関東大学サッカーリーグ新人戦 決勝 | ||||
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早大 | 0 | 0-1 0-2 |
3 | 明大 |
【得点】 (早大)なし (筑波大)33’三品直哉 67’林晴己 70’坂上輝 |
※掲載が遅くなり、申し訳ありません
関東大学サッカーリーグ新人戦の準決勝にて強豪筑波大相手に2ー0で勝利して関東大会決勝進出と全国大会出場を決めたア式蹴球部(ア式)。関東王者のタイトルがかかる決勝戦の相手は全国屈指の強豪明大となった。立ち上がりは一進一退の攻防を繰り広げるも、33分に相手のミドルシュートで先制点を許してしまう。早めに同点に追い付きたいア式だったが、前半のうちに得点を奪うことはできず0ー1で折り返す。後半の立ち上がりにチャンスをいくつか作った攻撃陣だったが決め切ることはできず。その後67分、70分と立て続けに失点してしまう。最後まで明大ゴールを揺らせなかったア式は0ー3の完敗で関東大学サッカーリーグ新人戦は準優勝という結果に終わった。
悔しさを見せる鈴木
立ち上がりは拮抗(きっこう)した展開だった。3分、いきなり守備陣が崩されてピンチを迎えるもシュートは打たせず。続く7分、左サイドでボールを受けたMF西凜誓(社1=名古屋グランパスU18)がカーブをかけたミドルシュートを打ったが惜しくも枠を捉えることはできなかった。その後明大にボールを持たれながらも粘り強い守備を見せてシュートを打たせなかったア式だったが、33分に試合が動く。相手の左サイドからのクロスを、中で待っていた選手が後ろに落とすと、最後はフリーで待つ相手にペナルティーエリア外からのミドルシュートでネットを揺らされ、先制点を許してしまう。すぐに追い付きたいア式は、この日右サイドでスタメン出場したMF山市秀翔(スポ2=神奈川・桐光学園)を中心に攻撃していくが、相手ゴールをなかなか脅かせずに前半を0ー1で折り返す。
ドリブルをする西
後半はキックオフからア式が相手ゴールに迫る。49分、DF佐橋杜真(スポ2=名古屋グランパスU18)が左サイドでボールを受けると、ペナルティーエリア内で待つMF森田大智(スポ2=熊本・大津)にパス。ボールを受けた森田はクロスを入れるも中の選手には合わずチャンスを逃してしまう。その後、53分には波状攻撃から決定機を迎えるがシュートで終わることができず。しかし迎えた67分、相手の右サイドからのクロスをフリーの選手に合わせられると、そのボールはア式守備陣に当たり軌道が変わってしまいそのままゴールに吸い込まれてしまった。さらに70分、相手に押し込まれながらもなんとかボールをクリアしたア式。そのボールを前線の選手が中盤に落としてカウンターを狙ったが、そのパスがずれて相手FWの足元に入ってしまう。そのボールを確実に相手がゴールに沈め、ア式はあまりにも痛い3点目を奪われてしまった。その後、選手を交代しながら相手ゴールを目指したア式だったが、明大守備陣の壁を破ることができず。試合は0ー3の完敗に終わった。
味方に指示を送る濵田
明大は昨年の新人戦関東王者であり、今季の新人戦も準決勝まで無敗と圧倒的な強さを見せていた。一方のア式も筑波大を準決勝で倒しており、お互いチーム状態の良い中で決勝を迎えたが、スコアは0ー3と大きく差がついた。関東大会の決勝という自らの力で掴み取った舞台で、選手たちは全国トップレベルの相手に対して、今の自分たちの何が通用して何が通用しないのかということを確かめていた。低い位置から繋ぐこと、高い位置でボールを持つことなど日頃から取り組んできたことは強豪相手にも一定の手応えを感じていた。一方で明大との大きな差として上がったのは「決め切る力」(西)だ。濵田祐太朗学生コーチ(商2=埼玉・市浦和)も「早稲田は決めれず、明治はワンチャンスを決め切った。そういうところの差」と話す。今季のア式はトップチームも「最後に誰が決めるのか」という課題に悩まされ、わずかな勝ち点差で昇格を逃した。来年以降、強い早稲田のサッカーを取り戻し、一部昇格、さらには全国制覇を目指すためにも必ず克服しなければならない課題だ。1ヶ月後には全国大会が控えており、彼らはもう一度全国の舞台で自分たちの現在地を確かめることができる。もちろん一朝一夕に埋められる差ではないかもしれないが、それでも今年やってきたことの集大成をこの全国大会で見せてほしい。日々の練習から前向きなチャレンジを続け、チーム全員でこの課題を乗り越えた時、ア式の目標「日本一」はもう手が届かないものではないだろう。
(記事 和田昇也 写真 髙田凜太郎、永田怜 取材 近藤翔太)
早大スターティングイレブン
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 1 | 海本 慶太朗 | スポ1 | 大宮アルディージャU18 |
DF | 2 | 佐々木 奈琉 | 社2 | 新潟・帝京長岡 |
→68分 | 11 | 今西 正之輔 | 社1 | 神奈川・日大藤沢 |
DF | 4 | ◎増田 健昇 | スポ2 | 横浜FCユース |
