今季3勝目! 「ア式一丸」となりつかんだ勝利

ア式蹴球男子
第96回関東大学サッカーリーグ戦 1部 第14節
早大 0-0
1-0
筑波大
【得点】
(早大)66’駒沢 直哉
(筑波大)なし

 関東大学サッカーリーグ戦も残り4試合と佳境に差し掛かっている。早大の現在の順位は11位。このままでは自動降格という位置にいる。前節の法大戦では数多くのチャンスを迎えながらも決め切れず、手痛い敗戦を喫した早大。残留に向け勝ち点3獲得が至上命題となっている中、4位・筑波大との一戦に臨んだ。試合は立ち上がりから締まったゲーム展開となる。相手に主導権を握られる時間もあったが、この日スタメンに名を連ねたGK平田周(スポ4=東京・国学院久我山)を中心に決定的なチャンスをつくらせない。0-0のまま進む中、迎えた66分、CKからFW駒沢直哉(スポ2=ツエーゲン金沢U18)が押し込み先制に成功する。その後はDF平瀬大(スポ4=サガン鳥栖U18)やDF神橋良汰(スポ2=川崎フロンターレU18)を筆頭に、最後まで集中を切らさない守備をチーム全体で見せた早大。駒沢の虎の子の一点を守り切り、見事勝利を収めた。

 

今季、5得点目を挙げた駒沢。「自信をもっと強く持って、これからの試合も自分のゴールで勝利させたい」と口にした

 「やることをシンプルにしていこう、守備から入ろう」という外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)の意図もあり、まずは落ち着いた試合展開となった前半。中盤での主導権争いが繰り広げられるが、互いに攻め手を欠きなかなか決定機をつくるまでには至らない。早大の最初のチャンスは30分、高い位置でボールを奪うとDF森璃太(スポ3=川崎フロンターレU18)、駒沢とボールをつなぎ、最後はMF植村洋斗(スポ3=神奈川・日大藤沢)がペナルティエリア手前からシュート。しかし、これは相手GKの正面を突いてしまう。これといったシーンを互いにつくれず、スコアレスで前半を終えた。

 

後期リーグ初スタメン起用となった森。持ち前の脚力を活かし、ピッチを駆け上がった

 後半に入ると、まずは筑波大がペースを握る。ピッチを広く使われ早大ゴールまで迫られるが、平田周の好守もあり失点は許さない。膠着状態が続く中、66分、MF安斎颯馬(社2=青森山田)のCKから神橋が高い打点で合わせるも、叩きつけたヘディングは相手GKに阻まれてしまう。しかしその直後、遂に試合の均衡が破られる。再びCKのチャンスを得ると、安斎のキックに駒沢が飛び込む。相手にクリアされる前にボールに触ると、最後は体ごと押し込み先制に成功する。「ごちゃごちゃしていてあまりよく覚えていないが、自分のところに来たので押し込んだ」と駒沢。ここ数試合、先にリードされる展開が続いていた早大にとって、待望の先制点となった。その後は1点を返すべく攻撃のギアを上げてきた筑波大に押し込まれる時間が続くが、誰一人として気持ちで負けることなく、粘り強く戦い続ける。後半アディショナルタイムにはCKから相手にフリーで合わせられるが、平田周が執念のセーブを見せチームを救う。そのまま1点リードを守り切った早大。残留へ向け、非常に価値ある勝ち点3を手にした。

応援に駆けつけた部員たち。外池監督は「声援を含め、いろいろ後押しで自分たちに勇気を与えてくれた」、今節キャプテンを務めた平田も「応援の力は大きかった」というようにア式一丸となり掴んだ勝利であったようだ

 3試合前、難敵・桐蔭横浜大相手に勝利を収めた中、その勢いを持続できずに連敗を喫した。それでも、「こういう難しい厳しい状況の中で、みんなが前を向いていた」(外池監督)と決して諦めることなく向き合い続けてきた。その結果つかみ取った今節の勝利。ピッチで戦い続けた選手はもちろん、ベンチから鼓舞し続けたメンバー、スタッフ、そして「応援の力は大きかった」(平田周)、「11人だけじゃなくてベンチ、観戦含めて全員で戦えていた」(駒沢)と平日の夜にも関わらず筑波の地まで駆け付けた部員一同、観客を含めた、文字通り「ア式一丸」となって呼び込んだ一勝と言える。また結果だけでなく内容としても、今季初のクリーンシートでの勝利に加え、数少ないチャンスを確実にものにするという今の早大の課題を一つ克服できた試合となった。しかしここで一息ついている暇はない。土曜日には順大、そして次週には流通経大との残留争い直接対決が控えている。何が何でも勝たなければならない試合だ。「我々だけじゃなくて相手、順大も流通経大も本当に必死に来ると思う」と外池監督。その一戦の勝敗が雲泥の差となる残り3試合。今節、「ア式一丸」という生み出した勢いを継続し、必ず「1部残留」を成し遂げたい。

