第96回関東大学サッカーリーグ戦 1部 第6節 | ||||
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早大 | 1 | 0-0 1-1 |
1 | 明大 |
【得点】 (早大)90+3’奥田陽琉 (明大)64’熊取谷一星 |
前期の折り返しを迎えた関東大学リーグ戦(リーグ戦)。ここまで1分け4敗の早大は今季初勝利を期して、4連勝中のリーグ戦2位・明大と対戦した。集中した守備で明大の攻撃をしのぐ早大であったが、後半にPKから先制点を献上。しかしその後は果敢な攻撃で幾度となく明大ゴールを脅かし、迎えた後半アディショナルタイム、FW奥田陽琉(スポ3=柏レイソルU18)が殊勲の同点弾を決め、劇的なドローに持ち込んだ。
2年ぶりの試合復帰となった監物(拓歩、スポ4=清水エスパルスユース)。プレー、精神面でもチームを支えた
「(前節で)東京国際大相手に突きつけられた自分たちの弱さの部分と向き合って、謙虚に一つ一つのプレーを着実に、かつチームとして生み出すということを意識してゲームに入った」と外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)。前半最初のチャンスを迎えたのは早大だった。7分、MF水野雄太(スポ4=熊本・大津)のスルーパスに反応したFW駒沢直哉(スポ2=ツエーゲン金沢U18)がシュートを放つも、これは惜しくも枠の左へ。その直後にはDF鈴木俊也(商4=東京・早実)のロングフィードから抜け出したMF安斎颯馬(社2=青森山田)がゴールを狙ったが、これは相手GKの好守に阻まれた。開始早々から仕掛けた早大であったが、その後は一転して明大にペースを握られ、攻撃を展開できない苦しい時間帯が続く。17分には自陣でのコーナーキックの混戦から相手にシュートを打たれるも、これはポストに救われた。その後も明大に再三決定機を作られたが、GKヒル袈依廉(スポ2=鹿児島城西)がファインセーブを連発したほか、守備陣も集中した守りを見せ、これをしのいでいく。結局両チームとも決めきることができず、スコアレスで折り返した。
復帰戦に臨んだ鈴木、キャプテンを務め安定したプレーを見せた
「前半を0-0で終えられたのはすごく良かった」「ここからが、我々が今シーズン難しかった中で一つ乗り越えるチャンスなので、どんどん挑戦していこうという話はしました」と外池監督。その言葉通り、後半に入ると早大はボールを奪ってから素早い攻撃を展開し、チャンスを生むようになる。一進一退の攻防が続く中で少しずつペースをつかむ早大だったが、一瞬の隙から先制を許してしまう。62分、ロングボールの落としを受けた相手選手がエリア内で倒されPKを獲得。これを決めて明大が先制した。堅い守備を見せてきた中での、思わぬ失点。それでも直後にはイレブンが円陣を組み、気持ちを切り替えた。「今までやはり失点してからどこか落ちてしまうというリーダーシップを発揮できない部分が多少あったので、多分ディフェンスラインが中心となって、意識してやったのかなと思います」と話すのは奥田。するとここから早大の怒涛(どとう)の反撃が始まった。92分には、MF平松柚佑(社3=山梨学院)がヘディングシュートを放つも、これは無情にもバーを直撃。同点とはならなかった。
失点後円陣を組むイレブン
このまま終わるかと思われた93分、コーナーキックのクリアを拾ったMF植村洋斗(スポ3=神奈川・日大藤沢)が右サイドで2人をかわして中へクロス。途中出場の奥田が頭で合わせたボールは、相手GKの頭上を越えゴールネットに突き刺さった。「サッカーは1分、2分あれば2点入るって思っていたので、自分が点を取って、まずは1点で同点にして、まあロスタイムとかでと思って、とりあえず点(を取る)と思って(ピッチに)入りました」と奥田。まさに起死回生の同点弾だった。終了間際には明大が攻め立て、同点とした直後に決勝点を許した昨年の明大戦が脳裏をよぎったが、相手選手が放ったシュートはヒルがファインセーブ。なんとかこの攻撃をしのぎ試合終了を迎えた。両者の堅守と猛攻が光った試合は、劇的な幕切れを迎え、1-1の引き分けとなった。
植村の鋭いクロスから同点ゴールを決めた奥田
