JR東日本カップ2020 第94回関東大学リーグ戦 第15節 | ||||
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早大 | 2 | 1-0 1-0 |
0 | 国士舘大 |
【得点】 (早大)27’ 加藤 拓己、67’ オウンゴール |
観客数を制限した味の素フィールド西が丘で、監督・コーチの指示、そしてピッチ上の選手の声が響き渡る。強い日差しの中で、関東大学サッカーリーグ(リーグ戦)第15節が行われた。相手は前節終了時点で4位の国士舘大。首位明大の背中を追う2位の早大としては、負けることの許されない一戦である。試合は開始27分に動いた。MF田中雄大(スポ3=神奈川・桐光学園)のパスをFW加藤拓己(スポ3=山梨学院)が体をうまく使って受け、ゴールの左上に叩き込んで先制。その後、何度か訪れるピンチもGK山田晃士(社4=浦和レッズユース)がことごとくセーブする。67分にはオウンゴールで追加点を得て勝負あり。2−0で危なげなく今大会11個目の白星を手にした。
ゴールを決めた加藤と喜ぶ小倉
早大のキックオフで試合は始まる。最初にチャンスを得たのは国士舘大。前半26分、左サイドでボールを受けた選手がペナルティーエリアで待つ選手にパスを通しシュートを打たれてしまう。しかし、ボールの飛んだ方向は山田の正面。最初のピンチを切り抜ける。早大に好機が訪れたのは、そのわずか1分後だ。27分、田中が中央でボールを持つと加藤が動き出しに合わせてパスを供給する。加藤は持ち前のフィジカルの強さを生かし、相手に体をぶつけて裏に抜け出しシュート。そのままボールはゴールの左上に吸い込まれていった。早大は3年生コンビの連携で1−0と先制する。35分には、ゴール前のパスミスからあわや失点の場面も、山田がセーブ。1点リードで前半を終えた。
好守で存在感を示した植村
後半は開始から、「ロングボールなどで僕らもすごく苦しめられた」と西堂久俊(スポ2=千葉・市立船橋高校)と話すように、ゴールを狙われるシーンが続く。しかし、さすがはリーグ最小失点の早大。キャプテンのDF杉山耕二(スポ4=三菱養和S Cユース)を中心にしっかりと守り、ゴールを割らせない。好守から流れを作り、早大は次第にセットプレーなどで追加点を狙う展開になる。迎えた67分、サイドからDF大西翔也(スポ3=浦和レッズユース)がペナルティーエリア内の加藤へマイナス方向のパスを出すと、そのボールが相手の足に当たりまさかのオウンゴール。運も味方する形でさらに1点を追加した早大は、2−0と相手を突き放した。しかし、油断はできない。追加点を得たものの、次第に自陣でプレーをする時間が長くなっていく。最後尾の山田からは「あと15分。ここから。」の声。外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)も「今日も難しい時間帯もありましたが、しっかりと乗り切ってくれた」と話すよう、幾度のピンチもそれぞれのハードワークで守り切る。試合終了間際、スピードに乗り強いボールをゴール前に入れられ、ヒヤリとするシーンはあったものの、丁寧にクリアし、ここで審判が時計を見て試合終了のホイッスル。2−0と快勝した。
これで5連勝となった早大は絶好調。しかし。同日に行われた試合で明大が慶大に勝利した結果、トップの明大とは勝ち点差1のままだ。まだまだ明大を追いかける構図となる。11月14日に行われる明大との直接対決が目前と迫った今、次節の桐蔭横浜大戦は内容、結果共に納得のいくものにしたいところ。また、中2日で4年ぶりに決勝の舞台へと駒を進めたアミノバイタルカップも控えている。「早稲田が日本をリードする存在」(加藤)へ、今シーズン初めてのタイトル獲得へ、またリーグ戦の王座奪還へ。熱い戦いがこれからも彼らを待っている。
(記事 内海日和 写真 稲葉侑也、榎本紗凡)
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 1 | 山田 晃士 | 社4 | 浦和レッズユース |
DF | 3 | 柴田 徹 | スポ2 | 湘南ベルマーレU18 |
DF | ◎5 | 杉山 耕二 | スポ4 | 三菱養和S Cユース |
DF | 22 | 監物 拓歩 | スポ2 | 清水エスパルスユース |
DF | 26 | 鈴木 俊也 | 商2 | 東京・早実 |
→61分 | 6 | 大西 翔也 | スポ3 | 浦和レッズユース |
MF | 28 | 丹羽 匠 | スポ2 | ガンバ大阪U18 |
MF | 8 | 田中 雄大 | スポ3 | 神奈川・桐光学園 |
→77分 | 14 | 植村 洋斗 | スポ1 | 神奈川・日大藤沢 |
MF | 13 | 杉田 将宏 | スポ3 | 名古屋グランパスU18 |
→61分 | 19 | 倉持 快 | 人3 | 神奈川・桐光学園 |
MF | 25 | 小倉 陽太 | スポ1 | 横浜FCユース |
→83分 | 15 | 予合 壮太 | 社2 | 千葉・市立船橋 |
MF | 38 | 西堂 久俊 | スポ2 | 千葉・市立船橋 |
FW | 10 | 加藤 拓己 | スポ3 | 山梨学院 |