(記事 髙田凜太郎 写真 渡辺詩乃、水島梨花)

 

早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK ◎平田 周 スポ4 東京・国学院久我山
DF 24 西尾 颯大 スポ4 千葉・流通経大柏
DF 平瀬 大 スポ4 サガン鳥栖U18
DF 27 神橋 良汰 スポ2 川崎フロンターレU18
DF 安斎 颯馬 社2 青森山田
MF 小倉 陽太 スポ3 横浜FCユース
MF 10 植村 洋斗 スポ3 神奈川・日大藤沢
MF 15 森 璃太 スポ3 川崎フロンターレU18
→85分 30 松尾 倫太郎 人2 千葉・八千代
MF 平松 柚佑 スポ3 山梨学院
→90+3分 伊勢 航 社2 ガンバ大阪ユース
MF 33 小松 寛太 教2 東京・早実
→67分 20 水野 雄太 スポ4 熊本・大津
FW 18 駒沢 直哉 スポ2 ツエーゲン金沢U18
→89分 奥田 陽琉 スポ3 柏レイソルU18
◎=キャプテン
監督:外池大亮(平9社卒=東京・早実)
関東大学リーグ戦1部 順位表
順位 大学名 勝点 試合数 得点 失点 得失差
明大 41 19 13 2 38 22 16
東京国際大 38 19 11 38 14 24
桐蔭横浜大 35 19 11 34 19 15
法大 32 19 28 27
筑波大 31 19 25 18
東洋大 30 19 29 19 10
拓大 28 19 33 30
国士舘大 26 19 31 22
流通経大 17 19 10 23 51 −28
10 駒大 16 19 11 20 37 −17
11 早大 14 19 11 14 31 −17
12 順大 10 19 13 14 37 −23
第19節終了時点
コメント

外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)

――降格圏脱出に向けた希望となる勝利を収められましたが、今の率直な気持ちをお聞かせください

 本当にこういう難しい厳しい状況の中でもみんなが前を向いていました。置かれている状況の中で課題と向き合いました。短い時間の中でしたが、前向きな試合だったなと思います。

――得点後にはピッチにいる選手がスタンドに飛び込み、ア式全体でゴールを喜んでいられました。まさに部一丸となり掴んだ勝利と言えるのではないでしょうか

 こないだの桐蔭横浜大の試合もそうだったのですが、チームとして成長しているなと実感できました。試合の勝ち負けで左右されることは往々にしてあると思いますが、そこが崩れていないというのは改めて今日感じましたね。ここにきて4年生たちが力強く、今日初先発だった周(平田、スポ4=東京・国学院久我山)もそうですし、これまで出場機会がなかった中でこの時のために頑張ってきたということを感じさせられるような試合でした。

――筑波大への対策、連戦での疲れなどでメンバーを交代したとのことですが、先ほど平田選手についてのお話もあったように上手くいったなという印象ですか

 グラウンドも結構固かった中で、やることをシンプルにしていこう、守備から入ろうというところでした。前半で失点をする試合が多かったので、そこをどう自分たちで築きあげるかという意味では、そういったメンバーを含めたかたちを取れたので、ゲームプランとして狙い通りでした。

――先制点を奪い、そのままリードを保ったという展開でしたが、勝てた要因はどこにあったとお考えですか

 本当に最後の最後まで粘り強くいった部分ですね。前半、風下でちょっと難しいなと思っていましたが、そこを乗り切れたのが全てかなと。後半、風上になって声援を含め、いろいろ後押しで自分たちに勇気を与えてくれました。奮い立たせてくれたと思います。このラスト4試合の中でこのような試合をできたというのは収穫です。しかし、この後とても重要な試合が待っているのでみんなにも言いましたが「喜びたいけど、兜の緒を締めて、『勝って兜の緒を締めよ』という言葉通り、残留を成し遂げるまでしっかり向き合っていこう」という話はしました。

――順大、流通経大との直接対決も控えていますが、次節以降に向けて意気込みをお願いします

我々だけじゃなくて相手、順大も流通経大も本当に必死に来ると思います。それが大学サッカーの面白さであります。我々はそのような中に置かせてもらって、自分たちが成長していく、本当に厳しい環境こそさらに成長できる舞台だと思っています。自分たちのやってる手応えや成果を表現できる力を今日証明できました。また中3日で試合ですが、また良い準備をして土曜日を迎えたいと思います。

平田周(スポ4=東京・国学院久我山)

