終盤に追いつかれドロー決着も…劣勢切り抜け貴重な勝ち点1

ア式蹴球男子
JR東日本カップ2019 第93回関東大学リーグ戦 第15節
早大 1-0
1-2
順大
【得点】
(早大)41’金田拓海、78’杉山耕二
(順大)72’村松航太、86’塩浜遼

 関東大学リーグ戦(リーグ戦)第15節、前節駒大に勝利(○2—1)を収めた早大は順大と対戦した。順大にボールを支配される時間帯をしのぎ、前半のうちにMF金田拓海副将(社4=ヴィッセル神戸U18)のゴールで先制に成功する。しかし後半、なおも攻勢を強める順大に気圧され、72分に失点。6分後にDF杉山耕二(スポ3=三菱養和SCユース)の得点でリードを奪ったものの、終盤に再び失点を喫しドロー決着。上位相手に連勝とはならなかったが、勝ち点1を積み上げた。

ボールを収め、攻撃につなげる杉山

 早大はMF鍬先祐弥(スポ3=東福岡)とFW藤沢和也(商4=東京・早実)がそれぞれ出場停止から先発に復帰。順大エース・FW旗手怜央(4年)のマークを鍬先が担うことで、順大の得意なかたちを封じにかかった。
 8分、DF大桃海斗主将(スポ4=新潟・帝京長岡)がサイドバック裏のスペースへロングフィードを通し、抜け出したDF牧野潤(スポ4=JFAアカデミー福島)がチャンスメイク。10分には中盤3列目の鍬先が中盤の底からボールを散らし、サイドからゴールへ迫る。その後も順大にボールこそ握られながらペースをつかませずに試合は進んでいく。そして給水タイムを挟んで迎えた41分、ついに先制点が生まれる。杉山のクリアボールを拾ったDF大里優斗(社4=鹿島アントラーズユース)がDFを背負いながらターンし、左サイドを突破。そのままグラウンダーのアーリークロスをボックスに供給すると、ボールはニアで潰れた加藤の背後に陣取っていた金田の元へ。そのままゴールに流し込み、早大の1点リードで前半を終えた。

クロスを何度も上げチャンスを作り出す大里

 「昨年の全日本大学選手権と前期の試合では(ともに●1−2)同じようなやられ方だったので、それへの対処はかなり綿密に準備をしていた」(外池大亮監督、平9社卒=東京・早実)。後半は順大が展開するポゼッションサッカーへの対策を全員で共有し、攻め込まれながらも我慢強い守備でゴールを割らせない。しかし攻撃面では、カウンターを仕掛けようとしても前線にボールが収まらず、追加点を奪うきっかけすら生まれない時間帯が続く。また季節外れの暑さも災いし、全体の運動量が著しく低下。71分にはこの試合のキーマンであった鍬先が脚をつって途中交代を余儀なくされるなど、チーム全体に疲労の影響が色濃く表れた。すると72分、CKからDF村松航太(4年)にゴールを割られ、試合を振り出しに戻される。その後も順大にボールを握られ、劣勢に立たされたが、78分だった。途中出場のFW倉持快(スポ2=神奈川・桐光学園)の突破で得たCKから、大里がニアに速いボールを送るとそこに飛び込んだのは杉山。劣勢を跳ね返す値千金の勝ち越し弾が突き刺さり、再度リードを奪う。しかし86分、MF新関成弥(2年)の正確なクロスからFW塩浜遼(1年)のゴールを許し、再び同点に。終盤に目まぐるしくスコアが動いた一戦は、痛み分けに終わった。

 終盤に同点弾を許し、結果として勝ち点『2』を失う格好となったこの一戦。しかし試合内容に目を向ければ、勝ち点『1』をもぎ取ったとも言える。劣勢に立たされ、度重なるアクシデントによって戦術的な交代が難しくなった中でもセットプレーで一時リードを奪い、勝利に肉薄。後半に痛恨の逆転劇を演じられた過去2試合と同じ轍を踏むことはなかった。一方、豊富な運動量を必要とするサッカーを継続するにあたって、90分走りきる体力面の強化は必須。この日露呈した課題に真摯に取り組み、再び目標の『勝ち点15』獲得へ向け歩みを進めたいところだ。

スターティングイレブン

 

(記事 森迫雄介、写真 大山遼佳、橋口遼太郎)


