【連載】ア式蹴球部新体制特集『PURSUIT』【第3回】駒沢直哉×石川真丸

ア式蹴球男子

 第3回には新3年生となるFW駒沢直哉(スポ3=ツエーゲン金沢U18)とDF石川真丸(スポ3=名古屋グランパスU18)のお二人が登場。普段から仲が良く、今季レギュラーとしての活躍が期待されているお二人に昨季の反省や今季にかける思いを伺いました。
※この取材は3月28日に行われたものです。

去年感じたこの悔しい気持ちを、今年にしっかりぶつける(駒沢)

 昨シーズンは7ゴールを挙げた駒沢

――昨シーズンはどのようなシーズンでしたか

駒沢 一言で表せば悔しいシーズンでした。リーグ戦では3勝だけで、公式戦あれだけ勝てなかったというのは人生初でした。苦しかったなというのが、全体を通しての感想です。でももちろん、ただ負けただけじゃなかったですし、すごくいろいろなことを経験しました。それでも降格したという結果は変えられないので、去年感じたこの悔しい気持ちを、今年にしっかりぶつけて絶対昇格しようと思います。  

石川 自身としては、直哉と同じで悔しいシーズンだったなと思います。僕は1分も関東リーグに出ていないんですけど、その中でチームに良い影響や勝つためのアクションというのを自分自身で出すことができなかったと感じています。同期のみんなが試合に出てチームを勝たせたりしていた時とかは、うれしい気持ちもありましたし、同時に自分にとっての刺激ももらえた1年でした。ただ、最後の天皇杯予選は少し試合に出れて、良い感触があったので、それは今シーズンの試合につなげられたらなと思います。  

――個人として一番課題が残った部分は

駒沢 去年は1年通してほとんどの試合に出場させてもらっていた中、シーズン通して得点も少なかったですし、そこは自分の責任だなと思います。後期の何試合かはチームを勝たせることもできましたけど、やっぱり前期からもったいない試合が多かったなという印象です。FWならどんな状況でも1点を取るだったり、チームを変えられるポジションだと思うので、そこにもっとこだわっていかないとなと思います。  

石川 僕自身としてはあまり試合に出ていないので、プレーの課題というのは正直練習試合とかでしか見つけることができなかったです。でもモチベーションの部分は、自分の中で保つことが難しかったので、そういったところは意識していきたいなと思います。  

――逆にここは成長できたなと感じる部分は

駒沢 あれだけ苦しい経験をした分、改めて勝つことの難しさだったり、チームが組織としてやっていくことの大切さというのをすごく学びました。それを教訓ではないですけど、新3年生の中でも4年生に向けてというのを話し合う中で、今年や来シーズンを去年みたいなシーズンにしたくないという思いがすごくあります。終わってしまいましたがこの経験を出していかないといけないという中で、重要な経験ができたと思います。  

石川 組織としての一貫性がないというのが去年の反省点だったなと思います。やっぱりチームとして試合に勝つためには、チームの中の一体感というのが大切だということに気づきましたし、そういったところを去年学べたというのは強みだと思います。今後また同じような失敗をしてはいけないなと思います。  

――昨年はチームとしてうまくいかない時期が多かった中で、自分からこのようなアクションを起こせばよかったなと感じたところはありましたか

駒沢 ア式として組織運営をするのは4年生ですけど、ピッチに立てばそこは全く変わらないです。2年生でしたけど、ピッチ上で試合にあれだけ出ていた分、もっと良い方向にアクションできたと思います。主将や副将の離脱といったアクシデントもありましたけど、それでも試合は絶対やってくるので、もっと自分が体現できていたらなという悔しさは今も感じています。  

石川 自分としてはシーズン中、腐ってしまう時期が何度かありました。チームに対してネガティブな考え方をしたり、周りに良い影響を与えられるようなことができていなかったです。そういったところはチームに何らかの悪い影響が出てしまいますし、もっともっと減らしていかないといけないと思います。チームに対して常に何ができるかを考えて行動できるようにしたいです。  

直哉は一番最初に会った時、めちゃめちゃ怖かった(笑)(石川)

 質問に答える石川

――ここからはプライベートのお話しを少しうかがいたいと思います。まずはお互いのプライベート面、サッカー面での紹介をお願いします

駒沢 真丸このインタビュー初めて?  

