またも複数失点 反撃及ばず連勝を逃す

ア式蹴球男子
JR東日本カップ2021 第95回関東大学リーグ戦 第12節
早大 0-1
0-1
筑波大
【得点】
(筑波大)33’、70’森海渡

 前節の国士館大戦では、攻撃陣の爆発で見事逆転勝利を収めた早大。勢いそのままに連勝を目指すも、前半にはPK献上、後半には筑波大のロングカウンターを許し2失点。主力の途中投入で反撃を狙ったが筑波大の堅い守備に阻まれ、攻撃の糸口が見いだせない。連勝を飾り首位に追いすがりたい早大であったが、0-2で痛い敗戦となった。

ロングボールに抜け出す杉田

 立ち上がり、主導権を握ったのは早大だった。コンパクトな陣形で中盤を締め、ボール保持時には両CBと中盤がボールを出し入れしながら相手の隙をうかがう。12分には、ゴールキックからの見事なビルドアップで筑波大のプレスをかいくぐると、ボールを受けたMF植村洋斗(スポ2=神奈川・日大藤沢)のサイドチェンジから、前節に引き続きキャプテンマークを巻いたMF田部井悠副将(スポ4=群馬・前橋育英)が右足を振り抜く。強烈なシュートは相手GKに阻まれるも、これで早大の攻撃にエンジンがかかる。13分には、浮足立った筑波大の守備陣にプレスをかけボールを奪うと、グラウンダーのクロスにFW奥田陽琉(スポ2=柏レイソルU18)が合わせた。しかしシュートはジャストミートせず、すかさずこぼれ球を詰めた杉田のシュートも惜しくも枠に飛ばない。早大にとっては、前半最大のチャンスであった。

 押し込めてはいるものの、肝心のゴールが奪えない早大。すると33分、筑波大のコーナーキックの場面、サインプレーにより、フリーになっていたMF加藤匠人(筑波大)のミドルシュートを食らう。田部井が遅れてシュートブロックに入るが、不運にもエリア内でのハンド。FW森海渡(筑波大)の蹴ったボールはGK上川琢(スポ4=湘南ベルマーレユース)の右手をすり抜け、ゴール左下隅へ吸い込まれた。

肩を落とす西堂と、今節もキャプテンマークを巻いた田部井

 0-1で前半を折り返し、何とか追いつきたい早大は後半開始から、前節センセーショナルな逆転弾を決めたMF安斎颯馬(社1=青森山田)を、57分にはMF田中雄大主将(スポ4=神奈川・桐光学園)、西堂久俊(スポ3=千葉・市立船橋)を投入し攻撃陣の活性化を図る。すると61分、DF柴田徹(スポ3=湘南ベルマーレU18)の機転を利かせたロブパスから『早大らしい』つなぎで前線へ。降りてきた奥田がフリックしたボールを、西堂が大胆にゴール前に持ち出しシュートを打つも、すんでの所で筑波大DFにかき出されてしまう。その後も攻撃を繰り返し、同点弾も遠くないかと思われたが、終盤に思わぬ落とし穴が待っていた。70分、押し込みながらもシュートを打てずボールを奪われる。早大はすかさずプレスをかけたが、パスワークを活かした攻撃、そしてこのプレッシングで前がかりになっていたことにより、後ろが手薄だった。「失点をしたことで少し焦りが出てしまっていた」とMF山下雄大(スポ3=柏レイソルU18)。早大のプレスをかいくぐった筑波大のスルーパスに対応できるDFは、わずかに一人。前半にPKを沈めた森(筑波大)が放ったコントロールショットが、またしても早大ゴール左下に突き刺さり、早大は2点のビハインドを負う厳しい展開に。79分には新進気鋭のFW駒沢直哉(スポ1=ツエーゲン金沢U18)を投入し、最後まで攻撃の糸口を探す早大イレブンだったが、筑波大の堅い守備陣を崩せず、そのまま試合終了。0-2の悔しい敗戦となった。

 「(ゴールを奪う)パワーがつくれなかったという面で疲労感が多少どこかにあったのではないか。結果論ではあるが、そう感じざるを得ない」と外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)が語るように、中2日でタフな試合が続き、決してコンディションは良くなかったであろう。だが内容は悪いものではない。ほとんど決定機を作らせず、山下や、途中交代の田中を中心としたパス回しは、今節も良く機能していた。だからこそ課題は明確、「結果」だ。「どのように成長していくか、ということにみんながどれだけ向き合えるか。(そのためには)自分たちにベクトルを向けるかということしかない」(外池)。苦境を迎えたリーグ戦。向き合い、高め合い、早大は『不屈』の精神で進み続ける。

(記事 大幡拓登、写真 池上楓佳、橋口遼太郎)

 

