全日本大学サッカー新人戦直前特集 『REGAIN』【第3回】佐久間真寛✕佐橋杜真

ア式蹴球男子

 第3回には2年生のお二人、MF佐久間真寛(商2=静岡・藤枝東)とDF佐橋杜真(スポ2=名古屋グランパスU18)が登場。今季センターバックからボランチにコンバートされた佐久間。サイドバックとしてトップチームでの定位置確保を狙う佐橋。プライベートでも仲が良いというお二人に、新人戦全国大会の前の思いなどを伺った。

※この取材は12月8日に行われたものです。

引っ張れる選手がまだ少ないことは課題(佐久間)

筑波大戦で得点を決め喜ぶ佐久間

――今年1年を振り返って、いかがでしたか

佐久間  去年はほとんどケガでプレーできてなかったんですけど、 その分気持ちも強かったです。カテゴリーは一番下からスタートで、Iリーグで何試合か出て、その後社会人リーグの方でやらしてもらったっていう感じで試合にはずっと出れました。どのカテゴリーでも出れた中、一試合一試合に出れるか出れないかでは、課題の見つけ方とかその試合で得られるものが違うんで、そこは良かったなと思いました。新人戦は、1、2年でやれる大会っていうので、同期のみんなと一緒にできると思って気持ちも入ってましたし、すごく楽しめました。まだシーズン終わってないですけど、去年サッカーもできなかった身としては楽しめてはいます。

佐橋  自分は楽しいシーズンだったかなと思います。最初、トップに出たいと思ってシーズンに臨んだんですけど、自分は社会人のカテゴリーでやっていました。その中でも社会人は同期が多くて、その分のびのびのびとプレーできてきたんで、楽しかったかなという印象です。

――今、新人戦で戦ってるチームの中で、課題だと感じていることはありますか

佐久間  勝負強さですかね。それこそ負けた試合を振り返ると、城西大との試合であったり、産能大との試合であったり、明治との試合だったりなんですけど、決め切れるところを決め切れなかったり、少ないチャンスで逆に失点したりしました。あとはその試合の入りの部分と終わらせ方のところで、あまりトップでも試合出れない経験が浅い選手が多い中で、引っ張れる選手がまだ少ないっていうのは課題だと思ってます。それこそ明治戦では本当にその勝負のところ、勝負にこだわる姿勢っていうのが顕著に出たかなっていう風には思います。

佐橋  自分は、選手の波が激しいなと思いますね。自分は調子いい日とか悪い日とかがあんまりないんですけど、前の選手とかFWとかサイドハーフだと、ドリブルで抜ける日とかシュートがうまくいく日とかがあると思います。そこの波が激しいかなというのはありますね。負ける試合も、いつも決めているところを決めれなくて結局負けちゃうんで、波が激しい選手が多いのかなと思います。

――その波の激しさは、決勝トーナメントに入るまでな新人戦チームのメンバーを固定できなかったところは影響してたと感じますか

佐橋 最初は合わないとか、 自分たちはトップとは違って結構パス回しで崩したりしていくサッカーをしているので、そこは合わないなっていう感じはありました。

――決勝トーナメントに入ってからは、強豪の筑波大を倒したり紅白戦でトップチームを倒したりしたと思いますがいかがでしたか

佐久間  ゲバ(紅白戦)はそんなに結果を気にしないっていう気持ちもありつつも、やっぱりこだわってはいるのであの時は喜びました。連携面が良かったという印象はその時は持ってなかったんですけど、筑波戦で相手がガチガチの関東(リーグ)に出てるメンバーが来るという風に聞いていて。そこでスイッチが入ったっていうか、みんなが本当に筑波を倒したいっていう気持ちで2週間ぐらい取り組んでやっていました。練習1個1個も、自分たちでも分かるぐらい質が高くなってきて、予選リーグの時は、相手に左右されたり合わせたりして、自分たちでどうこうできずに負けた試合もあったんで、筑波という相手あってこそでしたけど、気持ちの強さは結果に出たかなっていう風に思います。

