法大相手に終了間際の同点弾! PK戦を制して天皇杯学生系の部予選の出場権を獲得

ア式蹴球男子
東京都サッカートーナメント 学生系の部 予備予選
早大 1-1
2-2
PK7-6
法大
【得点】
(早大) 14’駒沢直哉 75’本保奏希 90+3’オウンゴール
(法大) 5,25’石井稜真 51’渡邉光陽

 東京都サッカートーナメント学生系の部予備予選2回戦の日体大戦、2点のビハインドから試合終了間際で追い付き、PK戦の末勝利をつかみ取ったア式蹴球部(ア式)。予備予選の代表決定戦の相手は法大となった。試合開始後すぐにビルドアップのミスから先制を許してしまう。それでも14分、MF山市秀翔(スポ2=神奈川・桐光学園)のスルーパスを受けたFW駒沢直哉(スポ3=ツエーゲン金沢U18)がループシュートを沈めて同点に追い付く。しかし25分に再び失点を許し1ー2で前半を折り返す。さらに後半開始直後に追加点を奪われてしまい2点のビハインドとなったア式。それでも左サイドMF松尾倫太郎(人2=千葉・八千代)を中心に攻撃を仕掛けると、75分にコーナーキックのこぼれ球をMF本保奏希(スポ2=JFAアカデミー福島U18)が決めて1点差に迫る。さらに終了間際の93分、コーナーキックが相手に当たりオウンゴールで同点に追い付いた。試合はPK戦に突入すると、GK北村公平(文構3=神奈川・桐光学園)が8人目のPKをストップ。両チーム合わせて16人がPKを蹴る激闘の末、白星を手にしたア式。天皇杯学生系の部予選の出場権を獲得した。

 

PKを止め雄たけびを見せる北村

 立ち上がりにいきなり試合が動く。5分、自陣でのビルドアップのミスからいきなり失点してしまう。すぐに追い付きたいア式は14分、後ろからのパスをうまくトラップした山市がすぐさま前線に浮き玉のスルーパスを出すと反応したのは駒沢。オフサイドラインギリギリの駆け引きを制して裏に抜け出すと、キーパーの位置を見て冷静にループシュートを決めすぐに同点に追い付いた。勢いに乗りたいア式は、MF東廉(スポ3=清水エスパルスユース)や駒沢を中心にゴールに迫るも得点を奪えず。しかし25分、相手のカウンターからシュートまで持っていかれてしまい一度はア式守備陣がシュートをブロックしたが、こぼれ球を押し込まれ再びリードを許す展開となる。その後ア式がボール保持する時間が続いたがなかなか相手ゴールを脅かすことはできず、前半を1ー2で折り返す。

 

得点を決め喜ぶ駒沢(中央)

 後半開始直後の51分、相手のカウンターを止め切れず相手右サイドからのクロスからシュートを打たれ、一度はポストに当たったもののこぼれ球を詰められてしまい追加点を奪われてしまう。それでも後半から投入された松尾を中心に相手ゴールに迫ったア式。しかしなかなかシュートに結びつけることができず。その中で迎えた75分、駒沢が右サイドからクロスを上げると合わせたのは松尾。しかしこのシュートはクロスバーに直撃してしまう。それでもこのボールを拾った本保が左足で強烈なシュートを決めて1点差に迫る。勢いに乗って同点に追い付きたいア式は81分、山市がミドルシュートを放つもここは相手GKに阻まれてしまう。そして迎えた90+3分、コーナーキックのチャンスを獲得するとMF伊勢航(社3=ガンバ大阪ユース)のキックが相手に当たりそのままゴールに吸い込まれ、終了間際に同点に追い付くことに成功する。試合は2回戦の日体大戦に続きまたもPK戦に突入。両チーム一人ずつPKを失敗した中で迎えた8人目、先攻法大のPKを北村がストップすると後攻ア式のキッカーはDF佐々木奈琉(社2=新潟・帝京長岡)。冷静にPKを成功させ激闘の末、見事勝利をつかみ取った。

 

