2試合連続4失点で連敗 降格圏を脱せず

ア式蹴球男子
第96回関東大学サッカーリーグ戦 1部 第15節
早大 0-1
0-3
明大
【得点】
(早大)なし
(明大)04’太田 龍之介、53’中村 草太、59’林 幸多郎、73’熊取谷 一星

 後期リーグ3戦目となる明大戦。キャプテンマークをつけるDF鈴木俊也(商4=東京・早実)が負傷したことも重なり、先日の駒大戦では大敗するなど暗雲が垂れ込んでいる。1部残留へ向けなんとか勝利をもぎ取りたい早大は明大との一戦に臨んだ。

 

前期法大戦(●6月18日)以来の公式戦出場となった西堂。前期はケガ、不調に悩まされた。後期チームを救う存在となるか注目

 開始わずか4分、田中克幸(明大)からのクロスに合わせた太田龍之介(明大)のシュートで失点を許してしまい幸先の悪いスタートを切った。その後、一進一退の攻防が続き、早大はボールを持つ場面も多く見られるが攻めあぐねる。21分、ディフェンスラインの背後へのパスにMF安斎颯馬(社2=青森山田)が抜け出し、シュートを放つが相手DFに防がれてしまう。DF藤本隼斗(スポ3=柏レイソルU18)が明治のカウンターを防ぐなど粘り続け、失点を1点に抑えるがなかなかシュートへつながるチャンスが得られない。前半終了間際には、MF植村洋斗(スポ3=神奈川・日大藤沢)が敵陣深くに攻め入りCKを獲得するが、決めきれず前半を1ー0で終了する。

今季開幕戦の筑波大戦(△4月3日)以来の出場となった光田。後期は出場機会を増やし、チームの中で輝きを放つか

 1点を追う後半。立ち上がり53分、中村草太(明大)にペナルティエリア内でフリーでボールを持たれ、追加点を奪われてしまう。試合開始直後にゴールを決められた前半と同じ展開を後半でも迎えるという波乱の幕開け。なんとか追いつきたい早大は56分にMF西堂久俊(スポ4=千葉・市船橋)とFW駒沢直哉(スポ2=ツエーゲン金沢U18)など攻撃のカードを切る。しかし、58分にGKヒル袈依廉(スポ2=鹿児島城西)のファウルでPKを献上。ここは林幸多郎(明大)に落ち着いて決められてしまう。3ー0と後がない早大は小倉陽太(スポ3=横浜FCユース)に代わり、山下雄大(スポ4=柏レイソルU18)を投入するが、63分にも中村のクロスに合わせた熊取谷一星(明大)のヘディングで本日4得点目を決められてしまう。大量失点でチームに暗い雰囲気が漂う中、明大がボールを持つ時間が増え、なかなか早大は主導権を握らせてもらえない。明大のシュートチャンスが増え何度も危ない場面が見られるが、ヒルの好セーブや相手のミスに助けられる。84分、ようやく光田脩人(スポ2=名古屋グランパスU-18)がミドルシュートを放つが枠を捉え切れない。試合終了間際にはCKを獲得し、安斎から平瀬大(スポ4=サガン鳥栖U-18)のヘディングにつながるが、ゴールネットを揺らせず4ー0で大敗を喫した。

前期、後期とほとんどの試合をスタメンフル出場している安斎は、チームにとって攻守ともに欠かせない存在だ。試合を振り返り、「もっと戦う姿勢というのを見せないといけない」と語った。

 前回の駒大戦に続き、点差をつけられ敗北した明大戦。外池監督が「みんなやろうとは思っていると思うが、試合に臨む気持ちが発揮できてない、プレッシャーや一つ一つのコミュニケーションがかたちだけになってしまっている」と言うように、負けが続く今季の中で十分に気持ちをプレーで発揮できない選手たちはもどかしい思いを抱えているだろう。「もう後がないので、本当に割り切って死ぬ気でやって、次の試合に備えていきたい」と安斎。思いをプレーで体現し、力を出し切り、勝利を手にできるか。1部残留へ向け、正念場を迎えている。

(記事 渡辺詩乃 写真 大濵愛弓、水島梨花)

 

