荒天の中、チャンス決めきれずリーグ戦2連敗

ア式蹴球男子
JR東日本カップ2020 第94回関東大学リーグ戦 第12節
早大 0-0
0-1
駒大
【得点】
(駒大)84’荒木 駿太

アミノバイタルカップを挟み、約1ヶ月ぶりに関東大学サッカーリーグ(リーグ戦)が再開した。前期の対戦で5得点を奪い大勝を収めた駒大との一戦。悪天候の中、一進一退の攻防が続いた。両者譲らず迎えた試合終了間際、ゴール前の混戦から得点を許してしまう。アミノ杯での好調そのままに臨んだが、後期リーグ戦のスタートを勝利で飾ることはできなかった。

攻守にわたり存在感を示した監物

台風が接近し、強い雨がピッチを叩く厳しいコンディションとなった。「サッカーの本質的な部分がぶつかってどちらに転ぶか、という試合になることを予想していた」DF杉山耕二主将(スポ4=三菱養和S Cユース)。序盤は長身選手を揃え、平均身長で大きく上回る駒大が押し込む展開。奪ったボールをシンプルに前線に送り込み、セカンドボールをことごとく回収されてしまう苦しい時間が続いた。しかし、早大が適応をみせ、ゲームは徐々に早大ペースに。34分、波状攻撃で右サイドに展開すると、DF柴田徹(スポ2=湘南ベルマーレU18)がクロスを送り込む。ゴール前で待つFW加藤拓己(スポ3=山梨学院)の頭、さらにはMF梁賢柱(スポ4=東京朝鮮高)の足元に合わなかったもののチャンスを演出。続く39分、MF鍬先祐弥(スポ4=東福岡)のくさびのパスを受けた加藤が、相手選手をターンで交わしシュートに持ち込むが、惜しくもゴール左へ逸れた。

多くのチャンスの起点となった鍬先

後半、最初にチャンスを作ったのは駒大。51分、コンビネーションで中央を完全に崩されGKとの一対一に。しかしGK山田晃士(社4=浦和レッズユース)が的確にコースを切り、シュートはゴール右に外れた。早大は続く54分、コーナーキックの流れから、柴田が左足でクロスを供給。ファーサイドで余っていた梁の足元に収まるが、利き足ではない左足で放ったシュートはゴールの上に大きく外れる。65分には鍬先がスペースでボールを引き出し、ドリブルで前線へと持ち上がる。寄せの甘さを見逃さずミドルシュートを放つが、ゴールマウスをこじ開けることができない。なかなか先制点を奪えず、もどかしい時間が続いた中迎えた84分。早大ゴール前にボールが収まり混戦状態に。守備陣が懸命に掻き出し続けたものの、最後は駒大にゴールへと蹴り込まれ、試合終盤にゴールを献上。そのまま試合は終了し、リーグ戦では2連敗となった。

丁寧にビルドアップを進めたい早大、体格的な優位性を生かしロビングボールを多用する駒大、の構図となった今節。荒天ということもあり、駒大の割り切ったサッカーに押し込まれることも予想された。しかし、序盤を除けば、駒大に自由にやらせる時間はそう多くなかった。「仕留め切れるところで仕留め切れなければ」という主将の言葉が全てを物語る。得点を奪うための道筋は大きく分けて2つ。決定期をさらに増やすか、決定力を磨くか、である。明大戦(●0ー1)での敗戦。慶大戦(●0ー1)での敗戦。ここまでの敗戦は、しっかりと糧にして、チームの力へと変換することができた。3度目の試練を与えられた今。乗り越えた先で、どんなア式を見せてくれるだろうか。

(記事 橋口遼太郎 写真 初見香菜子、横澤輝)

早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 山田 晃士 社4 浦和レッズユース
DF 柴田 徹 スポ2 湘南ベルマーレU18
DF ◎5 杉山 耕二 スポ4 三菱養和S Cユース
DF 22 監物 拓歩 スポ2 清水エスパルスユース
DF 大西 翔也 スポ3 浦和レッズユース
MF 28 丹羽 匠 スポ2 ガンバ大阪U18
→56分 25 小倉 陽太 スポ1 横浜FCユース
MF 鍬先 祐弥 スポ4 東福岡
MF 田中 雄大 スポ3 神奈川・桐光学園
→68分 13 杉田 将宏 スポ3 名古屋グランパスU18
MF 19 倉持 快 人3 神奈川・桐光学園
→76分 18 鈴木 郁也 社4 F C東京U18
MF 梁 賢柱 スポ4 東京朝鮮高
→87分 11 水野 雄太 スポ2 熊本・大津
FW 10 加藤 拓己 スポ3 山梨学院
→87分 14 植村 洋斗 スポ1 神奈川・日大藤沢
◎=キャプテン
監督:外池大亮(平9社卒=東京・早実)
関東大学リーグ戦1部 順位表
順位 大学名 勝点 試合数 得点 失点 得失差
明大 28 12 27 12 15
桐蔭横浜大 20 11 16 13
早大 18 23 15
駒大 17 11 23 20
国士舘大 17 11 23 20
慶大 15 11 13 16 −3
法大 14 11 19 17
順天堂大 14 14 14
筑波大 12 16 −4
10 立正大 −2
11 中大 11 23 −15
12 専大 10 12 27 −15
※第12節終了時点
コメント

