冷静沈着なプレーでチームを組み立て、自慢の左足から繰り出されるパスで戦局を一変させるア式の司令塔・山下雄大（スポ４＝柏レイソルＵ18）。来季、徳島の地でプロキャリアを始める。「自分で守れて、チャンスも作れて、点も取れて、やれることの幅が広い選手になっていきたい」と理想のプロ選手像について語った。彼のサッカーを創り上げた柏レイソルユース時代から現在に至るまで、山下のサッカー人生に迫る。
関東リーグ国士舘戦で前線へパスを送る山下
小学４年生の時に柏レイソルの一員となった山下。プロ選手になることを意識し始めたのもその頃。ユース時代はトップチームに昇格することを目標に練習を続けてきたが夢は叶わず。しかし、山下は下を向かなかった。悔しさを抱えつつも「大学を経由してプロになろう」とすぐに気持ちを切り替えた。「（足りなかったのは）プレーのスピード感かな。（トップと）混ざった時もありましたが、全然違いました。自分でまだまだだなと感じていました」と当時を振り返る。
山下は、現実的に進学先を考えた。選んだのは早大。高校でプロになれなかったという事実とプロへになることの不確実性を踏まえた将来を見越しての選択だった。ア式で成長した部分は「スタイルがバラバラな人と合わせて、お互いを生かし合うこと」。長年柏レイソルで１つのスタイルを貫いてきた山下にとって、様々なサッカー歴を持った人が集まるア式での活動は新鮮であった。新たな環境でも入学直後から頭角を表し、成長を遂げていく。
関東リーグ筑大戦でドリブルをする山下
９日、Ｊ２・徳島ヴォルティスが山下の来季新加入内定を発表した。クラブに評価された部分として「パス、止める、判断力」を挙げた。「判断力や基礎技術に加えて、前線への配給、局面を打開するパスやゴールに直結するパスが自分の強み」。山下は自身の強みが評価されプロ内定が決まったことに対し、確かな喜びを感じていた。しかし、同時に「守備、一人でボールを取り切る、ハードワークし続ける部分」に課題が残るとも述べる。「小さい頃から海外でプレーしたいという漠然とした目標がある」と大志を抱いている山下。彼は柏レイソルで培った実力とア式で学んだことを糧にし、プロの世界へ羽ばたいていく。
早関定期戦で味方へパスを出す山下
後期リーグの連戦が28日から始まる。10月は７試合が控えており、チームが残留、インカレ出場を決める佳境を迎えるだろう。前期はスタメンやベンチから外れる試合もあった山下。後期は初戦から出場機会を得ると、早関定期戦ではスタメンフル出場を果たし、チームに欠かせない存在であることを証明した。プロ内定を決め、さらに進化した山下がチームを救うのか、後期リーグ戦に注目だ。
（記事 水島梨花 写真 大幡拓登、湯口賢人、前田篤宏）
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2000（平12）年８月23日生まれ。179センチ。柏レイソルＵ18出身。スポーツ科学部４年。関東大学リーグで、１部通算50試合出場