新人戦全国制覇を達成! 「日本一を取ることが早稲田の日常」(兵藤監督)

ア式蹴球男子
全日本大学サッカー新人戦 決勝
早大 2-0
2-0
福岡大
【得点】
(早大)19’西凜誓 22’本保奏希 74’森田大智 82’鈴木大翔
(福岡大)なし

 第7回全日本大学サッカー新人戦にて予選リーグ3連勝、続く準決勝も東園大に2ー0で勝利し、決勝進出を決めたア式蹴球部(ア式)。新人戦日本一を懸けた決勝戦の相手は福岡大となった。試合は19分にFW鈴木大翔(スポ1=ガンバ大阪ユース)のクロスを、MF西凜誓(社1=名古屋グランパスU18)が一度は相手ディフェンスに阻まれたものの押し込み先制点を奪うと、続く22分にDF佐々木奈琉(社2=新潟・帝京長岡)のクロスをMF本保奏希(スポ2=JFAアカデミー福島U18)が合わせ追加点を挙げ、前半を2ー0で折り返す。後半立ち上がりは相手に押し込まれる展開が続いたが74分、裏に抜け出したMF森田大智(スポ2=熊本・大津)が冷静にゴールに流し込み3点目、さらに82分にはDF佐橋杜真(スポ2=名古屋グランパスU18)のパスにうまく抜け出した鈴木がそのまま冷静に押し込み4点目を奪う。厳しい時間が続いたが終わってみれば4ー0の快勝。6日間で5試合の過密日程をチーム全員で戦い抜いたア式が新人戦全国制覇を成し遂げた。

 

先制点を決め喜ぶ西

 立ち上がりは拮抗(きっこう)した展開だった。両者敵陣には侵入するもののなかなかシュートを打つことができない。迎えた19分に試合が動く。森田と西のコンビネーションから右サイドで待つ鈴木に展開。鈴木が持ち上がりクロスを上げると中に走り込んだのは西。一度はディフェンスにブロックされるがこぼれ球を再び西が押し込み先制に成功する。さらに22分、MF佐久間真寛(商2=静岡・藤枝東)が最終ラインの裏に浮き玉を配球すると、佐々木がワンタッチで中に切り返す。そのボールに走り込んできた本保が合わせ早い時間に追加点を奪う。その後相手は前線の選手を投入するなどして攻勢を強めてきたが、ア式守備陣が要所を締め、打たれたシュートに対してはGK海本慶太朗(スポ1=大宮アルディージャU18)が安定したセービングを見せ、無失点のまま前半を2ー0で折り返す。

 

シュートを放つ森田

 後半はスタートから押し込まれる展開になったア式。相手は持ち味である前線の選手のフィジカルやスピード、ロングスローやコーナーキックといったセットプレーを中心にア式ゴールに迫ったが、最後のところで粘りの守備を見せたア式が得点を許さず。また相手のハイプレスに対して、安易にボールを蹴らず後ろからボールをつないでチャンスをうかがうという今年1年チームでやってきたサッカーを崩さずに戦い続けたア式。すると74分、西からの縦パスに森田が抜け出すと冷静に相手GKを外してゴールに流し込み大きな追加点を獲得した。さらに82分には佐橋が左サイドでボールを持つと裏にパスを出すと、完璧にマークをはがした鈴木が冷静に流し込み勝負を決定づける4点目を奪う。最後まで自分たちのサッカーを貫き通したア式が4ー0で勝利し、初の新人戦全国大会優勝を達成した。

 

パスの出し手を探す鈴木

 5月から始まった新人戦。関東大会のグループリーグでは連敗もあった。当初は「チームとしてバラバラだった」(鈴木)と話す。それでも関東の決勝トーナメントで法大、筑波大、明大という関東の強豪とやり合う中でチームが結束し自分たちのサッカーに自信をつけ、全国大会の開幕前には「チーム力」が武器と多くの選手たちが話すようになった。6日で5試合という難しいコンディションの中で千葉遠征に帯同した全選手がピッチに立ち全勝優勝。まさに「チーム力」の勝利だった。チームが目標として掲げた日本一を2023年の最後に成し遂げることができた。しかし彼らの戦いはここから始まる。記念すべき100周年のメモリアルイヤー、強い早稲田を取り戻すというミッションが課されたチームの中で成長した彼らが躍動する姿が見られることを期待したい。

