トラブルにより異例の再開試合となった今節 またしても終了間際に失点し痛い敗戦を喫す

ア式蹴球男子
関東大学サッカーリーグ戦 2部 第10節
早大 1-1
0-1
順大
【得点】
(早大)15’本保奏希
(順大)7’三輪椋平、90+2’岩井琢朗

  アミノバイタルカップを3位で終え、早慶戦で勝利を収めるなど勝ち試合が続いている中、約1カ月ぶりに関東大学リーグ戦を迎えた。リーグ戦連敗に歯止めをかけ、1部昇格に向けていい波に乗るために負けられない試合である今節は、総理大臣杯で勝利したばかりの順大と再戦。先制点こそ順大に許したものの、前半15分にはMF本保奏希(スポ2=JFAアカデミー福島U18)のゴールで同点に追い付き、前半を折り返す。照明トラブルにより、日を改めて行われた後半戦でなんとしても得点したい早稲田であったが、アディショナルタイムに失点を許し痛恨の敗戦となった。

 

リーグ戦4試合ぶりの敗戦となった早大。昇格に向け、これ以上の足踏みは許されなくなった

 18時キックオフとは思えないほどの酷暑の中、試合が始まった。動きがあったのは前半7分、セットプレーを獲得した順大がチャンスを生かし、先制点を獲得する。負けていられない早大も前半15分、中でMF小倉陽太(スポ4=横浜FCユース)からパスを受けた本保が右サイドへボールを出すと、DF石川真丸(スポ3=名古屋グランパスU18)がワンタッチでクロスを上げ、再び本保が頭で合わせ同点へと追い付く。この試合でも開始直後からいい動きを見せていた本保のリーグ戦での今シーズン初得点で試合は振り出しに。その後は両チームとも拮抗(きっこう)する状態が続き、なかなか決定機をつくり出すことができない。アディショナルタイムにはDF森璃太(スポ4=川崎フロンターレU18)がファーサイドへ放ったコーナーキックに、MF小松寛太(教4=東京・早実)が頭で合わせ枠内を捉えるも、相手ディフェンスのカバーに得点を阻まれてしまう。前半は両者ともに1得点の状態で折り返す。

 

先制点を決めた本保(右)とアシストをした石川

 後半もう一度流れをつかんで得点したい早大だったが、49分に会場の照明のトラブルにより試合続行が不可能となってしまう。そのため、7月16日から約1カ月後の8月20日に、中断された時間から試合が再開された。再開直後の50分、相手に好位置でフリーキックを与えてしまったが、GK山田怜於(社4=神奈川・鎌倉)の好セーブでなんとかしのぐ。その後もしばらくは順大ペースで試合が続いたが徐々に早大もチャンスをつくり始める。63分には右サイドでDF平松柚佑主将(社4=山梨学院)からのスルーパスに抜け出した石川が、ドリブルでペナルティエリア内に持ち込み、最後はMF山市秀翔(スポ2=神奈川・桐光学園)が左足でシュートを狙うも、枠を捉えられず。75分にはFW鈴木大翔(スポ1=ガンバ大阪ユース)が自陣から前線へ走るFW駒沢直哉(スポ3=ツエーゲン金沢U18)にパスを送ると、相手DFのファールを誘い、フリーキックを獲得するも、チャンスを生かし切れない。78分には石川が上げたセンタリングのこぼれ球に、途中出場のMF東廉(スポ3=清水エスパルスユース)が反応するが相手DFにクリアされてしまう。1部昇格に向けて負けられない早大であったが、90+2分、クロスのこぼれ球を決められ、勝ち越しを許す。1ー2で負け、1部昇格争いからまた一歩遠ざかってしまった。

 

パスを出す植村

 「前半でジャブを打って後半で仕留める」イメージを持っていたという兵藤慎剛監督(平20スポ卒=長崎・国見)。イレギュラーなかたちでの試合中断により、後半で勝ちに行くためには試合再開後、いつも以上にエンジン全開で試合に向かう姿勢が必要だった。しかし、再開直後にセットプレーで相手にチャンスを与えてしまい、その甘さが結果を物語るような試合となってしまった。先月末の山学大戦に続いて、終了間際の失点となってしまったことに対して「そういう時間帯に失点するチームが本当に一番弱い」と平松。日本一を目指すための戦いが2週間後に控えており、弱いチームのままでいることは許されない。この試合で得た課題をしっかり修正して、総理大臣杯では止まることのない快進撃を起こしてくれるだろう。

(記事 永田怜 写真 飯田諒、近藤翔太、大濵愛弓、指出華歩)

 

 

