連続失点から2点取り返すも 連勝ならず

ア式蹴球男子
第96回関東大学サッカーリーグ戦 1部 第18節
早大 1-3
1-0
国士舘大
【得点】
(早大)45’東 廉、58’駒沢 直哉
(国士舘大)05’東條 敦輝、15’森田 礼、19’弓場 堅真

 待望の後期リーグ初勝利を手にした前節。早大は降格圏内を脱し、「残留」を確かなものとするため連勝がかかった一戦に臨んだ。迎えるは総理大臣杯覇者の国士舘大。「試合巧者」とDF神橋良汰(スポ2=川崎フロンターレU18)が評するような相手。ゲームを掌握する先手を打つことが鍵となる。しかし、試合開始直後から相手のペースに飲み込まれ、3失点と窮地に追い込まれてしまう。一方、早大は失点後も気を落とすことなく、チャンスを伺い続けた。前半終了間際の45分にMF植村のロングスローのこぼれ球にMF東が合わせ得点。後半に入ってからも攻撃の手を緩めず、58分にも前節2得点を奪ったFW駒沢直哉(スポ2=ツエーゲン金沢U18)がヘディングでゴールに押し込み1点を追加した。そのまま追加点を奪えずホイッスル。今季初の連勝とはならなかった。

 

前節・桐蔭横浜大に続きスタメン出場となった東。1点を奪う活躍を見せた。ゴールシーンを振り返り「ボールが来てフリーだったので、ちゃんと決めきれて良かった」としたものの「1点決めた後すぐに2点、3点を取って勝ちきれなかったのは反省していきたい」と口にした

 試合開始直後から国士舘大が攻撃を仕掛けてくる中、5分、カウンターから先制点を奪われてしまう。一方、早大はなかなか敵陣に侵入できず攻撃のチャンスを与えてもらえない。15分にコーナーキックの折り返しにDF森田礼(国士舘大)がヘディングで合わせ、得点。点差を2点に広げられてしまう。その後も何度か相手に決定機が訪れるも体を張ったプレーで阻止し、国士舘大の猛攻に耐え続ける。19分にもMF弓場堅真(国士舘大)にダイレクトシュートを打たれ、再び失点。3連続得点を許す結果に。しかし、「失点した後の切り替え、声をかけて 『やっぱり行くぞ』、『取り返すぞ』という気持ちが全体で出ている」(神橋)と言うように、早大は失点後も気持ちを落とさずゴールに挑む。迎えた45分、MF植村のロングスローが相手のヘディングに当たったこぼれ球を、MF東がシュート。ボールはネットに吸い込まれた。1点を返したところで前半終了のホイッスル。2点を追いかける展開で後半を迎える。

 

2試合連続スタメン出場の神橋。「コーナーキックからなど自分の武器であるヘディングでチームの勝利に直接的に貢献できなかったのは個人的な課題」と語る。Jリーグ内定を決めているセンターバック陣について「刺激であり、越えなくてはいけないライバルである」とし、更なる成長への意欲を高めている

 更なる追加点を奪いたい早大は後半開始からボールを保持し、多彩な攻撃で相手ゴールに迫る。47分には、MF山下雄大(スポ4=柏レイソルU18)がゴール前に送ったパスにFW駒沢がダイビングヘッドするも惜しくもポストへ。その後も、国士舘大を押し続けるものの1点を奪えず。状況が変わったのは58分。MF安斎颯馬(社2=青森山田)のクロスにFW駒沢が合わせてゴール。1点差に詰め寄る。68分には、MF植村に危険なスライディングをした国士舘の選手にレッドカードが出され、退場。これにより早大は数的優位となり、攻勢を強める。しかし、外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)が「相手が10人になって自分たちが逆に意識がバラけてしまった」と語ったように果敢にゴールに迫るも得点を奪えない。フリーキックから直接ゴールを狙ったMF山下、MF安斎のシュートもバーに跳ね返される。FW駒沢を中心に攻め続けるが得点には至らず。同点に追いつくことができないまま2ー3で試合を終えた。

