奥田・安斎・本保の3発! 1部・日大を撃破し、アミノ杯3年ぶりベスト8へ

ア式蹴球男子
アミノバイタルカップ2023 第12回関東大学トーナメント大会 兼 総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント関東予選
早大 1-1
2-1
日大
【得点】
(早大)15’奥田陽琉、55’安斎颯馬、75’本保奏希
(日大)8’田中慶汰、76’丸山喬大
 

1部・日大相手に勝利。3年ぶりのアミノ杯準々決勝進出を決めた

 6月下旬から開幕したアミノバイタルカップ(アミノ杯)。3回戦からの登場となったア式は、金曜日に行われた3回戦で、リーグ戦で敗れた山梨学院大相手に2-1と逆転勝利を収めた。そして続く4回戦では、1部の日大と対戦。勝てば3年ぶりのベスト8進出、また夏の全国大会、総理大臣杯進出に王手がかかるため、負けられない一戦となった。試合は前半8分に相手に先制を許すが、15分にFW奥田陽琉(スポ4=柏レイソルU18)のゴールで同点に。その後は互いに決定機をつくれずに前半を終える。後半に入ると55分、DF森璃太(スポ4=川崎フロンターレU18)のコーナーキックにMF安斎颯馬が合わせ逆転に成功。さらに75分には、相手GKからボールを奪ったMF本保奏希(スポ2=JFAアカデミー福島)が無人のゴールに流し込み、リードを広げる。その後1点を返されるが、最後まで集中した守備を見せ、そのまま試合終了。3-2で勝利し、1部日大を撃破、3年ぶりにアミノ杯ベスト8進出となった。

 

得点を決め喜ぶ奥田。公式戦久しぶりの得点に対し、思わず「喜び方を忘れてしまいました(笑)」と答えたが、持ち前のゴールパフォーマンスを見せてくれた

 前半先に主導権を握ったのは日大。8分にア式の右サイドを崩されると、豪快なシュートをゴールに突き刺されリードを許す展開となる。それでも15分、「相手が3バックというところもあって、サイドが鍵になると思っていた」(本保)と狙いとしていたかたちから同点に追い付く。左サイドの本保が、追い越してきた森へとパスを送る。森は相手DFとのデュエルを制しフリーでクロスをあげると、ここに待ち構えていたのは奥田。「璃太が(ボールを)持ったら大体クロスを上げるくれるので、ここで待ってたら来そうだなと思った」と、ヘディングで冷静にゴールへ流し込み、早い時間に試合を振り出しに戻すことに成功する。その後は互いになかなかシュートまで持ち込むことができない。ア式はサイドの森を起点に相手陣内に押し込む時間もつくるが、追加点は奪えずに前半を終えた。

 

ゴール後に雄たけびを上げる本保

 後半、先に試合を動かしたのはア式。55分、森のコーナーキックから安斎のドンピシャヘッドが決まり、リードを奪う。さらに75分には奥田が前線にボールを送ると、本保がディフェンスラインの裏に走り込む。ボールは相手GKにわたるが、クリアがここまでプレッシャーをかけていた本保に当たると、そのまま本保の目の前に転がる。本保は無人のゴールへと落ち着いて流し込み、さらにリードを広げる。「(無人のゴールだったので)緊張したのですが、最後は気持ちがこもっていたから入ったと思う」と本保。自身にとってうれしいア式での公式戦初ゴールとなった。しかしその直後、相手のコーナーキックからのシュートがクロスバーに直撃すると、こぼれ球を押し込まれ1点差に詰め寄られる。その後、途中出場のMF平野右京(人4=兵庫・滝川)やFW鈴木大翔(スポ1=ガンバ大阪ユース)が、カウンターからチャンスを迎えるも決め切れず。逆に終了間際には日大の猛攻を受けるが、GK山田怜於(社4=神奈川・鎌倉)を中心に集中した守備でリードを守り切ったア式。3-2で逆転勝利を収め、1部の日大から貴重な白星を手にした。

 

