遠い白星 勝ち越しゴールは奪えず3戦連続ドロー

ア式蹴球男子
第96回関東大学サッカーリーグ戦 1部 第8節
早大 0-1
1-0
駒大
【得点】
(早大)75’安斎颯馬
(駒大)30’仲田瑠

 未だ勝ち星がなく、最下位を脱出したい早大は第8節に臨んだ。相手は、リーグ戦11位(第7節終了時点)で、「非常に苦手としている」(外池大亮監督、平9社卒=東京・早実)駒大。「1週間、練習の積み上げなど勝つためにトレーニングしてきた」と語るのはMF安斎颯馬(社2=青森山田)。総得点が早大の次に少ない駒大との対戦では、いかに先制点を取れるかが鍵となった。前半22分、DF鈴木俊也副将(商4=東京・早実)からボールを受けた安斎がワントラップから冷静にシュート。ゴールネットを揺らすも、オフサイドの判定。すると前半30分、相手のフリーキックのこぼれ球をダイレクトで打たれると、コースが変わったシュートがGKヒル袈依廉(スポ2=鹿児島城西)の逆をつきそのままゴールに吸い込まれ、先制点を献上した。反撃したい早大は76分、安斎が左サイドでボールを受け、中に切り込みコントロールしたシュートで同点に追いつく。その後追加点が欲しかった早大だったが、チャンスを作るもゴールを決めきれず、1ー1で試合終了。今節も勝利を手にすることができなかった。

 

フリーキックから直接ゴールを狙うなど積極的な攻撃参加を見せた鈴木

 6月らしい蒸し暑い天気の中キックオフを迎えた試合は、立ち上がりからロングボールが多い展開となる。前半開始6分、安斎が中央で収めて、右サイドに展開。森のクロスにFW奥田陽琉(スポ3=柏レイソルU18)が合わせるもミートしきれない。19分、鈴木のコーナーキックのこぼれ球に森が詰めるが、キーパーの正面へ。均衡が破れると思われた場面となったのは22分。テンポのいいパス回しで、鈴木が左サイドに抜け出す。鈴木が折り返すと中央で待っていた安斎がワントラップから冷静にシュート。ゴールネットを揺らすも、早大の選手がゴールキーパーの視界に入っており、オフサイドと判定される。嫌な流れを断ち切れずに30分、相手のフリーキックのこぼれ球をダイレクトで打たれると、コースが変わったシュートがヒルの逆をつきそのままゴールに吸い込まれた。痛すぎる先制点を失うが「失点後もみんなチャレンジできていた。その失点に対してチームに影響があったとは感じていない」と監物拓歩(スポ4=清水エスパルスユース。追いつきたい早大は40分に絶好の位置でフリーキックを獲得する。鈴木が直接狙うも惜しくも枠の外に外れた。直後の41分、ディフェンスラインの裏に抜け出した水野がキーパーをかわしてシュートを打つもサイドネットに。そのまま0ー1で前半を終えた。

「思った通りの得点が取れた」という安斎。右足から放ったボールは美しい軌道を描いてゴールを射抜いた

 後半開始からMF西堂久俊(スポ4=千葉・市船橋)とFW駒沢直哉(スポ2=ツエーゲン金沢U18)を投入し、反撃に出る。57分、右サイドで相手を剥がした西堂のスルーパスに、安斎が反応。敵陣深くからクロスを上げるも相手DFにクリアされてしまう。流れを変えたい早大は68分、MF平松柚佑(社3=山梨学院)を投入し、外池監督が「元々、サイドでも中でもできる選手」と言及する安斎をサイドに移すというフォーメーションに変更。すると76分、安斎が左サイドでボールを受けると中に切り込む。右足から繰り出されたシュートは、美しい軌道を描いてゴールに突き刺さった。「シュートコースが見えたので思った通りの得点が取れた」と安斎は振り返る。やっとの思いで同点に追いつくことができた早大は、追加点の機会をうかがう。一方で78分、相手にも決定機が訪れるが、ヒルが好セーブを見せ得点を許さない。試合も終盤に入り、早大の攻撃が続く。83分、右サイドの裏に抜け出した駒沢がペナルティエリアでためてからシュートを打つも、惜しくも枠の左に外れる。86分には、安斎が左からペナルティエリアで仕掛けてシュートを打つが、ディフェンスにクリアされてしまう。試合は6分のアディショナルタイムに突入。試合終了間際、コーナーキックを獲得するも得点には至らず。最後までゴールに迫りながら追加点を奪えず、1ー1で引き分けとなった。

