震災から10年。東伏見グラウンドに掲げられた『感謝』の横断幕

ア式蹴球男子

 3.11。多くの日本人にとって忘れ難き数字であり、忘れてはならない日である。今日、2011年に発生した東日本大震災から丸10年を迎えた。

(インタビューはオンラインで実施いたしました)

 

東伏見グラウンドに掲げられた横断幕

 ア式蹴球部では、2011年から『早稲田カップ』を毎年被災地で開催(昨年は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため中止)。被災地の支援活動に取り組むと共に、被災地の現状を目の当たりにしてきた。10年の節目となった今日は、東伏見グラウンドには大きな『感謝』の2文字の横断幕が掲げられた。

 「当たり前に感謝すべきだし、そういうことを思い出させてくれる機会」と、横断幕掲示を呼び掛けた佐藤慧一マネジャー(政経2=東京・早実)は語る。練習前には全体での意識共有がなされ、黙とうが捧げられた。10年という長い年月が経ったが、改めて日常を過ごしている幸せへの感謝と、今も復旧復興に向けて尽力する方々への心からの敬意を表した。

全国大会でチームの一体感を支えた『感謝』の横断幕

 『感謝』の横断幕は、1月に行われた全国大会の#atarimaeni CUPに向けて制作されたもの。昨シーズンの最後の大会となった同大会では、コロナウイルス感染症対策の観点から登録選手以外のメンバーはチームの活動から離れることとなった。多くの選手がシーズンを終える中で、選手たちに浮かんだ感謝の思いを横断幕にすると共に、余白のスペースにア式・ア女の全選手・スタッフの感謝の想いを書き記した。「気持ちはつながっているぞ」という思いが横断幕に込められていると佐藤。その後の全国大会での躍進を陰で支えた、強い力を持つ横断幕だ。

 「すぐに忘れてしまう。すぐに当たり前に思ってしまう」(外池大亮監督、平9社卒=東京・早実)。『感謝』の思いを持つことは、簡単なようで難しい。しかし、「感謝をするだけではなくて、さらにその先にどういうものを導き出していくのか。ただサッカーをやっているだけではなくて、サッカー以上をどう作り出すか」(外池)。あくまで自分軸ではなく、外向きの視座を持つことが必要だ。改めて被災者の方へ思いを寄せると共に、微力であっても手を取り合い、前へと進もうと考えるきっかけを与えられた、区切りの10年となった。コロナウイルス感染症に世間が揺れる今、スポーツには何ができるのだろうか。

(記事 橋口遼太郎 写真 ア式蹴球部提供)