早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK ヒル 袈依廉 スポ2 鹿児島城西
DF ◎平瀬 大 スポ4 サガン鳥栖U18
DF 監物 拓歩 スポ4 清水エスパルスユース
DF 24 西尾 颯大 スポ4 千葉・流通経大柏
MF 小倉 陽太 スポ3 横浜FCユース
→60分 31 山下 雄大 スポ4 柏レイソルU18
MF 平松 柚佑 社3 山梨学院
→67分 35 光田 脩人 スポ2 名古屋グランパスU18
MF 安斎 颯馬 社2 青森山田
MF 10 植村 洋斗 スポ3 神奈川・日大藤沢
→80分 25 福井 寿俊 文構2 国学院久我山
MF 12 藤本 隼斗 スポ3 柏レイソルU18
MF 22 平野 右京 人3 兵庫・滝川
→57分 11 西堂 久俊 スポ4 千葉・市船橋
FW 奥田 陽琉 スポ3 柏レイソルU18
→57分 18 駒沢 直哉 スポ2 ツエーゲン金沢U18
◎=キャプテン
監督:外池大亮(平9社卒=東京・早実)
関東大学リーグ戦1部 順位表
順位 大学名 勝点 試合数 得点 失点 得失差
明大 34 14 11 29 10 19
東京国際大 26 14 31 13 18
桐蔭横浜大 25 13 25 15 10
東洋大 23 14 24 14 10
筑波大 22 14 16 13
法大 21 13 14 14
拓大 19 13 23 20
国士舘大 18 14 18 13
駒大 14 13 15 27 −12
10 流通経大 10 14 15 39 −24
11 早大 14 24 −15
12 順大 14 10 26 −17
第15節終了時点
コメント

外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)

――鈴木選手(俊也副将、商4=東京・早実)が前節にケガされた中でフォーメーションなどチームとして変えた部分はありましたか

 人が変わったということで、チームとして変えた部分は特にないですね。

――この試合でチームとして狙っていた形とはどのようなものだったのでしょうか

 明治さんは当然強度が高い中で、我々の中で攻撃のポイントをどこに作るかという部分が1つ狙いとしてありました。守備の時は3で攻撃の時は4にして左のサイドでチャンスをつくれるようにという形でスタートしました。

――今日の試合は強度という部分については明治を上回ることができていなかったように伺えました。今後、強度という部分をどのように改善していかれますか

 駒沢戦を含めてセットプレーで早々にやられました。あれだけ注意していて、中々形にできていないというのはどちらかというと気持ちというか。やろうとはみんな思っているのですが、試合に臨むための気持ちというのがそこを発揮できていない。当然、色々なプレッシャーであったりだとはします。1つ1つのコミュニケーションが形だけになってしまっているというところだと思います。もう一度そこにしっかり向き合って、なんとなく整理するのではなく、根本的なところからしっかり戦う部分であったり、試合に臨むということに対しての認識を思う一度揃えて行きたいです。

――なかなか後がない状況までチームは追い込まれていますが、この状況にチームとしてどう向き合っていかれますか

 それはもうシーズンやってきての結果です。急にこの状況になったわけではないし、重なってきた結果であり、積み上げてきたものであります。そのこと自体にしっかり向き合っていく。1つ1つが現実でしかないので、そこに対して具体的に行動を作っていくところかなと思います。

 

※以下、囲み取材から一部抜粋

――山下雄大選手(スポ4=柏レイソルU18)を入れたところから4バックになったのですか

 攻撃としては常に4にしていたのでどちらかというと前の働きかけいう部分で、山下には期待しました。彼のボールに対して、ランニングできるような選手を左を中心に右も含めて前に置きました。点を取らなくてはいけなかったので、そのような形にしました。

――最後は4−4−2のように西堂選手(久俊、スポ4=千葉・市船橋)を持って行きましたが

 前にというとことと最後は3というか、ワイドももう1つ高い位置を取らせてのような形にしました。多少カウンターを受けるのような部分もありつつ。途中で出た西堂や光田(脩人、スポ2=名古屋グランパスU-18)は久しぶりの出場だったので、そのような選手たちが今後どのように戦っていけるコンディションであるのかという部分もありました。チャレンジしていかなくてはいけないと思い、挑みました。