ドリブルで相手をかわす鈴木。途中出場ながら存在感を示した

 「学生がみんなよく戦ってくれたと思う」と兵藤慎剛監督(平20スポ卒=長崎・国見)。その言葉通り、3回戦から中1日というタイトなスケジュール、さらには30度を超える炎天下の中、最後まで集中を切らさず気迫のこもったプレーを、今日のア式は随所に見せていた。ここ2年続けて、アミノ杯2戦目で敗退するという流れが続いていただけに、嫌なイメージも間違いなくあったであろう。そんな中、「2戦目で負けているイメージが個人的にはありましたし、みんなそういうそういう思いがあった中で今日勝てたというのはすごくうれしかった」(奥田)と、鬼門ともいえるこの試合で、1部の日大相手に勝利を収められたことは、間違いなくチームにさらなる勢いをもたらしてくれるはずだ。これで準々決勝へと駒を進めたア式。次の対戦相手は、シーズン前の天皇杯予選で敗れた法大だ。「法政さんは天皇杯でやられているのでしっかりリベンジしなくてはいけない」(兵藤監督)、「天皇杯予選で負けた法政とまた直接やれるのはうれしい」(奥田)と、3回戦の山梨学院大戦同様、リベンジの舞台は整っている。加えて、勝てば総理大臣杯への出場が決まる重要な一戦。再び中1日と厳しいスケジュールではあるが、今日のような高いレベルで集中したパフォーマンスを見せ、必ず白星を手にしてほしい。

(記事・写真 髙田凜太郎)

 

早大スターティングイレブン

 

早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 16 山田 怜於 社4 神奈川・鎌倉
DF 安斎 颯馬   社3 青森山田
DF ◎平松 柚佑  社4 山梨学院
DF 中谷 颯辰 基理4 静岡学園
DF 森      璃太 スポ4 川崎フロンターレU18
MF 10 植村 洋斗  スポ4 神奈川・日大藤沢
MF 小倉 陽太 スポ4 横浜FCユース
MF 14 山市 秀翔   スポ2 神奈川・桐光学園
MF 23 成定 真生也 スポ3 神奈川・日大藤沢
→59分 22 平野 右京 人4 兵庫・滝川  
MF 17 本保 奏希 スポ2 JFAアカデミー福島
→76分  15 東  廉 スポ3 清水エスパルスユース
FW 奥田 陽琉  スポ4 柏レイソルU18
→76分 26 鈴木 大翔 スポ1 ガンバ大阪ユース
◎=キャプテン
監督:兵藤慎剛(平20スポ卒=長崎・国見)

コメント

兵藤慎剛監督(平20スポ卒=長崎・国見)

――試合を振り返っていかがでしたか

 学生がみんなよく戦ってくれたと思います。1点取られた後も慌てることなく、ゲームプランとしても1点取られても問題ないと伝えていて、しっかりと自分たちで実行してくれました。アミノの3回戦、4回戦を通じて自分たちでピッチ上でどうするかという質が上がってきたと思います。これが元々最低限というところもあるので、ここからもっと自分たちで要求できる集団になれたらなと思っています。

――序盤に点を取られた中ですぐに同点となりました。失点後もあまり落ちずに取り戻せたというのは大きかったと思うのですが

 正直うちは守備のチームではないので、1失点はするかなと念頭に置いていました。では、攻撃のところはと考えた時に、2点は取れるよねとなりました。1点取られても2点取れる。0-1の状態でも慌てずに行けばチャンスは来ると、実際に早い時間で取り返してくれました。チームのメンタル的にも楽になった部分もあります。それでも前半のところでもっと良い攻撃ができたらと思いますし、そこのクオリティはまだまだやり続けないといけないのかなと。後半は押し込まれる時間が多かったので、攻め続けられたらカウンターで隙をつくっていくなど決め切れなかったシーンがあったので、やはり最後のところのこぼれ球で1失点するというのもまだまだ課題は多いのかなと思います。しっかりと自分たちの課題と正面から向き合いながらも前進はできています。苦しい戦いを勝ち抜いたからこそ、成長につながるので次もコンディション的には厳しいと思いますがしっかりできることを100%やって次に向かいたいです。

――中1日でしたが、メンバーを変えずの戦いでした。そこはやはり前の試合の勢いそのままにという意図があるのでしょうか

 (山梨学院大戦は)最後良い勝ち方だったと思っていました。今日はしっかりとスタートから入っていくということころで、前と同じメンバーでいきました。交代を早くしようということもあったのですが、試合の流れもあって早いタイミングで動くのもなというところでした。先に取れたということもあったので、想定より5分ほど遅い交代になりました。守る交代は元々するつもりがなかったので、3点目、4点目を取りに行けるかつ締めていけるメンバーを出しました。少しずつ増えてきているので、そのようなところも決め切れるところは決め切って、相手に何もやらせないところまで持っていきたいです。トーナメントは勝つことに意味があるのでそう言った意味では最高の結果を出してくれたと思います。

――中1日で勝てば、総理大臣杯出場が決まる試合ですが、短い期間でどのような準備をしていきたいですか

 やはり法政さんは天皇杯でやられているのでしっかりリベンジしなくてはいけないです。「1回負けた相手には負けたくない」。山梨学院戦ではそれをしっかり実行できて、法政にもやり返す運命だと思うのでそれを自分たちの力で勝ち取れるように明日のミーティングやトレーニングで頭を整理して明後日のゲームに臨みたいです。