3試合連続の起用となり、終始安定したプレーを見せる4年DF陣。「自分たちがもっと支えて、良い雰囲気を作って、楽しめる環境を作りたい」と監物は語った。次戦、勝利の鍵となるか

 次節に向けて監物は「チームが勝てていないという難しい状況。全員がチャレンジできる環境を自分が作り出して結果というよりも、過程のところにこだわってやっていきたい」と意気込めば、安斎は「来週から前期最後の3連戦が始まる。まだ1勝もできていないが、この3つを勝って上位に食い込める強い早稲田を取り戻せるようにしていきたい」と語る。外池監督も「自分たちで自分たちのことを律するというような空気が出てきている。言葉にも表れてきた」と手応えはある様子。勝つ兆しは見えている。1週間の準備期間を設け、万全の状態で次節に臨む。

(記事 臼井恭香、写真 藤田珠江、水島梨花)

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スターティングフォーメーション

早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK ヒル 袈依廉 スポ2 鹿児島城西
DF 22 平瀬 大 スポ4 サガン鳥栖U18
DF 24 西尾 颯大 スポ4 千葉・流通経大柏
DF 40 監物 拓歩 スポ4 清水エスパルスユース
DF 42 ◎鈴木 俊也 商4 東京・早実
MF 森 璃太 スポ3 川崎フロンターレU18
→HT 11 西堂 久俊 スポ4 千葉・市船橋
MF 小倉 陽太 スポ3 横浜FCユース
MF 安斎 颯馬 社2 青森山田
MF 10 植村 洋斗 スポ3 神奈川・日大藤沢
MF 14 水野 雄太 スポ4 熊本・大津
→68分 平松 柚佑 社3 山梨学院
FW 奥田 陽琉 スポ3 柏レイソルU18
→HT 17 駒沢 直哉 スポ2 ツエーゲン金沢U18
◎=キャプテン
監督:外池大亮(平9社卒=東京・早実)
関東大学リーグ戦1部 順位表
順位 大学名 勝点 試合数 得点 失点 得失差
東京国際大 19 8 21 15
明大 19 16 10
東洋大 15 16
拓大 12 14 11
桐蔭横浜大 10 12 10
国士舘大 10
法大 10 11 −2
筑波大
順大 13 −6
10 流通経大 20 −12
11 駒大 19 −12
12 早大 11 −7
第8節終了時点
コメント

外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)

――今日の試合を振り返っての率直な気持ちをお願いします

 駒沢さんは、我々が近年、非常に苦手としている相手です。しかし、チームの状況としてはそのようなことは言っていられないです。なんとしても勝ち点3を取れるように先週の流通経大戦から反省と言いますか、自分たちの課題と向き合いながらやってきました。結果として追いついたという部分はよかったです。しかし、勝ちきれなかったという部分は無念というか残念な気持ちであります。

――安斎選手(颯馬、社2=青森山田)を中央に置いた意図や、期待したところはどのような部分にありましたか

 相手の長いボールが多かったです。セカンドをダブルボランチが回収して、そこからの早い攻めという部分が重要だと思っていました。サイドでなかなか消えてしまうよりかは、トップ下でその回収したボールの起点となれば、彼の推進力は出ます。今日はワイドに突破できる選手を配置しました。そことの組み合わせで、前4人でしっかり攻められるようにということで真ん中に置きましたね。