――負けて得たものはどのようなものですか

 負けて得たものは、現実を突きつけられたメンタル的プレッシャーです。これは大学サッカーにおいて重要な部分であると思います。僕は大学サッカーは4年生だと思っています。4年生という集団がこの現実にどう向き合うのか、この後3年生たちに何を残せるのか。プロになっていくのか、社会に出ていくのかみたいな局面の中で問われてくるものがあると思います。そのような状況に対して声が上がってきているので、そこをサッカーで解決しようと今シーズンずっと取り組んできました。やはりサッカーだけでなく、人生、ア式としてどう向き合うのかというところ。それによって何かを見つければ、それは1つの大きな気づきというか、収穫になると思います。残り8試合そのようなところに対して行動、取り組みを作って行きたいです。

――前半、立ち上がりの部分は誤算だったと思います。その後は、やりたい形というのができていたのでしょうか。前半自体の評価いかがでしたか

 前半自体はセットプレーに対する対応、修正を含めて非常にタフに戦っていたと思います。その形をもう1つアップデートするという形で後半入りました。そういった意味では、後半は守備時は5、つまり3バックでなく攻撃陣も守備陣も4バックとしてやろうとなりました。攻撃の部分ももっとスッキリさせてということでした。その中で後半も早いタイミングで点を取られてしまい、自分たちの中で意気消沈しているところも感じられました。ゲームを作る、動かしていくという中でまだまだ4年生が引っ張り切れていない。3年生以下が追えているのか、信頼などの部分においてまだチームになり切れていないというところがとても大きいと思います。そこをサッカーというもので解決しても何も答えが出ず、何の形にもならないと思います。

――お話を聞くと、今日の試合では0ー1のまま我慢して行って、最後まで可能性が残るみたいな戦いができるという感じでしょうか

 そこがまだできていない。チームに対する責任、チームの一員であるという責任に落とし込まれていない。どうしても個人個人に依存しているなというところがあるので、そこの現実によってもう1つ明確にクリアになっていくのであれば、残り8試合が成長の機会、今年のチームの存在意義が出てくると思います。

平瀬大(スポ4=サガン鳥栖U18)

※囲み取材から一部抜粋

――今の率直な気持ちは

勝たなきゃいけないという中で4-0に終わって不甲斐ないです。

――自分の中でのポイントは

中2日で、セットプレーからの失点を改善できなかった、そして流れを取られてしまったことそれがいけなかったです。

――サガン鳥栖に内定が決まった中で、早稲田を残留させてより上の順位にさせるということが至上命題だと思いますが、その辺りはどのような思いがありますか

まだ早稲田の学生ですし、とはいえ鳥栖の一員として結果を残さないといけないです。もっともっとチームを上に持っていかなきゃ鳥栖でも出れないと思います。そういったところは意識してやっているつもりですが、まだ全然勝てていません。このままでは鳥栖でも出れないで終わってしまうので、残り8試合少しでも上の順位で終われるようにやっていきたいと思います。

植村洋斗(スポ3=日大藤沢)

※囲み取材から一部抜粋

――失点が早い段階であったところが悔やまれると思いますが、いかがですか

 前節も駒沢大相手に、セットプレーで失点しました。中2日でセットプレー大事にしようっていうところで、今日もセットプレーでやられました。前半はそのセットプレーで失点がありましたが、内容的には悪い内容ではなくて、巻き返してました。しかし、やはりそこから2失点目で、自分たちの中で集中が切れて、自分たちの弱さが出て4失点という結果になったかなと思います。

――中盤で前に持っていくところがキーポイントだと感じましたが、そこからどう展開しようとしていましたか

 今日は自分のところも中盤のところもマンツーマン気味で、なかなか剥がして、というのが出来ず。うまく前に進んでいくっていうのが今日全然出せませんでした。後ろで回しているのが精一杯であったり、そこで自分がプレッシャーがあっても(相手を)剥がして持っていかなきゃいけないと思いました。

