【特集】アナライズチームリーダー対談 福井寿俊×藤本隼斗<前編>

ア式蹴球男子

 近年のサッカー界において重要とされている役割が、自チームや他チームを客観的に分析し弱点を洗い出すアナライズの部分。強豪と呼ばれているクラブの多くが、このアナライズに力を入れている。大学サッカー界においても、アナライズは重要視されており、早稲田大学ア式蹴球部(ア式)にももちろんアナライズ担当が存在している。その中で今回は、選手として活躍しつつ、アナライズチームのリーダー的存在でもある、MF福井寿俊(文構4=東京・国学院久我山)とDF藤本隼斗(スポ4=柏レイソルU18)のお二人に対談をしていただき、アナライズチームの役割や、今季のア式が掲げているサッカー。加えて、選手としての自分のことやプライベートのなどさまざまなことを伺いました。前編は昨シーズンの振り返りやお二人のプライベートについてとなっております!
※この取材は4月11日に行われたものです。

 

(昨年は)濃かった1年(福井)

開幕戦(ⅤS立大戦、◯3ー1)でボールをさばく福井

――昨シーズンはご自身にとってどんなシーズンでしたか

藤本 自分にとっては一番変わった年かなと思っています。2年生で全然試合に出れない中、最後のインカレに奇跡的にスタメンで出れたというところで、3年生からはそれもあってか13、4試合くらい出させてもらいました。自分としてもトップチームでやるという責任を感じつつ、葛藤だったり苦しい思いもしながら1年が長かったなというのが去年です。

福井 濃かった1年だったなというのが率直な意見です。というのは、自分も夏まではIリーグ(Aチームの一つ下のカテゴリーのチームが戦うリーグ)にいて、大学に来てから初めて楽しい(と感じる)くらいのサッカーを早稲田で行えていました。それからトップチームに昇格して数試合出たんですけど、チーム状況的にもなかなか苦しい中で、楽しくもあり苦しくもありという1年間だったなと思います。

――お二人とも苦しい1年というのがあったと思いますが、課題としてはどんなことがありますか

藤本 緊張だったり責任を感じすぎるところは去年の課題だったかなというのはすごいありました。というのも練習では自分の中でもイメージ通りのいいパフォーマンスができている反面、試合になると責任からなのか緊張で自分が思っている以上のパフォーマンスが出せなかったかなとすごく思っていて、それも自分の中ではさっき言った葛藤だったり悩んだ部分かなと思います。

福井 緊張してたかな?(笑)

藤本 緊張っていうか責任感?をめちゃめちゃ感じていました。勝てなかったというのはあったのかもしれないですけど、自分が試合に出て勝てないとなると、どんどんメンタル的にキツかったっていうのはありますね。

――自分のせいというよりも自責してたという感じですか

選手名① 自分のせいとはあまり思いたくないタイプなので(笑)。あまり思わないようにしつつもどこかでもっとできたんじゃないかとか、ここを自分がこうしておけばとか感じてしまうことが悪循環であったかなと思います。

福井 自分はあんまり緊張とかはなかったです。その分シンプルにIリーグからAチームの関東とレベルが1個上がって、守備の強度だったり攻撃でもう一つアクセントを加えられたりそういったところが足りなかったかなと思います。A(チーム)で出ている(同ポジションの)、去年だったら山下(雄大、令5スポ卒=現徳島ヴォルティス)だったり、植村(植村洋斗副将、スポ4=神奈川・日大藤沢)だったり小倉(陽太、スポ4=横浜FCユース)とか、そういった人たちと違う部分だったかなというふうには思います。

――Aチームでやって雰囲気は全然違うな、と思いましたか

藤本 そうですね、A(チーム)の雰囲気は静かというか(笑)。自分はIリーグとして一応下のカテゴリーでは練習していたので、楽しくもあり厳しくもありという感じだったんですけど、A(チーム)は静かで淡々としているなというイメージもありました。