佐橋  やっていて自分たちが強くなっている実感もありました。正直、筑波やトップチームにも負ける気はあんましなかったので、そのまま強い気持ちが試合に出せた、それが大きかったかなと思います。

――明大との決勝の後から時間が空いたと思いますが、意識の面や練習面で変えたりしたところはありますか

佐橋  普段からあまり特に意識してることはないです。でも、悔しいって気持ちはみんな強いので、次、全国で明治とできる可能性もありますし、そこまでにさっき言ったゴール前の課題とかを改善していきたいなって気持ちはあります。

佐久間  自分は新人戦決勝が始まってポジションが変わってボランチになりました。まだボランチに慣れてないというのもあるので、チームのことというよりかは自分のことで今はちょっと精一杯って感じがあります。明治戦も自分があまり機能できなくて、何もできないまま70分ぐらいで交代したんで、そういった悔しさもありますし、今は違ったポジションでどうチームに貢献できるかを、兵藤慎剛監督(平20スポ卒=長崎・国見)に言われたことを自分で咀嚼して考えながらどうするかという感じですね。

――ボランチになったという話をなさっていましたが、今後のポジションはどのように考えていますか

佐久間  どっちがいいというよりかは、もう本当にみんなどう?っていう感じです(笑)。

佐橋  めっちゃ聞いてくるんですよ(笑)。好きな方でいいですけど別に(笑)。

佐久間  1回戦法政とやったんですけど、法政戦の前にケバでボランチってなって。俺がボランチでスタメンに出るんじゃないかみたいな感じになった時に、(佐橋が)一番反対してました。

佐橋  さすがに怖いじゃないですか。初めてやるポジションで(笑)。

――他の人に意見を求めて、どんなことを言われたりしましたか

佐久間  伊勢君(伊勢航、社3=ガンバ大阪ユース)とかにはボランチはどうかなと聞いていますし、その上の平松君(平松柚佑主将、社4=山梨学院)とかともよく話します。平松君は4年になって、逆にボランチからセンターバックにコンバートされた人なので、ポジションが定まらないこととか、ボランチとセンターバックでの違いとかはいろいろ聞きます。でも、試合に出れたりチームに貢献できればいいなと思います。ボランチもセンターバックもやることは違いますけど、どっちで出るからフラストレーションがたまるということはあんまりないんで、そこは(これからも)いろいろ聞いていきたいですね。

自分がチームを勝たせなきゃとか、そういう気持ちは強くなった(佐橋)

質問に答える佐橋

――自分のここが一番成長できたと感じる部分を聞かせてください

佐久間  サッカーの中で言ったら、自分で考えてプレーに反映させたり意見を出す機会が増えました。高校の時は監督がだいぶ戦術に対してストイックな方で、ポジションごとにいろいろ提示してくれたので、比較的楽に自分のすべきプレーっていうのが分かって、サッカー一つ一つの戦術とか、プレーについて考えることはあんまりなかったです。ただ大学に入ると、ユースの選手とか高体連での代表経験のある人たちがいます。早稲田は1個の型にはまるというよりかは、ピッチ内に出ている人たちのサッカー観をぶつけるという感じで、コミュニケーションで1個1個調整していって成り立たせるみたいなのを、去年すごく感じました。なので自分なりにそういう意見を持ってないと、ピッチに立てないというのがあったので、映像を見返す回数が増えたり、よりサッカーに対して向き合うようにはなりました。

佐橋  自分は高校の時はユースでやっていて、周りみんなうまかったです。でも大学に入ってもトップチームでできなくて、トップのレベルでできないって時にもっと自分がやらなきゃなっていう気持ちは強くなりました。自分がチームを勝たせなきゃなとか、そういう気持ちは強くなったのかなと思います。

――早大に来た理由を教えてください

佐久間  自分はずっと大学なら関東でサッカーをやりたいって考えていました。行けるところを探して、一番いいとこにしようという中で、高校の時は高3の春から夏までずっとケガをしていて、練習会もどこも行けなかったです。行くとこがないってなった時に、学校の勉強はちゃんとやっていたんで、指定校(推薦)が残っていたからそれで来たという感じです。

