劇的幕切れ！苦闘制し早慶戦８連覇

　試合終了後、喜びを爆発させる早大とピッチに崩れ落ちる慶大。両者の明暗を分けたのは試合終了たった１分前のＦＷ加藤拓己（スポ２＝山梨学院）のゴールだった。関東大学リーグ戦（リーグ戦）２部で首位、最少失点を誇る慶大の隙のない守備に苦しめられていた早大であったが、試合が進むにつれ徐々に攻撃の糸口をつかんでいく。ＭＦ西堂久俊（スポ１＝千葉・市船橋）の交代をきっかけに早大の攻撃にリズムが生まれ、終了５分前に投入された山下雄大（スポ１＝柏レイソルU１８）が加藤のゴールをアシスト。見事に早大は早慶戦８連覇を決めた。

試合終了間際に得点を決め、仲間の元へ駆け寄る加藤

　初の早慶戦は例年通り大観衆の中で行われた。この試合で最初に決定機を迎えたのは慶大。２分、ＭＦ橋本健人（慶大）のパスに反応したＭＦ八田和己（慶大）がゴール右にシュートするが、これをＧＫ笠原駿之介（法４＝埼玉・早大本庄）がセーブ。早大も１１分にＭＦ金田拓海（社４＝ヴィッセル神戸U１８）がペナルティエリア前でファウルを受けいい位置でＦＫを獲得。ＤＦ阿部隼人（社3＝横浜Ｆ・マリノスユース）が低いボールをかべのすぐ左側に通したが、味方と合わず得点に結びつけることはできない。１５分にはＤＦ牧野潤（スポ４＝ＪF Aアカデミー福島）からパスを受けたＭＦ栗島健太（社４＝千葉・流通経大柏）がバイタルエリア付近で左足を振り抜くがゴール右上に外れてしまう。慶大のスペースのない最終ラインにロングパスを通すことができず早大の攻撃の手が減少。対して慶大はリーグ戦２部でアシストランキング１位の橋本を中心に攻勢を強めていく。２５分にはＦＷ松岡瑠夢（慶大）がミドルシュートを打つが笠原の正面。続く３０分には橋本が右サイドをえぐろうと仕掛けるが、牧野がなんとか抑える。しばらく早大の我慢の時間が続く中、３８分にＦＷ中園健太郎（社４＝東京・早実）に代わって加藤が試合に入るが、流れを完全に変えることができないまま前半を終えた。

試合後、観客席前での集合写真

　後半を迎え最初に決定機を迎えたのは再び慶大だった。５２分、ＭＦ多嶋田雅司（慶大）が放ったボールが良いかたちでＭＦ福本拓海（慶大）に渡るが、その福本が空振りしピンチを逃れた。対して早大は６１分に栗島に代え西堂を投入して以降、慶大の裏のスペースを有効に利用できるようになり徐々がに流れを掴んでいく。６７分には最終ラインの牧野の裏のスペースへのロングパスに西堂反応するが相手G Kの飛び出しにより惜しくも阻まれてしまう。７３分ＭＦ神山皓亮（商４＝栃木・真岡）が足をつったためＭＦ藤沢和也（商４＝東京・早実）が遂にけがからの実戦復帰を果たした。どちらにもなかなかボールが収まらない中で、７７分慶大が絶好のチャンスを迎える。ペナルティエリア前で八田がゴールの右隅に強烈なミドルシュート。これを笠原がスーパーセーブし、チームの危機を救った。８５分には阿部に変え山下が投入され、何度もいいかたちを作り出していく。９１分に山下が左サイドからペナルティエリア内にいた加藤に精度の高いクロスを供給。これを加藤がダイビングヘッドで決め、長かった均衡をついに破る。その後１分もしないうちに試合終了のホイッスルが鳴らされ、早大は苦闘の末に早慶戦８連覇を納めた。

　「試合中にも運営で汗を流してくれている人たちには、結果でしか恩返しができない」（大桃海斗主将、スポ４＝新潟・帝京長岡）とその言葉通り、見事に勝利という結果で早慶戦に関わる全部員に恩返しして見せた。今年の早慶戦はマスコットキャラクター『アルフ』をはじめとしたさまざまな試みが見られた。試合に直接関わらない部員もこの大舞台にむけて一緒に汗を流して来たのである。当の早慶戦の結果に関してもＦＷ蓮川雄大（スポ４＝ＦＣ東京Ｕ１８）やＦＷ武田太一（スポ４＝ガンバ大阪ユース）らを欠いている中でこうした接戦を勝ちきれたことは今後のリーグ戦でも追い風となるだろう。加藤や山下、西堂といった新戦力が台頭していくことでチーム内の競争はさらに激しさを増す。早大の逆襲はここからだ。

スターティングイレブンとエスコートキッズ

（記事　菅沼恒輝、写真　石井尚紀、堤春嘉、河合智史、金岡知葉、橋口遼太郎）