JR東日本カップ2021 第95回関東大学リーグ戦 第10節 | ||||
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早大 | 1 | 1-0 0-0 |
0 | 法大 |
【得点】 (早大)31’大西 翔也 |
桐蔭横浜大に悔しい逆転負けを喫した前節から1週間。早大は関東大学リーグ戦(リーグ戦)第10節、法大戦に臨んだ。リーグ戦首位チームとの一戦は、31分にDF森璃太(スポ2=川崎フロンターレU18)のクロスにDF大西翔也(スポ4=浦和レッズユース)が頭で合わせ、均衡を破る。その後もGKヒル袈依廉(スポ1=鹿児島城西)を中心に守り切った早大が、首位との大一番を実に4試合ぶりの勝利、そして見事な完封勝利で飾った。
キッカーの森と抱き合う大西
最初にゴールに迫ったのは早大だった。3分、ボールを受けたMF安斎颯馬(社1=青森山田)が右サイドを1人で駆け上がり、ニアに鋭いクロスを供給。走り込んできたFW加藤拓己(スポ4=山梨学院)が頭で合わせるが、惜しくもポストに嫌われる。早大は、相手ボール時には加藤とMF丹羽匠(スポ3=ガンバ大阪U18)が2トップを形成。中央を固めた守りで効果的なパスを防ぎ、相手ボランチに仕事をさせない。攻め手を失いサイドやロングボール主体の攻撃を始めた法大に対しては、大西をはじめとした最終ラインが冷静に対応し、決定機を作らせなかった。一方の攻撃も、「ディフェンスラインの裏がポイントだと思っていた」(外池大亮監督、平9社卒=東京・早実)との言葉通り、MF水野雄太(スポ3=熊本・大津)と安斎の両ウイングが幾度となく裏に抜け出す動きを見せ、果敢にゴールを狙い続けた。一進一退の攻防が続く中で迎えた31分、早大は左CKを獲得する。「セットプレーにポイントを置く必要があると話していた」(外池監督)。ショートコーナーを選択しリターンを受けた森のクロスに大西が反応。ヘディングシュートはゴール右上へと吸い込まれた。先制し勢いづいた早大は、42分、45+1分と続けざまにピンチを迎えるが、体を張った守りでシュートを弾き返し、1-0で前半を終えた。
チームのゴールに鍵をかけたヒル
1点リードで迎えた後半開始早々、早大はピンチを招く。クリアボールを拾われ左サイドを崩されると、ゴール前の相手FWにパスが通る。PA内からシュートを放たれるが、この日スタメンに起用されていたDF中谷颯辰(基理2=静岡学園)が身を投げ出し、窮地を脱した。しかし徐々に法大が牙をむき始めボールを持たれる時間が続く。56分には自陣でパスカットされスルーパスを通されるも、ヒルが素早い寄せでゴールラインを割らせない。その後、早大は2点目を狙うため水野に代えてMF倉持快(人4=神奈川・桐光学園)を投入。65分、MF山下雄大(スポ3=柏レイソルU18)がセンターサークル付近から高精度のフィードを供給。裏に抜け出した倉持がシュートを放ち、最後は混戦から加藤がゴールに押し込んだかと思われたが、オフサイドの判定でゴールは取り消しに。75分に神橋良汰(スポ1=川崎フロンターレU18)、駒沢直哉(スポ1=ツエーゲン金沢U18)のリーグ戦初出場となるフレッシュな2人を投入し、逃げ切りを図る。直後の76分、相手のFKからゴールネットを揺らされるが、こちらもオフサイドの判定。一度判定が覆りゴールとみなされるが、再び判定が覆りノーゴールに。そのまま1-0で迎えた81分、84分には相手にクロスを頭で合わせられるも、どちらもヒルの正面へ。90+1分には左サイドでのカットインからPA内で決定機を作られるが、ヒルがビッグセーブで早大ゴールを守り抜く。最後まで集中を切らさず統制のとれた守備を見せた早大は、首位チームとの重要なゲームを1-0の完封勝利というこれ以上ない形でものにした。
4失点を喫した前節から確実に課題を修正し、タフな戦いを無失点で勝ち切れたことはチームにとって大きい。特に最後の15分は相手の猛攻を耐える苦しい時間が続いたが、ヒルが再三のビッグセーブでゴールマウスを守り続け、指揮官も「我々の大きな武器になりつつある」と評価する。3連戦の初戦で幸先の良いスタートを切った早大。中2日で順大、明大と強豪とのマッチアップが続くが、今日の試合で得たチームとしての総合力と成熟度を前面に押し出し、次戦も全力で勝ちに行く。
