5発快勝! 1部・法大を下しアミノ杯ベスト4進出、総理大臣杯への出場が決定!

ア式蹴球男子
アミノバイタルカップ2023 第12回関東大学トーナメント大会 兼 総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント関東予選
早大 4-2
1-0
法大
【得点】
(早大)1、13’小倉陽太、26’平松柚佑、35’伊勢航、69’山市秀翔
(法大)20’小湊絆、38’中川敦瑛
 

 2日前のアミノバイタルカップ(アミノ杯)4回戦で1部・日大を下し、3年ぶりにベスト8進出を決めたア式蹴球部(ア式)。迎えた準々決勝では、再び1部の法大と対戦した。勝てばアミノ杯ベスト4進出だけでなく、夏の全国大会、総理大臣杯の出場も決まるこの一戦。そんな中、序盤から互いに点の取り合うシーソーゲームの様相を呈した。試合が動いたのは開始わずか10秒。ピッチ中央でボールを拾ったMF小倉陽太(スポ4=横浜FCユース)が迷わず右足を振り抜くと、ボールはGKの手の届かないコースに飛び先制に成功。続く13分にも、小倉のクロスがそのまま吸い込まれ2点リードに。その後1点を返され2-1となるが、26分にMF平松柚佑主将(社4=山梨学院)、35分にMF伊勢航(社3=ガンバ大阪ユース)のゴールが決まり、さらに点差を広げる。それでも前半終了間際に1点を返され、4-2で前半を折り返す。迎えた後半は拮抗(きっこう)した展開が続くが、69分に右サイドの崩しから最後はMF山市秀翔(スポ2=神奈川・桐光学園)が決め待望の追加点を奪う。その後は危なげない試合運びでリードを保ち、そのまま試合終了。5-2と大勝で1部・法大を下し、アミノ杯準決勝進出、さらに総理大臣杯出場権も獲得した。

 

試合後に喜びを分かち合うア式一同。兵藤慎剛監督(平20スポ卒=長崎・国見)も「今すごくチームの雰囲気もいいし、士気も高まってきている」とチームが一丸となって戦っている姿が見受けられた

 今季は試合の立ち上がりに難があるア式であったが、この日は開始わずか10秒で主導権を握る。キックオフからロングボールを送ると、相手のクリアを拾った小倉が迷わずシュート。「安斎(颯馬、社3=青森山田)から『打て!』と強い声が聞こえたので、それを信じて打ちました」とゴールまで約40メートルの超ロングシュートは相手GKの頭上を越え、そのままゴールネットを揺らす。小倉のゴラッソで先制点を奪い、最高のスタートを切ったア式は続く13分、中盤でボールを奪いショートカウンターを展開。伊勢のスルーパスを小倉がピッチ左で受けると、駆け上がってきたDF森璃太(スポ4=川崎フロンターレU18)をおとりに使い、相手DFをはがす。そのまま中にクロスを送ると、ボールはそのままゴールに吸い込まれ貴重な追加点となる。2点リードとなったが、20分、自陣で右サイドを崩されると失点。これで相手に流れが傾くかと思われたが26分、森のコーナーキックから平松が合わせ再びリードを広げる。さらにア式は40分、左サイドでの小倉とMF東廉(スポ3=清水エスパルスユース)のパス回しから、ボールはペナルティエリア手前にいた伊勢の元へ。伊勢は利き足とは逆の右足を振り抜くと、これがゴールネットに突き刺さり、なんと前半だけで4点を奪う。しかしその直後、クリアミスから1点を返され、4-2で前半を終えた。

 

得点を決め喜ぶ伊勢(右)と駆け寄る安斎

 後半、先にチャンスをつくったのはア式。47分、FW奥田陽琉(スポ4=柏レイソルU18)がボールを胸で落とすと、東が相手ゴール前まで運びシュートを放つが、これは枠の外へ。一方で53分、ディフェンスラインの背後にボールを供給されると、これに抜け出した法大の選手とGK山田怜於(社4=神奈川・鎌倉)が接触。際どいプレーとなったが、これで与えたフリーキックは枠の外に外れ難を逃れる。その後は互いになかなか相手ゴールへと迫れない時間が続くが、迎えた69分。右サイドを途中出場のMF平野右京(人4=兵庫・滝川)とFW鈴木大翔(スポ1=ガンバ大阪ユース)で崩すと、鈴木が折り返したボールを受けた山市が冷静にゴールへと流し込み、リードを3点に広げる。その後もMF光田脩人(スポ3=名古屋グランパスU18)を投入するなど、さらに得点を奪いに行く姿勢を見せるア式。3点差を追うべくより攻撃的にいきたい法大に対して、逆にどんどん攻撃を仕掛けることで、反撃の時間を与えない。そしてそのまま試合は終了。5-2と乱打戦を制したア式が1部の法大を撃破し、アミノ杯ベスト4進出、そして総理大臣杯への出場権を手にした。