(記事 和田昇也 写真 髙田凜太郎、永田怜 取材 荒川聡吾)


試合後の様子

 

早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 海本 慶太朗 スポ1 大宮アルディージャU18
DF 佐々木 奈琉 社2 新潟・帝京長岡
→90+2分 21 北村 磨央 社2 東京・関東一
DF ◎増田 健昇 スポ2 横浜FCユース
DF 石井 玲於奈 スポ2 FC東京U18
→45分 19 笹木 大史 商2 東京・早大学院
DF 佐橋 杜真 スポ2 名古屋グランパスU18
MF 佐久間 真寛 商2 静岡・藤枝東
MF 20 柏木 陽良 スポ1 鹿島アントラーズユース
→83分 14 山市 秀翔 スポ2 神奈川・桐光学園
MF 西  凜誓 社1 名古屋グランパスU18
→86分 13 川辺 球尊 スポ2 大宮アルディージャU18
MF 10 森田 大智 スポ2 熊本・大津
MF 17 本保 奏希 スポ2 JFAアカデミー福島
FW 鈴木 大翔 スポ1 ガンバ大阪ユース
→85分 23 瀧澤 暖 スポ2 北海道コンサドーレ札幌U18
◎=キャプテン
監督:兵藤慎剛(平20スポ卒=長崎・国見)
コメント

兵藤慎剛監督(平20スポ卒=長崎・国見)

――試合内容はいかがでしたか

福岡大のサッカーはよりダイレクトなサッカーだったので、早稲田が今まで一番苦手としているサッカーでした。そこに対してもタフに戦ってくれたかなと思いますし、取れるべきところで点が取れたというところと、自分たちの時間帯ではない時にしのげるようになったというのが、5試合を通じて、全員でタフになれたのかなと思います。

――4ー0というスコアについては

この5試合の中で一番いい内容だったと思いますし、タフな中で自分たちが成長しているという証拠を自分たちで残せたということは、すごくいいことかなと思います。ただ明治、筑波などインカレに出ているチームが、そっち側(インカレ)に本当の1、2年生のトップ選手を出しているので、まだまだこの優勝に満足してもらっちゃ困りますし、早稲田はやっぱり日本一取ることが今までの歴史上の日常だったと思います。これに満足せずにこれが早稲田の日常で日本一を取れなかったことが、むしろよくないことだよね、ア式として本来あるべき姿じゃないよねというところまで持っていけるように、1、2年生はこれを自信にしてもらいたいなと思います。それでもやはり過信にならないように、こちらからも厳しくもっともっとやっていかないといけないと思いますし、見ていた3年生や出られなかった1、2年生はこれを刺激にして、自分たちが今度日本一を取るという強い気持ちを持って、厳しい競争をつくれるような環境をつくれればいいかなと思います。

――来年のチームつぐりにおいてこの選手たちはどうですか

このメンバーの中で、この6日間で良くなったなという選手はいるので、そこはしっかりと1回上のトップでやらせて、そこからしっかり競争させたいというところはあります。

DF増田健昇主将(スポ2=横浜FCユース)

――優勝した感想をお願いします

率直にとてもうれしいです。日本一を目指して早稲田に入ったので、その目標をかなえることができてうれしいです。

――ここまで大量得点で勝ち上がってきた相手に対し、クリーンシートという結果でしたが、どういったことを意識して決勝に臨みましたか

相手が前線に大きく蹴ってくるプレーをするということは分かっていたので、そこに対する後ろの準備を早くして、長いボールを跳ね返すというところと、その後のセカンドボールを回収するというところを意識してプレーしていました。

――5試合連続のフル出場となりましたが、一戦一戦どのように切り替えていましたか

本当に厳しい5連戦でしたけど、試合が終わった後のケアは意識して行いました。後は、みんなのやる気だったり、励ましの言葉が自分の力として糧になったので、そこが大きかったと思います。

――キャプテンとして与えられた役割と意識していたことはありますか

まずはみんなのメンタルを保つというところと、そのために自分がチームで一番声を出して鼓舞するというところを意識してやりました。

――この日本一という結果を踏まえて来シーズンどのように挑んでいきますか

今回の新人戦は優勝できましたけど、インカレだったり、そういった大会で近年の早稲田は優勝ができていないですし、そういった大会ではもっと強いチームが出てくると思うので、そこに打ち勝てるようなチームになっていきたいと思います。

MF本保奏希(スポ2=JFAアカデミー福島)

