いまだ無得点…粘り強い守備を見せるも2失点で今季リーグ戦初黒星

ア式蹴球男子
第96回関東大学サッカーリーグ戦 1部 第3節
早大 0-0
0-2
国士舘大
【得点】
(国士舘大)66’高橋 尚紀、84’東川 続

 春の暖かい日差しが差し込む中、関東大学サッカーリーグ第2節の試合が行われた。相手は3月24日の天皇杯予選でも対戦した国士舘大学。前半はお互いにチャンスを作り、一進一退の攻防戦が続く。早大は中谷颯辰(基理3=静岡学園)を中心とした粘り強い守備で相手にゴールを許さなかったものの、決定力を欠き前半をスコアレスで終える。後半に入ると、相手に押し込まれ展開が続き、66分と84分に失点。攻め手を欠いた早大は決定的なチャンスを作ることができず、そのまま0ー2で敗北を喫した。

 

 天皇杯予選のリベンジに燃える早大は前半早々に前線からの積極的なプレスでチャンスを作る。前半6分、安斎颯馬(社2=青森山田)が相手陣内でのパスカットからボールを運び、クロスをあげる。安斎のクロスに西堂久俊(スポ4=千葉・市立船橋)が反応し、シュートを放ったものの、惜しくもボールは枠の外へ。その後は、安斎と藤本隼斗(スポ3=柏レイソルU18)の左サイドを中心に相手ゴールを脅かす。33分、ビルドアップから平松柚佑(社3=山梨学院)、藤本、駒沢直哉(スポ2=ツエーゲン金沢U18)、安斎、植村洋斗(スポ3=神奈川・日大藤沢)と繋ぎ、植村のクロスから柴田徹主将(スポ4=湘南ベルマーレU18)がシュートを放つ。柴田のシュートは惜しくも相手にブロックされてしまったものの、藤本の攻撃時に中に入っていく動きを活かしてチャンスを作った。一方で、相手に攻め込まれる時間は何度もあったものの、中谷と西尾颯大(スポ4=千葉・流通経大柏)のセンターバックコンビを中心に体を張った粘り強い守備で無失点に抑えた。

クロスを上げる安斎

 早大は後半も左サイドからの攻撃でチャンスを作る。62分、パス交換から藤本が裏に抜け出し、駒沢に繋ぐ。駒沢のポストプレーから植村がシュートを放つも、枠には飛ばず。その直後ピンチを迎える。63分、クロスのこぼれ球に反応した相手がシュートを放つ。このシュートは平松の伸ばした足に当たり、間一髪で失点を免れた。しかし、66分にクロスから失点。その後は、光田脩人(スポ2=名古屋グランパスU18)や森璃太(スポ3=川崎フロンターレU18)を投入して攻撃の活性化を計ったものの、決定的なチャンスを作ることはできない。84分に2失点目を喫し、そのまま0-2で敗戦。

体を張った守備でチームに貢献した中谷

 「今年は、結果にこだわりながらも、内容にもこだわっていきたいと考えていて、ビルドアップの部分や前線からのプレッシングの部分を強く意識して取り組んでいます」(中谷)。敗戦したものの、この試合で早大は昨年からの「成長」の片鱗を見せた。2試合連続で無得点という不安要素はあるが、中谷が「チームとしてまだ得点を取ることができていないので、これから1週間、しっかりと突き詰めていきたいです。」と語るように、自分たちの課題を明確に理解している彼らならしっかりと修正していくだろう。

 「次節勝つことができなかったら、早大にとってこのリーグは終わりだと思っています」(安斎)。「ここで勝ち点3をとることができないと、チームとしてもかなり厳しい状況になりますし、まだ3節とはいえ、今シーズンの早大の最終結果を左右するような大事な試合だと思っています」(中谷)。2人が語るように、次節の拓殖戦がア式にとって正念場であることは間違いない。リーグ戦はまだまだ始まったばかり。ここからのア式の快進撃に期待だ。

(記事 松永拓朗、写真 大幡拓登、水島梨花)