今節、何度もチャンスを作りゴール手前まで迫った安斎。2点目となった駒沢の得点のアシストも演出した

 前節からスタメンを変えずに挑んだ今節。勢いそのままとは言い難いものの得点を奪ったのは前節スタメン復帰を果たしたFW駒沢と2戦連続の起用となったMF東だ。外池監督も駒沢を「この3試合で非常に大きく成長した」、東を「彼のような選手がいることが今のチームにとって大事」とそれぞれを賞賛した。今節、負けこそしたものの2試合連続で複数得点を奪うなど得点力という部分に関しては確かな手応えを得ただろう。また、失点後に崩れるという場面もここ数試合では見られず、精神面での成長も予感させる。「本当に負けられないです。早稲田として今は残留というところを目標に掲げていて、早稲田を2部に落とせないので誇りを持ってやりたい」(神橋)、「5試合というのは本当に重たくて厳しいものですが、そのこと自体は部員や選手たちにとっては大きな成長というか大きな経験になっていくと思う」(外池)と選手・監督共に現状を受け止めつつ、前を向いている。残り5試合。残留へは勝利が必須になってくる。今こそ「愚直」に試合へ挑み、ア式の真髄を見せる時だ。

(記事 水島梨花 写真 髙田凜太郎、熊谷桃花)

 

早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK ヒル 袈依廉 スポ2 鹿児島城西
DF ◎平瀬 大 スポ4 サガン鳥栖U18
DF 12 藤本 隼斗 スポ3 柏レイソルU18
DF 24 西尾 颯大 スポ4 千葉・流通経大柏
DF 27 神橋 良汰 スポ2 川崎フロンターレU18
MF 安斎 颯馬 社2 青森山田
MF 10 植村 洋斗 スポ3 神奈川・日大藤沢
→79分 平松 柚佑 スポ3 山梨学院
MF 11 西堂 久俊 スポ4 千葉・市船橋
→56分 20 水野 雄太 スポ4 熊本・大津
MF 19 東 廉 スポ2 清水エスパルスユース
→70分 17 本保 奏希 スポ1 JFAアカデミー福島
MF 31 山下 雄大 スポ4 柏レイソルU18
FW 18 駒沢 直哉 スポ2 ツエーゲン金沢U18
◎=キャプテン
監督:外池大亮(平9社卒=東京・早実)
関東大学リーグ戦1部 順位表
順位 大学名 勝点 試合数 得点 失点 得失差
明大 38 17 12 2 36 17 19
東京国際大 35 17 10 37 13 24
東洋大 30 17 5 29 17 12
桐蔭横浜大 29 17 32 19 13
筑波大 28 17 24 17
法大 28 17 26 27 −1
拓大 25 17 30 29
国士舘大 23 17 26 20
駒大 16 17 9 20 35 −15
10 早大 11 17 10 13 29 −16
11 流通経大 11 17 10 21 51 −30
12 順大 17 12 14 34 −20
第18節終了時点
コメント

外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)

――前節、桐蔭横浜大に勝利した中での一戦でしたが、どのようなことを考えて臨まれましたか

 (桐蔭横浜大戦は)非常に良いかたちで勝てて、サッカー的なことだけじゃなくてチームとして組織としてやってきたこと、課題に対して向き合って取り組んできたことが本当に大きな成果となりました。そこに関しては、非常に良かったのですが、ただ同じことをすれば勝てるわけではないです。また挑戦していこうという新たなモチベーションの部分が大事になってくると思ったので、まずはコンディションのところと新たなモチベーションのところを意識して臨みました。

――良い流れで臨めた中、序盤から3失点をしてしまったことの要因はどのようにお考えですか

 ここに関しては本当に難しいです。自分たちも入りというところは意識していました。最初入りを気をつけようと思う分、やはり目に見えない疲労、やってやろうという気持ち、体が動いていなかったことが目に見えていました。もう一個自分たちのリアルな姿を持ってゲームに入っていくと言う必要があったと思います。相手のスーパーゴールも含めて相手の勢いを止められなかったというのは、あの時間帯、15分くらいがもったいなかったと思います。

――今日も西堂選手(久俊、スポ4=千葉・市立船橋)と安斎選手(颯馬、社2=青森山田)の位置を入れ替えながらの試合運びでしたが、どういった意図がありましたか

 まずは相手の3番の望月海輝選手がストロングなので、そこを安斎と藤本(隼斗、スポ3=柏レイソルU18)という守備に力のある2人で対応しようというところでした。ただファーストプレーとかでロングスローなどもったいないプレーを与えてしまって、そういうところから一つ押し込まれる要因があったと思います。そこはなかなか上手くいかなかったなというところはあります。逆に3失点をしてからは良い意味で割り切って、もう1回攻撃的に行こうというところの意図をみんなが汲んで、持ってる力はその後出せたと思います。

――3失点した後、東選手(廉、スポ2=清水エスパルスユース)のゴールで1点を返しました。ここ2試合先発で出場している東選手のプレーは監督にどのように映っていますか