 

得点を決めた山市。この日もピッチ上で存在感を放っていた

 5-2という大味なスコアとなったこの試合。兵藤監督が掲げる「常に3点を取れるチーム」、「5-4でも、相手より1点でも多く点を取って勝てればいい」といったコンセプトがまさに現れた一戦となった。特に5-2とリードを広げた中で、光田や小松寛太(教4=東京・早実)といった攻撃に強みのある選手を次々投入し、攻撃の手を緩めずさらに追加点を奪いにいく姿勢を見せ、その結果、相手をなかなか自陣から出さすことなく試合を閉めた。1部相手にそういう試合展開をできたことは、間違いなく自信につながるだろう。今季力を入れている攻撃の部分を含め、チームとしてどんどん成長しているところも見ることができた。それでも兵藤監督は、「僕らが目指しているサッカーはもっと上のところなので、ボールももっと動かせるし、もっと面白い攻撃をたくさんしていきたい」と、目指すところを高く持ち、チームとしてより成熟させていきたいという。この勝利でアミノ杯ベスト4進出と4大会ぶりの総理大臣杯出場が決まったが、「ここはあくまで通過点。日本一を本気で目指しているので、そこに向けてまた全員で積み上げていきたい」と平松。チームとして狙うのは頂点のみ。まずは残りの2試合を勝ち切り、アミノ杯獲得すなわち関東の頂点に立つ。そして夏の総理大臣杯も制し、必ず日本一という目標を達成したい。

(記事 髙田凜太郎 写真 森田健介、熊谷桃花)

 

早大スターティングイレブン

 

早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 16 山田 怜於 社4 神奈川・鎌倉
DF 安斎 颯馬   社3 青森山田
DF ◎平松 柚佑  社4 山梨学院
DF 中谷 颯辰 基理4 静岡学園
DF 森  璃太 スポ4 川崎フロンターレU18
MF 小倉 陽太   スポ4 横浜FCユース
MF 24 伊勢 航 社3 ガンバ大阪ユース
→82分 福井 寿俊 文構4 東京・国学院久我山  
MF 14 山市 秀翔   スポ2 神奈川・桐光学園
→80分 11 小松 寛太 教4 東京・早実  
MF 15 東  廉  スポ3 清水エスパルスユース
→67分 22 平野 右京 人4 兵庫・滝川  
MF 17 本保 奏希 スポ2 JFAアカデミー福島
→76分  32 光田 脩人 スポ3 名古屋グランパスU18
FW 奥田 陽琉  スポ4 柏レイソルU18
→67分 26 鈴木 大翔 スポ1 ガンバ大阪ユース
◎=キャプテン
監督:兵藤慎剛(平20スポ卒=長崎・国見)

コメント

兵藤慎剛監督(平20スポ卒=長崎・国見)

――率直に試合を振り返っていかがですか

 小倉(陽太、スポ4=横浜FCユース)のスーパーゴールでスタートして、最高の入り方ができたんじゃないかなと思います。経験上、あの時間帯にとると、意外とチームがうまくいかないことがある中で、しっかりと自分たちで得点を重ねながらできたかなと思います。ただやっぱりまだまだ2失点も防げない失点ではなかったのでそういうところの隙は次の課題にしていかなければなと思います。アミノバイタルカップを通して一試合一試合自分達がやるべきことが整理されてきたり、今まで積み上げてきたものをしっかり表現しようというところだったり、自分たちを信じて迷いなく90分続けることがどんどんできるようになってきているので、そういうところではいい積み重ねができているのかなと思います。でもやはり僕らが目指しているサッカーはもっと上のところなので、ボールももっと動かせるし、もっと面白い攻撃をたくさんしていきたいというところではまだまだ理想までにはほど遠いです。勝ちながらこうやって反省していくことが一番大事ですし、学生たちも自信をつけてきてくれているので、誰を使ってもいい状況にはなっているのかなと思っています。

――今もお話にあった通り今シーズンを通じて立ち上がりが課題だったところいい入りができたところは収穫だったのかなと感じるのですが、いかがですか

分析している中で法政さんも尻上がりによくなるタイプだったので、お互いに(立ち上がりが)悪い中どちらが先手を取れるのかなってところだったのですが、状況をしっかりみて小倉(スポ4=横浜FCユース)がそれを実行する技術があったというところは小倉の長所だと思います。このアミノバイタル通してチームの中で一番欠かせない存在に小倉がなってきていて、もともとこれだけのポテンシャルがある選手なのでまだまだ上を目指してもらわないと困るなと思います。チームの中心になってくれるのはうれしいことなのでそこを中心としながら、まだまだ他にも中心になれる選手はたくさんいるので、試合が変わるごとに主役が変わるようなチームになっていってもいいのかなと思います。

