2点差追い付くもあと一点が遠く 2試合連続ドローゲー厶

ア式蹴球男子
関東大学サッカーリーグ戦 2部 第13節
早大 0-2
2-0
立大
【得点】
(早大)59’植村 洋斗、74’駒沢 直哉
(立大)16’久保庭 良太、27’髙橋 謙豪

  前節の山梨学院大戦にて終了間際にまさかの失点を許し、あと一歩のところで勝利を逃したア式蹴球部(ア式)。後半戦初勝利を目指し立大との一戦に臨んだ。立ち上がりは一進一退の攻防が続くも、早い時間に相手のセットプレーから立て続けに2失点。1部昇格に向けてこれ以上の取りこぼしが許されないア式は後半攻勢を強めると、MF植村洋斗副将(スポ4=神奈川・日大藤沢)FW駒沢直哉(スポ3=ツエーゲン金沢U18)の連続ゴールで同点に追い付く。しかしあと一点が遠く、昇格に向けてあまりにも手痛い2試合連続のドローゲームとなった。

 

同点弾を決めた駒沢

 序盤は拮抗(きっこう)した展開だった。ア式はDF森璃太(スポ4=川崎フロンターレU18)やDF石川真丸(スポ3=名古屋グランパスU18)のクロスでゴール前に迫るものの、なかなかシュートにはつながらない。試合が動いたのは16分、相手の左サイドからのフリーキックを中央の選手にヘディングで合わせられ先制点を許してしまう。すぐに追い付きたい早大は20分、植村がチーム1本目のシュートを放つが枠の上へ。しかし27分、今度は相手の右サイドでのフリーキックからピンチを迎える。一度はGKヒル袈依廉(スポ3=鹿児島城西)が外に弾き出すも、すぐさまゴール前にボールが放り込まれるとこぼれ球を詰められ、またしてもセットプレーからの得点を許した。その後は相手の引いたブロックの前になかなかシュートを打てず時間が経過していく。40分には右サイドからMF山市秀翔(スポ2=神奈川・桐光学園)のクロスに駒沢が頭で合わせるも、シュートは力無く枠の外へ外れてしまう。結局ア式は前半のシュートは2本にとどまり、0ー2で前半を終える。

 

パスを出す植村。59分には反撃の狼煙を上げる丁寧なシュートをゴールへ流し込んだ

 迎えた後半、なんとしても同点に追い付きさらには逆転したいア式は53分、相手ゴール正面からのフリーキックを得ると、森が直接ゴールを狙ったが惜しくも枠を捉えることはできず。すると60分、自陣左サイドからMF伊勢航(社3=ガンバ大阪ユース)が前線にロングボールを入れるとそのボールを途中出場のMF東廉(スポ3=清水エスパルスユース)がうまく収めて中に切り込む。東から縦に走り込んだ駒沢にボールが渡ると敵に寄せられながらも中央に折り返し、最後は植村がゴールに流し込みついに1点を返した。このゴールを皮切りに早大は縦へのロングボールを効果的に使いながらゴールに迫るシーンが増えていく。後半の給水タイム明けすぐの74分、敵陣中央にできたスペースに伊勢が走り込みパスを受けると、そのままの勢いで自ら左サイドに駆け上がり、難しい体勢ながらもクロスを上げる。このボールに飛び込んでうまく合わせたのは駒沢。「ボールが来る前に目が合った」と話す点取り屋はリーグ戦久しぶりの得点を挙げ、ア式はここで同点に追い付く。その後、勝ち点3を獲得すべく攻勢を強めるものの、84分の石川のシュートは惜しくも枠を外れるなど、最後までゴールネットを揺らすことはできず。試合は2−2の引き分け、2試合続けて勝ち点1という結果に終わった。

 