次節こそ、倉持の突破が得点として実るはずだ
(記事 長村光 写真 早稲田大学ア式蹴球部提供)
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 46 | ヒル 袈依廉 | スポ1 | 鹿児島城西 |
DF | 25 | 森 璃太 | スポ2 | 川崎フロンターレU18 |
→75分 | 35 | 神橋 良汰 | スポ1 | 川崎フロンターレU18 |
DF | 15 | 中谷 颯辰 | 基理2 | 静岡学園 |
DF | 5 | 鈴木 俊也 | 商4 | 東京・早実 |
DF | 6 | 大西 翔也 | スポ4 | 浦和レッズユース |
MF | 33 | 安斎 颯馬 | 社1 | 青森山田 |
→87分 | 14 | 田部井 悠 | スポ4 | 群馬・前橋育英 |
MF | 7 | 山下 雄大 | スポ3 | 柏レイソルU18 |
MF | ◎8 | 田中 雄大 | スポ4 | 神奈川・桐光学園 |
MF | 19 | 水野 雄太 | スポ3 | 熊本・大津 |
→58分 | 12 | 倉持 快 | 人4 | 神奈川・桐光学園 |
FW | 10 | 加藤 拓己 | スポ4 | 山梨学院 |
→75分 | 32 | 駒沢 直哉 | スポ1 | ツエーゲン金沢U18 |
FW | 28 | 丹羽 匠 | スポ3 | ガンバ大阪ユース |
◎=キャプテン 監督:外池大亮(平9社卒=東京・早実) |
関東大学リーグ戦1部 順位表 | |||||||||
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順位 | 大学名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失差 |
1 | 法大 | 20 | 10 | 6 | 2 | 2 | 16 | 9 | 7 |
2 | 駒大 | 18 | 9 | 6 | 0 | 3 | 19 | 18 | 1 |
3 | 明大 | 18 | 10 | 5 | 3 | 2 | 15 | 14 | 1 |
4 | 早大 | 17 | 9 | 5 | 2 | 2 | 11 | 8 | 3 |
5 | 順大 | 14 | 9 | 4 | 2 | 3 | 19 | 18 | 1 |
6 | 流通経大 | 13 | 8 | 4 | 1 | 3 | 21 | 13 | 8 |
7 | 筑波大 | 12 | 10 | 4 | 0 | 6 | 16 | 18 | -2 |
8 | 慶大 | 11 | 10 | 3 | 2 | 5 | 13 | 16 | -3 |
9 | 立正大 | 10 | 10 | 3 | 1 | 6 | 11 | 16 | -5 |
10 | 桐蔭横浜大 | 10 | 8 | 3 | 1 | 6 | 17 | 23 | -6 |
11 | 拓大 | 8 | 9 | 2 | 2 | 5 | 12 | 14 | -2 |
12 | 国士舘大 | 8 | 8 | 2 | 2 | 4 | 9 | 12 | ー3 |
※6月20日終了時点 |
コメント
外池大亮(平9社卒=東京・早実)
――今日の試合を振り返って
関東大学サッカーリーグのレベルが高くて伝統と歴史がある中で、みんなが切磋琢磨してそれがJリーグや日本サッカーにも寄与していることを認識できるようなタフなゲームだったと思います。
――前半からいい入りができたが
法大には要所要所にレベルの高い選手がいますが、ディフェンスラインの裏がポイントだと思っていたので、そこに矢印を向けてということでやっていました。水野や加藤、安斎が動き出しを作っていければ、相手に対して自分たちの攻撃の圧力を作り出せるかなと思っていたので、先制点を取るところまでそういった点が守備も含めてできていたかなと思います。
――セットプレーに関しては試合前から入念に確認したのか