――後半途中から安斎選手をサイドに移したのは得点シーンのようなプレーを期待してですか

 そうですね。元々、サイドでも中でもできる選手です。だいぶ後半途中から我々がボールを拾えたり、押し込める時間が増えていました。左SBの鈴木俊也(副将、商4=東京・早実)の上がりと安斎がサイドにいくことで、中にプレーできるというところもありました。彼がサイドにいた方がもう1つ攻撃の厚みが広がります。真ん中でしっかりセカンドを拾えるようにということで、平松柚佑(社3=山梨学院)を入れて植村(洋斗、スポ3=神奈川・日大藤沢)を高い位置に置きました。その辺りが狙いとしてありましたね。

――交代枠を使い切らなかったところに何か理由はありましたか

 特に理由はないです。後半の頭から2人変えました。ある程度のその状況の中で、相手の時間の使い方など(ピッチの)中でもストレスはあったと思います。そういう中でしっかり凌いで、徐々に後半の半ばくらいからボールを持てるようになってきました。そういう意味で、交代したメンバーたちにはそこで実感や機能させるだけのパワーがありましたね。そこをやり切れるかどうかというところと安斎が得点を取ったことでその流れを継続したいなという思いがありました。そのようなことがあり、交代枠はたまたま3でした。

――次節に向けてどのような準備をしていきたいですか

 この1週間やってきた中で、4年生の覚悟や4年生がこのチームの担い手であるという自覚の部分であったり、自分たちで自分たちのことを律するというような空気が出てきています。それが言葉にも表れてきました。チームとして、しっかりそこの部分は変化しています。今年のチームとして生まれ変わろうとしている状況です。そのような意味では、そのエネルギーを持ってまた1週間過ごして、次の3連戦を迎えることができたらと思います。

監物拓歩(スポ4=清水エスパルスユース)

――復帰から3試合を終えましたが、個人としての手応えはいかがですか

 そうですね、チームとして勝てていないので素晴らしいとは言い切れないです。1年間サッカーができていなかったことに対しては、プラスに捉えていますね。あとはチームが勝てば十分かなと思っています。

――高さのある選手にボールを当てていましたが、ディフェンスラインではどのような声かけをしていましたか

 勝つ勝たないではなくて、自分たちのチャレンジする姿勢が一番大事だと思っています。そういうところの声かけを意識してやっていました。

――不運な形での失点となりましたが、チームとしてそれを引きずってしまったというようなことはありましたか

 失点後もみんなチャレンジできていました。その失点に対してチームに影響があったとは感じていないです。

――ここ3試合勝ちきれないという課題があると思います。その部分に関してはどのように思われていますか

 勝てないという現実はありますが、その課題に対してしっかり取り組む姿勢はチームとしてあります。その部分は素晴らしいと感じています。選手の雰囲気であったり、チャレンジする姿勢みたいなところは今まで以上に良いところを出せていると思います。自分は、結果にはそこまでマイナスな感じはなく、みんなの姿勢は素晴らしいなと感じています。

――先程、外池監督から「4年生を中心に自分たちを律するような空気感が出ている」というお話がありました。練習中などの雰囲気はいかがですか

 どうですかね。4年生を中心にできているかはわからないです。しかし、やはり3年生が頑張っている姿勢に自分たちは応えたいです。3年生がもっとチャレンジできる環境を自分たちで作っていきたいと思っています。そこに対して応えていきたいですね。

――次節に向けての意気込みをお願いします

 チームが勝てていないという難しい状況であります。全員がチャレンジできる環境を自分が作り出していきたいです。結果というよりも過程のところにこだわってやっていきたいなと思います。