――今の率直な気持ちをお願いします

 ほんとに嬉しいです。一方で、他会場以上の結果も出てますし、全然まだ油断できない状況だなというのはあります。次の試合に向かってという感じです。

――関東リーグ初スタメンとなりましたがご自身のプレーを振り返っていかがですか

 多くは語りませんが、昨年の関東リーグ第一節で初めてメンバー入りしました。その時から自分が出る準備はできていたので、今日も自分が準備してきた通りというか、やってきたいつも通りのプレーをやるだけでした。あまり気持ちも昂るとかもなく、いつも通りの感じで入れました。最初はいくつかピンチがあったのですが、そういったところも冷静に対処できたのはよかったかなと思います。

――試合全体を振り返ってください

 苦しいゲームでしたが、フィールドの選手が守備の面でよく走ってくれましたし、ハードワークが最後の得点や粘り強い守備につながったかなと思います。自分はやはり守備の人間なので、前の選手の追い込みなどの一つ一つに感謝したいです。

――今日の応援の熱量は凄まじかったですが、スタンドの応援は力になりましたか

 応援の力は大きかったです。ずっと応援はいい雰囲気でやってくれていて、後期は特に応援に来てくれる回数も多かったです。その中でなかなか結果出せないとか、仲間たちと一緒に喜べないのは、すごく歯がゆかったので、来てくれた時に自分たちが結果を出せたのはよかったです。

――ご自身にどのような役割を果たすことが求められたとお考えですか

 1番はやはり喋るところだと思います。特に自分たちは前半の初めの方に失点してしまうことも多かったですし、それも同じようなパターンというか、毎回毎回やろうとしてきたことをやりきれなくて、同じように失点してしまうということが多かったです。しっかり後ろから自分が統率するという意味での声とかは今日応援も両校すごくて、なかなか伝えられたかどうかはわからないんです。自分がいかにアプローチできるかや雰囲気を作り出せるかっていうところは一番の役割だったかなと思います。

――ラストシーズンとなる関東リーグも残すは3試合となりました。今後に向けた意気込みをお願いします

 チームは絶対に残留するという形で、何がなんでも後ろは守るという思いです。勝ち点3につなげる、0に抑えれば勝ち点1でも奪えます。そこは徹底して、残留にするためのプレーというか、より残留に近づけるようにチームを持っていけたらなと思います。個人的にはいつも通りに。トレーニングマッチと同じように、公式戦だから特別なことは特にないし、僕は仕事を淡々とこなすような感じなので、安定して自分が仕事をできてチームに貢献できればいいなと思います。

駒沢直哉(スポ2=ツエーゲン金沢U18)

――待望の勝利となりましたが、率直な気持ちは

 まずしっかり勝てて嬉しいという気持ちと、またすぐ連戦があるのでしっかりそこも勝利して残留したいという感じです。

――ゴールシーンを振り返ってください

 今日は試合を通して少ないチャンスでセットプレーはいっぱいありました。どこかで絶対自分が決めてやるという気持ちでやった中で、安斎(颯馬、社2=青森山田)がすごいいいボール蹴ってくれて。ごちゃごちゃであんまりよく覚えてないのですが、自分のところに来たので押し込みました。

――ゴール後には、スタンドに飛び込み、揉みくちゃになり喜んでいる様子も見られましたね

 早稲田はリーグ3勝しかできてないんですが、その3勝とも部員観戦がある時でした。今日は本当に声出し応援もあって、すごい力になりました。やはり決めた後はあっち(スタンド)にいっちゃいますね(笑)。

――桐蔭横浜大戦以降はストライカーとして結果が残せていると言えるのではないでしょうか

 シーズン通してみれば全然ですが、今3勝した中でその3試合とも自分が点決めて、ストライカーとして仕事はある程度できてるなという自覚はあります。この自信をもっと強く持って、これからの試合も自分のゴールで勝利させたいなと思います。

――調子が上がっている要因は

 ほんとにやることがハッキリしているというか。チーム全員が勝利という同じ方向に向かって一致団結できている中で自分はFWとしての役割を集中してやれてるのがこの結果につながってると思います。

――今季5ゴール目となりました。目標の10ゴールまで残り5ゴールですが

 難しいかもしれないですが、もちろんそこは貪欲にやっていきます。もちろん今はゴールより残留のための勝利が求められます。そこに自分のゴールで携われたらなと思います。

――次節以降への意気込みをお願いします

 本当に今日11人だけじゃなくてベンチ、観戦含めて全員で戦えていました。この勢いを止めずに。まだ早稲田連勝できていません。そこは課題だと思うので、次の試合大事になってくると思います。

※掲載が遅くなり申し訳ありません。