石川 初めて。  

駒沢 じゃあこれまであまり真丸が(記事に)載っていないということで、初めて知る人も結構いると思うんですけど、すごく愛されキャラです。寮が一緒で、真丸と袈依廉(ヒル袈依廉、スポ3=鹿児島城西)の部屋が僕の横の部屋なんですけど、結構溜まり部屋になってます。毎日行けば誰かがいるという部屋で(笑)。  

石川 うるさいです(笑)。  

駒沢 それで本当に愛されキャラというか、先輩からも同期からも。自分にないところを持っているなと思います。プレー面は、サイドバックですごくうまいなと思います。対人もすごいし、シンプルな1対1のうまさはア式内でも一、二を争ううまさなのではと思います。  

石川 直哉は結構寮でも一緒にいるんですけど、本当に一番最初に会った時、めちゃめちゃ怖かった(笑)。  

一同 (笑)  

石川 怖いイメージでした。ずっといるので今はもう(怖くは)なくて、誰とでも仲良いなと思います。でもたまに毒吐いたり怖い一面もあって(笑)。でも基本的には仲良いです。プレー面は、きつい時にチームにとって大切な点を取ってくれて、僕も(一緒に)プレーをしていて、とりあえず直哉を見てゴール前に放り込んだりとか、逆に意識しすぎて違うとこが見えていないくらい直哉を意識していて。あいつに預けとけば何とかしてくれるだろというプレーヤーです。  

――駒沢選手から石川選手の技術がすごいとお話がありましたが、その部分は昔から意識されていますか

石川 うーん。自分ではあまり思わないですけど、小学校の時から試合前にリフティングとかドリブルとかを一番早く終わらせた人から、試合に出れたりしたので。小4からグランパスで。  

駒沢 エリート育ちなんですよ。  

石川 それで意識しているのかなと思います。  

――寮も同じということで、お二人は普段から仲が良い方ですか

駒沢・石川 はい。  

駒沢 それこそこの前の夜2人でご飯に行きました。  

――何を食べに行ったのですか

石川  餃子です。 

駒沢 居酒屋に行って、定食だけでずっといて本当に店側に申し訳ない(笑)。  

石川 申し訳なかったよね。どっちもお酒が飲めないので。  

駒沢 そうですね。  

石川 こう見えて(駒沢は)めちゃくちゃ酒弱いんですよ。  

駒沢 弱いですね。(お酒が)あまり好きじゃないですね。  

――最近ハマっていることや趣味はありますか

石川 最近ではないですけど、ずっと漫画か映画を見ています。  

――見て面白かった作品はありますか

石川 ベタなんですけど、今キングダムがあつくて。最近はそれで泣きそうになってます(笑)。  

――駒沢選手は最近ハマっていることはありますか

駒沢 真丸とは結構漫画の趣味が合うので、漫画とか映画とかは共通の話題で盛り上がります。最近で言ったら進撃の巨人を見ています。  

石川 あれは良いですね。  

――昨年のW杯はご覧になられましたか

駒沢 もちろん。  

石川 はい。  

――印象的だった試合はありましたか

駒沢 やっぱり決勝戦ですベタだけど。物語ができすぎているなと。ムバッペとメッシの対立みたいなのもあって。シンプルにサッカーファンとして、楽しみましたね。  

石川 自分も決勝は見ていて、ずっとメッシを応援していたので感動しました。後は日本がスペインに勝った試合というのはすごくうれしかったし、寮生みんなで騒いでいました。夜中の4時とかだったんですけど、あの時は最初日本は敗退しそうだなと思ってました。その中でスペインに勝ったので、めちゃくちゃうれしかったです。試合終わった後の寮の廊下が渋谷のスクランブル交差点みたいになってました(笑)。  

――同じ部屋で集まって見ていたりしたのですか

石川 そうですね。  

駒沢 後半の最後の方とかは見たりしました。  

石川 最初はちょっと渋くねってなってて。  

駒沢 ちょっと眠かったしね。  

石川 でも最後の方はみんなで見て騒いでました。  

――ちなみにW杯の優勝予想国はどこでしたか

駒沢 僕はイングランド一筋でした。  

石川 僕はアルゼンチンをずっと応援していたんですけど、無理だなと思ったのでブラジルでした。ちゃんと自分の応援しているところにしとけば良かったなと(笑)。  

自分1人で(相手を)止められるくらいの選手になりたい(石川)