これまでの試合を分析しても自分たちの良さを生かしきれていないという課題があったので、それを先週から洗い出しました。ゲームを作るというところに主眼が向きがちですが、勝負を決めたり試合を有利に進めるためにはセットプレーにポイントを置く必要があると話していました。今日セットプレーで点を取れたのはチームがより強固になるタイミングだったかなと思います。
――今日の試合では0失点だったが守備面での手応えは
前節までは攻撃が点を取れなくて、上位にいながらも得点が一番下の7点だけでした。攻撃のスイッチをいかに入れるかというところは桐蔭横浜大戦で出せたのですが、それによってバランスを崩したところがありました。そういう意味では課題に対して向き合えていていいと思います。自分たちはこの前の敗戦をネガティブに捉えていなくて、前節の点を取られたら取り返すということは我々が目指す姿なので、守備の課題などを再点検していければと思います。課題解消の成果が試合で1つずつ出ているので、前期は終わりが近いですけど、チームの成熟度は確実に上がっていると思います。
――GKのヒル袈依廉の活躍はどう捉えるか
彼もこの前の4失点で責任を感じている部分がありました。僕自身1年生という優位性を生かしてほしいと思っていますし、あいつがいたことで桐蔭横浜大戦でもプラスに働いている部分もありました。良さを生かすことと課題を修正していけば何も問題はないよと力強く送り出したので、今日の最後も彼の存在感が際立っていたと思うし、我々の大きな武器になりつつあると思っています。
――終盤に法大が放り込むサッカーに変えてからはつらい展開だったがそこを0点に抑えた点について
うちもその時間帯に駒沢や神橋とか1年生を投入しました。彼らもこの苦しいリーグ戦の中でなんとか食らい付いてきていたので、90分を戦う中での15分に彼らが向き合ってやってくれたのはチームとしての総合力は格段に上がってきたなと、試合が苦しかったからこそ感じます。
――今日の勝ちでリーグ戦がより混戦になるが
次の試合も水曜日にありますが、その後の明大戦を含めて我々が大学サッカーをリードする存在であるためにこういうタフなゲームで自分たちの思いを体現することが何よりだと思います。僕も試合が終わって感極まりましたが、4年生が特に中心になって苦しい中でもチームに向き合ってくれています。加藤もこの前の3点目と4点目で彼のミスから失点したという中で、彼自身にかなり厳しい言葉を伝えましたが、彼がJリーグに行って通用するためには大学サッカーで成長し切らないといけません。ここでしっかりと自分を成長させないといけないと思っています。上だけ見ているのではなくて、しっかりとここに本質があるというところをやってきて、今日も献身的にやっていましたしプレーに軽さが無くなってきました。彼には日本を代表するプレーヤーになってほしいので厳しく温かく向き合いたいと思います。
――次節への意気込みを
コンディションが全てだと思います。今日も厳しい戦いで疲労していると思うのでしっかりと整えていきたいです。前節から主将の田中(雄大、スポ4=神奈川・桐光学園)が戻ってきて彼らしいプレーも随所に見られました。あいつのいいところは持ってるとか相手を剥がしていくとかいうところもありますけど、チームの中心となって、隙のないチームを作るというような精神的な面が一番すばらしいなと思っています。次もDRIVEしていけるようにしていきたいです。
大西翔也(スポ4=浦和レッズユース)
――ゴールシーンを振り返ってください
意図的な早稲田の狙いとしてセットプレーで一回ずらして相手の背後に入っていくという形で、入る場所やタイミングなども狙い通りであとは合わせるだけでした。
――狙い通りのシュートでしたか
肩に当たったんですけど、頭から肩に当たってという形でしたけど、しっかり「当てる」という意味では良かったなと思います。
――前節4失点を喫した中で守備陣として今日のゼロというのはどういう評価ですか
前節の敗戦から一週間、守備の強化の部分は全体的に意識して取り組んできて、そういった意味ではゼロで終わることができたというのは成果として表れたと思います。すごく嬉しいし、チームとしても積みあがってるなという感じです。