早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 21 山田 怜於 社4 神奈川・鎌倉
DF 石川 真丸 スポ3 名古屋グランパスU18
DF ◎平松 柚佑  社4 山梨学院
DF 中谷 颯辰 基理4 静岡学園
→50分 20 森山 絢太 スポ2 兵庫・三田学園
→50分 14 山市 秀翔 スポ2 神奈川・桐光学園
→82分 22 平野 右京 人4 兵庫・滝川
DF 森  璃太 スポ4 川崎フロンターレU18
MF 小倉 陽太 スポ4 横浜FCユース
MF 24 伊勢  航 社3 ガンバ大阪ユース
MF 10 植村 洋斗 スポ4 神奈川・日大藤沢
MF 11 小松 寛太 教4 東京・早実
→77分 15 東   廉 スポ3 清水エスパルスユース
MF 17 本保 奏希 スポ2 JFAアカデミー福島U18
→50分 18 駒沢 直哉 スポ3 ツエーゲン金沢U18
FW 26 鈴木 大翔 スポ1 ガンバ大阪ユース
◎=キャプテン
監督:兵藤慎剛(平20スポ卒=長崎・国見)

関東大学サッカーリーグ戦2部 順位表
順位 大学名 勝点 試合数 得点 失点 得失差
駒大 29 14 29 18 11
立正大 27 13 23 11 12
関東学院大 26 14 33 21 12
山梨学院大 24 14 21 14
日体大 22 14 21 20
早大 21 14 29 20 10
順大 20 14 21 21
産業能率大 19 14 21 22 -1
立大 19 14 18 21 -3
10 青学大 13 14 18 23 -5
11 作新学院大 13 31 -22
12 亜大 14 10 27 -21
第14節終了時点
コメント

兵藤慎剛監督(平20スポ卒=長崎・国見)※一部囲み取材より抜粋

――7月に行われた前半を振り返ってください

自分たちがしっかり(ボールを)動かしてる部分もありましたし、セットプレーで点は取られましたけど、その後はボールを持って相手に圧力をかけ、前半でジャブを打って後半で仕留めるという中では、1-1でというイメージは持っていました。そこから体力がマックスの状態に戻ったので、かなり難しい戦いにはなるかなと思っていました。思った以上に相手が前から来なかったので、スタートからしっかりブロックを組んで引き込んだ中からのカウンターであったり、セットプレー狙いなところは想定内でしたけど、そこのセットプレーで決めたりだとか自分たちがセットプレーで隙をつくったところでは、試合の入りのところで全てを決めたのかなというところもあります。最後のプレーもセカンド(ボール)に対して反応が良ければ体に当てれるところまではいけてると思いますし、自分たちがチャンスの時は逆に相手が体に当ててゴールにならなかったので、そういうところの50センチとか、何十センチとかの差。今のチームだったらまだ何メートルというところですけど、そういうところの感度がまだまだないのかなと思います。

――イレギュラーなかたちでの再開となった中で、この試合に向けて1週間どのような積み上げをしてきましたか

最初から100パーセントの状態でいつも以上に入るというところと、入りが悪かったら立て直すまでに時間かかる試合になると思ったので、そういう部分では開始1分のところでセットプレーからあんなにゆるゆるなことをやってしまったのは課題だと思います。言ってもできないところがあるのは分かるのですが、試合を通して本当に誰が勝ちたいんだというところの気持ちがあまり感じられなかったのかなとも思います。41分間しかない中で、いつもより2倍ぐらい濃度があるようなゲームにしないといけないのに、そこに対してふわふわしていたり、いつか(点が)入るだろうみたいな感じの入り方だったり、試合の途中もそのうち誰かがみたいな。もっと一人一人が責任を持ったプレーをすることだったり、そこに対して全員がそれを繋げていけるというのが大事なところなのに変な余裕があったと思います。自分たちの中でこれだったら負けない、ここ最近負けてなかったというのもあると思うのですが、いつもだったら後半に取り返せるという時間もそもそもなかったので、そういうところに対するアプローチの仕方とかが、僕がこういったゲームをやったことがないというところもありましたし、そういう部分での経験のなさというのもしっかり出たかなと思います。相手も同じ条件なので、そういう中でこのゲームの意義というところを、うちの選手より順天の方がしっかり感じてたというところかなと思います。

――駒沢直哉選手(スポ3=ツエーゲン金沢U18)と鈴木大翔選手(スポ1=ガンバ大阪ユース)を二枚前に並べていましたが、そこは最初から圧力をかけて、攻撃的に行くぞという姿勢の現れでしたか