今季初勝利はまたもお預けとなった早大だが、明大の攻撃をことごとく跳ね返す集中した守備、劇的な同点弾につながった最後まで諦めない攻めの姿勢など、随所で収穫も見られた。次節の対戦相手は昨季のリーグ覇者・流通経大。今日の収穫と課題を次につなげ、なんとしてでも1勝を手にしたいところだ。早くも前期リーグ戦は、後半5試合に突入する。ア式蹴球部には今後の捲土(けんど)重来を期待したい。
(記事 富田紘史、写真 栗田優大、水島梨花)
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 1 | ヒル 袈依廉 | スポ2 | 鹿児島城西 |
DF | 22 | 平瀬 大 | スポ4 | サガン鳥栖U18 |
DF | 24 | 西尾 颯大 | スポ4 | 千葉・流通経大柏 |
DF | 40 | 監物 拓歩 | スポ4 | 清水エスパルスユース |
DF | 42 | ◎鈴木 俊也 | 商4 | 東京・早実 |
MF | 6 | 平松 柚佑 | 社3 | 山梨学院 |
MF | 7 | 安斎 颯馬 | 社2 | 青森山田 |
→82分 | 36 | 山市 秀翔 | スポ1 | 神奈川・桐光学園 |
MF | 10 | 植村 洋斗 | スポ3 | 神奈川・日大藤沢 |
MF | 14 | 水野 雄太 | スポ4 | 熊本・大津 |
→72分 | 38 | 松尾 倫太郎 | 人2 | 千葉・八千代 |
MF | 15 | 伊勢 航 | 社2 | ガンバ大阪ユース |
→65分 | 8 | 山下 雄大 | スポ4 | 柏レイソルU18 |
FW | 17 | 駒沢 直哉 | スポ2 | ツエーゲン金沢U18 |
→82分 | 9 | 奥田 陽琉 | スポ3 | 柏レイソルU18 |
◎=キャプテン 監督:外池大亮(平9社卒=東京・早実) |
関東大学リーグ戦1部 順位表 | |||||||||
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順位 | 大学名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失差 |
1 | 東京国際大 | 18 | 6 | 6 | 0 | 0 | 18 | 2 | 16 |
2 | 明大 | 13 | 6 | 4 | 1 | 1 | 8 | 5 | 3 |
3 | 拓大 | 10 | 6 | 3 | 1 | 2 | 11 | 8 | 3 |
4 | 東洋大 | 9 | 4 | 3 | 0 | 1 | 9 | 2 | 7 |
5 | 桐蔭横浜大 | 7 | 5 | 2 | 1 | 2 | 9 | 6 | 3 |
6 | 筑波大 | 6 | 5 | 1 | 3 | 1 | 5 | 6 | −1 |
7 | 順大 | 6 | 5 | 2 | 0 | 3 | 5 | 7 | −2 |
8 | 国士舘大 | 4 | 4 | 1 | 1 | 2 | 3 | 3 | 0 |
9 | 駒大 | 4 | 5 | 1 | 1 | 3 | 5 | 10 | −5 |
10 | 早大 | 2 | 6 | 0 | 2 | 4 | 3 | 10 | −7 |
11 | 流通経大 | 2 | 5 | 0 | 2 | 3 | 3 | 16 | −13 |
12 | 法大 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 4 | −4 |
第6節終了時点 |
コメント
外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)
――今日のゲームプランは
明大は強度が高いですし、4連勝中ということもあります。まずはその勢いやパワーに対してしっかりゲームの入り方を間違えないようにということです。自分たちのメンタルの部分、(前節で)東京国際大相手に突きつけられた自分たちの弱さの部分と向き合って、謙虚に一つ一つのプレーを着実に、かつチームとして生み出すということを意識してゲームに入りました。
――今までとは違って2ボランチにした意図は
なかなかゴールというものが見えてこなかったので、FWの近くにということも含めてシャドーの1枚をFWの近くに置きました。そうすることでサイドハーフの選手が少し中にポジションを取れます。そういった流動性なども含めてバランスを取る意味で2ボランチ気味にした方がビルドアップもスムーズかなということで、修正を加えました。