DF | 3 | 石井 玲於奈 | スポ2 | FC東京U18 |
DF | 5 | 佐橋 杜真 | スポ2 | 名古屋グランパスU18 |
→87分 | 20 | 伊藤 猛志 | スポ1 | ジュビロ磐田U18 |
MF | 24 | 佐久間 真寛 | 商2 | 静岡・藤枝東 |
→70分 | 6 | 高橋 作和 | 法1 | 東京・国学院久我山 |
MF | 8 | 谷村 峻 | スポ2 | FC東京U18 |
MF | 14 | 山市 秀翔 | スポ2 | 神奈川・桐光学園 |
MF | 10 | 森田 大智 | スポ2 | 熊本・大津 |
→72分 | 17 | 柏木 陽良 | スポ1 | 鹿島アントラーズユース |
MF | 7 | 西 凜誓 | 社1 | 名古屋グランパスU18 |
FW | 9 | 鈴木 大翔 | スポ1 | ガンバ大阪ユース |
◎=キャプテン 監督:兵藤慎剛(平20スポ卒=長崎・国見) |
コメント
濵田祐太朗学生コーチ(商2=埼玉・市浦和)
――試合を率直に振り返っていかがでしたか
やりたいことや狙いを含め、今週ずっとやってきたことはできていました。ただ、見たら分かると思うのですが、強度のところとか切り替えのところとか、そのベースは90分を通してみると差があったかなと思います。
――リーグ戦が終わった中で、今日は山市秀翔選手(スポ2=神奈川・桐光学園)を起用することができたと思うのですが、そこを含めたメンバー選考の意図を教えてください
ゲバ(紅白戦)とかを含めて確認したところはあるのですが、まず山市は、オープンになってからの方が中央でトップ下やボランチ(の選手)と関われるというところで、関東(リーグ戦)でもやっている、いつも通りの右サイドかなというところはありました。そこでサイドは今西(正之輔、社1=神奈川・日大藤沢)と西(凜誓、スポ1=名古屋グランパスU18)の選択肢になってくると思うのですが、途中からの破壊力ということを考えると、最初に西を使って、途中から今西を起用した方が良いかなと思いました。結果、(今西に)あまりボールが入らなかったので、難しかった部分はありましたが、そういった意図でした。
――前半の失点をするまでは良い流れだったと思うのですが振り返っていかがでしたか
前半は失点した後もうまく締めたゲームができました。いつも早稲田は後半から持っていけるので、前半終わって0-1は良かったですし、内容自体も悪くなかったかなと思います。ただ要所要所で、さっきも言いましたけど強度のところ。簡単に腕で弾かれたりとか、まだ際で持っていかれるみたいなシーンはあったので、そこはもったいないというか、もっと改善していけるなと思います。
――後半は立て続けの失点で一気に崩れてしまった印象でしたが、そこもやはり強度の部分が大きな原因でしたか
特に2失点目はヤマ(山市)の戻りが遅くて、ヤマのマークの選手がドフリーな状態決めたりとか、本当に一瞬の隙でした。後半の頭とかは流れをつくれたりしていたのですが、そこで早稲田は決めれず、一方で明治はワンチャンスを決め切った。そういうところの差かなと思います。小さいところではありますけど、これが本当に大きいと思います。
――最後は3バックにしましたか
そうですね。もうやるしかなかったので。失点してもしょうがないので、それはもうFW2枚入れてという感じでした。
――前回の筑波大戦が終わった後に、決勝で明治と対戦できることが大きいという話がありましたが、ここでの経験はこれからに生かせそうですか
関東1部じゃない以上、勝ち上がったところでしか1部のトップのチームとできないのでいい経験になりますし、これはもう生かさないといけないと思います。ワンチャンスを決め切る際のところなど生かして、1部に仮に上がったとしても上位争いに食い込むために、経験値として積まないといけないなと思います。
――濵田さんが指揮したこの新人戦のチームは関東2位という結果に終わりましたが、チームの姿はどのように映っていましたか
今日は負けてしまいましたけど、まず現実を知れたというのが収穫です。その中でも通用する部分だったり、通用しない部分というのは明確に分かったと思うので、やってきたことに自信を持ちながら、この負けの悔しさ忘れずに全国で絶対まず優勝できるようにみんなが頑張ってくれたらなと思います。
――ア式では2年間学生コーチを務められてきました。この2年間の経験はどのようなものになりましたか
そうですね。修行。修行でした。ただ、学生という立場で指導をする経験というのは一生来ないので、コーチと選手という関係は今後あると思うのですが、この2年間だけの貴重な経験だったと思います。そこでどういうふうに選手とコミュニケーションを取ったらいいのかとか、そこを学べたのは本当に大きかったです。後はプロに近い場所でできたというのは本当に良かったです。
DF増田健昇(スポ2=横浜FCユース)
――今日の試合を振り返っていかがですか
一瞬の隙を相手がしっかりと決めてきたので、全国レベルだと隙を見せると一瞬でやられるなと思いました。全国では隙を見せずに守っていかなければと思いました。