 彼は相手を見てプレーできる選手であり、常に目的がはっきりしています。非常にチームの流れを攻撃的にしていくスイッチやポイントを作れる選手です。本当に彼のような選手がいることが今のチームにとって大事だと改めて思いました。(今日の得点は)セットプレーからでしたが、我々の新たな武器に対し、セカンドボールに反応できたことも自信にしてもらえればと思います。

――東選手のゴールをきっかけに後半開始からもう一段階ギアを上げて攻撃に転じられましたが、ハーフタイムにはどのような指示をしましたか

 2点差になり、サッカーの2点差が怖いということはみんな分かっているので、一つ返せれば空気が変わるよという話をして送り出しました。

――ここ2試合複数得点とチームとして攻撃の部分で成果が出ていると思われます

 本当に後半開始早々から攻め込んでいましたし、特に右サイドのところで相手のウィークをつけていました。そこを徹底的にして、一個返せればもっと自分たちのかたちになっていくと思いました。応援部員も含めてチーム全体の盛り上がりも生まれると思ったので、いけるんじゃないかなという気持ちにはなりました。

――2点目を取り返すことはできましたが3点目、4点目を奪うには至らなかった要因は何だとお考えですか

  一つは相手が10人になって自分たちが逆に意識がバラけてしまったなというところです。引き続き右サイドを攻略してというところだったり、攻撃的なメンバー交代をしたものの、どうしてもこういった状況だから(点を)取りに行くというより取れるはずだという重しになっていたようにも見えました。そこはこちらが逆にバランスを崩してしまったのではと思っています。

――今日もゴールを奪った駒沢(直哉、スポ2=ツエーゲン金沢U18)選手は、FWとしてまた一つ成長した部分があるのではと思いますが、監督にはどう映っていますか

 ゴールもそうですけど、攻撃の起点を作ったり周りとの関わり方もかなり良くなってきたので、この3試合で非常に大きく成長した選手なのではと思います。

――残留に向けてここからの試合への意気込みをお願いします

 いや、もう後5試合。一つ一つ関東大学サッカーリーグの1部という舞台をかけて戦っていきます。5試合というのは本当に重たくて厳しいものですが、そのこと自体は部員や選手たちにとっては大きな成長というか大きな経験になっていくと思います。その機会にまずは前向きにかつ上向きに取り組んでいけるように自分としてはそういう環境を作っていきたいと思っています。

神橋良汰(スポ2=川崎フロンターレU18)

――本日は惜しくも敗戦となってしまいましたが、神橋選手自身振り返ってみていかがですか

 3連戦の最後の試合ということでみんな疲れはありました。ただ前節勝っていた中で、勢いを持って連勝というのはチームとして目指していました。しかし、(相手が)試合巧者というところもあり、前半で3失点したことはやはり僕ら守備陣の責任だと思います。後半相手が退場してから、数的優位の状況を生かして勝利に持ち込めなかったというのは課題かなと感じています。僕もコーナーキックからなど自分の武器であるヘディングでチームの勝利に直接的に貢献できなかったのは個人的な課題かなと思います。

――前半3失点を立て続けにしてしまい、修正しきれない中でやられてしまったところが見受けられたのですが、ディフェンスラインから見ていてどのように映りましたか

 前半で1失点してから2失点目までが早かったですし、1失点目が早かったというのは自分たちを苦しめたなというのが一つあります。前半、相手の勢いに完全に飲まれたというのがありました。しかし、後半というか前半の最後の方に1個取り返せたのは早稲田として大きかったですし、後半の入りも早稲田としては良かったです。(相手が)退場したことは大きかったので、そこからある程度余裕持ってボールを保持できたのはよかったです。守備陣が声を切らさないというのは、大君(平瀬、サガン鳥栖U18)とずっと意識していました。そこは良かったものの、やはり点を取れない、数的優位の状況で点を取れなかったことは非常に勿体なかったと思います。

――3失点した中で、その後は相手にやらせずに神橋選手自身も守備のところで強みを生かせたと思いますが、自分自身のプレーについてはどのように評価されますか

 武器であるヘディングのところはゴールキックから絶対負けないぞという気持ちは強くありました。そこは大いに発揮できたかなと。自分自身はサイズがあるので本当に1個でも負けちゃいけないと思います。そこは絶対的な武器というか大学一の武器にしたいと思っています。自信を持って、対人の強さというところはもっと磨きをかけないといけないなと思います。