早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 31 上川 琢 スポ4 湘南ベルマーレU18
DF 大西 翔也 スポ4 浦和レッズユース
DF 15 中谷 颯辰 基理2 静岡学園
DF 鈴木 俊也 商3 東京・早実
DF 柴田 徹 スポ3 湘南ベルマーレU18
MF 小倉 陽太 スポ2 横浜FCユース
→57分 10 田中 雄大 スポ4 神奈川・桐光学園
MF ◎14 田部井 悠 スポ4 群馬・前橋育英
→79分 28 駒沢 直哉 スポ1 ツエーゲン金沢U18
MF 17 植村 洋斗 スポ2 神奈川・日大藤沢
→HT 19 安斎 颯馬 社1 青森山田
MF 山下 雄大 スポ3 柏レイソルU18
MF 30 杉田 将宏 スポ4 名古屋グランパスU18
→57分 11 西堂 久俊 スポ3 千葉・市立船橋
FW 奥田 陽琉 スポ2 柏レイソルU18
◎=キャプテン
監督:外池大亮(平9社卒=東京・早実)
関東大学リーグ戦1部 順位表
順位 大学名 勝点 試合数 得点 失点 得失差
明大 29 16 25 20
法大 27 16 26 22
駒大 23 13 24 22
順大 23 17 23 24 -1
桐蔭横浜大 23 17 28 33 -5
筑波大 22 15 27 22
流通経大 21 12 29 17 12
早大 21 14 16 17 -1
立正大 20 16 19 23 -4
10 拓大 17 15 21 26 -5
11 国士舘大 15 15 22 28 −6
12 慶大 12 16 19 25 -6
※9月28日終了時点
コメント

外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)

――今節はどのようなプランで試合に臨んだのか教えてください

プランは前節、中2日でしたが国士舘大との試合を通じて、もちろん勝ち方的には良かったですが、もう一度課題の部分に向き合って、プラスして自分たちが発揮できたゴールへの勢いというか。その馬力の部分をしっかりと発揮してというところで、課題をしっかりと改善しつつ、もうひとつスイッチみたいなものをしっかりと意識してやりました。

――中2日の中でもメンバー変更はありませんでした。この起用にはどのような意図があったのですか

国士舘大戦もゲームの頭は悪くありませんでした。ただ、失点をしたというところに向き合うという面では、逆に前半を多くの時間で優位に進められており、チャンスも生み出せていたので、結果PKというところがなければという事でしかないかなとも思います。ある意味でこの間は1ー3でしたが、あそこで0ー0で進められれば、我々としてスイッチはあったので、そういう形で引きつければと送り出しました。また、そういう狙いを持って前半から少しでもリードをしにいくというか。少しでも進めながらチャンスを伺うという状況は作れていたので、非常にそこは残念だなという感じです。

――ビハインドを負った中ではどのようなイメージがありましたか

シンプルに点を取らなければならないですし、引いてくるだろうというのは予想どおりではあったのですが、そういう中で結局攻めきれずにカウンターという形になりました。自分たちとしては課題に向き合うかたちはつくれたけれども、結果というところに結びつけられなかったという意味では、日程の問題などもありますが、そういうパワーがつくれなかったという面で疲労感が多少どこかにあったのではないかと。結果論ではありますが、そう感じざるを得ないのかなと考えています。

――PKでの失点、そしてカウンターでの追加点。ある意味では筑波大の思惑通りになってしまいました

やはりああいったところに細心の注意を払ってというところが、改めて試合を臨む際にも愚直に泥臭く粘り強くやるということが大前提になるという話をしていました。そういうちょっとした不運を生み出す、そこに関しては少し謙虚さが足りなかったとは言わざるを得ないなと思います。

――かなりけが人も増えています。チームのマネジメントはいかがですか

本当に森などは不運というか。ボールがぶつかってというところでした。またチームの疲労感もあります。もちろんそれによってチャンスを得るメンバー、西尾などもいます。実際にチームとして力をつけてきていると思いますが、そういった中でこのタフなリーグは進んでいきますし、いろいろな日程の面も含めてイレギュラーをしっかりと受け止めてやらなければならないので、そういう中でどのように成長していくかというのをみんながどれだけ向き合えるか。自分たちにベクトルを向けるかということでしかないと思います。また中3日ですが、本当に諦めずに切り替えて、顔を上げて、この貴重な価値のあるリーグの中でしっかりと自分たちの成果を作り出せるようにやっていきたいです。

GK上川琢(スポ4=湘南ベルマーレユース)

――今日の試合を振り返っていかがですか

自分たちは前節、国士舘大に逆転勝ちした中で課題としていたこと、守備の部分などを課題としていた中で、筑波大のセットプレーの技術だったり、清水エスパルスに内定している山原怜音選手の技術や守備、後半のボールカバーなど、そうしたところでより強くいけるところだったり、逆に自分たちが攻めているときのリスク管理だったり、あそこ(失点シーン)で守り切れないと自分たちが仮に失点していてもそこから逆転する力は身につかないし、自分たちが目指している優勝には到達しないということを突き付けられました。しかし週末にはまた試合が迫ってきているので、今節出た反省や課題をチーム全員で共有し、早くリカバリーして備えていきます。