以下、囲み取材より

――率直に今日の試合に向けてチームの試合前の雰囲気はいかがでしたか

 ここ最近の試合では1番良かったかなと思いますね。みんなが楽しむ姿勢であったり、チャレンジできる環境みたいなものは一番整っていました。何より勝利に向かおうみたいな姿勢が一番出ていた試合であったので、素晴らしかったと感じています。

――その分、今日あっと一歩というところで引き分けになってしまいました。試合のホイッスルなった瞬間チームの雰囲気はどのような感じになりましたか

 みんな勝てなかったという結果に対して悔しそうで少し落ち込んでいる選手もいました。しかし、そこに対して自分は特に負の感情はなかったです。全部出しましたし、チャレンジしましたし、自分たちがやりたいことを出し切りました。そこの部分がちょっと足りていなかったので、そこを改善して次の試合に臨めば良いだけです。落ちている選手も多少はいましたが、自分たちがもっと支えて、良い雰囲気を作って、楽しめる環境を作ることができたら良いなと思います。

安斎颯馬(社2=青森山田)

――今日の試合に入るまでこの1週間どのような準備をされてきましたか

 今勝てていない状態です。1週間、4年生を中心に練習の積み上げなど勝つためにトレーニングしてきました。しかし、まだそれが足りていない状況です。また来週、もっと積み上げていかなくてはいかないなと思います。

――今日のご自身のコンディションや試合内容はいかがでしたか

 前半なかなかうまくいきませんでした。ただ、一発チャンスがあると思っていたので、そのチャンスをしっかり決めれたのでよかったです。

――ゴールシーンを振り返ってください

 小倉(陽太、スポ3=横浜FCユース)から良いボールが来ました。自分のところに2枚いたのですが、シュートできる状況だったので思い切ってプレーしました。シュートコースが見えたので、思った通りの得点が取れたなと思います。

――チームとして得点が取れてない中で、個人としてはどのようなことを意識して試合に臨まれましたか

 前節の流通経大戦も後ろが(失点)0で頑張ってくれました。前が1点でも取ることができたら勝てるという試合が続いていました。そこの部分は、前線の選手として申し訳なさがあります。もちろん得点を取れる場面はあったので、勝利に結びつけることができなくて申し訳なく思っています。

――ゴール前まで進入するシーンが増えたように感じます。ご自身では何か開幕時と比べ変わったと思うところはありますか

 シュート数であったりは開幕から比べて徐々に増えています。そこの部分は、良いなと思っています。あとは、ゴール前の質などをこだわっていきたいです。次はゴールにつなげて、複数得点できるように頑張りたいです。

――厳しい状況での戦いが続きます。次節に向けての意気込みをお願いします

 来週から前期最後の3連戦が始まります。まだ1勝もできていません。この3つを勝って上位に食い込める強い早稲田を取り戻せるようにしていきたいです。

以下、囲み取材より

――なかなか勝てていない状況でしたが、チームの雰囲気はどのように臨まれましたか

 思うように結果は出ていないですが、練習から自分たちは詰めれています。勝つための練習をしてきたので、そんな悪いネガティブな状況ではなかったです。「新しい早稲田として勝つんだ」というようで、悪い雰囲気ではなかったです。

――その中で、得点が追いつき、いけるぞという雰囲気になりましたが、あの時どう思いましたか

 失点して取り返す力はついてきています。良い雰囲気だったのですが、もう1つそこで仕留められる力が僕らにはないです。もっともっと練習でこだわって、そこでひっくり返せるパワーをもう1つチームとして積み上げていきたいなと思います。

――笛が鳴った瞬間、ピッチに倒れ込んで悔しさ、感情を出していました。あの瞬間どのような気持ちでしたか

 (駒大に得点が)追いついてから袈依廉(ヒル、スポ2=鹿児島城西)がビックセーブをしたり、後ろは本当に体を張っていてくれました。もう1つ前線で得点できなかったのは、申し訳ないという気持ちは強くありました。