→69分 | 18 | 鈴木 郁也 | 社4 | F C東京U18 |
◎=キャプテン 監督:外池大亮(平9社卒=東京・早実) |
関東大学リーグ戦1部 順位表 | |||||||||
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順位 | 大学名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失差 |
1 | 明大 | 34 | 14 | 11 | 1 | 2 | 31 | 13 | 18 |
2 | 早大 | 33 | 14 | 11 | 0 | 3 | 39 | 9 | 30 |
3 | 駒大 | 26 | 15 | 8 | 2 | 5 | 31 | 27 | 4 |
4 | 桐蔭横浜大 | 23 | 14 | 7 | 2 | 5 | 21 | 19 | 2 |
5 | 国士舘大 | 23 | 15 | 7 | 2 | 6 | 24 | 23 | 1 |
6 | 順大 | 20 | 13 | 6 | 2 | 5 | 21 | 22 | −1 |
7 | 立正大 | 19 | 12 | 6 | 1 | 5 | 21 | 18 | 3 |
8 | 法大 | 17 | 13 | 4 | 5 | 4 | 21 | 19 | 2 |
9 | 慶大 | 15 | 15 | 4 | 3 | 8 | 15 | 23 | −8 |
10 | 筑波大 | 14 | 13 | 4 | 2 | 7 | 17 | 27 | −10 |
11 | 専大 | 7 | 14 | 2 | 1 | 11 | 17 | 39 | −22 |
12 | 中大 | 6 | 14 | 1 | 3 | 10 | 12 | 31 | −19 |
※第13節終了時点 |
コメント
外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)
――今日の試合に向けてどんな準備で臨みましたか
久々に試合間が1週間開きました。先週末専大とやらせていただいて、その際にはコロナウイルス感染症予防の影響から今日出場したメンバーが数名出られない状態でした。そういった意味で彼らはスタンドから先週は観戦をしました。今日の試合に対して、サッカーができる、試合ができる喜びや感謝をしっかりと表現できるように、チームとしてのプラスアルファにできるようにという雰囲気づくりを意識して1週間やってきました。
――具体的に国士舘大はどんなチームでしたか
やはり個人がハードワークをしてくるという点が一つのポイントです。どちらかというと長いボールを蹴ってきて戦ってくるというチームでした。その部分に対してこちらも腰が引けないようにというか、相手のプレッシャーをうまくかいくぐる、というビルドアップの部分は意識をしていました。
――加藤選手にゴールが生まれました。
あのシーンの少し前にも同じようなシーンがあり、シュートを打ちきれないという場面がありました。そういった中で、彼のいいところというか強みが非常に出たと思います。スケールが大きくて、少し褒めてしまいますが、規格外というか。彼の個の力でこじ開けられたシーンだったのではないかと思います。
――今日も完勝となりました。守備での手応えもありますか
我々のベースの部分で、球際の部分やハードワーク、切り替えといったところをしっかりと愚直にやっていくというところがあって試合の基盤が作れます。そういったところに対しての繋がりというか、チームの中での絆といったものが強くなってきているなと感じます。今日も難しい時間帯もありましたが、しっかりと乗り切ってくれたなと思います。
――加藤選手に関しては、先ほど規格外という言葉やスケールが大きいという言葉がありました。外池監督から見て、具体的にどのような部分がそう感じさせるのですか
まず一つはパーソナリティの部分です。感受性が強い選手です。他の選手を巻き込んだり、他の選手に対して自分の動きや発言や立ち振る舞いでみんなを元気にさせられる。そしてそれを自分のパワーに変えていく。そういった部分があります。そして今日のゴールのシーンもそうですが、ここぞという時、力の発揮のしどころをわかっている選手です。最近のFWの選手は守備でしっかりと頑張る反面、チャンスの局面で最後に力尽きてします選手も多いです。しかし彼はあの状態で、あの位置から、逆サイドの高いところにシュートを入れられるという力をもっています。フィジカル的にも能力が高いと思いますし、人間性的な部分も相まって、今のチームの好調の中に彼がいます。そしてそれを引っ張っているのが加藤だと思います。なかなか今は前線の選手は使われる選手が多い中で、まさに顔で引っ張っていけるというか。そういった部分があります。試合中もそうですが、トレーニング中の彼の個性といったところもそれを引き出していると思います。彼はこの先もプロの道へと歩んでいくと思いますが、そういった中でどう生き抜いて行くかや、どう自分の力に変えていくことができるか、というところの能力が高いと感じます。
――実際に今の日本のサッカーでは、使われる選手は多いと感じますが、自力でゴールに向かっていける選手は少ないと感じます。日本を代表する選手へと成長を遂げることも望める選手ですか