――今の率直な気持ちお願いします

日本一を取れて本当に率直に、うれしい気持ちで今はいっぱいです。

――自身として日本一という経験は

高校1年の頃に国体で優勝していて、でもその時は自分はベンチなことが多かったので、今回は主力として出場できて日本一になれたのてうれしいです。

――グループステージでは2戦目で2ゴールを決めて勝利に貢献されましたが、そのグループステージ全体を振り返っていかがでしたか

2試合目で2点決められて勝つことができましたが、その他に自分にチャンスがあったのに全然決めれてなくて、チームに迷惑かけていたので、今日の2点目を決められてそこは良かったかなと思います。

――6日で5試合でしたがコンディションはいかがでしたか

正直、こんな連戦を今までしたことがなかったので、体的にはとてもきつかったです。ただ、みんなで日本一という目標のためにやれたので、きつかったですけど優勝できて良かったです。

――決勝戦は福岡大という簡単ではない相手に4得点の快勝となりましたが、その要因はどこだと考えますか

前半のいい時間帯で2点取れたというのが良かったところと、あとはやっぱり相手が蹴ってくるチームだと分かっていたので、後ろやボランチのみんなが本当に集中して守り切って、後半最後3点目4点目で仕留められたので、そこが良かったかなと思います。

――この新人戦全体を通してチームとしてと個人として成長できたと実感している部分はありますか

チームとしては本当に失点の量も少なかったですし、チーム一丸となって戦えたところがこのチームの強さかなって思います。個人としては課題ばっかりですけど、最後こうやって点を決めれてチームに貢献できたのは良かったです。ただ、本当に決め切るところだったり、もっとドリブルだったり、チャンスをつくるところでは、まだまだ自分の課題はたくさん出たので、もっとこれから追求していかなければならないと思います。

――まだ天皇杯予選の一試合を残しますが、シーズンにも一つ区切りがついたと思います。今季を受けて、来季以降どのようなシーズンにしていきたいですか

本当に1部昇格というところを目標に2部で優勝するのもそうですし、新人戦で日本一を達成できましたけど、今度はインカレや総理大臣杯のところで、また日本一を取れるように頑張っていきたいなと思います。

MF森田大智(スポ2=熊本・大津)

――優勝した今の感想をお願いします

うれしいという気持ちが一番の気持ちです。決勝もゴールを決められたので、そこは良かったなと感じます。

――試合全体を振り返ってください

前半で2点取れて、良いかたちで試合を進めることができて、後半も(勢いを)緩めず2点を追加できたので、これまでやってきた成果が出た決勝だったと思います。

――全国大会は、5試合連続スタメンでほぼ全試合フル出場でしたが、一戦ごとにどう切り替えていましたか

体がきついことはきついですけど、試合に使ってもらえることは本当に幸せなことなので、試合に出られる喜びを噛みしめながら、楽しくサッカーができたなと思います。

――以前のインタビューでは全国大会は得点とアシストにこだわっているとおっしゃっていましたが、5試合で5点という結果への手応えはいかがですか

今大会で点を取れる選手になったという成長した部分が結果として表れているので、もっと強い相手と対戦した時にどれだけ点を取れるかということが勝負になってくると思っています。満足せずにもっと貪欲に得点を狙っていきたいと思います。

――この全国大会の結果も踏まえて今シーズン全体を振り返ってください

新人戦はトップチームで出られないメンバーが中心でした。トップで出られないという悔しい気持ちをみんな持ちながらやってきた中で、最終的に(トップチームで出場していた)山市(山市秀翔、スポ2=神奈川・桐光学園)や奏希(本保奏希、スポ2=JFAアカデミー福島U18)が出て、良いチームになったなと思っています。ただ、個人的にはトップで試合に出られなかったので悔しい1年だったと思います。(

――来シーズンへの意気込みをお願いします

正直この大会は個人的に天国か地獄、来年トップでやれるか逆にまた社会人でやるかみたいなところがすごくかかってたと思っていたので、来年は関東リーグのほうに出られるように切り替えてやっていきたいと思います。

DF西凜誓(社1=名古屋グランパスU18)