これで2試合連続ドローとなったア式。リーグ戦再開後、ここまで無敗で来ているが、2試合連続のドローゲームと停滞感は拭えない

 兵藤慎剛監督(平20スポ卒=長崎・国見)も「想定外」と語る早い時間でのセットプレーによる2失点。「立ち上がりとセットプレー、両方の課題が出てしまった」と駒沢。これからもリーグ戦、さらには総理大臣杯と負けられない試合を戦うチームは目の前の課題を一つ一つ解決していく必要がある。それは簡単なことではない。それでも前節の前半など随所で良くなってきている部分も見られる。内容としては満足いくものではなかったが、結果として今節も苦しくなってから2点のビハインドを追い付いた。思い通りにいかないことも多々あるのがサッカーだが進み続けるしかない。これからのトレーニングや試合で積極的にチャレンジをし続け、いずれ今節のような試合をひっくり返せるようになった時、彼らが追い求める「強い早稲田のサッカー」を目撃することができるだろう。チームとしてリーグ戦3戦負けなしではあるが、この状況に満足しているものは誰一人としていない。「引き分けは負けと一緒」と指揮官。全員で前を向いて1部昇格に向けて勝ち点3を積み上げっていってほしい。

(記事 和田昇也 写真 大幡拓登、西村侑也)

 

 

早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK ヒル 袈依廉 スポ3 鹿児島城西
DF 石川 真丸 スポ3 名古屋グランパスU18
DF ◎平松 柚佑  社4 山梨学院
DF 27 神橋 良汰 スポ3 川崎フロンターレU18
DF 森  璃太 スポ4 川崎フロンターレU18
MF 24 伊勢  航 社3 ガンバ大阪ユース
MF 小倉 陽太 スポ4 横浜FCユース
→60分 22 平野 右京 人4 兵庫・滝川
→89分 26 鈴木 大翔 スポ1 ガンバ大阪ユース
MF 14 山市 秀翔 スポ2 神奈川・桐光学園
MF 10 植村 洋斗 スポ4 神奈川・日大藤沢
MF 11 小松 寛太 教4 東京・早実
→56分 15 東  廉 スポ3 清水エスパルスユース
FW 18 駒沢 直哉  スポ3 ツエーゲン金沢U18
→80分 奥田 陽琉 スポ4 柏レイソルU18
◎=キャプテン
監督:兵藤慎剛(平20スポ卒=長崎・国見)

関東大学サッカーリーグ戦2部 順位表
順位 大学名 勝点 試合数 得点 失点 得失差
立正大 26 12 22 10 12
駒大 26 13 26 18
関東学院大 25 13 29 17 12
山梨学院大 23 13 20 13
日体大 21 13 21 20
産業能率大 19 13 21 21
早大 18 12 21 18
順大 16 12 19 20 -1
立大 16 13 17 21 -4
10 青学大 12 13 14 19 -5
11 作新学院大 12 24 -15
12 亜細亜大 13 24 -18
第13節終了時点
コメント

兵藤慎剛監督(平20スポ卒=長崎・国見)

――前節が悔しい終わり方になってしまった中で、この1週間、どのようなトレーニングをしてきましたか

試合を通しての中身は、前節の前半はすごく良くなってきた部分が目に見えて出てました。それをたった一瞬の隙をつくることで、勝ち点3から2を失うというかたちになってしまい、後半を考えると、正直、自分たちから流れを捨てに行ったようなゲームでした。一言で言えば運動量ですけど、その運動量というところも、何を持っての運動量なのかという、シンプルに距離を走るというよりも、ちょっとした3メートル、5メートルの繰り返しをサボることで、攻守において(前節の)後半は隙がすごくできていたので、それをどれだけチームとしてサボらずにやれるかを意識しながら、今週は積み上げてきたつもりでした。しかし、セットプレーという、そうではない部分で失点しまい、そこに至るまでにファールをしなくても(ボールを)取れるシーンもありました。また、グラウンド状況がちょっと硬かったりして、なかなかファーストタッチがアップ中から決まってなかったです。グラウンドが悪くても、できるのがいいプレーヤーだと思いますし、そういうところでまだまだ止めるの技術が圧倒的に足りないっていうところもあります。現代サッカーというか、セットプレーは勝敗を分けるというところは、みんな気付いてる部分でありながらも、やっぱりそこで2点を取られると、こういう苦しいゲームになるのかなというふうには思います。