早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 31 上川 琢 スポ2 湘南ベルマーレユース
DF 杉山 耕二 スポ3 三菱養和SCユース
DF ◎3 大桃 海斗 スポ4 新潟・帝京長岡
DF 17 工藤 泰平 スポ3 神奈川・日大藤沢
MF 牧野 潤 スポ4 JFAアカデミー福島
MF 鍬先 祐弥 スポ3 東福岡
→71分 24 鈴木 郁也 社3 FC東京U18
MF 10 金田 拓海 社4 ヴィッセル神戸U18
MF 12 大里 優斗 スポ4 鹿島アントラーズユース
→81分 27 山下 雄大 スポ1 柏レイソルU18
MF 栗島 健太 スポ4 千葉・流通経大柏
FW 加藤 拓己 スポ2 山梨学院
FW 14 藤沢 和也 社4 東京・早実
→60分 25 倉持 快 スポ2 神奈川・桐光学園
◎=キャプテン
監督:外池大亮(平9社卒=東京・早実)
関東大学リーグ戦1部 順位表
順位 大学名 勝点 試合数 得点 失点 得失差
明大 42 15 14 35 +28
桐蔭横浜大 28 15 24 14 +10
立正大 27 15 30 17 +13
法大 25 15 22 13 +9
筑波大 24 15 26 18 +8
順大 24 15 19 17 +2
駒大 20 15 17 27 -10
専大 19 15 25 38 -13
中大 18 15 15 20 -5
10 早大 15 15 16 26 ―10
11 東洋大 15 11 11 25 -14
12 流通経大 15 12 12 30 -18
※第15節終了時点
コメント

外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)

――順大戦に向けてどのような準備をしてきましたか

前節の駒大戦で良いかたちで勝利できて、非常に良い流れが(チームに)生まれていたので、当然勝ち点3を狙える準備はできていたし、駒大に対する対策もそうでしたが、順大に対しても昨年のインカレ、今年の前期が同じようなやられ方だったので、それへの対処はかなり綿密に、その学びの中で準備をしていました。最後ちょっとやりきれなかったかなというのは正直ありますね。

――後半はボールを握られる時間帯が長引きましたが、前期と同じ轍を踏むことはありませんでした

そういうこと(ボールを握られる展開)が起こりうるということをチーム全体で共有できていたことが大きかったと思います。順大がセットプレーに強くないことは分析でわかっていましたし、流れが悪い時でもセットプレーで自分たちの強みを発揮することに関しては狙い通りでしたし、我々もあそこで息を吹き返したので、その流れを継続したかったのはありますけれどね。

――これまで苦戦を強いられていた旗手選手にも仕事をさせませんでした

3人のセンターバックでもう1人のトップをスライドしながら見て、基本的には鍬先が旗手を見るというのはかなり徹底してやれていました。正直鍬先が(アクシデントによって)交代せざるを得なかったという状況が、このプランを遂行しきれなかった理由ではあると思います。本人にも言いましたけれど、非常によく走っていましたが、勝ち点を0から1、1から3にするかということが大事になってくる中で、どうやって90分ゲームをコントロールして、自分の役割を全うするか。良い意味で、本人にもチームの軸としての責任感をもっと持ってやってほしかったというのはあります。

――季節外れの暑さに苦しんだところもあるのでしょうか

鍬先しかり大里しかり、アクシデントによって交代がなかなかプラン通りにいかなかったというのもありましたし、そういうところも含めたチームとしての走力といったところなどに課題がまだあるのかなと思います。90分使える力の中で、それぞれがどんな役割を担うべきかというのは当然ありますし、アクシデントによる交代だと、途中から入った選手が本来の役割を担えなくなる場合も出てきてしまいますから。

――苦手意識のある駒大と順大から合計で勝ち点4を取れたことは、リーグ戦全体を見通しても大きいのでは

前期の経験から、勝ち点3だけでなく1を積み上げる大切さを改めて認識していないと、この厳しいリーグでは戦えないので、僕はその部分(勝ち点を取れた)ことはポジティブに捉えています。課題もありますが、(勝ち点の)積み重ねがあることでチーム全体にポジティブなものが生まれていくのも事実だと思うので、そこに関しての手応えは感じています。