――守備のポイントは、単純にコンパクトにするとか相手のパスコースを消すとか、結構オーソドックスな部分もありましたけどこの試合、対法大という意味でどういったことを意識していましたか
法大は中盤とかにパスを出せる選手が多くいるのでその距離感、詰める部分だったり蹴られた瞬間のプレスバックとか、クロスをあげさせないとか、そういうところを一週間準備してプレーしてきました。
――首位法大相手に勝てたというところ、これでさらに混戦になったわけですけど、最近勝てていなかったというところも含めてどう考えていますか
今日の試合で勝てなかったら優勝争いは厳しくなるなというのはチームの中でも話題になっていましたし、そういった意味ではしっかりここで勝ってまた優勝争いに食い込めたというのはチームとしても良かったなと思っています。
――この勝利で良い流れになったと思いますが、中2日で迎える次節に向けてどういう準備をしていきたいですか
まずはコンディション管理、リカバリーの部分でベストな状態を持っていくというところと、3連戦を1つのセットとして捉えているので次の試合も勝つための準備をして最終節の明治戦に向けてまた良い流れを作るためにこの2日間準備をしていきたいなと思います。
ヒル袈依廉(スポ1=鹿児島城西)
――今日の試合を振り返っていかがでしたか
まずクリーンシートで行けたので。前節の桐蔭横浜大戦からそこは修正できつつ今回の試合に繋げることができたので、その中でクリーンシートで勝つことができて良かったです。
――4失点というところの修正がテーマだったと思うのですがどこを強調してやりましたか
すべての失点がリスク管理で、セットプレーでも失点しましたし。そういうところの防げた部分というのはゾーンの位置を深くしたり隙が見えたりしたので、今回の試合ではそこを修正してディフェンスラインのメンバーが変わった中でもしっかり自分から声をかけてフェンスライン全体で修正できたと思います。リスク管理の部分は修正できて良かったです。
――3試合目で個人的にも落ち着いてきたりしましたか
チームの雰囲気とかに助けられて、全員で勝つことができて、その中でも自分のストロングというか、高さっていうのを生かしてチームの勝利に貢献できたと思うので、全員で勝ち取った勝利だと思います。
――終盤はかなり押し込まれた展開となり、至近距離でシュートを打たれる場面もありました。ああいった状況ではどのようなことを考えてプレーしているんですか
まずシュートを打たせないキーパーというのが一番良いキーパーだと思うので、ディフェンスを上手く動かしてディフェンスラインだけではなく中盤とか全員でシュートブロックとかをやりつつ、最後は自分が防ぐという部分で上手く準備して上手く対応できました。シュートに対しても良かったと思うしクロスとかディフェンスラインの背後のボール、最後のボールとかもしっかり準備した中で、風もありましたがそこにもうまく対応して防げて良かったです。
――ルーズボールでは法大の選手に対し距離を詰めて、相手がミスをする場面もありました。飛び出しなどに対する寄せの鋭さが印象的だったのですが、そこはどうですか。
ディフェンスを動かす中で相手との距離、1対1という状況が生まれたときの詰める瞬間を逃さずに詰めた瞬間にプレッシャーを与えられる。自分はサイズが大きいですしその瞬間の動きで相手もビクッとなると思います。そこも一つのストロングだと思ってますし、そういう部分で防げる失点というのもあると思うので上手く生かすことができて良かったです。
――外池監督は1年生の強みを生かすというところを伝えたと言っていましたが、「思い切って」というようなメッセージというのは監督からあるんですか
試合前とか、1年生だから新しいエネルギーというか、チームにもたらす影響というのは本当にエネルギッシュなのでそういう部分で上級生に足りない部分とか、チームに入って少ししか経っていないですけど安斎とかが選手権で得た経験だったり自分も代表で得た経験というのを大学サッカーにつなげることができればなと考えています。入って間もないですが、そこで上手く貢献しつつ、今日みたいに勝利に繋げるということです。