――2失点はゲームプランとしても想定外な部分でしたか

 前半のあのタイミングでの2失点というのはちょっと想定外でした。1点ぐらいだったらというところでもありますし、隙のないチームを先週からつくるという中で、セットプレーという止まった中でのプレーというところでは、もっとできることがあったのではと思います。選手が感情的になったりする場面もすごく多い試合で、自分たちではどうにもできない判定とか、そういうところは自分もプレーヤーとして経験してるから分かる部分でもありながらも、もうどうにもできないエネルギーを注いでも無駄だというところを、やっぱりもう1回自分たちで見つめ直してやるしかないかなというところもあります。逆転できる試合だったと思いますし、もっとやらないといけないとも思います。そういう部分でチャレンジャー精神や、自分たちはもっとどん欲に奪い取りに行くんだっていう。1部に上がるってそんな簡単じゃないことに対して、自分たちからつかみにいかないと、何もなし得ないと思うので、そういうところの捉え方だったりを、もう1回改善していかないといけないかなと思います。ただの引き分けというところでもありますけど、負けないためにサッカーしてるわけじゃないので、いま勝つためにどういうことをやらないといけないのかなっていうのは、もう1回基本に立ち返り積み上げながら、前を向いてやるしかないかなと思います。

――2点追いつけたことは評価に値しますか

 内容的にはもう全然良くないので。2点は取れたけど、3点取らないといけない試合ですし、むしろ4-2の試合だと思っていました。後半だけでもっとやれるっていうところでは、前半の30分までに2点取られてっていうところで、前半の間に1点取ることで、もっとガラッと変えれるところもあったのですが、あの短時間でメンタルを切り替えたりだとか、自分たちのやるべきことというのを整理するというところまで至らなかったのかなと。もっとゲーム中にどういうふうに流れを変えていくかという、自分たちで変化させる力も大事だなと思いますし、その変化はなんだというのをトレーニングでこっちが気づかせてあげたり、チームとしてこういうことだよっていうのをもっとこっちが整理して、言語化してあげることも大事なのかなと思います。勝つべくして勝つチームになるためにはまだまだ甘いのかなと思います。

――昇格や総理大臣杯に向けて負けられない戦いが続きますが、どのようにチームとして向かっていきたいですか

 どんな状況でもブレないメンタルは、ここから上に上がっていくにつれてすごく大事になりますし、サッカーは自分たちが思い描いてる通りにずっと進まないというのもあるので、そういうところの対応力みたいなものが大事になると思います。チームとしての事故ありながらも、そこの対応というところは、判断を多くできるようなことをトレーニングではやっていかないといけないかなと思いますし、守備においては、チームとしての規律だったりやるべきことを整理するというのが一番大事かなと思うので、そういうところをどんどん明確にしながら、やってないやつが目立つような、チームにしないと強くならないと思います。まだまだやってるやつが目立つようなチームだと思うので、そこの割合をどれだけこれから変えていけるのかが、鍵になるかなとは思います。なかなか時間もない中でというところですが、勝たないことには前進できないですし、昇格できないので。もう引き分けは負けと一緒という気持ちを持ちながら、危機感を持ってやりたいなと思います。

DF森璃太(スポ4=川崎フロンターレU18)

――試合を振り返っての感想をお願いします

 前半のうちに2失点をして、しかもセットプレーから失点してしまったというのは自分たちの準備不足ですし、そこから追い付きはしましたけど2点取られるとかなり厳しい試合になってしまうので、そこは修正しなければいけないと思っています。

――前半の給水前に2失点してしまいましたが、給水やハーフタイムではどのような修正や声掛けがありましたか

 審判のところです。(審判に対しては)監督が言うって言われたので、審判に対して何も言わずにクリーンにやり続けようということ、自分たちがやるサッカーを変えずにそのまま行こうという話をしました。

――2失点された後、相手の守備が後ろに下がっている中でも左サイドが起点になる攻撃がいくつか見受けられましたがチームとしてそこは狙いとしてあるのですか

 自分が高い位置取ってクロスを上げたりというのはチームの一つのかたちですし、そのチャンスをいかに多くつくるかというのがチームの勢いだったりとか勝利に関わってくると思うので、その部分をもっと出していきたいと思います。