佐橋  自分は親が東京にいるんで、関東に行こうというのは決めてました。高校の監督が早稲田の人だったので、早稲田はどうだみたいな話をしてもらって。その時はまだ行ける実績がなかったんですけど、全国で優勝して行けるようになったので来ました。

――大学生活4年間あると思うんですけど、この先、どんなサッカーキャリア築いていきたいなとかって、ビジョンとかお持ちだったりしますか

佐久間  自分はより高いレベルでやっていきたいんで、プロに行ければプロに行きたいっていう気持ちもありますし、今のままでいいとかその下を目指す選手はサッカーをやっている以上いないと思うんで、他の人とかと同じように上を目指してやっていって、試合して練習して映像見返して次の日練習してを繰り返して、どうなるのか。どうしたいっていうよりかはどうなるかって感じですね。

佐橋  楽しくやりたいです(笑)。自分は先とかより、今頑張れば結果はついてくるだろうって感じなんで、今を楽しく一生懸命にやっていきたいです。

(佐橋とは)本当に考え方が違うので、一緒にいて飽きない(佐久間)

質問に答える佐久間

――プレーとプライベート両面でお互いの他己紹介をお願いします

佐久間 杜真はプレー面でいうとほんとに職人ですね。波がないんですよ。一生懸命やってるんでしょうけど、一生懸命さは伝わらないですね(笑)。特に弱点がなくて、攻撃にもしっかり参加できて、守備も杜真の方からやられることはほぼないですし、理想的な左サイドバックです。私生活はいい意味で適当ですね。サッカーを一番に考えつつ、スケボーとか音楽とか趣味も多いので。最近はほぼ毎週一緒に映画見に行ってます。あとは服買いに行ったり。杜真はファッションの知識が多いので、「杜真どうこれ?」みたいな感じで聞いてます。本当に考え方が違うので、一緒にいて飽きずにいられますね。

佐橋 プレー面でいうと、ゴツくて競り合いとかも強そうじゃないですか? でもそうじゃないんですよ(笑)。結構うまい系のプレーヤーで、ロングキックとかビルドアップとかそっち系なんですよ。最近はボランチもやっていて器用だなと思いますね。プライベートはめっちゃ映画が好きなんですよ。映画は教えてもらっててずっと映画の話をしてきます(笑)。さっきも言ってましたけど考え方が全く違うので、話してて面白いですね。

――考え方が違うというのは具体的には

佐橋 遊ぶ時とかも(佐久間は)計画を立てて、何週間か前から約束してみたいな感じなんですけど、俺は前日とかでいいですね。

佐久間 本当にそれ困ります(笑)。予約取らなきゃいけないこととかあるじゃないですか。こいつめっちゃゆっくりなんですよ(笑)。

――2年生の雰囲気はどんな感じですか

佐久間 本当にやわらかいというか、仲が良いっていうのが特徴の一つとしてあります。横のつながりが強すぎるくらいあります。

佐橋 そうですね。めちゃくちゃ仲良いです。

――特に仲の良い選手はいますか

佐久間 谷口(航大、社2=山梨学院)とかですかね。

佐橋 谷口ですね(笑)。

佐久間 あとは谷川(宗士、創理2=静岡学園)とか、本保(奏希、スポ2=JFAアカデミー福島)とか。順番に上げていったら全員挙がっちゃいますね。

――なんでそんなに仲が良いんだと思いますか

佐橋 俺が思うのは、サッカーのレベルで差が激しいとちょっと距離ができたりするじゃないですか。でも自分たちは飛び抜けた選手がいない感じというか、みんなうまくて差がないので、そこも関係してるのかなと思いますね。

佐久間 あとはみんな誰かしらにはいじられるキャラというか(笑)。それであいつはちょっと関わりづらいよな、みたいなやつがいないので、そこは大きいですね。みんな誰かにいじられてて、段々それで輪が広がっていくみたいな。