――後半では明治らしさが出ているように感じましたが、前半と後半で違いはありましたか

 明治さんがギア上げてきたのもそうかもしれないが、自分たちが落ちていったっていう方が今日の敗因かなと思います。

――点を取るに足りなかったポイントは、植村選手以外にはどんなところだと思いますか

 まずは自分が(相手を)剥がして、前に進んでいく。やはり足元だけじゃなくてプレッシャーが来てるなら、背後の動きをもっと増やすだとか、運動量の部分をもっと出していかないと明治のような強度のあるプレーはできません。そこをもっと出していかなきゃいけないと思います。

――チームとしての成績が振るわない中、10番という背番号に責任感は感じていますか

 3年生で10番を任されて、チームとして降格圏にいる中で降格する10番という見られ方もします。自分が苦しい状況で何が出来るか、残りの8試合大事になってくると思うので自分の中で切り上げてやっていくしかないかなと思います。

藤本隼斗(スポ3=柏レイソルU-18)

――スタート時のディフェンスの形について教えていただけますか

 フォーメーションは守備のときに5-3-2で、前からいくという感じで、サイドバックにでたときにトップ下がいくという形でありました。しかし、少し守備はあまりうまく機能しなくなってしまったので、4に変えたり、5で後ろに重たくなったり、あまりはっきりしない状態で点が入ってしまったなと思います。

――平野選手と縦関係になっていたかと思うのですが、その部分は意識されていましたか

 平野右京(人3=滝川高校)はやはりスピードが武器なので、自分があまりスピードっていう選手ではない分、うまく使うというところは最初から意識していました。そこは結構前半の最初の方はうまく使えていたのかなと思います。

――個々の能力が高い明大の前線をどのようにおさえようと考えていましたか

 結局、その個のところであったりというので、ひとつひとつが負けてしまうとやはり、最終的に失点につながってしまうこともあります。そこはディフェンスラインがひとりひとりをつぶす、勝つということはしっかり意識していました。また、その中でもチームとして5バックで守備が多いなかで、ひとりが抜かれてもカバーをして、周りで仲間でつながりながら守備をしようと思っていました。

――4失点と大敗を喫しましたが、敗因について藤本選手はどのように考えられていますか

 自分が思うのは、本当に失点の早さであったり、失点した後の立ち振る舞いというところです。やはりみんな落ちてしまうところもありましたし、そこで後ろの選手がもっと声を出したりすることが大事でした。戦い方を本当に一貫してできなかったということが4失点につながったと思います。そこは本当に自分たちが芯を貫いてというか、バラバラにならずに、チーム一丸で戦い続けるしかないと思います。

――残りの試合に向けて意気込みをお聞かせください

 本当にこのままだと、見せる顔がないです。自分たちがやらないといけない立場で、もっと全力でやらないと残留すらも危うくなっているので、チーム一丸となって、3年の自分も引っ張るくらいの気持ちでやっていかないとなと思っています。

安斎颯馬(社2=青森山田)

――チームとして狙っていたことは

 守備は5バック気味で(失点)ゼロに抑えて、カウンターとかで一発で、相手は首位で僕らはだいぶ勝てていないので、守りながら点を取ってというプランでした。前半開始早々で失点してしまったので、プランどうこうではありませんでした。自分たちの狙いは一つも出せなかったと思います。

――ディフェンス時には最終ラインまで吸収されていましたがどのような指示がありましたか

 攻撃は4バックで守備は5バックだったので、自分が一番下まで下がって、攻撃時になったら(前に)出るという戦術でした。

――シュートまでなかなか持ち込めなかった要因は

 前半は後ろではボールを持てたのですが、1個剥がした時に追い越した選手を追い越すプレーなどはありませんでした。1人抜けた時にもっと全体が押し上げて、追い越して追い越してということをやらないとシュートまではいけません。そこは今後もっと走るというところをフォーカスしてやらないといけないと思います。

――前期から得点力不足が課題に挙げられますがどう改善していきたいですか

 前線の選手としては点を取れないのは申し訳ないです。そもそもシュートまでいけていないので、戦術どうこうよりも目の前の1対1で負けないとかそういった戦うというところをやらないといけません。そうしないと点どうこうではないので、もっと戦う姿勢というのを見せないといけないと思います。

――今後への意気込みをお願いします

 もう後がないので、本当に割り切って死ぬ気でやるしかありません。10月は試合が続くので下も向いてられません。割り切ってまず次の試合に備えていきたいなと思います。