 クロスを上げる石川

――現役選手、引退選手に関わらず憧れの選手はいますか

駒沢 明確な理想の選手はいないですが、それこそW杯のメッシのような、この人さえいれば勝てると思えるような選手になりたいとは常に思っています。

石川 自分も理想としてる選手とかはあまりいないです。自分自身が理想とするプレーをしている選手があまりいないというか、(プロサッカーを)あまり見てないのもあるんですけど。僕がその最初の1人になりたいです。憧れというよりライバルという感じですね。

――新体制が発足してから約2カ月、ここまでどのように感じていますか

駒沢 まだリーグ戦も始まっていませんが、悪くないスタートだなと思っています。厳しいチーム事情の中でもチームのやりたいことはできていると思いますし、兵藤監督が今までのチームに新たに加えてくれた要素もたくさんあります。それを結果に示していきたいですね。

石川 僕も感触としては同じです。去年ももちろんちゃんとしたベースはありましたが、その上で今年もまたきつい練習がたくさんあります。そういった中で自分たちがどれだけ結果にこだわって結果を出せるかという部分が大切になってくると思うので、初戦の結果には特にこだわっていきたいです。

――兵藤慎剛新監督(平20スポ卒=長崎・国見)への印象はいかがですか

駒沢 まだ新体制始まって間もないですが、すごく信用のできる監督だなと思います。ボス、というよりはリーダーという感じです。本当に練習がきつくて、これまでが悪かったわけではないですが、週明けとかはきついですね(笑)。強度がやばいです。

石川 僕も兵藤さんとは3カ月しか経っていないですが、いい意味でも悪い意味でも「優しい」という感じです。もちろん求められるものは大きいのですが、普段はフランクに話してくれますし、僕も結構いろいろな話をさせてもらっています。去年以上に自分の中でやりたいプレーをさせてもらっていて、とてもありがたいので兵藤監督の下で結果を出したいですね。

――石川選手はサイドバックでの出場が多いと思いますが、縦に仕掛けるタイプと中で作るタイプ、どちらのサイドバック像を持っていますか

石川 自分はどちらもやりたいと思っていますが、内に入って中で(ゲームを)作る方が多いのかな、とは思っています。

駒沢 両方できるよね。毎回ベースとして1人剥がしてからスタート、という感じなのでいつもすげーなと思いますね。

――昨年はプロに行った選手を含めサイドバックの層が厚かったと思います。その中で影響を受けた選手はいましたか

石川 颯大君(西尾颯大、令5スポ卒)は、あまり強くいかないけど強い、みたいな。スルスルっと抜いていくような、賢いプレーが多かったので見ていてうまかったなと思います。あとはフジ君(藤本隼斗、スポ4=柏レイソルU18)も守備が自分より遥かにうまくて、そういったところは見習っていきたいと思います。

――攻守でいうとどちらが課題ですか

石川 断然守備ですね。いつも守備はボランチやセンターバックの選手に頼り切りになっちゃっているので、自分1人で(相手を)止められるくらいの選手になりたいです。

――駒沢選手はもちろん得点が求められてくると思いますが、前からの守備という部分も同じく求められると思います

駒沢 去年に引き続き今年もハイプレスで、自分が一番最初になるので、本当に自分の限定具合で戦術の成功するかしないかが変わってくると思います。もちろん攻撃面も大事ですが、そういったところもこだわってやっていきたいです。

――ここまでのハイプレスという点での手応えは

駒沢 まだ守備の動きは今年に入ってからしっかりとはやっていないのですが、そこは去年からの積み重ねが生きてくると思います。この前の鹿島アントラーズさんとの練習試合の中で、前半は前からの守備がはまって自分たちのボール保持時間も長くできたのですが、後半はどうしてもきつくなって全体としてプレスに行けなくなったことでボールを握られて、最後に2失点を喫してしまいました。90分やり通す力がまだなかったなというのは感じたので、そういった力はつけていかないとなと思います。

――駒沢選手は練習試合でかなり得点も取られていると思いますが、感触は良いですか

駒沢 これまで7試合で6点くらい取っているので感触は悪くないです。ただ去年も調子は良くて得点を取っていた中でリーグ開幕5試合は得点できなかったです。1度波に乗れば得点は重ねていけると思うので、初戦で絶対に得点を取りたいと思っています。

――石川選手は先日の天皇杯予選でPKキッカーも務めていたと思いますが

石川 ア式としてはPKは取った人以外が蹴るという感じなので、僕はあまり蹴るつもりはなかったのですが、小澤さん(ア式蹴球部コーチ)が「真丸!」と声をかけてくれて「俺か…」と思ってめちゃくちゃ緊張したんですけど、決められたので良かったです。