――前後半を通じてリードしていた中で相手がボールを握る展開が多いところでも焦れずに守備を続けることができていたのかなと思うのですが、手応えはいかがですか

うちは2点は絶対に取れるという現状のチームなのでそれをどの試合でも3点取れるようにしていきたいですし、1失点しても焦らないって決めています。絶対に点は取れるっていうところを常に信じながら、相手にボール持たれても2-0の状況だったら相手の方が焦れてくると思ってるので、それをさせるだけのカウンターのクオリティを今度は高めていければなと思います。相手に持たれない時間帯を増やしていくっていうところも大事ですけど、ああいう時間でも自分たちを信じて自分たちの流れをまた後半持って来れるというところは前進してると思うので、さらにまた次に試合を重ねてもっともっとよくしていきたいなと思います。

――点を取られても取り返す、点を相手よりも多く取るっていう兵藤早稲田が狙っているかたちが出た試合なのかなって思うのですが、いかがですか

得点のかたちというところではもっともっと面白いかたちができるかなと思っています。今日は小倉のスーパーゴールだったり、伊勢(航、社3=ガンバ大阪ユース)のスーパーゴールだったり、セットプレーだったりっていうところではトレーニングはしているものの、チームのかたちとしてはもっとあるよねというところではあるので、それの再現性を高められるようなトレーニングをもっとやっていければなと思います。

――5点目が入った後に光田脩人選手(スポ3=名古屋グランパスU18)を投入し、より攻撃的にいくというところは兵藤早稲田の色が出たかなと思いましたが、どういった意図でしたか

光田は攻撃力があるというところでは自信を持って送り出していたのですが、やっぱり守備というところが個人も課題だと思っていますし、そこのところに向き合うことが少しづつできています。あの状況でしっかり守備をしながら自分の良さを全部出してこいってところは、右京(平野、人4=兵庫・滝川)にしろ、光田にしろ、武器のある選手なので守備の強度だったりチームとしてやっていることをもっと学んでもらえば、スタートから出てもいいような選手だと思っているのでこれがいいきっかけになってくれればと思っています。早稲田の選手たちはポテンシャルは持っているのでこれを自分たちがどう引き出していけるかなっていうところだと思っています。

――これでまずは総理大臣杯、全国大会への出場が決まりましたが、今の心情はいかがですか

 多分1部のチームの方がやりにくいっていうのがアミノバイタルカップだと思うので、そういう部分では結果に反映されて、ベスト4が2部の3チームっていうところになっているかなと思います。僕が大学2年の時、総理大臣杯準優勝しかできなかったのでそこで日本一を取るためにはここで取らない限り、インカレは今年出れないという状況なのでしっかりとそこに向けてまた今日をベースに一つづつ登っていけたらなと思います。

――次はベスト4が国士舘大との対戦でアミノバイタルカップの頂点も見えてきているところだと思いますけど、どのようにして次の試合に臨みたいですか

 すごく今チームの雰囲気もいいですし、競争するっていう意識もあったり、チームの士気が高まっている状況なのでその中で調子を見極めたり、チームを上積みするためにメンバー選考をしてしっかり勝ちに行って、やっぱりやるのだったら、一番上を狙わなくてないけないと思うのでしっかりと今日の課題をチームとして反省しつつ、また次にいいパフォーマンスをできるように準備していきたいです。

平松柚佑主将(社4=山梨学院)

――試合を終えての率直な感想をお願いします

 シーソーゲームになったので、とりあえず安心しています。

――立ち上がりが今季の課題である中で、立ち上がりで2点先制できたことは大きかったと思いますが

 自分たちの試合に入る時の気持ちや、この試合で全国を決めるという気持ちが2得点につながったのだと思います。

――その後失点もありましたが、平松選手の得点が生まれました。そのシーンを振り返っていかがですか

 今シーズンはセットプレーから得点が多くなっていて、璃太(DF森璃太、スポ4=川崎フロンターレU18)からいい球が来ることは分かっていたので、決めるだけでした。

――失点後に相手に流れが傾きかけている中での得点はチームに大きなものをもたらしたと思いますが、いかがですか

 プラン的には、攻め込まれても焦ることなくプレーできたので、そこで得点が取れたのは大きかったと思いますし、攻められてもボールを相手に持たせていると思いながらプレーできていたので、いい得点になったなと思います。

――リードしている中で相手にボールを持たれている時間が多かった印象ですが、相手にボールを持たせていたという感覚だったのでしょうか

 そうですね。前半はミドルで組み立てていって、後半からは変えていこうというゲームプランでした。ただ、ゲーム展開的に後半もミドルで引くことになりましたが、問題なくやれていたなという印象です。