 ベンチ入りメンバーをスタートにさせないといけない状況でした。(7月の時はに)右京(平野右京、人4=兵庫・滝川)とか山市(秀翔、スポ2=神奈川・桐光学園)がメンバーインしてなかった中で、スタメンに誰をというところで(その時は)鈴木がスタートだったのですが、駒沢が前節点を取っていた中では、2人でパワーを持っていった方がいいのかなというところはありました。自分たちがやるサッカーの繋がりというところの、大事なワンピースのところ。そこにいい関わりができるというところは、やりたいことができなかった部分もありますけど、この41分間と考えると自分たちがやりたいことというより、勝つために何が必要かというところの方が圧倒的に重要でした。そういうところの感度がやっぱりないのかなと思います。自分たちは自分たちのサッカーを貫くけど、そうじゃなくても勝つというところで、その方法を自分たちで見つけ出すというところがまだまだかなと思います。そこを全て提示しないといけないのもおそらく監督の役割ですけど、それは決まり事だけやればいいという意味になっちゃうので、そういうところのチームとしてやるべきことをどこまで設定していくかおいうのはもう一度考えらさせられたゲームかなと思います。

――先程もありましたが、アミノバイタルカップや前半戦と比べて順大は裏に蹴ってくることが多かったように思えます。そこは少し想定外でしたか

 いや、想定内です。41分間の中で、別にビルドアップでボールを繋がれても点は入らないので、じゃあどうするとなった時に、よりシンプルに前に入れていくというのは定石だと思います。そういう部分でのセカンド(ボール)への反応や、向こうのやるべきことの徹底という部分では、(順大の方が)自分たちよりしっかりしていたのかなと思います。ボールを持たれたらしっかり自分たちで後ろに下がって、 固めた状態をつくりながら焦れずに向こうの方がやってたなと思います。

――次は日本一を懸けた総理大臣杯になります。厳しい敗戦とはなってしまいましたが、ここからどのように臨んでいきたいですか

 2月からスタートしての積み上げというところは、間違いなくあるのかなとは思います。でもまだまだ守備の強度や、攻撃的なチームをつくる中では守備より攻撃をずっとやってきたので、そこのところのポジションの修正、一つボールに対してのポジションの移動というところの感度は、もう少し上げていかないといけないと思います。実際に次は全国で、クオリティが上がったような状態の学生と当たるので、自分たちがもう1個上に行かないといけないと思います。この2週間でこれまでの課題をしっかり抽出して、どこを一番重点的にやるのかというところをしっかりと見定めて、なんとか最後、チームを勝たせられるようにしたいなと思います。

DF平松柚佑主将(社4=山梨学院)

――試合を率直に振り返っていかがですか

 自分のぬるさというか、キャプテンとしての未熟さが出てしまったと思います。

――今日は残り40分だけの試合というところで、普段とは違う中で難しい部分もあったと思います。チームとしてどのようなことを徹底しようと話していましたか

 やることは変えずに攻撃的にという話は出ていました。しかし、いつも以上に集中しようと言っていた中で、入りの10分にセットプレーでチャンスをつくられました。自分が締め切れなかったと思います。

――相手は普段と違い、勝負に勝つために背後を狙っている印象がありました。ピッチの上ではどのように感じていましたか

 40分ということもあってある程度(裏に)蹴ってくる可能性があるというのは頭の中にありました。ただ奪った後のクリアや繋ぐという一番重要な部分をおろそかにしてしまったので、反省しています。

――先ほど、兵藤監督(兵藤慎剛監督、平20スポ卒=長崎・国見)が「チームとして勝利に向かうために何をしなくてはいけないかを徹底し切れなかった、そこが相手との差になってしまった」と話をされていました。それについて平松選手はどのようにお考えですか

 チームとして何をやるべきかという決定がなされていなかったかもしれないです。ただ、先ほども言いましたけどやることは変わらないと自分たちの中で話していました。やはり自分の一つのミスで試合を壊してしまったので、チームと言うより自分のせいで負けてしまったという印象が強いです。

――7月末の山学大戦、本日の順大戦と試合終了間際での失点が続いてしまったところに主将としてはどのように向き合っていますか

 そういう時間帯に失点するチームが本当に一番弱いと思います。山梨のときも自分のミスからですし、今日も自分のミスからだったので試合中は偉そうに自分が言っていますけれど、人に言う前に自分が向き合えているのかをもう一回考えたいです。それからチームに対して向き合っていきたいと思います。

――次の総理大臣杯にはどのように向かっていきたいですか

 すぐに総理大臣杯が始まりますし、下向いている時間はないのでしっかり結果を残して優勝して10月から再開するリーグ戦をいい流れで迎えたらなと思います。