――今日の試合のプラン、重要としていた部分はどのようなものでしたか

国士舘大学との試合の時のように、プレスパックやカバーリングといった部分です。筑波大がしたたかに、高い技術をもってやってきている中で、自分たちの中盤や前線の選手のプレスパックといったところ含めて泥臭く、謙虚に、愚直にやり続けるといったところが今日監督から出されたことでした。筑波大が可変式なリードアップをしていく中で自分たちもそれに対してしっかりと対応していく、よりハイプレスな姿勢、特に前半に見られたと思うのですが、引き分けの状態のときにハイプレスにはめられたところもあったので 失点してからの得点力といったところは課題として身に染みました。引き分けの状態でのハイプレスや守備は狙いとして発揮できたところであるので、まだ得点力というのが自分たちにとっては足りない部分だと思います。

――PKの場面を振り返ってください

基本的に筑波大のPKのキッカーは森海渡選手だと、事前に自分たちがスカウティングしており、GKの動きを見て蹴ってくるキッカーであるということはデータとして入っていたので、最後まで動かないで我慢するということを意識しました。最終的には読めていたのですがやはりもう一歩といったところ、0から100を生み出す技術的なパワーが一歩足りなかったというところで失点してしまいました。その、あと一歩をどれだけ普段の練習から積み上げられるか、指先もう一歩、足をもう一歩力強く出すということを自分が感じているよりもまだまだ積み上げられる場面だと実感しました。やはりあそこで一本PKを止めていればまだ0ー0で五分五分の試合展開で運べたので、PKといっても自分が止めなければいけなかったと感じています。

――後半の流れは良かったと思うのですが、ピッチの中の雰囲気はどういったものでしたか

自分たちは後半攻め立てる、ということはハーフタイム中も話にあり、後半にチャンスがあった中でも決め切れなかったことや、相手が中盤の後ろで固めてきたときに崩し切れる力といったところを含め、相手がブロックを敷いてきていて自分たちが負けているなかで、リスクは承知の上で攻めなければいけなかったのですが崩れてしまい、また森海渡選手に決められてしまいました。自分たちの雰囲気自体は悪くなかったのですが、踏ん張り切れなかったことが結果につながってしまったという見解があります。

――2失点目の場面をもう一度振り返ってみてどうですか

森海渡選手が自分たちから見て右側をドリブルしてきていて、自分は鈴木俊也とコミュニケーションを取りながら森海渡選手をニアサイドに運んで2対1の状況を作りたかったのですが相手の方が1枚上手でした。2対1の状況から1対1の状況を作られてしまったところを、自分たちに有利な状況で守備をする。その前にカウンターをつくられてしまったということも含めて、突き詰める点はもっとあったと思います。

――次節に向けての準備と意気込みをお願いします

金曜日に前泊があり、日程としてはすごく厳しいですが、それは自分たちが戦わないという言い訳にはなりません。自分たちがしっかり戦えることへのありがたみや責任、誇りをそれぞれが噛みしめて、ピッチ外の人たちがリカバリーの準備やアイスバス、補食を準備してくれた中で、自分たちがそれに応えられるように100パーセントの準備をしていきたいです。相手である桐蔭横浜大のゴールキーパーの早坂勇希選手は自分の友達で連絡を取っている仲なので、個人的には彼に対して負けない気持ちをもち、後期が始まってから無失点がないので自分としてはゼロ失点、チームとしては複数得点で終えたいです。まずは自分がしっかりゼロ失点に抑えることができれば、より前に厚みをもって『DRIVE』できると思うので、その点を個人としてもチーム全体としても意識していきたいと思います。

MF山下雄大(スポ3=柏レイソルU18)

――試合を振り返ってください

チーム全体として戦い方も良かったですし、ゲームの運びも悪くなかったのですが、失点をしたことで少し焦りが出てしまいました。2失点目をしてしまったことで難しくなってしまった印象です。

――元々のゲームプランとしてはどのようなものがあったのですか

自分たちで低い位置からゲームを作って、押し込んでどんどんゴールへアクションをしていこうという意識がありました。実際に前半、高い位置までボールを運んでゴール前に迫るというシーンもあったので、狙い通りのプレーはできていたのかなと思います。

――その点でゴールを取りきれなかった要因はどこにありますか

もう少し深い位置で起点を作って、やり直したり揺さぶるという場面があればと思います。少しだけ単調だったのかなということもあります。もう少し相手をみて、深い位置で揺さぶることができていればもっと決定機も作れたのではないかと思います。

――ご自身のプレー非常によかったのではないかと思います。感触としてはいかがでしたか

自分はボールを受けて捌くというのが特徴なので、その点でたくさんボールに関われましたし、前にも配給ができたのでよかったです。守備の面でも相手と接点をつくって奪うというシーンはあったので、総じてよかったと思います。

――次は中3日で龍ヶ崎です。厳しいコンディションとはなりますが、次節への意気込みを聞かせてください

体はきつくなることもあるかと思いますが、ここからちゃんと調整をして、次は自分たちのサッカーでたくさん点をとって勝てるようにしたいです。