福井 チーム状況もあるんですかね、Iリーグが逆に楽しすぎたっていうのもあるんですけど(笑)

 

――逆に成長できたな、ここはよかったなっていう部分はありますか

藤本 そこは結構あるかなと思っています。自分は周りを見るとか、チームのためにみたいなところはすごい気持ちの変化として、成長できた部分かなと思っています。それまでは自分が楽しければいいかなくらいの感覚でサッカーをやっていたりしたのですが、チームが勝つためやチームの雰囲気が良くなるために自分が何ができるか考えながらやるのは、成長につながったと個人的には思っています。

福井 自分はIリーグでやれてたプレーをAチームでそのまま発揮できたというのは、一つ自信になったかなと感じています。Aチームでポンと試合に出されても自分のプレーは比較的できていた方ですし、それが自信になってAチームに居続けることができたかなと思います。そっからの成長はあんまりしてないです(笑)

藤本 今考えながら答えてたけど、そこからの成長なんだろう(笑)

福井 難しいね、できないね(笑)

――メンタル的なところで変わったとかそっちの方が強いですか

藤本 そっちの方が強かったね(笑)

福井 そうですね(笑)

――今までプレーの話をしてきましたが、去年のお互いのプレーに点数をつけるとしたら100点中何点にしますか。

福井 うわー、何試合出てた?

藤本 13、4、5?

福井 めっちゃ出てる(笑)

藤本 結構出てましたね。5バックになってから結構。(福井は)何試合出た?

福井 分数で言ったら1試合半くらいかな。

藤本 カズ(福井)は40点です。これは理由があって、今のチーム状況や今のメンバーを見ても間違いなく主力として出てる中で、他とは違う部分がめちゃめちゃあるんです。引っ張る技術がある選手だなと思ってる反面、去年はあんまり試合経験もなくて、出ても途中から出ることが多くて、今年に比べちゃうとあんまりカズらしいプレーはなかったかなと思います。途中からという選手じゃなくて、最初からゲームをつくるキャラっていうのもあって、最後の方途中から出てちょいちょいやらかすシーンがあったよね(笑)。明大戦とか拓大戦とか(笑)。最後の方やらかすそのイメージで、カズの本領発揮は去年はまだまだだったかなというのもあって、辛めにつけて40点です。逆に今は100点満点。今年見ちゃうと去年は「あれ?」って思うところがありましたね。

福井 60点にしておきます。2年目に比べれば試合に出る機会が多かった点で、信頼っていうところも含めて非常にポジティブなところもあるし、サイドバックの選手ですけど、ウィングもやったりと新たな場所でもチャレンジできたっていうところは非常にポジティブなところだったと思います。だけどもっとやれるし、フジ(藤本)は僕にとって結構やりやすい人なんですけど、なかなか窮屈そうにしてたなという印象は去年のプレーを見てて思っていました。なので、まだまだ本領は発揮できてなかったっていうところと、今後の伸び代も含めて60点とさせていただきます。

藤本 妥当だと思います。さすが見えてます(笑)

(2人は)本当に仲が良い(藤本)

 質問に答える藤本

――お二人の仲がいいのは伝わってきたのでここでぜひ他己紹介をお願いします。

藤本 サッカーから言うと、山下みたいな選手だけど山下とも違う落ち着きだったり、常に周りが見えていていい意味でベテランプレーヤーっていう感じです。ベテラン感ある落ち着きかな、足はめっちゃ遅いですけど(笑)

福井 遅くないって、速いんだけど(笑)

藤本 めっちゃ遅いですけど、そんなに感じないというか、ずっとゆっくり走っているので(笑)。ベテランの風格があるいい選手だなと思います。あとさっきカズも言ってましたけど、結構一緒にやったらやりやすいタイプなので、今はけがしていてできないですが、また一緒にサッカーやりたいなというのはありますね。人間性の部分だと、めっちゃモテないんですよね。

