか

 自分は身長もある方なので前戦でしっかりボールを収めて、結果的にはFWとして自分が点を取ってチームを勝たせたいという思いはずっと変わらないので、それを関カレでも関東リーグでも体現したいなと思います。