ドリブルをする伊勢

 法大は今季1部を戦い、来季は直接昇格を争う「最大のライバルになり得る」(兵藤慎剛監督、平20スポ卒=長崎・国見)相手だ。その相手に勝てたことがまずは一つの成果だろう。2試合連続で試合終了間際で同点に追い付きそこから勝利をつかみ取っているという点は、今季終了間際での勝負弱さを課題にしていたア式の一つ成長が見える部分だ。さらに新人戦を含め12月は複数得点で勝利というア式らしい攻撃的サッカーを見ることができている。それでも天皇杯予備予選2試合続けての3失点というところにはまだまだ課題が残る。立ち上がりの失点、一瞬の隙やミスを突かれての失点というのは来季ア式が目標を達成するためには乗り越えなければいけない課題であり、日々の練習からの良い積み重ねの中で徐々に修正されていくことを期待したい。さあいよいよ2024年。ア式にとって重要な1年が始まる。100周年というメモリアルイヤーの中でより今季の攻撃的サッカーのさらなる進化や「魅力的なサッカー」(兵藤監督)を追及しながら、彼らの目標である1部昇格、そして日本一を成し遂げるために。ア式らしさ全開の来シーズンが見られることを期待したい。

(記事 和田昇也 写真 板東萌、長屋咲希)

 

早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK ヒル 袈依廉 スポ3 鹿児島城西
DF 佐々木 奈琉 社2 新潟・帝京長岡
DF 増田 健昇 スポ2 横浜FCユース
DF 神橋 良汰 スポ3 川崎フロンターレU18
DF 石川 真丸 スポ3 名古屋グランパスU18
MF ◎伊勢 航 社3 ガンバ大阪ユース
MF 10 山市 秀翔 スポ2 神奈川・桐光学園
MF 22 森山 絢太 スポ3 兵庫・三田学園
→HT 15 松尾 倫太郎 人3 千葉・八千代
MF 20 成定 真生也 スポ3 神奈川・日大藤沢
→58分 18 鈴木 大翔 スポ1 ガンバ大阪ユース
MF 東 廉 スポ3 清水エスパルスユース
→69分 11 本保 奏希 スポ2 JFAアカデミー福島
FW 駒沢 直哉 スポ3 ツエーゲン金沢U18
◎=キャプテン
監督:兵藤慎剛(平20スポ卒=長崎・国見)
コメント

兵藤慎剛監督(平20スポ卒=長崎・国見)

――試合全体を振り返って

自分たちのビルドアップのミスから開始早々に失点している中で、前半はお互いにバタバタした展開になったところは少しもったいなかったなとも思います。ただ、前半で1点は取り返してるというところで、2失点というところはまだまだ守備の部分の構築はできてないなというところですし、攻撃も途中から良くなってきた部分はありますけど、もっと慌てずに、試合の入りの15分と途中からの流れは違ったりという中で、誰がチームを落ち着かせるのかというところが、まだまだできてないなと思います。勝ちたいというエネルギーだけでまだやってるのかなというところで、そこはうまいゲームの運び方というのも、しっかりと鍛えていきたいなと思います。

――チームとしてビハインドの戦い方はいかがでしたか

ビハインドになったらやるしかないから、スイッチが入るというのはあるのですが、その前からもっともっとできることはあるよねというところです。ビハインドになる前にもっと自分たちのプレーをどうやったら出せるのかというところは考えないといけないですし、どこのポイントで落ち着かせるのかというのは、ボランチだったり前線だったり後ろだったりさまざまあると思うので、そこで落ち着かせられる選手をしっかりとつくっていかないといけないかなというのはあります。けど戦い方的には多少リスクを負ってでもというところではあるので、前がかりになりながらも、最後のところは落ち着いてというイメージではいるかなというところです。

――来季は昇格を争うことになる法大ですがどんな意識がありますか

今年法政との天皇杯予選から始まって、また天皇杯予選で法政で終わるという1年間となって、縁があったのかなという風に思いながら、来年同じリーグでやるって中で個の能力は、いい選手がいるなとは思うのですが、どうやってチームとして戦うかというところだったり、勝てるようにどういう風なトレーニングをしていくかというのが大事だと思っています。そういうところでは、やっぱり最大のライバルになり得る法政なので、しっかりと勝てたことはまず大きかったかなっていうとこですけど、技術的にもしっかりしているチームだなという印象は特に変わりはないです。来年も多分いい選手たちがいる中で、うちがどうやって戦うかというのが大事ですし、早稲田らしく勝てるようなチームをつくりたいなと思います。

――2024年への意気込みをお願いします

今年1年の経験を、しっかりと次の年に生かすという部分も、僕も含め大事かなと思いますし、今年1年でやって分かったことがたくさんあるので、それをチームにどう還元して、来年はまた来年らしい、やっているサッカーの目指すべきところは一緒でも、最上級生が変わってチームの雰囲気だったり個性が違うので、また面白い違いは出るかなと思います。それをどれだけ最大化できるかというところにまたチャレンジしながら、(今日の)3ー3というスコアはちょっとあれですけど、やっぱり魅力的なサッカーはしていきたいと思っているので、そこを追求し続ける1年間にまたしたいなと思います。