福井 それ言っちゃう?(笑)

藤本 人間性で言うとこんな感じなんで、聞き上手が一番のアピールポイントです。聞き上手でニコニコしてる、で誰とでも仲良くなれるタイプかな、というのはすごく思うところですね。けどなんでか、顔が悪いのか、モテないっていうところだけが今課題なのかなって(笑)。そこの課題の解決だけできれば今後より良い選手になっていくと思います。

福井 サッカーに関してはいいサイドバックだなというイメージはあります。一対一の守備の対応もうまいし、攻撃の関わり方も上手という意味では現代的なサイドバックなのかなと感じていますし、自分も一緒にやっててやりやすいし楽しい選手の1人ではあります。人間性に関しては、言ってしまえば似てるんですよ、顔以外は(笑)。性格とか、考え方とか、それこそサッカーの考え方とかも激似なんですよ。好きな女の子のタイプとかもめちゃめちゃ似てて兄弟みたいな。俺とそっくりな人だと思ってくれればいいです。ニコニコしてるし、色んなやつと話してるし、コミュニケーション能力に長けた直毛の男の子っていう感じです(笑)

――2人は結構似たもの同士って今の話にもありましたが、1番仲良いのはお互いなんですか

藤本 まあ、そうですね。あんま言いたくないですけど、最近は本当仲良いです。元々仲良かったけど昨日1時間電話してたので、毎日会ってるのに1時間電話するっていう(笑)。なんでも話せますね。

福井 飲みにも行くし本当仲良いです。

――プライベートでも結構交流してるって感じですか

藤本 今就活もあるし、寮変えっていうのもあって頻繁には会ってないけど、毎日は話してますね。話さない日はないですね。

――オフの日は何していますか

藤本 プライベートな話をしてしまうと、1カ月くらい前まで彼女いたんですよ。

福井 結構プライベート(笑)

藤本 俺何でも言っちゃうタイプなんです(笑)。だから、1カ月くらい前までは彼女と毎週会っていたんですけど、最近は飲み会に行くようになりましたね。日曜の夜に飲んで、月曜日はゆっくり過ごしてって感じで。昨日なんかは一人で筋トレしてて悲しくなったんですけど(笑)。最近月曜日は、充実してないですね・・・。息抜きで飲みに行くくらいです。

――恋バナなども、お二人でよくするんですか

藤本 めちゃめちゃしてますね。最近は特に。

福井 特にするよね、別れてるからね(笑)

藤本 付き合ってた時もちょいちょい話してたんですが、別れた後は、もっとするようになりましたね。(笑)

――福井選手はオフの日は何をされてますか

福井 本当にフジと一緒でたまに、本当にたまに飲みに行って(笑)。月曜日の朝はゆっくりしてという感じですね。まあ最近は就活をやってますね。面接が午後からあったりして、最近は充実はしてないかもしれないですね。就活が早く終わってくれれば、何でも心置きなくできるんですけど(笑)

――やはり両立は大変ですか

福井 そうですね、ア式は拘束時間が長いんですよね。

藤本 今、1年生の仮入部期間っていうのもあってか、両方の練習見ないとっていうのもありますし、AT(アナライズチームリーダー)としてやらなくちゃいけないこともあって。

福井 土日とかやばいよね。朝9時くらいから夜6時くらいまでア式のことをやってますね。

藤本 基本全部のカテゴリーを見てもらってるので、そこは結構長いですね。就活を合間に入れてって感じですね。

――お二人の好きなタイプはどんな人ですか

福井 好きなタイプとかむずいわ〜(笑)

藤本 最近出会った子とかでも。

福井 あー、うん、やばいな(笑)。うーん、タイプか、内面?外見?