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早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK ヒル 袈依廉 スポ2 鹿児島城西
DF ◎柴田 徹 スポ4 湘南ベルマーレU18
DF 24 西尾 颯大 スポ4 千葉・流通経大柏
DF 13 中谷 颯辰 基理3 静岡学園
DF 12 藤本 隼斗 スポ3 柏レイソルU18
→75分 27 神橋 良汰 スポ2 川崎フロンターレU18
MF 山下 雄大 スポ4 柏レイソルU18
MF 11 西堂 久俊 スポ4 千葉・市立船橋
→67分 19 光田 脩人 スポ2 名古屋グランパスU18
MF 10 植村 洋斗 スポ3 神奈川・日大藤沢
MF 平松 柚佑 社3 山梨学院
→70分 森 璃太 スポ3 川崎フロンターレU18
MF 安斎 颯馬 スポ2 青森山田
→69分 28 丹羽 匠 スポ4 ガンバ大阪ユース
FW 17 駒沢 直哉 スポ2 ツエーゲン金沢U18
→87分 29 東 廉 スポ2 清水エスパルスユース
◎=キャプテン
監督:外池大亮(平9社卒=東京・早実)
関東大学リーグ戦1部 順位表
順位 大学名 勝点 試合数 得点 失点 得失差
東京国際大 11
桐蔭横浜大
明大 −1
拓大 −1
国士舘大
筑波大 −2
早大 −2
駒大 −4
流通経大 −7
10 東洋大
10 法大
12 順大 −3
第3節終了時点
コメント

外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)

――天皇杯予選の負けをふまえて、今日のゲームプランは何を意識されましたか

 メンバーも競争が生まれてきて、良い競争が出来てきています。そのパワーのある選手を起用するということとしっかり準備をしてきたことを出せる20人を選べたと思います。期待感はすごくありました。

――前半途中で中盤3枚の形を変えた意図を教えてください

 特に変えてはいないです。元々4−1−4−1ではありますが、守備の形として4−2−3−1になっているだけですね。どちらかというか相手対策というか、相手状況に対してダブルボランチ気味になるか2シャドーになるかということです。それが変わるという形で、それがはまっていた時はよかったなと思います。

――後半の選手交代で森選手(璃太、スポ3=川崎フロンターレU18)を1つ前で起用するなどありましたが

 正直、安斎(颯馬、社2=青森山田)のところがやりきれなかったので、右側がなかなか出ていけなかった状況でした。彼もサブに回って悔しい思いをしたと思います。そこの奮起に期待をして出しました。

――失点後から噛み合っていないように見えましたが、ピッチサイドから展開をどのように見ていましたか

 気持ちが落ちてしまったというのは否めないと思います。それが今のチームの戦うベースのところがまだまだ自分たちの形を良い試合状況の中でしか作れていないということです。それを90分間タフに戦うということが出来ていないのが露呈されたなと思います。そういう厳しさについては国士舘大さんに教えていただいたなと思います。改めて我々は厳しいリーグにいるということだと思うので、そこをしっかり見つめ直していきたいです。そのベースの部分を謙虚にそして愚直にやっていきたいと思います。

――次節に向け、どのような準備をしていきたいですか

 シンプルにそういうベースのところの1つには競争、高い競争でもっともっとチームの中のエネルギーをしっかり出していくことだと思います。1年生も元気ですし、いよいよそういうメンバー達を加えてチーム作りをしていくことになっていくなと思います。

MF山下雄大(スポ4=柏レイソルU18)

――ご自身のコンディションはいかがでしたか

 コンディションはかなり悪くない状態でした。

――チームとしては開幕から2連戦いまだ無得点という状態ですが

 前節は0で終わって、今週1週間、得点のところを練習からしてきました。今節も無得点で。今後優勝を狙う上では、得点を取らなくてはいけません。そこは改めてチームとしてやっていきたいなと思います。

――今年はビルドアップからこだわってやっていきたいということを伺いましたが、そこに関して今日の試合はどうでしたか

 特に前半は良い形でできていて、それこそ得点の手前までいけましたし。しかし、ビルドアップは得点を取るための手段なので、最後得点につながるところまで頑張っていきたいなとお思います。

DF中谷颯辰(基理3=静岡学園)

――開幕戦に続き、スタメン出場となりました。ご自身のコンディションはどうですか

 体のコンディションは非常に良いです。メンタル面に関しても、昨年は周りについていくという気持ちでプレーしていたのが、今年はチームを引っ張っていくという気持ちでプレーできているので、とても良いんじゃないかなと思っています。

――今日最終ラインでコンビを組んだ西尾選手(颯大、スポ4=千葉・流通経大柏)を含め、周りの選手との関係性としてはどうですか

 西尾とはプレシーズンから(コンビとして)やってきていて、喋らなくてもわかる関係性のようなものになってきています。非常にやりやすさを感じますし、安定感もあると思います。藤本隼斗(スポ3=柏レイソルU18)は今日(関東リーグスタメンは)初めてでした。相手のロングボールにもうまく対応できていましたし、全体的に落ち着いてやれていました。自分も声をかけて後押しできたかなと思っています。