――4ー2とリードしている中でまだどうなるか分からない状況で、後半は締まった試合だったと思います。後半で何か変えた部分や意図を持って取り組んだものはありますか

 相手の27番の選手が自分たちの左サイドの背後を狙っているということを分かっていたので、そこのライン設定だけはしっかりしておこうという確認です。また、安斎(MF安斎颯馬、社3=青森山田)、璃太含めてディフェンスラインで話して、中盤からいいボールが供給されてくると分かっていたので、背後の対応だけはしっかりしようという話をしました。

――このアミノバイタルカップの3戦を通じて試合を重ねるごとにチームが成長しているなという印象があります。そこに関してはいかがですか

 今年、兵藤監督に変わってから自分たちのやりたいサッカーを明確にしながらやってきて、そこが今日いいかたちで結果として表れてきているなと思います。しかし、ここはあくまで通過点で、日本一を今年は本気で目指しているので、そこに向けてまた全員で積み上げていきたいです。

――ここからアミノバイタルカップの準決勝や決勝と続いていく中で、関東王者の座を取るチャンスがあるかと思いますが、ここからの試合はどのような気持ちで臨まれますか

 今までと変わらずに、一試合一試合全員で走って戦ってというかたちをやっていきたいです。強い早稲田を本気で取り戻すために、関東のアミノバイタルカップを優勝したいなと思います。

小倉陽太(スポ4=横浜FCユース)

――総理大臣杯進出とベスト4が決定しました。今の率直なお気持ちをお願いします

 まず、平松(平松柚佑主将、社4=山梨学院)も試合終わった後に言っていましたが、通過点というところは自分も感じています。ここから勢いに乗って優勝まで行って、(その後の)総理大臣杯につなげることができるので、慢心せずそこに繋げていきたいと思います。

――開始10秒での得点、あの位置から狙うのはボール持った瞬間に決めていたのですか

 決めてはいなくて。安斎(颯馬、社3=青森山田)から「打て!」と強い声が聞こえたので、それを信じて打ちました。それと、試合前のミーティングの時に兵藤監督(兵藤慎剛監督、平20スポ卒=長崎・国見)が「迷いのあるチームは精神力が出ない」というのを言われていたので、やはり思い切りの良いプレーは必要だと試合始まってから感じていて。それが出たシュートだったと思います。

――上から見ていると、打った瞬間に入るなという軌道だったのですが、手応えは

 打った時の手応えは分からなくて。入ればいいなくらいのシュートだったので、入って良かったと思います。

――2点目も、狙ってたのはクロスでしたか

 中に陽琉(奥田陽琉、スポ4=柏レイソルU18)とか廉(東廉、スポ3=清水エスパルスユース)とかが待ち構えてくれていたので、そこに信じて(クロスを)上げようという意図でした。陽琉と廉がそこにいてくれたというのも重なって、あのゴールが生まれたと思います。

――今季の早稲田は立ち上がりのところでなかなかうまくいかないところ多かったと思います。その中でのこの2点は大きいと思うのですが

 そうですね、アミノ始まってからの、山梨学院大戦と日大戦も、1点先行されてから自分たちで苦しい展開にしてしまったというのがありました。なので、今日の試合前にも自分の方から「1点先に取られるのはやめよう」という声かけはしていました。まさか自分がそういう場面をつくらせないようにすることになるとは思っていなかったのですが、自分がそういうことをできて良かったと思います。

――球際の部分では、今大会試合を重ねるごとに小倉選手の良さが出てきていると感じているのですが、球際の部分や守備で刈り取るところについてはいかがですか

 アミノが始まるまでは監督の意向というのもありセンターバックをやっていていて、そこに不満もなかったのですが、自分の中で迷いながらやっていました。自分の本職はやはりボランチで、そこに戻ったときに思い切りプレーできるようになったところがそういった部分につながっていると思っています。

――今日の1番の勝因は

 ゴールした選手もそうですが、チーム全員が最後まで集中を切らさず、相手にボールを持たれる時間もあった中で、最後まで切らさないで全員で声を掛け合って守り切ったというところが今日の勝利の1番の要因だと感じています。今後、あれ以上の守備をまた求められると思うので、次の試合までの2日間でそういったところの強度や精度を上げていけたらと思います。

――次は、1部の国士舘大との一戦になります。どのようにして臨んでいきたいですか

 ベスト4まで勝ち上がってきた相手というのもありますし、法政以上のサッカーをしてくると思うので、自分たちはそこを受けずに、チャレンジャーとして相手に挑み続ける姿勢を貫き通したいです。また、相手をリスペクトしすぎるというのもよくないと思うので、そういう気持ちを持ちながら、常に自分たちができるという自信も持ちながら準決勝も戦っていきたいと思います。