――次節も上位に位置する桐蔭横浜大と対戦します

筑波大戦(●0−5)で大きな気づきを得てから、良い1週間の過ごし方が確立されているので、また今節得た新たな学びを自分たちの成長の糧にして、また新しいチームとして、来週に向けたいい競争を発揮させたいです。特に先週は競争という部分で大きく良い部分がありましたし、そういう循環をさせていくのはチームとしての活力になると思うので、そこを引き続きやれるだけの1週間を過ごすことが大事だと思います。

MF金田拓海(社4=ヴィッセル神戸U18)

――きょうの試合を振り返ってください

苦しい時間が多かった中で、いつも順大とやる時は大体前半いい形が作れて後半苦しくなるという事が多いのですが、やっぱり今日も前半ある程度ボールが保持できる部分があった中で、後半に入って相手に攻め込まれる時間が長かったというのがあって、前期の試合は後半のこのような状況を何も変えられなかったという事があった中で、きょうの試合というのはピッチに出ている選手含め、ベンチも何かを変えなければならないという雰囲気はあったのですが、それを打開できなかった、まだまだ自分たちの力がなかったというのがきょうの試合だったのかなと思います。

――得点のシーンですが、相手の寄せも早かった中でうまくゴールに流し込みました。

大里からいいボールが来て自分も点を決めたいと思っていたので、思い切ってシュートを打てたのがあの場面ではよかったかなと思います。

――結果的にきょうの試合は勝ち点1を取れたと考えていますか、それとも勝ち点2を失った試合と考えていますか

自分としては勝ち点2を失ったという事が大きいかなと思っていて、昨年と比べるわけではないですが、やはり昨年はあのような苦しい試合というのをモノにすることができた、勝つことができたからあの順位に行けたし、それが今のチームの現状なのかなときょうの試合でより感じました。

――次節は桐蔭横浜大戦、そして次々節は立正大戦と上位のチームとの試合が続きます。次節に向けての意気込みを教えてください

自分たちのやるべき事というのは1週間1週間、今週出た課題を1つ1つクリアにして行く事であったり、次の桐蔭横浜大であったらどういう戦い方で行く、というのを自分たちの中で共有していくという、そして緊張感を持ってトレーニングをするという、それだけだと思うのでいい準備をして次の試合に臨みたいなと思います。

MF大里優斗(スポ4=鹿島アントラーズユース)

――勝ち点1を得た試合でした、振り返っていかがですか

2回勝ち越していたことを考えると勝ち点自体は3取ることができたと思います。勝ち点1を取れたのは良かったですけど、追いつかれてしまったので悔しいですね。

――2アシストをそれぞれ振り返っていかがですか

1点目は中でニアの加藤が潰れてくれて、後ろから拓海が走ってきていたのでそれに合わせました。2点目のCKもベンチの方から杉(杉山耕二)をポイントにと言われたので、チームとして狙いを持っていた中でそれがうまくいきました。

――オフェンス面で特に意識していたことはありますか

とりあえずクロスですね。自分のところにボールがきたら中を見てクロスを上げて、加藤と和也がいたのでどうにかそこから得点しようと意識していました。

――なかなか前線にボールが収まりませんでした

後半は特にボールが収まらなくて、それが今のチームたしての課題でもありますね。後ろからのビルドアップでうまく3バックでやっている中で、ウィングバックの自分や牧野がどう関わっていくのかだったり、全部のボールを蹴っても加藤が全部収められるわけではないのでそれに対する修正がこれから更に課題になってくると思います。

――攻め込まれてもチームの雰囲気は良かったですね

ある程度順天がボールを持つチームで、押し込まれることは想定していました。ピッチ外から監督と雄大くん(蓮川雄大)を中心に修正の声だったり、中にいる選手も変化に対して修正をするポジティブな声がかなり多かったです。そこが大崩れしないというか、うまく対処できるようになってきているポイントだと思います。

――次節への意気込みをお願いします

まずは90分間走り切ることです。2戦連続で足がつってしまっての交代で、交代枠が3枚しかない中で戦術的な交代ができなくなってしまうので。きょうも自分と鍬先が足をつって交代してしまって交代でした。そこはまずなくすというか、監督や雄大くんの描いているゲームプランがそこで崩れてしまうので、それがないように準備したいです。ゲーム内でもベースがしっかりできてきているので、それを継続しながらも押し込まれた時の前への進み方や得点のかたち、守備面でも耐え切れないこともあるので…。考えると課題ばかりで修正しないといけないところがたくさんありますが、決して満足することなく課題と向き合って次節は勝ちたいです。