(開幕戦は)シーズンを左右するような大事な試合だと思って臨みたい(駒沢)

 質問に答える駒沢

――天皇杯予選や早関定期戦の手応えはいかがでしたか

石川 今までの自分よりは、自信を持って試合ができているかなという感じです。去年や一昨年は先輩の顔色をうかがったり、周りが今どう考えているんだろうとか考えてしまったりしていたんですが、今年はそういうのがあまりなく自分のしたいプレーを自由にできているというのは成長したポイントかなと。ただ課題はたくさんあるので、そこをしっかりと克服していかないと試合に出られる保証も一切ないので。今は出られていても、今後どれだけ絡んでいけるかというのが大切になってくると思います。

駒沢 早関戦とこの間の天皇杯予選では、ポゼッションやチャンスの数はア式の方が上だったりするかもしれないのですが、やっぱり結果は2戦とも負けですし、それが全てだと思います。幸いなことにリーグ戦はこれからです。リーグ昇格するのは本当にパワーがいることだと思いますし、負けも許されない試合が続くと思うので、そういった中で「内容は良かった」というような事を言わないようにしていきたいと思います。

――今週末からリーグ戦が始まりますが、どんなシーズンになると予想されますか

駒沢 2部に落ちてレベルが下がる、と言われますが、僕はそこに大きな差は無いと思っていますし、昇格まで勝ち続けることは本当に難しいことだと思います。去年もあの開幕戦に勝てていたら全く違うシーズンになっていたと思いますし、本当にこの試合がシーズンを左右するような大事な試合だと思って臨みたいです。

石川 早稲田として1部昇格を目標に掲げていますが、相手も同じ目標を持っていると思います。簡単には勝たせてくれないと思うので、チャレンジャーの気持ちを持って戦っていくつもりです。

――チームとしてはまず1部昇格、歴代最高勝ち点での2部優勝、その先は全国といった目標を目指していると思いますが、そういった目標達成へ鍵になる部分はどういったところでしょうか

駒沢 チームとして一体感をもってブレずに戦うところかなと思います。シーズンを通して勝っている時は良くても、絶対に難しい時は来ると思いますし、その時にどのように良い方向に向かっていけるかが大事だと思いますし、そこが今年一番試されている部分だと思います。

石川 一体感というのは大事になってくるしそれがないと勝っていけないと思いますが、加えて4年生に任せきりにならないようにしていきたいです。自分たち3年生がチームに良い影響を与え続けていくことが大切になってくるのかなと。

――ア式内での今季の注目選手を教えてください

駒沢 俺は真丸かな、と(笑)。いつも対談相手を挙げていますが、そういうのを抜きにしても去年リーグ戦に出ていなかったのも「なんで出ていなかったんだろう」と思うくらいの選手ですし、今週からそれが分かるんじゃないかなと思います。

石丸 僕も駒沢で(笑)。直哉には本当に、点をとってもらわないと困るので。エースストライカーとして点を取りまくって、チームを勝たせて欲しいですね。

――最後に今季にかける思い、抱負を教えてください

駒沢 1部昇格と得点王を目指しています。

石川 チームとしては最低限、1部昇格。個人としては去年以上にチームの試合に絡み続けて、勝利に貢献するということを常に意識してプレーしていきたいです。

――ありがとうございました!

(取材、編集 髙田凜太郎、編集 大幡拓登、写真 前田篤宏)

 お二人が好きな進撃の巨人の「心臓を捧げよ」のポーズで写真を撮らせていただきました

◆石川真丸(いしかわ・しんま)(※写真右)

2002(平14)年4月30日生まれ。170センチ60キロ。名古屋グランパスU18出身。スポーツ科学部3年。アニメや漫画が好きな石川選手。最近、進撃の巨人のアニメを見始めた駒沢選手に、細かい話のつながりなどを教えてあげているそう。まだ進撃の巨人の結末までたどり着いていない駒沢選手に、今すぐにでも結末を伝えたいと冗談半分で語ってくれました!

◆駒沢直哉(こまざわ・なおや)

2002(平14)年5月17日生まれ。178センチ72キロ。ツエーゲン金沢U18出身。スポーツ科学部3年。昔からよく風邪を引いてしまうことが多いという駒沢選手。大事な試合の前に体調を壊さないためにも、今年は色紙にも書かれた通り「体調管理」を徹底したいとのことです!