藤本 どっちでもいいんじゃない?みんな気になってると思うし。カズの好きなタイプ。

福井 うーん・・・。

藤本 そんな考え込む?(笑)

福井 いや、俺あんまりないんだよ。割と許容しちゃうタイプなので。うーん、まあ明るい子ですかね、割と自分から話してくれる子とかの方がいいかもしれないですね。根が明るい子ですね。外見で言うと、僕は永野芽郁さんが好きなんですよね。

藤本 僕もなんですよね。

福井 顔も性格も明るい感じが好きですね(笑)

――藤本選手はどうですか

藤本 俺は思いやりがある子ですね。

福井 ちょっと深み出してくんなよ(笑)

藤本 それで言うと、許す優しさと気遣える優しさがあると思うんですけど、気遣える優しさがある人がすごく良いなって思いますね。すいません(笑)

――大学生活最後にもなる今年のプライベートでの目標を教えてください

藤本 大前提で充実させる。大学生活を謳歌するのは、まずは一番の目標です。人生の夏休みと言われるくらいなので、サッカーをやりながらもプライベートもちゃんと楽しみたいなという思いがあります。後は、いろんな友達をつくりたいです。人脈づくりというのは大学生の内からしておきたい目標であるので。  

――人脈というのは早稲田内外問わずですか

藤本 内外問わずですね。誰とでも仲良くなりたいので。

福井 えー目標。進路がどうなるかは分からないですけど、大学在学中はできる限りいろんなことをやってみたいなという思いはあります。自由な時間がある分、そこのプライベートの充実というのは自分は大事にしているので、そういった面では、ア式内でもそうですし、地元の子だったりいろんな人と仲良くしたいですね(笑)

――同期はお互いにとってどういった存在ですか

福井 そうですね。自分は今年からこの学年に上がってきた存在なんですけど、にぎやかだなあと。みんな喋るし、明るいやつ多いし、本当に楽しい学年だなというのはあります。その中で、平松(柚佑、社4=山梨学院)だったり、陽琉(奥田陽琉、スポ4=柏レイソルU18)とか大橋(優貴、社4=東京・早実)とか、厳しいことを言える人が何人もいます。という意味では、非常に良い学年にめぐり会えたのかなと思います。  

藤本 同期か・・・。同期はめちゃくちゃ大好きですし、同期のために頑張れるというのはここにきて初めて思ったことです。大学1年生から同期のことはどんどん好きになりましたし、年齢を重ねていくにつれ、一緒にいればいるほど周りを理解していって、すごく嫌な部分も見えますけど、そういったところも受け入れられる同期かなと思います。すごく良い同期にめぐり会えたと思います。  

――それぞれの学年で自分たちが一番仲が良いだろみたいなのはありますか

藤本 それは結構あるかもしれないです。ここ(4年)は仲が良いかもしれないですね。いつからだろ。  

福井 知らないよ(笑)  

藤本 確かに。そこで言うとカズはすごいよね。俺らはだいぶ仲が良かったけど、(今は)カズが中心みたいな感じで仲が良いので、そこはカズがすごいなって思いますし、けど3年になったくらいからもう一段階みんなが仲良くなったと改めて思います。  

――福井選手はア式の中では少ない文化構想学部に在籍されていますが、心細いなと思ったことはありますか

福井 いや(笑)。文構は少ないなりに仲が良いやつばかりなので。  

藤本 誰いる?  

福井 北村(公平、文構3=神奈川・桐光学園)と、平川功(文構4=岡山・作陽)。後は未羽(伊藤未羽、文構2=千葉・東葛飾)と綾夏(大笘綾夏、文構3=東京・国学院久我山)。そうですね、文構という括りよりは、文キャン。梅林(頌英、文3=東京・国学院久我山)とか、日和(柳崎日和、文2=愛知・豊田北)。そういった文キャンの人たち含めて仲が良いって感じです。  

(取材・編集 宮下幸、髙田凜太郎 編集 梶谷里桜 写真 大幡拓登)

 

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