MF伊勢航(社3=ガンバ大阪ユース)

――今日の試合を振り返ってみていかがでしたか

法大相手ということで、もちろん最初から向こうが強いというのは分かっていて、立ち上がり失点してしまったというところには課題がありますし、やられた中でも最後追い付けたというのは、この間の日体大戦も含めて自分たちの強さが出てきているのかなと思っています。そこは本当に勝って終われて良かったなというのもそうですけど、まだまだ課題があるのかなという感じです。

――前半は追いかける展開となったと思いますが、その中でどのようなことを意識されていましたか

結構バタバタしていた部分はあったと思っています。そこを自分の声掛けであったり、プレーで落ち着かせるということは個人的には意識していました。相手のバックラインが弱いということで、積極的に背後を狙っていこうとチームの中で統一してやれたのは良かったのかなと思います。

――一時点差が広がった後半はどのようなことを意識されていましたか

1-3ということで、結構難しい状況が多かったのですが、そのような場面でも焦れずにうまく松尾(倫太郎、人2=千葉・八千代)であったり本保(奏希、スポ2=JFAアカデミー福島U18)を使って、自分たちの特徴のあるサイドを使って展開できたのでそこが結果的につながったのかなと思います。後は本当に気持ちで絶対に追い付くという執念があったのが良かったのかなと思います。

――前回に引き続きPK戦になりましたが、どのようにチームをまとめよう考えていましたか

北村(公平、文構3=神奈川・桐光学園)は本当に練習から止めているので、そこはみんなが信じていましたし、仲間を信じるという部分は一体感を持ってやれたので、勝つべくして勝てたのかなと思っています。

――来年度への意気込みをお願いします

来年は100周年ということで結果は絶対に残さないといけなくて、まだまだこのような試合をしていたら自分たちが目標としてるところまで届かないので、オフシーズンを挟みますが来年はもっと強い覚悟を持ってやっていきたいと思っています。

――ケガ後の復帰戦でしたが感触はいかがでしたか

もっときついかなと思っていたのですが、意外と90分やれましたし、足もつるかなと思ったのですが、つらずに最後まで走り切れたのはリハビリをちゃんとやったおかげかなと思っています。

――キャプテンマークを巻いての公式戦初出場となりましたが、いかがでしたか

自分がここ2試合欠場していた時に、駒沢(直哉、スポ3=ツエーゲン金沢U18)を中心に声を出してくれていたのですが、チームとして盛り上げる声であったりチームを落ち着かせる声はまだまだ足りていないと思っていました。なので、そこは本当に心掛けていましたし、キャプテンマークを巻いてる重みはもちろん感じましたが、そこの責任という部分は去年からずっと感じながらやってきてるつもりなので、そこまで気負わずに戦えたのかなと思っています。

GK北村公平(文構3=神奈川・桐光学園)

――試合全体を振り返っていかがでしたか

 日体大戦に続き、非常に難しいゲームだったと思います。まだまだ課題も多かったですし、勝ちはしましたが振り返るべき点が多い試合でした。

――立ち上がりの失点についてはどう振り返っていますか

 チームとしてやることを統一しなければいけませんでした。後ろのミスで失点してしまい、なかなかゲームの流れを自分たちのものにできなかったというところは反省しないといけないところですし、最終ラインはもっとそういったところを突き詰めなければいけなかったと思います。

――ビハインドで試合を折り返しましたが、ハーフタイムで何か修正したところはありますか

 チーム全体として、(得点を)取れるという雰囲気はありましたし、攻撃陣の強さを分かっていたので心配はしていませんでした。ただ、守備の部分で細かいポジショニングなどといったところは、ハーフタイムで修正して後半に臨みました。

――日体大戦に続いて2試合連続で終了間際の同点弾となりましたが、試合終盤の強みといったものは感じられますか

 昨年はむしろ終盤で決められて負けたり引き分けたりということが多かった中で、新チームになってから、今まで積み上げてきたものが成果として現れてきたのかなと思っています。最後のこだわりというのを今年はより意識していきたいと思います。

――PK戦に突入しましたが、何か意識したことはありましたか

 楽しんでやることですね。ただ、今日は全然合わなかったので、もっとリラックスしてやれたら楽なPK戦にできたかなと思います。まだまだではありますが、一つ勝てたというのは成果かなと思います。

――来年に向けての意気込みをお願いします

 部としては100周年を迎えるシーズンで、大きな責任感を感じています。その中で、自分はピッチ内外でこのチームを日本一にすることが使命だと思っているので、その使命を果たすために来年1年間は120%で、死ぬ気で走り切りたいと思います。