――苦しくなった中でも2得点を取り結果的に引き分けというかたちに終わりました。次節や今後に向けての意気込みをお願いします

 リーグ戦が2試合あってそこから総理大臣杯も始まるので セットプレーの失点は防げると思いますし、もっと攻撃のクオリティだったりとかシュートの本数を意識して、より本当に強いチームを目指してまた一からやっていきたいと思います。

FW駒沢直哉(スポ3=ツエーゲン金沢U18)

――試合全体を振り返ってください

 立ち上がりのセットプレーから2失点というのは、立ち上がりとセットプレーという課題の両方が出てしまって、そこは本当にもったいないというか自分たちの弱さが出ちゃったなって思います。

――チームとして前半で2点ビハインドとなってしまいましたが、ピッチ内ではどのような声掛けがありましたか

前半の入りの部分はさっき言った自分たちの弱点でやられてしまったということに、ちょっと弱気になってしまったというのがありました。でもクーリングブレイクがあったおかげで、そこで一歩立て直せたというのが後半2点取れたことにつながりましたけど、やっぱり勝たなきゃいけない試合をこういうかたちで終わらせてしまったというのはすごく悔しいなと思います。

――得点シーンを振り返ってください

 絶対1点が欲しい中で、航(伊勢航、社3=ガンバ大阪ユース)とのあのかたちは得意なかたちみたいなもので、伊勢があそこに入ったらいいクロスを上げてくるのは分かったにで、そこに入ってうまいかたちで合わせられたのは良かったです。

――伊勢選手からクロスが来るという感覚はありましたか

 ありましたね。ボールが来る前に目が合いましたし、あのワンチャンスで同点まで追いつくことができたのは良かったと思います。

――けがから復帰されてのコンディションはいかがですか

 前々試合と前試合はアシストして、今日はゴールしてって得点に関われているっていうのはいいコンディションを保ててるなと思っています。けど、やっぱり勝ち切るというかチームを勝たせるというのを自分の中ですごく掲げているので、そこはまだ前節と今節はちょっと足りなかったなと思います。

――これからの試合に向けての意気込みをお願いします

もう勝ち点3を積み上げていくしかないと思うので、そこに自分のゴールでっていうかたちでやっていければなって思います。

DF石川真丸(スポ3=名古屋グランパスU18)

――試合全体を振り返っていかがですか

 チーム全体として入りが悪いというところはずっと課題としてやってきた中で、今日ああいったかたちでセットプレーから2失点してしまったっていうところがこういった結果に繋がってしまったのかなと思います。

――セットプレーでチームとしての課題が出ているのかなと思うのですが

 前日練習でセットプレーをやるんですけど、昨日もスタメンの方は練習の中で2失点をしていて、そういったところの隙が試合でも出てしまったのかなと思います。

――ハーフタイムのチームの雰囲気は

 戦術というよりも、自分たちが受け身になっていたので 、チャレンジャー精神で絶対逆転するという気持ちは全員が持っていたと思います。そういった中で、2点取ってもあと1点取れなかったっていうのは自分たちの得点力不足ですし、もう後がないので次は取りにいきたいなと思います。

――試合の中でポジショニングを変えていたように見えましたが

 そうですね。ヤマ(山市秀翔、スポ2=神奈川・桐光学園)は中に入ってゲームをつくる感じなので、自分は外に張って幅を取って、クロスだったりで攻撃に厚みを出すというのは意識していました。右京君(平野右京、人4=兵庫・滝川)に関しては外に張って勝負してほしいので、自分が内を取って右京君が仕掛けやすいような状況をつくるという意識はしました。

――落とせない戦いが続いていきます。今後の意気込みをお願いします

 ここから一個も落とせないので、全ての試合を勝つという気持ちでやるのはもちろんですし、自分たちが受け身にならず常にチャレンジャー精神で、絶対に勝つっていう気持ちを全面に出して、普段の練習から意識高くやっていきたいなと思います。