――失点するまでは守備も安定していたように思いますが、今日の守備陣の出来に関してはいかがですか

 天皇杯予選(国士舘大戦、3月24日、●2-3)の時もそうだったんですが、全体的にやられることはなくても、少ないチャンスで決められてしまうことが多いと思っています。作られるチャンスが少ない分、隙ができてしまっているのかもしれません。次の対戦相手である拓殖大はテクニカルなチームで、チャンスをうまく作ってくるチームだと思うので、守備陣としてまた一つ強度を上げて練習していきたいと思います。

――失点後はチーム全体としてもかみ合わなくなってきたようにも思うのですが

 ボールを持ってゲームを支配するということをベースにプレーをしている中で、失点をしてからチーム全体として焦りが出てきましたし、体力的にも厳しくなりました。終盤はビルドアップの部分では選手同士の距離が遠くなってしまいました。プレスの部分でも個人個人の孤立した守備が目立つようになったように思います。厳しいリーグ戦を戦っていくことを考えると、プレスが連動しなかったという点は、確実に修正していかなくてはならないと思いました。

――サッカーのスタイルという点で、去年のチームとの違いはありますか

 昨年は明確にサッカーのスタイルを持つというよりは、泥臭く勝ちにこだわっていく、という雰囲気でした。ただ今年は、結果にこだわりながらも、内容にもこだわっていきたいと考えていて、ビルドアップの部分や前線からのプレッシングの部分を強く意識して取り組んでいます。

――次節に向けての意気込みを聞かせてください

 ここで勝ち点3をとることができないと、チームとしてもかなり厳しい状況になりますし、まだ3節とはいえ、今シーズンの早大の最終結果を左右するような大事な試合だと思っています。チームとしてまだ得点を取ることができていないので、これから1週間、しっかりと突き詰めていきたいです。自分個人としても、チームのために何ができるかということをもう一度考えて、ディフェンスリーダーとしてチームを引っ張っていきたいと思います。

MF安斎颯馬(社2=青森山田)

――今シーズン、関東リーグ初スタメンとなりました。ご自身の出来はどうでしたか

 前半に決めるチャンスが多くあった中で、そのチャンスを生かすことができなかったですし、1失点目のところは自分が背後を取られての失点になってしまいました。初スタメンで、チームに貢献したかったのですが、あまり貢献することができませんでした。

――チームとしてはどういったプランで試合に入りましたか

 プランというよりは、開幕節で、チームとして得点を取ることができずに終わってしまったので、全員でゴールを目指すということをこの1週間テーマとして取り組んできましたし、今日も得点を強く意識して試合に入りました。

――前半はかなりゴールに迫ったシーンもありました

 相手のキーパー(GK飯田雅浩、国士舘大)が青森山田高校時代の先輩だったので、もしチャンスがあったら迷わずシュートを打とうと思っていました。ただあのシーンは中にパスを出していれば良かったかもしれないですね。

――今日左サイドバックで出場した藤本選手(隼斗、スポ3=柏レイソルU18)とは、公式戦では初のコンビになりました。縦の関係性としてはいかがでしたか

 練習から自分と藤本、植村洋斗(スポ3=神奈川・日大藤沢)の3人ですごく良い関係性を作ることができていました。今日は全部がうまくいったわけではないですが、これから試合を重ねて合わせていくしかないと思っています。

――具体的に攻撃の形としてはどういったものを目指していきたいですか

 自分が内側に入ったら藤本が高い位置をとり、逆に自分が高い位置をとったら藤本が内側に入るということを繰り返すというイメージでやっています。お互いが(相手に)捕まらないように動いて、二人の関係性だけで左サイドを突破できるようになるのが理想だと思っています。

――今日の試合に関してはその攻撃の手ごたえはいかがでしたか

 数回いい形を作れましたが、これから試合に繰り返し出場していく中で、高めていければと思います。

――昨シーズンから、守備については体を張ったプレーを続けていらっしゃると思いますが、今日のご自身の守備に関してはどうでしたか

 自分は出場しなかった天皇杯予選の時から、相手の左サイドバック(DF望月海輝、国士舘大)にかなりやられていて、監督からもそこを封じろという指示がありました。しかし、結局自分の裏を取られて失点してしまったので、そういったミスに関してはもっと改善していかなくてはならないと思っています。

――次節に向けてどういった準備をしていきたいですか

 次節勝つことができなかったら、早大にとってこのリーグは終わりだと思っています。2試合連続無得点ということに関しては、攻撃陣として責任を感じていますし、次の試合は自分が点を取る、という強い意志と覚悟を持ってやっていきたいと思います。