――決勝の明大戦に向けてチームとして取り組んできたことはありましたか
相手は球際や切り替えなどサッカーにおいて最も重要なところをしっかりとやってくるチームなので、自分たちも練習からそこだけは負けないようにということはしていました。また自分たちのアイデアなどで差をつけようと思ってやっていました。
――0-3の完敗となりましたが、この結果に対してご自身はどこが足りなかったと思いますか
1、2点目がどちらもクロスからの失点でした。ディフェンスラインの中で自分がコーチングだったり、自分で守れるシーンはあったりしたと思うので、そういったクロスへの対応が甘かったと思います。
――新人戦全体でキャプテンを務めましたが、キャプテンとしての振る舞いなどで意識していたことはありますか
試合前のアップでテンションを上げていくことだったり、試合中の苦しい状況の時に鼓舞したりは意識していました。
――キャプテンとしてチームを引っ張ってきて、関東2位まで来れたことに対してどのように感じていますか
最初、自分が新人戦のメンバーでやらしていただいた時は、チームとしてまとまりがない状況でした。ですが、練習でいい強度でできて、ラインアップや球際が結構良くなってきたので、これからはもっと基準を上げていけるようにしたいです。
――全国への意気込みをお願いします
今回明治に負けて関東2位となってしまいましたが、全国ではトーナメントを勝ち進んで、日本一になりたいです。
MF谷村峻(スポ2=FC東京U18)
――試合全体の振り返って感想お願いします
0ー3というかたちで、惨敗というよりかは自分たちのミス絡みで失点しちゃったので、不完全燃焼で試合が終わっちゃったという感じがありました。コミュニケーションのところとかで防げた点はあったので、そこが本当に悔しいかなという印象です。あと前半も後半もそうですけど、自分たちがいい流れのときに決め切る力というのは、明大とだいぶ差があったので、そこは修正していかなきゃいけないなと感じました。
――ハーフタイムから後半にかけて修正点はありましたか
いや、特に前半もやられたシーンは1失点だけで、ビルドアップも何回か良いシーンもあったので、そこはあんまり変更というかたちはなかったです。後半の入りがいいかたちで、風向きとかもあって、いい感じに進めてたので。何が悪かったとかいうことではなくて、実力不足かなと思います。
――明大に対して通用した部分、通用しなかった部分何がありましたか
明大は運動量とか球際とかは結構来てて、自分たちもそこは頑張っていたんですけど、得点シーンとか、最後寄せるところであったりとか、そういうところは差を感じました。逆にボールを高い位置で保持するであったりとか、そういうところは、明大にも通用して何回か良いかたちでシュートまで持っていけたので、そこは通用したかなとは思ってます。
――1ヵ月後の全国大会に向けての意気込みを教えてください
まずは負けちゃったので、明治にリベンジというかたちで、日本一取りたいというのはみんな言ってることです。今日勝てなかったってことは、今までの積み上げじゃ駄目だったということなので、やっぱり最後の部分であったり、コミュニケーションとか連携のところを、自分たちの強みにしていけたらなと思います。
西凜誓(社1=名古屋グランパスU18)
――試合全体を振り返っていかがでしたか
関東大会の決勝で、関東1位を目指してました。相手が明治大学で1部でも本当に強く、トップチームでも常に勝ち続けているようなチームに対して、どれだけ自分たちの力が通用するのかだったり、勝ち切りたいという思いで試合に臨みました。自分たちが自信を持ってできた部分だったり、うまくいくシーンだったり通用する部分も多く、そこは収穫かなと思いました。だけど、実際に結果だけ見たら、0ー3っていう負け方をしてしまいました。相手にはゴールを決め切る力という部分が自分たちより勝っていたのかなという風に思いますし、そこがやっぱり勝負の別れ目だったのかという風に思います。
――前半と後半でポジションが変わったと思うのですが、攻撃と守備でそれぞれ感じたことを教えてください
攻撃の左のサイドハーフをやっている時は相手のディフェンスラインの選手たちの守備の強度だったりとか力強さっていうものを感じました。後ろに入ってディフェンダーをしている時は、攻撃力という部分だったり、攻守において力強さ、フィジカルの部分が自分たちよりも勝っていたのかなという風に感じました。そこが一番の大きな差なのかなっていう風にやってて感じました。
――1カ月後全国大会が始まると思うのですが、意気込みをお願いします
自分たちは日本一っていう目標を持って1年間やってきましたし、今日負けてしまった事実は変わらないので、本当に切り替えて、自分たちがこの1カ月で明治大学よりもさらに成長して、全国大会では日本一を取れるようにチーム全体で練習からやっていきたいですし。新人生という大会で、下級生の自分たちが出ている中で、やっぱり最後につながってくるのはそれ以降のトップチームでの活躍だと思うので、それに向けてもう1、2段階レベルアップしていけたらなという風に思います。