奥田陽琉(スポ4=柏レイソルU18)

――1部・日大を撃破しての勝利でしたが、率直に振り返ってみていかがでしたか

1年の時はアミノ(バイタルカップ)決勝まで行ったんですけど僕は出ていなくて、2戦目で負けているイメージが個人的にはありましたし、みんなそういうそういう思いがあった中で今日勝てたっていうのはすごくうれしかったです。そして、その相手が1部だったというのが、僕たちが全国制覇を目指している中で、これからいろいろな1部のチームとやることがあると思うので、自分たちの力試しができたかなと思っています。

――立ち上がり早々に失点してしまって1点を追いかける中での貴重な同点ゴールとなりましたが、得点シーンを振り返っていかがですか

 先に失点してしまうというのは課題にも上がっていますが、個人的にはいつも通りでした。ちょっと中がパニックになっている中で1点取ったらチームの雰囲気がガラリと変わりましたし、自分で言うのもなんですけど、結構大きい1点だったのかなと思います。

――同部屋の森選手(スポ4=川崎フロンターレU18)からのクロスからの得点はシーズン前の有言実行になったと思いますが、そこについてはいかがですか

 璃太(森、スポ4=川崎フロンターレU18)が(ボールを)持ったら大体クロスを上げて来てくれるのでここで待ってたら来そうだなって思いました。ずっと4年間同じ部屋でお互いのいい部分も悪い部分も見てきて、4年目の最後のアミノ(バイタルカップ)で同点ゴールでしたけど、あのようなかたちにできて良かったなと思います。

――奥田選手自身は今シーズンなかなか得点できず苦しい時期が続いた中で、このようなかたちで得点できたことは自身にとっても大きいのかなと思いますが

 喜び方をちょっと忘れていました(笑)。点を取った後どうしていいかわからなくなる位、頭が真っ白になりました。これがゴールを決める感覚、最高の瞬間だなって改めて思いました。これから離れることなく行きたいと思います。

――連戦が続いている中で1トップとしてプレーしており、戦い方的にハイプレスで前からの守備できついところとかも出てくると思いますが、いかがでしたか

 いい特徴を持つFWが後ろに控えているので、自分が守備を怠らず、点を取れればいいなと思っています。自分がバテてもいいFWがいるから、最初からアクセル全開で行けるといういい競争ができているのかなと思います。

――次も中1日で準々決勝法大の一戦となりますが意気込みをお願いします。

 天皇杯予選で1回戦っていますし、リベンジの舞台かなと思います。初戦も山梨学院にリベンジしたので、また天皇杯予選で負けた法政と直接やれるのはうれしいです。その時はけが人が多く万全の状態で戦えていなかったので、今万全な状態で絶対倒して全国出場を決めたいと思います。

MF本保奏希(スポ2=JFAアカデミー福島)

――率直に試合を振り返っていかがでしたか。

 本当に難しいゲームでしたが、全員の力で勝つことができて、まずはうれしいなと思います。

――前の試合の山梨学院大戦から中1日というスケジュールでしたが、コンディションはいかがでしたか

 多分みんなもきつかったと思いますし、自分的にもちょっと体がきついところはありましたが、本当に全員が勝ちたいという気持ちで、そういう疲れも忘れるぐらいみんな頑張って勝ったという感じです。

――1部リーグに所属する強豪の日大相手でしたが、どのような対策を行いましたか

 2部のチームが1部を食うというのは他の試合を見ててもあって、僕たちもその1部(のチーム)に劣っているということは思ってなかったので、絶対勝てると強い気持ちで臨みました。あとは相手が3バックというところもあって、サイドが鍵になると思っていたので、サイドからの攻撃で1点目を取れたのは良かったなと思います。

――後半のご自身の得点では、ハイプレスからボールを奪って無人のゴールに流し込みましたが、振り返ってみていかがでしたか

 今まで出場機会はありながらも、個人として結果を残すことができていなくて、チームに迷惑ばっかりかけていたので、最後走り切って、それが自分のところに転がってきたボールを決めることができたのでよかったです。

――ゴールがない無人だったのは緊張しましたか

 外れたかなと少し思って(笑)。本当に緊張したのですが、最後は気持ちがこもっていたから入ったのかなというのは思います。

――最近はリーグ戦からも続けてスタメン起用が多いと思いますが、ご自身のプレーの手応えはいかがですか

 全然通用する部分も多くあると思います。パスやドリブルなど、どんどん自分の持ち味を出して、関東リーグでもどんどん活躍していけたらなと思います。

――中1日で次戦は準々決勝の法大戦となりますが、どのように戦っていきたいですか

 中1日で厳しい試合になると思いますが、全員で全国の切符を目指して、一丸となって戦って、勝てるように頑張っていきたいと思います。