僕は十分にやっていけるだけの力を持っていると思っています。やはりそういった周りの中で自分を発揮できる、自分を示せるプレーがまさに今の日本のサッカーには必要だと思います。より高いレベルに行けば行くほど、それを自分のものにすることができる可能性は最近は感じます。褒めすぎですけど(笑)。今日は点を取っていたので。
――次は4年ぶりに決勝の舞台へと駒を進めたアミノバイタルカップです。意気込みを教えてください
相手が流経大で、我々の大先輩である曹貴裁さんがコーチを務めています。昨年は残留争いで非常に苦しみ、降格をすることとなりました。その点で今年は非常にハングリーさがあり、また今年はこのような状況の中でリーグ戦を行える環境を主体的に作っていただきました。我々としては感謝の部分を示せる試合だと思っています。とても楽しみなゲームです。そういう意味では、大学スポーツ、日本のスポーツ会の中でも、運営から自分たちで作り上げる大学サッカーというものを示せる大きな機会だと思っていますので非常に楽しみです。また大先輩の曹さんにチャレンジできるという場になります。また今年の流経大は非常に強いので、1部に所属するチームというプライドをかけて、しっかりと向き合って、タイトルをとれるようにしたいですし、早大らしさを体現して、元気、活力を周りに与えられるような試合にしたいと思います。
西堂久俊(スポ2=千葉・市立船橋)
――今日の試合に向けてどのような準備をしていましたか
夏の間長く怪我をしていて、復帰をしたのが10月の頭くらいでした。そこからやはり自分の弱点である走力という部分に向き合い、トレーナーともメニュー組んで練習しながら弱点の走力っていう部分には結構注力して取り組んできました。
――国士舘大は具体的にどのような大学でしたか
やはり後ろからの配給がすごい強くて、ロングボールとかで僕らもすごい苦しめられたので、手強い相手だったなと思います 。
――負傷明けの久々のフル出場でしたがいかがでしたか
そうですね、正直フル出場するとは思っていなかったんですが、周りの人間の鼓舞もあって、僕自身もやる気出たという気持ちがあります。周りあってといった感じです。
――今連勝中ですがチームの雰囲気はいかがですか
4年生、特に主将副将中心に4年生全体が雰囲気作りすごい徹してくれています。そして後輩の僕らもやりやすい雰囲気が生み出されていて、僕ら後輩としてはやりやすい環境であるなと思います。
――個人としてはどのように今後練習に励んでいきたいですか
もちろん弱点である走力っていう部分には今後とも向き合っていきたいなと思いますし、後は今日も何度かチャンスありましたけど、自分が決め切る選手になる、結果を残せる選手になれるようこれから積み重ねていきたいなと思います。
加藤拓己(スポ3=山梨学院)
――得点シーンを振り返ってください
最初ドリブルで抜けてシュートを打ったのですがキーパーに止められてしまったシーンがあって、同じような角度から抜け出したので、次はキーパーの上を抜こうという狙いを持ってよいシュートを打つことができました。1つ目の経験を生かすことができたのかなと思います。
――ご自身の出来を振り返っていかがでしたか
もっと収めないといけないシーンもありましたし、一発で決めきるという点や、クロスでキーパーに取られてしまったシーンではキーパーの前に入るなど、もっとやっていかないと思いました。1点を取ったからと言って評価されるのは違うかなと思っていますゴール以外のシーンでももっとやらなければいけないと痛感しました。
――前節は事情により出場できませんでしたが、今節はどのような気持ちで臨まれましたか
5連戦の最終節をいろいろな問題で出れなくて、この1週間でサッカーができることは当たり前ではないと感じましたし、試合ができること、このような環境があることのありがたさを感じることができたので、その思いを試合にぶつけました。この試合には寮生が4人くらい出ていたと思いますが、その選手たちはフレッシュで、気持ちのこもったプレーができたと思います。
――国士舘大対策としてはどのようなことを行いましたか
前期は大差で勝っているとはいえ危ないシーンをつくられましたし、油断できない相手でした。特にロングボールが素晴らしいチームなので、こぼれ球の回収やキープ、1本のシュートの精度がカギを握ると考えていました。その中で勝ち切れたことは大きかったと思いますし、チームの自信にもつながったと思います。
――開幕前に得点王を目指すとおっしゃっていましたが、現状についていかがですか
すごくその数字に関しては意識しています。前節(自分が)出れなかったというのもあって、孝弥君(薬真寺、駒大)が10得点で1位で、自分がまだ8得点と2点差があるので、少し前までは1点差で追いかけた中で前々節に2点差に開いてしまいました。そういった意味でトップを取る選手は決めきるということを感じましたし、PK2本とはいえ決めきる力もあるし、ただ負けてはいけないなと考えています。上の順位にいるワセダから得点王が出るべきだと思うし、早稲田が日本をリードする存在というのを掲げているなかで得点・アシストランキングで僕たちが1位を取っていければそのビジョンの実現に近づくと思うので、そこの思いは変わらないです。