――プライベートで仲が良すぎて、サッカーの中でお互い強く言い合えない、みたいなことはないですか

佐久間 まだそんなにできているわけじゃないですけど、特に最初の方は要求し合うような声を誰も出さないっていうことをずっと指摘されていました。新人戦では山市(秀翔、スポ2=神奈川・桐光学園)とかが入って声をかけ続けてくれて、それこそ健昇(増田、スポ2=横浜FCユース)とか峻(谷村、スポ2=FC東京U18)とかもですね。峻は結構毒舌なので(笑)。でも峻の声はみんな聞いてるし、山市は声でかいんで、士気が上がるというか、常にモチベーションを上げてくれる仲間ですけど、もうちょっと全員でやっていかないととは思いますね。

――今シーズンここまでのお互いのプレーに点数をつけてもらえますか

佐橋 むず(笑)。

佐久間 杜真は85点くらいですね。多分まあ来年も再来年も85点ですね(笑)。杜真が調子悪いって日は全くなくて、あまり目立ったことはしないですけど、アシストとかも含めチームに貢献し続けてるので、常に高得点を出し続けているという意味で85点です。

佐橋 55ですね。今ポジションを迷ってると思いますし、ボランチをやり始めてそんなに時間もたってないので、期待を込めての55点です。センターバック時代は70点ですね。ほんとにいいボールが飛んでくるんですよ。ロングキックとか。でもやっぱ足が遅いんで(笑)。背後の対応とかは心配ですね。

佐久間 チームで一番遅いよね、俺がダントツで。ボランチをやり始めたのはそれもあるんですよね。社会人とか新人戦でも相方組んでた石井(玲於奈、スポ2=FC東京U18)がめっちゃ足速いんで、逆にいいバランスではありましたけど。

日本一を取りたい(二人)

相手と対峙(たいじ)する佐橋

――来年から高学年になりますが、何か考えていることはありますか

佐橋 後輩にも楽しんでもらいたいですね。後輩たちが伸び伸びできるような、そういう場所をつくりたいです。

佐久間 今と変わらずがむしゃらにやっていきたいです。あとは後輩がやりやすいような環境を、自分は逆につくってもらってた側なので、自分もそういったことはやっていきたいです。ただ、今はそういうことを言ってられる立場ではないので、自分のことにまずは集中してやっていきたいと思っています。

――新人戦全国大会に向けたチームの雰囲気は

佐久間  明治に負けた後めちゃくちゃ悔しかったです。とにかく日本一を取ろうっていうのはみんな言ってますし、今は天皇杯予選があるので新人戦メンバーで練習するってことはできないですけど、天皇杯予選に出るメンバーも新人戦のことを考えつつやってると思います。

佐橋 やっぱ日本一取りたいんで、今は天皇杯に関われるメンバーも増えて新人戦メンバーとしての活動はないんですけど、掲げてる目標は皆同じだと思います。

――全国での注目選手は

佐久間 峻ですね。峻は新人戦ほとんど最初からずっと出てて、峻のコーチングでみんなが動くというのはありますし、峻が攻撃の起点にはどんな場面でもなってくるので、注目選手は峻ですね。

佐橋 佐久間ですね(笑)。心臓になってくれると思ってるんで。注目してください。

――全国大会に向けての意気込みをお願いします

佐久間 日本一を取ります!

佐橋 日本一を取りたいです!

――ありがとうございました!

(取材、編集 永田怜、安岡隼人 写真 西村侑也)

新人戦全国大会への意気込みを書いていただきました!

 

◆佐久間真寛(さくま・まさひろ)(写真右)

2003(平15)年7月14日生まれ。182センチ、80キロ。静岡・藤枝東高出身。商学部2年。映画が大好きだという佐久間選手。「帰ってご飯食べて風呂入って課題とかが終わっていたら映画を見ますね。最近は毎日1本とかのペースで」と映画愛を語ってくれました!

◆佐橋杜真(さはし・とうま)

2003(平15)年7月10日生まれ。169センチ、67キロ。名古屋グランパスU18出身。スポーツ科学部2年。洋服が好きだという佐橋選手。好きなブランドや古着などを見に行くために、毎週原宿に行っているそうです!