――ここ2試合ビハインドになった中でそこから一度切り替えて攻撃的にいこうというサッカーが早稲田は今できていると思います。何か切り替えられた要因や最近そういったサッカーができている要因などはありますか

 ここ2試合失点していますが、失点した後の切り替え、声をかけて「やっぱり行くぞ」、「取り返すぞ」という気持ちが全体で出ています。そういう声かけを全員で鼓舞しながらやるというところは全体で意識していますね。自分たちは最下位からのスタートだったので、「1点とられても食ってやるぞ」という気持ちは、チャレンジャーの気持ちでやれてると思います。

――平瀬選手やプレースタイル的にも似ている監物選手(拓歩、スポ4=清水エスパルスユース)といったJリーグに内定している同じポジションの選手からどのような刺激を受けていますか

 監物君は僕と(プレースタイルが)一緒なので、先輩に同じような選手というかスタメンに僕に似たような選手がいるというのは本当に大きな刺激です。そこを越さないとプロになれないのかなと思います。大君とか監物君は自分がベンチにいても、ベンチから見ていて本当に頼もしいです。振る舞いから2人ともかっこいいのですね。2人がどう思っているのかは分からないですが、刺激であり、越えなくてはいけないライバルであると自分は感じています。自分もずっとベンチでした。しかし、監物君がいない分チームとしてマイナスにならないような自分が思うプレー、監物君以上のプレーができるぞというのを自分が証明しなければならないです。そこは良い準備をしてやらないといけないなと思います。

――最後のミーティングではどのようなことが伝えられましたか

 3連戦で疲れがある中でというのもありました。今回の試合を通して来週またミーティングをして修正していこうという話になっています。本当に早稲田として下の方にいて負けられない、勝ち続ける準備について次の相手は法政なので、そこに向けてという話でした。

――残り5試合に向けての意気込みをお願いします

 本当に負けられないです。早稲田として今は残留というところを目標に掲げていて、早稲田を2部に落とせないので誇りを持ってやりたいです。個人的にも自分の武器であるキックだったり、対人のところを発揮したいです。得点だったりやらせないところ、無失点かつ複数得点で勝つというのを目指しています。本当に負けられないので勝ち続けられるようにみんなで準備していきたいと思います。

東廉(スポ2=清水エスパルスユース)

――シーズン序盤に出場してからなかなか出られない期間が続いた中でのここ2試合の起用だったと思いますが、出られなかった期間に考えていたことは何かありますか

 出られなかった期間は大体怪我をしていました。その期間に、1回試合に出てから感じた、関東でやっていくためのフィジカルのところ、戦える体づくりだったりをこだわってやっていました。チームがなかなか勝てない状況で自分が出てやってやろうというのはずっと思ってやっていました。今日は負けてしまいましたが、出場し始めたのでもっとチームに貢献できるようにしていきたいなと思います。

――ご自身に任されていた役割についてどう分析されていますか

 自分が監督に使ってもらっている理由としてはやはり得点の部分だと思います。これまで得点が早稲田はあんまり取れていません。そこの部分を自分は監督に求められていると思います。フィニッシュ、アシストっていうのはこだわってやっています。

――今シーズン初ゴールを決められましたが、振り返っていただけますか

 ロングスローのこぼれるところはいつも狙っています。ボールが来てフリーだったので、ちゃんと決めきれて良かったなっていうのはあります。1点決めた後すぐに2点、3点を取って勝ちきれなかったのは反省していきたいなって思います。

――前半3失点となりましたが、ピッチではどのような声かけをして切り替えられましたか

 前節から自分たちは立ち上がりのところでペースが掴めなくて、失点を重ねてしまっています。そこで折れないで、気持ちを持ち続けて、自分たちのペースの時に絶対に折り返してやろうというふうには思っていました。

――ここ2試合出場して感じた自分の手応えや課題はどのように考えていますか

 自分の特徴は今トップ下をやっていて相手のボランチの背後のバイタルのスペースでボールを受けて前を向けるところだと思っています。手応えとしては、そこで攻撃の起点になるというのは少しづつ出来ているなと思っています。しかし、そこで前を向いた時に展開するだけじゃなくて、シュートまで持っていって得点まで繋げていくというのをもっとこだわってやっていきたいです。

――最後に次節以降への意気込みをお願いします

 今10位で、一つ上の駒澤大学と勝ち点が5も離れています。あと5節しかない状況です。勝ち続けていくしか残留の道はないと思うので、自分は結果を残して、チームの勝利に貢献できるように頑張りたいと思います。