――植村選手(洋斗、スポ3=神奈川・日大藤沢)のポジショニングがかなり流動的でしたが、どういった期待をされていましたか
彼は真ん中(のポジション)を担える選手かつ、真ん中から前に出ていく力とか、最後のシーンのようにあそこから入っていく力もあります。ああいったものをチームの中で表現して得点に関わることができれば、彼自身ももう一つ上のレベルにいけると思います。もちろん持っているものはあるので、今日のプレーは彼にとっても大きかったのかなと思います。
――ケガ明けの鈴木選手(俊也、商4=東京・早実)や監物選手(拓歩、スポ4=清水エスパルスユース)を早速起用しましたが
ようやくメンバーに戻ってきました。チームとして、4年生としてここまで積み上げてきたものや、自分たちがア式蹴球部98年目を作り上げるチームの担い手として、4年生の意識がピッチ上になかなか現れてなかったものが(復帰して以降)出てきていました。そういったことに期待して、もちろんコンディションも上がってきていたので使いました。
――平瀬選手(大、スポ4=サガン鳥栖U18)のコンディションもかなり良さそうに見受けられました
3年間(ケガの影響で)ほとんど何もできていませんでした。彼とか監物とかなかなかプレーに恵まれていなかった選手がここにきて、4年になってこういうかたちでチームの中にしっかり存在しているというのは僕自身としては、苦しいところを見てきていたので非常に良かったなと思います。今日の1点はそういう一つのみんなの気持ちかなと思います。
――前半を0-0で折り返したのは、狙い通りの展開に持ち込めていましたか
しっかり無失点で抑えておけば一つチャンスがあるなというのがありました。後半に交代カードも含めてパワーやアクセントをつけられる選手も1年生を中心に充実してきています。そういったメンバーを含めチーム全体として勝利をイメージしてた中、前半を0ー0で終えられたのはすごく良かったかなと思います。
――ハーフタイムでは選手にどのような声をかけましたか
ここからが、我々が今シーズン難しかった中で一つ乗り越えるチャンスなので、どんどん挑戦していこうという話はしました。
――まさかのかたちでの失点になりましたがその後のプランについては
PK自体は不本意ではありました。あのような難しいPKの後は落ちる傾向がありましたが、そこから山下を入れて前にかけられる状況を作れました。そこの部分に関しては手応えを感じています。
――同点ゴールの場面については
その前の植村の突破など、なかなかもう一個入っていくということができなかった中で、あの時間、あの難しい状況下でそういうことができた奥田のポジショニングもそうですけど、そういったチャレンジがあったということはチームとしてポジティブなものだったのではないかと思います。
――昨シーズンの後期の明大戦では今日ように終了間際に追いついた直後、勝ち越しゴールを許しましたが
嫌な思い出はありましたが、自分たちの力でゴールを奪えたということは間違いなく今シーズンの手応えになるかなと思っています。
――次節、流通経済大戦に向けた意気込みをお願いします
また時間が少し空くので、もう一度自分たちの課題や隙を埋めるべく、4年生中心にしっかりと向き合って、さらに成長したものを表現できるようにやっていきたいと思います。
FW奥田陽琉(スポ3=柏レイソルU18)
――ピッチに入った時の気持ちを教えてください
0-1で負けていました。でもサッカーは1分、2分あれば2点入ります。自分が点取って、まずは1点で同点にして、ロスタイムとかでって思って、とりあえず点(を取る)と思って(ピッチに)入りました。
――プレー中に意識していたことは
共通になりますが、点ですね。後は相手が簡単にやってきていたので、そのクリアボールに反応したりとか、それを毎ボールにするというのは自陣では意識していて、敵陣ではもう全部のボールに反応するじゃないですけど、点にどうつなげるかということを考えてプレーしていました。
――ポストに嫌われるシーンも多かった中で、点を取るために意識していたことはありますか
そこはもう運というか、入る時は入りますし、入らない時は入らないと思っています。そこはもう別に悲観的にならず、変わらずやっていればいつか点が入ると思っていたので、そこは変わらず次決めるぞという気持ちでした。
――試合中や試合前に積極的に声掛けをするなど、チームが苦しい状況の中で自分自身の役割など考えていたことはありますか