――優勝した今の感想をお願いします

新人戦始まった時から日本一を目指してずっとやってきたので、素直にうれしいです。

――先制点となった1点目を決められましたが、どういったことを意識して決勝に臨みましたか

予選リーグの2試合目でケガをしてしまって、3戦目と準決勝はなかなか自分に出番はなく、そんな中でしっかりと決勝に向けてコンディションを整えてきていました。結果的に休んだ分フレッシュな状態ではありましたし、自分がチームを勝たせないといけないという気持ちを持っていたので、絶対に結果を残してチームを日本一に導くという思いで挑みました。

――全国大会は5連勝となりましたが、大会全体を振り返ってください

自分たちの強みと長所をしっかりと出して、試合に挑めば絶対に優勝できるという自信はありましたし、自分たちがやるべきことをやって、攻守においてサボらず、やり切った結果、こうした良い結果につながったと思います。

――結果的に日本一というかたちで終わることになった今シーズンを振り返ってください

新人戦もそうですし、1年を通して日々成長できたのかなと思います。一試合一試合積み重ねて多くのものを経験させてもらいましたし、最後に日本一という大きなすごく良い経験ができたと思います。ただ、悔しい思いは何度もしてきました。最後に日本一を取れましたけど、どちらかというと悔しい思いの方を自分はしてきたと思うので、そういった意味ではこの経験と成長できたことを今後に生かしていきたいと思います。

――来シーズンへの意気込みをお願いします

来シーズンは、トップチームで試合に出続けて、活躍して、多くのものをつかみたいと思いますし、あと1週間でオフに入りますけど、オフシーズンを通して来シーズンが始まる頃には良い状態にしていきたいです。そして来シーズンは本当に後悔がない良いシーズンにしていきたいと思います。

MF柏木陽良(スポ1=鹿島アントラーズユース)

――試合全体を振り返っていかがですか

徹底して蹴ってくる相手でしたけど、最終ラインは集中して守れましたし、前線の選手もしっかり点を決めてくれて、全員で一つになって戦った試合でした。

――新人戦優勝はいかがですか

日本一を取れる唯一の大会で、全員が絶対に(日本一を)取ってやるという気持ちで、いい状態で臨めた大会でした。

――今大会出場機会が多くありましたがどうでしたか

自分自身(関東の)予選の部分ではあまり出れていなくて、それでも全国の舞台でチャンスもらえて、絶対にやってやろうという気持ちでやっていました。5試合を通して、自分自身もチャレンジできて、それがまあいい方向につながっていったという感じでした。

――来シーズン以降への意気込みをお願いします

来シーズンももちろん日本一を目指していく中で、自分自身がもっと試合に関わっていきたいと思います。これに慢心することなく、これからも練習に取り組んでいきたいと思います。

鈴木大翔(スポ1=ガンバ大阪ユース)

――優勝して率直な気持ちをお願いします

一つはホッとしています。このメンバーでできる試合も今日が最後だった中で、ケガ人の人たちもいたのでその人たちの分も優勝しようと思っていたので、優勝できてホッとしました。

――得点シーンを振り返っていかがですか

杜真君(佐橋杜真、スポ2=名古屋グランパスU18)からいいボールがきました。目があった時から、動き出してて、(ボールを)出してくれると分かっていたので、あとは押し込むだけでした。

――今日の試合全体を振り返っていかがですか

苦しい時間帯が続いていましたが、早い時間に先制点を取れたので、そこは大きかったのかなと思っています。前半もメンバーが少なくなったりしましたが、全員で耐え凌いで0で抑えたのが後半のああいう結果につながったのかなと思います。

――新人戦全体を振り返って、チームとして成長したところ、個人として成長したところを教えてください

チームとしては最初はもうバラバラというか一人一人がという感じでしたが、試合を重ねるにつれてチームとしてのまとまりが出てきました。試合を重ねるごとに成長していたのが、この試合でも感じられました。個人としては、2年生、1年生のメンバーでコミュニケーションとかがよく取れるので、僕的にはやりやすいなと思っていて、試合を重ねてもっとコミュニケーション取れるようになったと感じました。最後には目を合わせないでもボールが出てくるぐらいになったので、そこのコミュニケーションの部分は特に成長したかなと思います。

――最後に今後の意気込みをお願いします

来シーズンはトップチームでも結果を残します。直哉君(駒沢直哉、スポ3=ツエーゲン金沢U18)とか猛志(伊藤猛志、スポ1=ジュビロ磐田U18)とか暖(瀧澤暖、スポ2=北海道コンサドーレ札幌U18)もいますけど、そこを超えれるように頑張っていきたいと思います。