杉山耕二主将(スポ4=三菱養和S Cユース)

――試合を振り返ってください

雨と風が予想される中で、サッカーの本質的な部分がぶつかってどちらに転ぶか、という試合になる事を予想していました。また球際、切り替え、ハードワークという部分は試合前から徹底しようという話をしていました。その中で、前半の入りは拮抗した状態で、徐々に落ち着いて回せる時間も増え、決定期を作れる場面も増えました。ただ、得点は奪えないという状況で前半を終えました。後半もその状態を続けて、いずれ点は取れるだろうとプレーをしていました。しかしなかなか上手くいかず、最後の質の部分やキワの部分で相手が上回っていたのではと感じました。結果的にそういった積み重ねがあの時間帯での失点に繋がってしまったのではないかと思っています。やはり仕留め切れるところで仕留め切れなければ自分たちを苦しめる展開になります。そういった部分で反省があります。

――アミノ杯を挟みましたが、リーグ戦という面で考えれば連敗になりました

アミノ杯はチームとしても自信になる大会になりました。しかしリーグ戦を見てみれば、慶大にも同じような負け方をして2連敗です。チームとしては苦しい状況が続いていると感じています。

――1番負けたくない慶大に敗戦した後、アミノ杯で立て直すことができました。流れとしては悪くなかったですが、この試合を落としてしまった要因はどこにありますか

やはり決定機の数があるものの、決め切れていないという部分がアミノ杯を通しても感じる点でした。1点を奪ったりで勝ち進めていたものの、やはり得点という面で考えれば、1試合平均でもっと取れていました。その部分が今のチームの課題としてあると感じています。

――この試合を受けて、どのように立て直し、首位明大を追いかけていきたいですか

未消化試合もあるなかで、週中に試合を挟むことになります。連戦が2週間3週間続いていくと思うので、そういった中でも体と心のリカバリーが大事だと考えています。試合をするなかでいい流れやいい雰囲気を掴み取っていって、チームとしてもう一つ壁を乗り越えることができればさらにチームとして強くなれるのではと感じています。試合をしながら、全員と繋がって、やっていく必要があるのではないかと感じています。

――駒大は長いボールを多用してくるチームでした。どのような準備で試合に臨みましたか

雨風、台風が来る事はわかっていたので、そういったシチュエーションを考え、いろいろな想定をチームとしてしてきました。長いボールに対しての対応もそうですし、自分たちがピッチ状況によってうまくビルドアップができない時なども想定し、様々なオプションを持って試合に入りました。

――序盤はセカンドボールを拾われてしまう事も多かったかと思います

やはり駒大を相手にサッカーの本質を問われる瞬間が多くあると予想をしていたなかで、そういった部分で常に上回り続けられなかった、圧倒できなかったという点が試合を難しくしてしまった要因ではないかと感じています。向き合わなければならない課題ではないかと考えています。

――押し込む時間が長くなったなかで、相手の前線には長身選手がいました。クリアボールなどの競り合いで意識していた面や、声がけはありましたか。

とにかくチャレンジアンドカバーを徹底しようという話をしていました。ただやはり、チャレンジの部分で単純に空中戦で勝ち切れない部分も多かったです。自分たちセンターバックがそこで優位性を作れなかったという部分が試合を難しくしてしまった要因かと思います。

――失点のシーンを振り返ってください

全員が体を張って、よく守っていました。しかしちょっとした隙や、最後の5分10分のちょっとした意識がまだまだチーム全体として薄かったという点があります。そこに関してはキャプテンの自分の責任でもあるのかなと感じています。得点を取れない状況はこれから先も多く続く可能性があるなかで、どれだけ後ろの選手が我慢できるのかという点が大事ですし、チームとして勝ち点1とゼロでは大きく違います。勝ち点3を取りに行くところから、勝ち点1をまず取りに行くという意識の部分でも徹底をしなければならないのかなと今日の試合で感じました。

――すぐに水曜日に試合が来ます。意気込みを聞かせてください。

アミノ杯を挟みましたが、リーグ戦を見れば2連敗です。絶対に落とせない試合だと思います。短い期間ではありますが、チーム全員で最高の準備をして、必ず勝って、勝ち点3を奪いたいと思います。