今は勝てていない状況です。大学サッカーで4年生が大事ですが、4年生だけに背負ってほしくないなという思いでやっています。4年生が引っ張り、3年生も引っ張っていかなきゃいけないかなと思っています。4年生だけを頑張らせすぎないというか、自分たちもいるんだぞという気持ちはいつも持っていました。
――今までには見られなかった、失点後の円陣のシーンなどありましたが、これはチームの雰囲気を変える目的があったのですか
今日、ディフェンスラインに4年生がいっぱいいたということで、そこで俊也(鈴木、商4=東京・早実)とか平瀬(大、スポ4=サガン鳥栖U18)とか中心にだと思うんですけど、そこは失点して落ちないというか、今までやはり失点してからどこか落ちてしまうというリーダーシップを発揮できない部分が多少あったので、多分ディフェンスラインが中心となって、意識してやったのかなと思います。
――チームとして得点が少ない中で、今後FWとして意識していきたいことは
本当に点だと思います。チャンスはちょくちょくありますし、どんな少ない時間でも点を取れば、プレー時間も多くなると思います。FWとしてチームを勝たせる点というのをもっと取っていきたいなと思います。
――次節は2週間後の流通経大戦となりますが、意気込みをお願いします
来週で21歳になるので(笑)。そこでもっと良い選手になって、今年本当にプロになる上で重要になってくる年だと思います。本当に勝ちだけを見て、チーム一丸となって、後2週間精進したいと思います。
※以下、囲み取材より一部抜粋
――ゴールシーンを振り返ってください
クリアボール洋斗(植村、スポ3=神奈川・日大藤沢)がどうするかなというふうに見てて、突破してきました。「うわ、これ(ボールが)来るな」と思って、そこからは体が反応したというか。元々そんなに下がっているというよりはあそこにいて、洋斗から「あ、きた」と思った感じですね。そこからはあんまり覚えていないですけど、ボールが来ました。練習でもクロス練などあそこから決めるのが得意なので、日々の練習の成果かなとは思います。
――ライナー性の低いボールでしたが、頭で合わせましたね
足で変にいくと、当たり損ねてふかしたりしてしまうのであのようなボールは大体頭でいくと決めています。頭は自信があるので、頑張ってというか感覚で合わせました。
ヒル袈依廉(スポ2=鹿児島城西)※囲み取材より一部抜粋
――これまでの試合だと試合の入りというのは
ほとんどビルドアップのミスで自分のディフェンスが落ちてしまったり、モチベーションなどでチームに気をつかわせてしまったりという部分を個人的にも思っています。日々の練習等で修正しているのでその部分で試合に貢献できたらと思っています。
――失点しないという部分を意識されていますか
シーズンが始まる前から平均失点は1に抑えたいと宣言しています。それをシーズン通して達成しなくてはいけません。チームの勝利にどう貢献するのかという部分においても0点でいくのはマストだと思っています。無失点で抑えたら無得点でも同点で終わります。失点しないことは、勝利に良い影響を与えると考えています。
――今日の試合ではセンターバックに4年生が帰ってきました。キーパーから見て、違いは感じましたか
監物くん(拓歩、スポ4=清水エスパルスユース)、俊也(鈴木俊也副将、商4=東京・早実)とケガ明けの2人が帰ってきて、1週間前の練習などからチームの雰囲気が大きく変わりました。4年生の持つ力というのは下級生にとっては大きいと思います。後ろ4枚が4年生というのは僕自身も心強かったです。それが1失点に抑えられた1つの要因だと思います。次の試合に良いモチベーションで臨めると思います。
――生方選手(聖己、スポ4=高崎経大付)が先発で出られている中で、ヒル選手との違いを生み出せる部分においてコーチングを挙げられていました。ヒル選手はコーチングにおいて意識している部分はあるのでしょうか
うぶ(生方)は監督、コーチ以上にというくらいチームを気にかけてくれています。小さなことなどを見て指摘するという力は早大の中でも1番です。その力を持つキーパーなら説得力があると思います。自分はこれから3年あります。うぶがいるこの年で見習って自分のものにして、うぶがいなくなった来年も再来年も自分がそのポジションを担う選手になっていきたいなと思っています。